ナザリック地下大墳墓最奥、玉座の間。
モモンガがうろうろと動いているその時。突如出現する存在があった。
「よっ!モモンガー!」
「こにゃにゃちはー!チサトだよ!」
そのログにモモンガは即反応する!
「ごめんなさい!前回寝落ちしてましたー!ほんと、ごめんなさい!」
『寝落ち』!
ネトゲプレイヤーとして最悪のマナー違反!その醜態をさらしてしまった!
モモンガはいたたたまれず、小さくなっていて。
ウォールナットとチサト。二人に対し、モモンガは最大限の謝罪である伝説の『スライディング☆土下座!』を敢行する!
「あー、わかったよ。ほんとモモンガは真面目だなー」
「いいから!ほんと、いいから!モモさん疲れてたんしょ?しかたないしー!そんなんやめてよー!」
呆れるウォールナットと、必死にしがみついてくるチサト。
チサトさんには悪い事してしまってるなぁと、モモンガの中の人はへこんでいて。
ウォールナットさんがフォローしてくれてるのだろうけど。ほんと申し訳ない……。
「それより!さー!これこれこれ!どうかなー?」
浮かれるチサトの声にモモンガが視線を上げる。
そこにはメイド服を和風にアレンジしたものを着ているチサトがいた。
服の色は赤。上半身は和風リコリコ制服。下はスカートになってる。チサトは得意げに、くるくる回りそのスカートをひらひらとさせた。
「ご主人様!お疲れ様でございます」
そうしてチサトはゆっくりと頭を下げる。
「!!」
そのあまりの破壊力にモモンガは驚愕に固まってしまう!
「んっふー!いかかです?ご主人様?」
そんなモモンガを楽しそうに見つめ、チサトは悪戯っぽく笑った!
「クルミが造ってくれたんよー!似合う似合う?」
「ええ!すっごくお似合いです!」
モモンガは衝撃から立ち直り絶賛する!
「和風メイドですね!んー。でもそれなら、うちのエントマも負けてませんよ?!」
次の瞬間。玉座の間に小柄なメイドが現れる。
「おお!」
「むむ!」
そのメイドを前にウォールナットとチサトは驚きの声を漏らす。
「ふふふ。源次郎さん意見をもとにホワイトブリムさんとヘロヘロさんが創り出した力作!エントマ・ヴァシリッサ・ゼータです!」
モモンガはドヤ骨顔で小柄な和風メイドをお披露目した!
「ちょ!かわええー!」
「くっ。この服の作り込み……」
エントマの可愛さに浮かれるチサトと、エントマの纏う和風メイド服に唸るウォールナット。
「エントマちゃん!」
両手を広げ抱き着こうとしたチサトが、ビクリ!とフリーズした!
「モ、モモサーン?」
「はい?」
たどたどしい問いかけとともに、ぎぎぎ……と首を動かし目線を合わせてくるチサトに、モモンガは首を傾げた。
「この子の頭のこれ……。これって、やっぱりー……?」
「ああそれは触角ですよ。エントマは蟲人間ですからね」
「!!!!!!」
ずざさささぁーーー!
チサトは凄まじい勢いでエントマから距離をとった!
「む、ムシねー!ちなみにーなにムシさん?」
「アラクノイドなので蜘蛛人間ですね」
「っっく!!!くも……?!くもかー……。んーー。残念ながら、この子とは仲良くなれなそうかな……」
「?」
凄まじい緊張感をみなぎらせるチサトを、モモンガは不思議そうに眺める。
「虫苦手とか、チサト意外と小娘よなー」
ウォールナットはやれやれといわんばかりに、チサトに言葉を掛けた。
「だまれ!そういうクルミはどうなのよ?」
「ああああー?バグは殺す。全て殺す!皆殺しよ!」
「!!!!」
そのウォールナットの纏う恐ろしい雰囲気にチサトとモモンガは息を呑んだ。
「ちなみにー。ほかにも虫っぽいひと、いたりする?」
「え?あーはい。恐怖公という、g……」
「!!!!!!!」
モモンガの言葉の途中。すかさずチサトがログアウトした!
「?」
通信の問題だろか?モモンガは首を傾げる。
「んー。いいか、モモンガ。それの話題は今後一切、ボクらにするな。そして絶対見せるなよ?」
「えっ?あ、はい……」
「じゃあ、またな」
凄まじい緊張感をみなぎらせログアウトするウォールナットを、モモンガは不思議そうに見送るのだった。