ナザリック・リコリス   作:ぶんた

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その2

 多くのNPCが動くナザリック地下大墳墓。

 その主であるモモンガは一人静かに玉座に座していた。

 

「ようモモンガ!」

「あっ!ウォールナットさん!」

 

 そこに。人身大のもこもこしたシマリスが現れたのだ。

 そしてモモンガと挨拶を交わす。

 

「で、これがー」

「やあ!千束だよ!よろしくー!」

 

 ウォールナットの後ろから、小柄な女の子が現れた!

 黄色みがかった白色の髪をボブカットに切りそろえ、左サイドは赤いリボンで巻き髪にした女の子だった。

 キャラクリしたばかりなのだろうか?簡素な初期装備を身に着けている。

 

「あっ!も、モモンガです!よろしくおねがいします!」

「あははは!なにこの骨!礼儀正しいー!って、クルミはなんでシマリス?やばっ!うける!」

 

 豪奢な装備を纏った骸骨が礼儀正しくお辞儀をする様が刺さったのかもしれない。チサトはウォールナットとモモンガを指さしながら、腹を抱えて大爆笑!

 

「おい!チサト!そうゆうアバターなんだ!中の人に失礼するな!」

「えええー?!それは、それは失礼いたしました!私、錦木ち……」

「馬鹿!本名じゃなくて!キャラ名!それと私のことはウォールナットと呼べ!」

「えええ?ああーっと!私はー、ええと?チサトだよ!よろしくね?モモンガさん!」

「よろしくおねがいしますね!チサトさん!」

 

 ペコリと頭を下げるチサトに、モモンガは再び頭を下げ二人は挨拶を交わす。

 

「ところでなんで私はそのまんまなんよ?姿変えられるなら変えたかったのに!」

「ああ?お前みたいな初心者は、そのまんまのほうがわかりやすかろ?」

「むー。せっかくだからブルース・ウィリスかシュワルツ・ネッガーになりたかった……。名前はジョン・マクレーンかランボー……」

「ぶふっ!それはそれで面白いけどな」

 

 モモンガはウォールナットとチサトのやり取りを、ほほえましく見つめていた。

 どうやらチサトはこういったゲームをまったくしたことのない人のようだった。

 そしてこういった初心者さんになにより必要なものは、楽しく続けてもらえるようなサポート!

 なにもわからずうろうろし、悪意に押しつぶされようとしたとき。自分はたっち・みーさんに助けてもらえた。そして導いてもらえた!

 自分の様な人間ではたっちさんに及ばないのはわかってる。でも、少しでも。このゲームの先輩として、チサトさんが楽しく遊んでもらえるサポートがしたい!

 モモンガはこぶしを握る!

 

「なあ、モモンガ。ボクらこのゲームは初心者だし、とりあえずこのギルドに入れてくれないか?」

「えっ!」

 

 ウォールナットの言葉にモモンガは衝撃を受け。そして大歓迎といいかけて、止まる。

 直ぐやめてしまったら……。またギルメンを失う気持ちを味わうくらいなら……。

 モモンガの頭の中に様々な感情が渦を巻く。

 ウォールナットは無言で固まるモモンガを見つつ首を傾げた。

 

「悪かった。ちょっといきなりだったな。気長に考えてくれ」

「すいません……。あ、それとここは人間種族は入れないギルドでして……」

「ええっ!」

 

 モモンガから視線を向けられた、チサトは目を瞬かせる。

 

「ほー。そーゆー縛りか。面白いな」

「は、はい。なのでチサトさんは……」

「ええー!」

 

 がーん!という衝撃音が聞こえてきそうなほどの表情でチサトが叫ぶ!

 

「モモさん!私、のけ者?」

「え、ええと……」

 

 よよよと嘆きつつローブにしがみついてくるチサトに、動揺するモモンガ。

 

「まあまてまて。そうゆうことならウォールナットにまかせとけ」

 

 人相?悪くシマリスが笑う。

 

「さすがー!クルミー!」

「ばか!名前だすな!抱き着くな!」

 

 モモンガはそんなやりとりを見つつ。

 

(ぶくぶく茶釜さんとペロロンチーノさんみたいに、近くでやってるのかな?うらやましいな!)

 

 オンラインゲームを知り合いとプレイ。しかも現実に近くでプレイできるなんて、これほど楽しいものはないはずだ!

 オンゲプレイヤー憧れのプレイ環境に、モモンガはほっこりとする。

 

「ってことでー、チサト。おまえの種族は『リコリス』な」

「は?」

 

 シマリスが少女に向かって宣言した!

 

「ああ。植物系モンスター、ドライアドなんかの亜種ってかんじ?」

「リコリス?ですか?」

「彼岸花。曼殊沙華と言われる紅い華のことさ。それの精霊的なのにしてみた」

「初めて見る種族ですけど……。してみた?」

「????」

 

 ウォールナットの言葉に要領を得ないモモンガとチサト。

 

「まーまーまー。これだけのゲームだからな!発見されてない要素がまだまだあるってことさ」

「そうなんですね!」

「そーそーそー!」

 

 ウォールナットは勢いでモモンガを納得させる! 

 

「そういえば、お二人の職業はなんなんです?」

「ん??えーとーボクはウォールナットMAX!」

 

 またしても謎なウォールナットの答えにモモンガは首を傾げる。

 

「で、チサトはー。射撃と格闘をー、こんなかんじでいいんじゃね?」

 

 ウォールナットは視線を彷徨わせつつ、ぶつぶつと呟く。

 

「はいはいはーいー!クルミー!私、折角だから魔法使いたいんですけどー!」

「あああ?何魔法よ?」

 

 チサトの挙手からの発言に、ウォールナットは面倒くさそうに答える。

 

「ええと!回復魔法!」

「は?」

「いいじゃんかよー!回復魔法!」

 

 シマリスからのジト目に慌てつつもチサトは主張した!

 

(ふふ!キャラクリ、楽しいよねー!)

 

 そんな様子もモモンガは、ほっこりと眺めていた。

 

「ちっ、めんどくせー。ん?飯の時間かー。モモンガー、悪い。今日はここまでっぽい。また来るわ」

「たきながよんでおるー!ごめんね?モモさん!またね!」

「あっ!はい!またです!」

 

 あわただしくログアウトする二人を、モモンガは見送るのだった。




 オンゲ拠点の街で。 

「え?これ全部中にひといるの?なのにぼーっとしてるの?こいつら暇人すぎじゃね?w」

 PT組むのに待ってる人らの中、誘ったオンゲ初の友人がすかさずこんなシャウトして、慌てたのを思いだしてました……。
 いやもーすげー嫌な汗かきましたわー;
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