OrverLord ─始祖の吸血鬼─   作:ブラック×ブラック

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コキュートスさんのスキル等色々調べているうちに沼にハマりUP遅くなりました。
ゲームであれば面白いスキルですね。

調べた物は後書きに記しておきます。

では、お楽しみいただければ嬉しく思います。


第十一話 グリモワール大迷宮ー3

───────────────

 大迷宮中央 御屋敷 邸宅前

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庭園に咲き誇る花々が揺れる。

大迷宮の主からの申し出。このような機会は、もう二度と訪れはし無いだろう。

一対一の死合において、成長したコキュートスは、冷静に戦いながら情報を収集し戦闘の主導権を握る事に長けている。

あれこれ考えはしない、既に大迷宮の主を降すイメージは、出来上がっている。

想定可能なイレギュラーも含め、確実にこの勝負は勝てる筈だ。

 

冷気攻撃は、相手がアンデッドである以上通じない。

こちらの攻撃手段から冷気属性は除外する。

 

今回の場合は、単純に物理攻撃による粉砕はフェイク。

超音速によるハルバートの一撃で大地を叩きつける。

まともにくらえば、粉みじんだろうが確実に回避される筈だ。

目くらまし程度に考えるべきだろう。

次は、ハルバートを叩きつけた勢いを利用した追撃だ。

 

繰り出すのは、予備動作無しの二ノ太刀。

勢いを受けた追撃は速度を増し、超高速で絶対不可避の刃となるり命中する。

これを受ければ多少ダメージを与える事が出来ると考えている。

防御系スキルを使用しダメージ軽減、或いは無効耐性があると考えてもこの流れに絶対の自信があった。

ここまではスキルを使用した攻撃では無く純粋に身体能力を活かしたものだからである。

絶対的強者に僅かでも回避行動を取らせる事で、スキル発動攻撃へ転じる数秒にも満たない時を

得る事が可能になる。

この時間さえ稼げれば、コキュートスの勝ちは揺るがない。

 

((一切の油断はない!))

 

既に大迷宮の主の元へ駆け出し、渾身の一撃を浴びせる為の姿勢は整えられている。

 

((アインズ様の為、私がナザリックの威を示して見せよう!))

 

コキュートスは、怒涛の如く突進し、ハルバートによる痛烈な一撃を叩きつける!

 

 

 

 

 

 

 

”ドッゴ──────────────ン!!!”

 

それは大地を奏でるかの如く、しかし楽器と呼べる物ではない凄まじい轟音と共に大地は抉られた。これまで静かであった大迷宮の庭園が、戦場と化したのである。

庭園土質のせいだろう黒い粉塵(ふんじん)が舞い上がり視界を遮る。

 

「ヤハリ!!テゴタエ ハ ナイ!」

 

想定通り初撃はかわされた。

 

"キィ───────────────ン!!!"

 

 

次いで繰り出した二ノ太刀は大気を割くかの如く、不快な金属音を奏で耳鳴りを残す。

絶対不可避の攻撃を振り抜くが、手応えを感じられない…。

 

「マサカトハ オモウガ、ショゲキデ、フンサイシタカ?」

 

少し計算が狂ったが問題無い!

絶対的強者に対し過剰攻撃は、過ぎて当然のこと!

スキル攻撃に移る時間は充分ある。

 

 

>>不動明王撃(アチャラナータ)<<

 

 

コキュートスの背後に厳めしい表情を浮かべる揺ぎ無き守護神、不動明王が出現すると粉塵で未だ姿が見えない攻撃対象を睨め付けているかのようである。

 

 

>>倶利伽羅剣(くりからけん)<<

 

 

その名の通り、不動明王の象徴とされる貪・瞋・痴(とん・しん・ち)の三毒を破る智慧の利剣の

名を冠するスキルを粉塵目掛け連続使用する。

耐性があろうと切り刻まれれ徐々にダメージが蓄積されるだろう。

無傷でいられる筈がない、漂う粉塵の中は刃の嵐なのだから。

 

((存在の痕跡すら残しはしない!!))

 

スキル使用回数の全てを注いだ容赦ない連撃である。

吸血鬼、それも始祖ともなればカルマ値は相当低い筈だ。

コキュートスが放った『倶利伽羅剣』は、相手のカルマ値が低ければ低い程にその破壊力を増す

威力変動型のスキルなのである。

 

((過剰等では無い、アインズ様の為、ナザリックの為!))

