OrverLord ─始祖の吸血鬼─   作:ブラック×ブラック

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ナザリック地下大墳墓
そこに住まう者達に様々な感情が…。
上手く表現できると良いな。


第六話  ナザリック地下大墳墓-3

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  第十階層 玉座の間

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「行ったか…」

 

今ここに各々の思いを抱いた。いや、抱かされた者達が沈黙の中、主であるアインズの次の言葉を待った。

客人が帰った事を聞かされ、玉座の間に駆け付けたセバスは主の側、彼の定位置につく。

 

デミウルゴスは己の愚かさを呪っている。

((私の忠義はアインズ様だけに…。))

 

この素晴らしき主、至高なる御方アインズ・ウール・ゴウン様に仕える機会を与えて下さった己の創造主には感謝の念しかない。

他の至高なる御方々が御隠れになった後も慈悲深く我々を見捨てず導いて下さった御方。

万年先をも見通す感嘆すべき叡知を持ち、まさに神をも凌ぐその存在を表す言葉が無い我々が唯一忠義を尽くせる御方。

ただ命を下すだけでは無く、常日頃から、何が最もナザリックに利益をもたらすかを考えるようにと仰せになり我々の成長を促して下さった御方。

御方の御力に僅かでも御役に立つ事が出来るのであれば、使い捨ての駒とされたとしてもその事自体に至福の時を与えて下さる御方。

数えればきりが無い程の恩恵を与えて下さった御方。

 

第一に考えなければならないのは、アインズ様御身の安全。

第二にアインズ様が取られるであろう最善策を選択出来るように、我々が細心の注意を払いほんの僅かでも御力になれるように努める事。

第三に…。ここまできてデミウルゴスは自身のとった愚かな行動を償う方法が一つしか残さていない事に胸が張り裂けそうで、目頭から流れる初めての感覚が『涙』なのだと理解した時、どうにかなってしまいそうになった。

 

「あ”ぁ…あ”ぁ…」

 

女の主から突きつけられた選択を選ぶ間も無く失ってしまった。

ナザリックの僕全ての創造主降臨と言う嘗てない程の奇跡の到来は、もう二度と訪れないだろう。アインズ様にとっても間違いなく重要な案件であったに違いない。

『ナザリックの知恵者』等とんでもない。これだけの失態…もはや取り返しがつかないのだ。

 

…とても欲張りな願いかもしれない…。

叶うのであれば万年先、幾星霜の時を偉大なる御方アインズ様にお仕えしたかった…。

 

「申し訳ございません!アインズ様!

 愚かな私にはこの命で償う他もはや手段が御座いません!

 僅かな時では御座いましたがお仕え出来た事、このデミウルゴス最大の喜びで御座いました!」

 

 

その言葉、その覚悟を目にした他の守護者達は身動き出来なかった。

 

 

 

 

>>悪魔の諸相 鋭利な断爪<<

 

 

 

 

自らの命を絶つため、勢いよく鋭利な断爪を自身の首めがけ突き立てた。

((おさらば致します。アインズ様……))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった…。

 

 

 

 

 

 

 

だが、その爪がデミウルゴスの首に突き刺さる事はなかったのである。その手を掴み、すんでの所で止めたのは他の誰でも無い先程迄玉座に座していたアインズだったのだ。

 

「デミウルゴス、お前の全てを許そう。

 そして厳命する。二度と己の命を無駄にするな!

