「ヴィジランテ『デスサベーション』、本名『閻帝底』。同行を願う」
暗い路地の中、ゴーグルを装着し白い布を首にかけた全身黒の男が一際小さな少年に声をかける。
「まさか見つかるとは...不覚」
「残念だが俺の個性は『抹消』。お前の個性を消させてもらった」
その言葉に少年は驚いたが表情にはでない。男はそれに気付いているのかいないのか分からないが話を続ける。
「調べさせてもらった。閻帝底《えんていてい》、年齢15歳で個性は『変貌』。殺人能力に特化した姿に変貌する、か。取り敢えず付いてきてくれるよな?」
「...わかった」
「それで?ヴィジランテになった理由は?」
まるで警察署の取調室のような部屋で事情聴取が行われる。
全身黒の男の名前はイレイザーヘッド、もとい相澤消太。相澤は見定めるように閻帝を見る。
「...それを知ってどうする」
閻帝の目が哀しいものに変わり、まるで思い出すことが怖いような雰囲気になる。だが相澤は気にせず話を続ける。
「言っただろ。元々お前のことは調べたと。処罰に関してはもう決まっている、俺達は細かい部分が知りたいだけだ」
「...後悔しない?」
「いちいち後悔してちゃヒーローなんてやっていけないさ」
閻帝は一度深呼吸をした後、ボソッと呟くように話し始めた。
「調べたなら知っていると思うが僕の親はヴィランに殺された。買い物の帰り道にヴィランに出会ったんだ。両親は俺を逃がすためにそのヴィランに立ち向かったんだ。その間に僕は助けを呼んだよ。『誰か!助けて!お父さんとお母さんが!』って。そしたら周りにいる人は『大丈夫。ヒーローが助けに来るさ』だってさ...ヒーローが来たのはもうヴィランが逃げてから。両親は死んでたよ。顔どころか体の原型も留めてなかった。そこで僕、解ったんだ。『ヒーローは遅れてくる』...勿論皮肉さ。個性に目覚めたのは親の死体を確認する時に目覚めた。貴方がただ調べただけなら俺が親の死体を持ち去って逃げた...までしか判明していないと思う。ここからはたぶん僕しか知らない、持ち帰った後の話だ。貴方が知りたいのはこの話だと思うけど...あんまり思い出したくないし言いたくもない。あの後俺は死体を持ったまま橋の下に隠れてたんだ。そしたら段々異常にお腹が空いたんだよ。死体を見てたらさ...それで俺は両親の死体を「わかった、もういい」良い訳無いだろ!!」
閻帝は塞き止められていたダムの水が溢れるような感情に包まれる。感情が激化し、相澤は臨戦態勢をとる。
「喰ったんだよ...実の親を!!お前には分かるのか!?守ってくれた親を喰らった俺の感情が!!」
「分からないさ。「なら...!」だが」
「寄り添うことならできる」
「...!!」
相澤は臨戦態勢を解き、閻帝を抱きしめ頭を撫で、優しく囁く。
「お前がどれだけ辛く、苦しく、寂しく哀しい思いをしたかは解らん。だが寄り添い、励ますことは出来る」
「うっ...うぅ...ヒック...」
閻帝はヴィジランテになってからは人からの愛情に飢え、孤独感に苛まれていた。だからこそ抱きしめられたことに不快感はなく、心地よさと安心感が感じられていた。
「...すいません取り乱しました。それじゃあ僕の処罰に関して聞かせてもらってもいいですか?」
「そんなに焦るな...と、言いたいところだが生憎そんな時間はないし、回りくどい言い方は合理的じゃない。率直に言わせてもらう。閻帝、お前には『雄英高校』に入学し、ヴィジランテとしてヴィランを殺すのではなく、ヒーローとしてヴィランを捕まえてもらう」
閻帝は目を見開き、「本当にそれで良いのか」と問う。自身はヴィランと言えど人を殺した身だ、と訴える。だが相澤は面倒そうに━━━
「これが警察と雄英のお前に対する最大の罰と慈悲、そして期待だ。俺達はお前が更正し、正しい方法でヴィランを裁けると信じているからこそ罰が軽くなっているんだ。感謝しろよ?」
そう答えた。昔の閻帝は思わなかっただろう。自身が救いを受けるなんて。期待されるなんて。そして、今の閻帝は思わなかっただろう。ヒーローとなり沢山の人々を救う為に力を使うことになるなんて。
閻帝's 髪・・・黒色のショート
閻帝's目・・・淀んだオレンジ色
閻帝's顔・・・女の子に間違われるほど可愛い
閻帝's身長・・・142cm
閻帝’s体重・・・34kg
閻帝's性格・・・大人しく優しい(ヴィラン以外には)
イロモノには"まだ"疎い
閻帝's個性・・・デドバのキラーに変身できる(変貌という名前にしたのは変身後の姿が恐ろしいため) それぞれのキラーの性格に寄せられる