 

そして強者と渡り合える喜びを胸に徹底的に斬り付ける。

 

…勝敗は決したとコキュートスは確信した。

 

攻撃地点を確認しようにも視界が悪く難しい。

ただ、未だ漂う粉塵の中で動く者の気配が無い事だけは確実である。

 

戦闘が開始しされ初撃を与えた辺りから、あの巨大で禍々しい気配は消えうせていた。

舞い散る粉塵はどす黒く空を被い、日中である事を忘れさせられる程だ。

日光を遮る粉塵が辺り一帯を包む闇も、やがては風で離散し大地へ帰る事だろう。

 

マーレが養分が豊富な土地は、黒い土である事が多いのだと教えてくれたのを思い出す。

この庭園の土も庭師の手入れにより、よい土になっていたのだろう…

それを考えると庭園を管理していた庭師に申し訳なく思った。

 

「ヤリスギテシマッタヨウダ…。テイエン ヲ カンリシテイルモノニハ、シャザイスル。」

 

 

彼の御仁…。大迷宮の主の肉体強度は、それ程高く無かったのだろう。

そこにマイナスカルマの存在には効果を増す攻撃を加えたのだ。

終始一方的な戦いとなってしまった事を残念に思うコキュートスだが、二度と負けられないと言う強い思いがある。

 

この結果は、その思いの証。

戦闘を止めようとしたシャルティア…身を案じてくれての事。

始祖から受ける力で不安な表情を浮かべるシャルティアに勝利したと向き合い、ナザリック守護者としての威厳を示す。

 

しかし、主人が倒れたと言うのに大迷宮の者達…この落ち着き払った様は一体なんなのだ…。

忠心の武人コキュートスにとり異常な光景でしかない。

主を頂く配下として忠義は無いのか…

庭師には申し訳ない事をしたと思うが、他の者達に対しては苛立ちさえ覚える。

 

我等がアインズ様は、支配者としても大迷宮の主より勝っている。

それが誇らしくもあり、また当然であると感じた。

 

清々しい気分である。

 

先程迄、周囲を包んでいた粉塵は綺麗に消え去り、今回の戦いを振り返りながら太陽を眺めるように空を仰ぐコキュートス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ゴスッ!!!ズシャズズズズズ!!!”

 

 

勝利した…

大迷宮の主、凄まじい存在感を放っていた御仁に勝ったのだ…

何か、『違和感』を感じるがシャルティアには、心配をかけた事を詫びなければいけないだろう。

ナザリックに貢献できた事になるのだろうか…

 

シャルティアは、何がおこっているのか理解できないと言った表情を浮かべている。

始祖による抑圧は、もう無いのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執事は、戦闘開始時から変わらずシャルティアの横に立ち、ナザリック地下大墳墓へ訪れた際に

見せたあの優雅な動作…

左手を胸に当て僅かに腰を折り何者かに向けて……冷笑?

 

 

…一体誰に?…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこへ行く?」

 

少し低い男の声だ

 

((…この声は、聞き覚えがある…))

 

背後に突如出現した巨大な気配は、振り返る事を躊躇(ちゅうちょ)させる程に禍々しい…

…

先程迄一切感じ取る事が出来なかった

…

そう、少し前に聞いた声…間違いなく『滅ぼした筈』の大迷宮の主のもの…

 

 

「…ナゼダ…」

 

 

自身の四本の腕に武器が握られていない事に気付く。

スキル連撃で握力を失ったのか…

 

「ブ、ブキハ……?」

 

 

 

 

 

 

((…体が宙に…浮いているのか?…

…空を見上げていたのではなかったのか?…))

 

 

『違和感』の正体にようやく気付き理解する事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((…背後から胸を突き破る貫通攻撃……飛び出している…

……これは……腕か?))

 

 

ナザリック地下大墳墓第五階層守護者にして湖の統治者コキュートスは、敗北を悟る。

 

 

「ワタシハ…ヤブレタノ…カ…」

 

 

そう言葉にし、コキュートスは、嘗て戦った尊敬に値する戦士達の事を思い出している。

誇り高き戦士達…。

この手で彼等の尊厳と命の華を斬り落としてきた。

敗れた者は、去るのみ…

 

しかし、背後の男はそれを許さなかった…。

 

 

 

 

「君は、まだ敗れて等いないよ」

 

シャルティアが目前の光景を受け入れるには、すこしばかり時をようするようだ。

これまでのナザリックの進撃を考えれば、信じ難い光景なのだから…。

シャルティアへと向き直ったコキュートス…。

その胸には、そこにある筈のない『モノ』があった。

 

始祖様の右腕が、コキュートスの背後から胸へ貫通している。

 