 これは、お前達も同じだ。わかったな!!」

    …間に合って良かった…

 

アインズは、その場の守護者達のうな垂れる姿を確認し、再度玉座に深く腰をおろした。

デミウルゴスはアインズの安堵した呟きを聞いてしまった。いや、アインズ様は御聞かせ下さったに違いない。

崇拝と忠義をただ偉大なる御方アインズ様にのみ全力で注ぐ事を今一度この忠心の悪魔は誓う。

 

その思いは、この世界に来た誰もが僅かながら経験する成長。

それを大きく上回る真なる覚醒へ導く事になるのだが、まだ随分先の話であり今は当の本人もそしてアインズでさえも知る所ではない。

 

 

「皆、お前達の創造主の降臨は私のミスで叶わなくなってしまった。お前達には本当に申し訳な

 く感じている。すまなかった。」

 

 

アインズは深々と頭を垂れ自らの非である事を明らかにし、守護者達に謝罪の意を示したのである。

守護者達は、そんな主に駆け寄り謝罪など必要無い事を何度も言葉にし、配下を思いやるその慈悲深さに感謝の意を口々に伝えた。

そしてなんとか、玉座の間はもとの静けさを取り戻したのである。

 

 

 

「皆に聞いて欲しい事がある。」

 

༄༅꧁༻グレーター・ブレイク・アイテム༺꧂༅

 

 

アインズが突如唱えた魔法。

それはかつてこの玉座の間で守護者達に改名を告げた時とよく似ていたが砕かれた旗印は、偉大なる御方々の紋章が入った旗であった。その行為に一同は唖然とする。

あれほど、御自身の御仲間を大切にしていた慈悲深き御方がなぜこのような事をなさるのか思考が追いつかない。

シャルティアも、コキュートスも、アウラも、マーレも、セバスも、アルベドとデミウルゴスですらも…。

 

 

 

「あそこにお前達の旗印と名を掲げる事とし、新生ナザリックの幕開けとする。」

 

アインズは静かに守護者達に告げるが、守護者達は茫然としている。

そしてアインズは、その場に立ち上がり守護者達に向け力強く告げるのである。

 

「仮にお前達の創造主が降臨したとしても、その旗を降ろす事は今後無いだろう!

 私がそれを許さない!

 お前達こそナザリックを支えこれまで尽力してきた私の『大切な仲間』となる存在なのだ!

 

 この先、私と『肩を並べ歩む』意思ある者のみにだけ、この場で宝物庫への道を開く。

 その意思を携え宝物庫へ進み、保管しているお前達の創造主『親』が残した遺産である装備アイ

 テムを託す。

 あれらの至宝は意志を持ち進んだお前達の物だ。

 私は、ただ保管していただけに過ぎないのだからな。

 

 そして再度厳命する!

 

 ナザリック地下大墳墓が主…。

 

 お前達がそう呼ぶ『アインズ・ウール・ゴウン』の名を不変の伝説とせよ!

 ナザリックの力とお前達自身の意思の力でナザリックに貢献するのだ!

 考えよ!何が最もナザリックに利益をもたらすかを!

 お前達の創造主である親を超えて見せるのだ!

 

 私に見せてくれ、お前達の成長を!

 そして示して欲しい、お前達が真に私と『肩を並べ歩む者』であるその姿を!

 

 異論ある者は立ってそれを示すと良い!」

 

 

 

 

 

 

しばらくの沈黙の後、守護者達に語り掛けられたその言葉の意味をようやく彼等は理解した。

玉座の間に歓喜とも呼べる声が響くと共に守護者一同は姿勢を新たに見事に揃った芸術的なその動きで彼等の主に跪く。

 

 

    「ご尊名伺いました。いと尊き御方に絶対の服従を誓います!!!!!!!」

 

 

この日から守護者達は、明確なそれでいて確固たる思いで『肩を並べ歩む者』となるべく成長する事を目標に事にあたるのである。

彼等に託された遺産は今はまだ使えないと守護者達の総意でその時が来る日まで、各自が厳重に保管する事にした。

そしてその保管状況を各自がアインズに確認して貰い定期的にパンドラズ・アクターによるメンテナンスを要請し実施してもらうと言う御許しを頂く事で、ようやく守護者達は手元に『遺産』を保管する事を受け入れるのだった。

 

勿論全員が、アインズの言葉に応え宝物庫へ足を運んだ。

主から賜りし大いなる遺産の品々。

だが、宝物庫より他に安全な保管場所はないのでここで保管して欲しいと主に頼んだのだが、それは認められなかったのである。

 

「余程の事が無い限り破損しないので装備しても問題ない。」

 

彼等の主はそう言い各自に『遺産』を持たせると私室へ転移の魔法で消えてしまった。

自信を持ってこの素晴らしき『遺産』を身に着けるには残念ながら今はまだ力不足であり資格がないと考えたのである。

 

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  第九階層 アインズ私室

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((これだ、これだよ!))

