我輩はウマ娘になったポケモンである。   作:てょわわわぁ~ん

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 これで一旦打ち止め。ある程度かけたらまた投稿します。




 

 我輩はシャドーレイスである。今現在、色々と迸る情動を抑え切れず、無理を言ってレース場を借り、3人のウマ娘たちと相対していた。

 シンボリルドルフ。

 アグネスタキオン。

 そして、エアグルーヴ。

 

 アグネスタキオンは直近で我輩の走っている時の様子、それらの記録を取る為。

 シンボリルドルフは我輩が万が一にも故障を起こした際のストッパーとして。

 エアグルーヴに関しては別件で合流が遅れ、我輩が滾りだした前後に合流したのだ。

 

 まあ、エアグルーヴに関しては危険すぎると一度は拒否された。盲目のウマ娘が全力疾走をしたらどうなるか、と。事実として受け入れ難いのだろう。

 

 だがそこは、我輩の記録を過去から続けていた研究者たちの見せた映像で、一先ずの納得を得る事に成功したのだを

 

 それにしても、本当に申し訳なく思う。

 明日がデータ取りの為に走る予定だったのを、前倒ししつつも、明日も使って良いと了承してくれた理事長の人柄に敬意を表したい。

 

 狂気めいた探求の色を。困惑を隠し切れない色を。棘のように見せかけた心配の色を。それぞれ我輩に向けているのはわかっている。加えて、アグネスタキオンは脚の事情もあって全力では走れないし、他2人もあまりに急な話の流れにコンディションが整い切っていない様子だ。

 

 ああ、だけども。我輩の奥底の奥底。根源的な衝動が叫ぶのだ。

 

 走りたい。勝ちたい。走りたい。勝ちたい。

 戦いたい。戦いたい。戦いたい。戦いたい。

 

 なんと安っぽい響きか。

 しかし、これで良いのだ。

 

 かつての我輩たちが、最後まで立っていたものの勝利であったように。

 レースで一着を取る。戦いの形式が変わっただけだ。そこに何の徒があろうか。

 

⭐︎

 あまりに突然始まった、今回のレース。

 参加者はわずか4名。うち1人は本格化を迎えておらず、うち1人はそもそも走れるのか疑問が付き纏うような体の状態。

 

「それでは僭越ながら! 私がスターターを務めさせてもらうッ! コースは芝2000mの左回り! 途中危険があると判断した場合はその時点で競争を中止する。異存はないな!」

「構いません。本当に、無理を言って申し訳ありません……」

「不要! ウマ娘の為であれば、たとえ火の中水の中の気で構えている!」

 

 理事長が普段の扇子の代わりか、誘導棒を片手に宣言する。

 しかし、それでもわかることがある。

 

「位置についてッ!」

 

 シャドーレイスと名乗った目上の彼女。

 聞かされた話からして、既に今、立って歩いていることすら有り得ないヒト。

 

「よーい!」

 

 彼女が放つそれは、GIで走るようなウマ娘が顕にするプレッシャーのそれだ、ということだ。

 

「ドン!」

 

 スタートは会長が。次に私が。アグネスタキオンとシャドーレイスはほぼ同タイミングに動き出した。

 しかしそのまま、シャドーレイスはグングンと前に伸びて会長から2バ身、3バ身とリードを広げていく。

 これには思わず一同驚き、ペースを上げざるを得なくなる。

 

 ひどく幻想的で、しかし恐ろしさが勝るような、回転率ばかりが速いピッチ走法。

 鈴の音のような、奇妙な足音というのもそう感じさせる要因なのだろう。

 

「……! ククク、本当に、興味深い!」

「余裕があるな、タキオン!」

「いやいや、こうして、引き離されないようにするだけで、手一杯だよ! 会長はどうだい?」

「…………すまない、少し、余裕がないな」

 

 そこで会長の顔色に陰りがあるのが見えた。

 そこで私も気が付く。ペース配分も何もない、破滅逃げだろうと思っていたのだが……じわじわと、しかし間違いなくペースが上がっている。

 

「……ふむ。口惜しいが、私は早期離脱しておくよ。これ以上は、脚への負荷がかかりすぎる」

 

 そう言って第3コーナーを回る前にペースを落としたタキオンを視界から外し、未だ先頭を突き進むシャドーレイスを睨む。

 

 データ取りの一環だと。あくまで目が見えないウマ娘のガス抜きの一環だと。

 何処がだ。今のクラシック戦線に乗り込んだところで、十分通用するような、そんな走りをする彼女。

 

 私は彼女のことを下に見ていた。認めよう。

 彼女は、強い。

 だがな。

 

「私にも、意地がある!」

 

 第4コーナーを回って、ジリジリと詰める。

 今尚もって加速を続けるそのスタミナには脱帽するが、しかし最高速度が足りていない。万が一の事故を避ける為に外を回る必要こそあったが、広がっていたリードが2バ身、1バ身と縮まって──。

 

「ああ、エアグルーヴ。私も、まだ負けるわけにはいかなくてね!」

 

 残り100mを切ったところで、さらに外を回って会長も私に並んだ。

 そこで顔を見た。楽しそうに、噛み締めるように走るシャドーレイス。

 そこに、これ以上ない熱が灯る。

 

「────楽しい!!」

 

 ここに来て、末脚。あれだけ好き勝手加速していたというのに、何処にそんなスタミナがあるというのか。

 若干の恐ろしさと共に、全力で設置されていたゴール板を通った。

 

一着 シンボリルドルフ 2:04.1

二着 エアグルーヴ クビ差

三着 シャドーレイス 半バ身

 

 

 

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