御自身よりも大柄である筈のコキュートスの足が地面より少し浮いた状態を維持し、何かを

コキュートスに告げていたかの様にも見えた。

直後、巨漢のコキュートスが綿の様にふわりと浮き後方へ投げ捨てられ、次の瞬間にはその重量から大きな音を立て大地に転がる。

 

コキュートスの巨漢で隠れていた始祖様の御姿が現れる…その御姿は何とも、御美しい…。

ただ、最悪の状況である事は理解出来た。

 

それは、ナザリック地下大墳墓の者達にだけ許された力…

アインズ様に仕えるナザリックに所属する者以外の全てを…他種族を嘲り、搾取し、利用し、

殺す事を許されたナザリック地下大墳墓だけの力だった筈だ…。

 

絶命しそうなコキュートスの姿は、先程まで彼が攻撃地点と定め連撃を繰り出していた場所にある。コキュートスは今、丁度空を見上げるような形で仰向けになり完全に無防備な状態をさらしているのだ。

 

コキュートスが眺めている景色は粉塵が晴れ、美しく澄み渡る青の世界…

だが、それも僅かな時だった。

アインズ様に捧げられた美しい空を今はもう見る事も出来ない…。

 

白銀色の長い髪、不気味な笑みを湛える端正な顔立ち、不思議な緑の双眸…大迷宮の主…名も知らぬ始祖の吸血鬼。

今コキュートスは、青い空を眺める事も許されず、恐ろしい表情を浮かべる男に見下ろされ、そこから目を背ける事も出来ない。

 

「ヒットポイントが徐々に減少しているのが分かるかい?

 このままでは、君は崩壊する。

 だから、蘇生しよう。

 …

 …

 …

 そして、また滅ぼす。

 君が灰になる迄、何度でも繰り返そう。」

 

あの瞳、瞳孔が猫の様な縦線に変化するその様は、妖しい光と不思議な力を湛えているかのように感じられた。

大迷宮の家臣達が、涼しい顔をしていたのか…成程、あの時点で結果は見えていたと言う事か…。

 

「招待状、ありがたく受け取らせて貰うよ。

 魔法を施した招待状ね…。

 魔導王陛下は、君が置かれている現状を御存じのようだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 君は死ぬ。」

 

((今、この様子をアインズ様は、お聞きになられているのか…。

 あの招待状には、慈悲深きアインズ様が我々二人の身を案じ魔法を施し持たせて

 頂いた物だったのか…

 …軽率な行動を取ってっしまった…お許しくださいアインズ様…))

 

挑発に乗り、闘争へと駆り立てられた。自身の感情を優先してしまったと薄れゆく意識の中で

コキュートスはぼんやりと考え反省した。

 

 

でっち上げた魔法。

この状態下で、実在しない魔法を聞かされてもコキュートスがそれを疑う事も無ければ考える事も無いだろう。

ただ、バルディアはコキュートスが次に何を口にするのか楽しみでならないと言った様子だ。

事実、彼の頭の中は目の前に転がる『材料』で『フレイバーテキスト効果改変』の研究成果を実証する事しか考えていなかった。

その様子を見てヒルデリアは、何かが違うと得体の知れない思いが渦巻き始めていた。

 

((同情して差し上げましょう。ナザリックの武人。

 ただ、それだけです。

 彼がどうなろうと問題では無い。

 

 魔導国と戦になるなら、一番の戦果を挙げる自信はある。

 ナザリック玉座の間にいた者達であれば魔導王を含め容易いだろう。

 問題は数ですが、こちらも何とか対応出来るでしょう。

 シャルティアは戦えない。

 …

 …そんな事より御主人様の様子が何か…))

 

グリモワール大迷宮の住人達は、何かしらの変調を感じ取っていた。

説明は付かないが『災い振りまく何か大きな存在が身近にある不安』を同時に感じていた。

実際にその様子を目の当りしているヒルデリア達は、より感じているのだろう。

 

仮に私が何者かの手に落ち、あそこに転がる虫の立場であったら…。

滅びを宣告されるだけならまだ良い。

自分が忠誠を誓う相手、慕う相手へ、二度と…完全に…その御姿を見る事も、御声を聴く事も許されない…

そして貢献する機会は、未来永劫閉ざされると言う現実を突き付けられたなら…それは地獄だ。

 

あの御優しい御主人様が『何か別のモノ』に変わってしまう!

そう直感した瞬間には体が勝手に動いていた。

 

「御主人様!

 その辺りで、御許しに為されては如何でしょう?