 

アインズは自室の豪華なベッドに身を委ね、当番のメイドに席を外す様に命じた。

鎮静化され抑圧される感情を何度も繰り返し、普段であれば感じないフワフワとした心地よさを感じている。

それは『喜び』と言える感情だろう。

この機会をくれた『始祖』には感謝し共に相反する思いを感じた。

 

「ご愁傷様」

 

最高潮に達した士気の高さをもてばナザリックに最早敵はない。

これからは『支配者達』の時代である。

今更だが、アインズは『部下』ではなく『仲間』が欲しかったのだと実感した。

実在するかどうかも怪しいアイテムに頼る事はもうない!

ただ、現実問題として浮かれてばかりも居られない。

 

圧倒的な強さを感じた。

 

地下大墳墓にただ一人で乗り込み、去って行った女の実力は認めたくないが現状では太刀打ちできない程だった。

密かに唱えた探知系魔法がバグったのかと思った程なのだから…。

 

いや…アイテムか?

 

これは希望的観測だとすぐに否定する。あの女の実力だけは紛れもなく本物だ。

不明な点はまだ数多くあり、やはり情報収集は急務だろう。

 

こちらの戦力はほぼ暴かれてしまったと考えるべきか?

ナザリック地下大墳墓はほぼ見せていない。これは大きい。

ワールドアイテムに関しては、俺が身に着けている物は暴かれた可能性はあるな。

 

他の情報はどうだろうか…。

 

あの女は守護者達の能力(スペック)確認でも出来るのか?

考えれば考える程、『始祖』の存在が強大で恐ろしいものに思えてくる…。

 

…なるほど、情報を出さないのは疑心暗鬼をうむ為と考えるべきだろうな。

 

((守護者達はもう少し自分に甘くても良いのに…。そうすれば直ぐにでもナザリック全盛期最大戦力の部隊編成が完了するのだが無理強いはしたくない。))

 

まだ先の話になるのかな…。

 

しかしこれからだ。これからだよ…ノーライフキング殿。

 

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  第九階層 ショットバー

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グラスを傾け、しみじみと酒を味わう二人の姿がそこにあった。

先程、それぞれに『遺産』を託され管理する事になり何を思い何を感じているのだろう。

デミウルゴスとコキュートスは、静かに後で合流するシャルティアを待っているのだ。

この店のマスターであり副料理長クラヴゥは、そんな彼等の姿を背にグラスを丁寧に磨き上げている。

 

「お待たせしたでありんすかぇ~?」

 

シャルティアがようやく合流した。

アルコールを完全無効化するシャルティアも『あの時』からこの店を利用し常連客となっていた。

待たされていた筈の二人だが、それは些細な事でしかない。

ここにいる守護者達は満たされているのだ。つい今しがた偉大なる御方と過ごした至福の時を噛みしめているのである。

その時を味わっていたなら、クラヴゥが作るカクテルはナザリックの誰をも虜にする酒となるに違いない。

三人の守護者達は、先程迄の時を口の中でころがす様に余韻を味わい決意を新たに席を立つ。

 

「さぁ、お二人とも。忠心を尽くし一刻も早くアインズ様と共に歩めるように励みましょう!」




1行空けは難しいです。
提案下さったのに申し訳ございません。
読みやすいように区切って構成してはみました。
よければ、読みやい構成かどうか等のご意見も頂ければ嬉しく思います。

楽しんで頂けたなら嬉しく思います。
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