 寛容さもまた、御主人様の大切な魅力の一つでございますわ。」

 

ほぼ同時だっただろう。

ロベルトも同様の事を感じ取り行動に移していたのだ。

 

「旦那様、私もヒルデリア殿と同じ考えです!

 旦那様の御考えを私如き者には、到底図り知る事は出来ません。

 それが悔しいです。

 ただ!

 戦意を失った相手をいたぶるような御姿は、旦那様には似合わない!…です。」

 

防衛上の理由から姿を見せないが、ルゥ=ルゥも心配そうにバルディアに呼び掛ける。

 

「あるじ~…怖いぞ~…あるじ怖い~~」

 

ヒルデリアとロベルトは、主人に異を唱え、片膝を付き深々と頭を垂れ願い出ている。

NPC者達には、考えられない行動だ。

グリモワール大迷宮の皆にとり300年と言う長い時間経過は、彼等をNPCとは異なる存在へと昇華させていたのだ。

ただ忠誠を誓うだけの人形とは違うのである。

バルディアも彼等をNPCとは異なる存在として接する事を決めていた筈だった。

 

説明の付かない事は世の中いくらでもある。

グリモワール大迷宮の住人達は、長い間眠りにつく主人の事を想い彼の元へよく訪れ願っていた。

それは、生物として他へよせる『想い』であり『愛』を抱き続けた300年。

ナザリック地下大墳墓のNPC達との違いは、この一点のみなのだ。

この差異に気付く者は、この先現れない。

 

 

バルディアは、ゆっくりと二人の前へ歩み寄り、右手をヒルデリア、左手をロベルトの肩へおくと二人が僅かに震えているのを感じ取れた。

大迷宮の主人が、二人に立ち上がるように促した。

それに従い見た主人の表情は、以前と変わらない優しいものに戻っていた事に心から安堵したのである。

 

((…私は、既に本物の化け物になってしまった様だ…))

 

「皆を怖がらせてしまったようだ。

 無自覚とは言え、申し訳ない事をした。

 ヒルデリア、ロベルト、ルゥ、進言感謝するよ。

 

 ありがとう。

 

 ただね、彼等ナザリックの面々の記憶操作は行う。

 戦闘で得た情報を削除し、別の記憶を植え付ける事としようか。

 それで良いかな?

 後の事は、ヒルデリアとロベルト、君達に任せるよ。」

 

そう言い終えると大迷宮の主は、私室に戻ると伝えその場を去った。

 

始祖の重圧から解放されたシャルティアが、同僚の名を叫ぶ。

 

 

 

「コキュ────ト───────ス!!!」




お楽しみ頂けたなら嬉しく思います。

三毒
【貪】(とん)は、仏教における煩悩のひとつで、 貪り、心にかなう対象に対する欲求を意味する。別名を貪欲(とんよく)、我愛といい五欲の対象である万の物を必要以上に求める心である。
貪欲:非常に欲深い事。

【瞋】(しん)は、仏教が教える煩悩のひとつ。瞋恚(しんに)ともいう。怒り恨みと訳される。憎しみ。嫌うこと、いかること。心にかなわない対象に対する憎悪。自分の心と違うものに対して怒りにくむこと。
瞋恚:自分の心に逆らうものを憎み怒ること。

【痴】 (ち)は、パーリ語およびサンスクリット語のMoha(モーハ)に由来する。
苦痛や毒を示す概念であり、「妄想、混乱、鈍さ」を指す。時には無明(Avidyā )と同義である。別名を愚癡(ぐち、愚痴)、我癡、また無明ともいう。
癡は貪、瞋と共に、渇愛につながる要素(三毒、三不善根)だとされて、それは生存の輪である十二因縁の一部となっている。
そのシンボルは豚であり、チベットの六道仏画では中心に描かれている。

【無明】(むみょう)とは、仏教用語で、無知のこと。真理に暗いことをいう。
法性(ほっしょう)に対する言葉である。この概念は、形而上学的な世界の性質、とりわけ世界が無常および無我であることの教義についての無知を指す 。
無明は苦の根源であり、最初の因縁の輪に結びつき、繰り返す転生の始まりとなる。
無明は仏教の教えの中で、様々な文脈での無知・誤解として取り上げられている。

from by Wikipedia 
本作の筆者が無宗教な為、調べたものです。
Wikipedia説明文にある[1]等のリンク部等一部削っております。
本作の筆者が、見やすいように削ったので御興味のある方はそちらでお願いします。

ちなみに倶利伽羅剣(くりからけん)は炎が巻き付いた不動明王様が右手に御持ちの剣です。
倶利伽羅竜王が燃え盛る炎となって剣に巻き付いた姿からついた名との事。
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