「サンラクサン!」
やっとテスト終わった……と久しぶりにシャンフロにログインするとエムルが声を掛けてきた。
「おう、エムルか。どうした?」
「サンラクサン、なんだかお疲れですわ?」
「あー、まあちょっとな」
今回のテスト範囲ヤバかったからな……。
てか流石シャンフロ。こんなちょっとした疲れも見抜くとは。
「そーんなサンラクサンにアタシが耳掻きしてあげますわ!」
「ええ…俺水晶層崖行こうと……」
いや待てよ…? もしやこれ0氏が受けた『ディアレの秘密特訓』みたいなユニークシナリオなのでは? なら……
「よっしゃ、頼んだぞエムル」
「はいですわ!」
………………
…………
……
「あのーエムルさん?」
「どうしたんですわ?」
「なんで膝枕してるんですかねぇ…」
「こうしないと耳掻き出来ないですわ」
それはそうなんだが……まさか人形態だとは。確かにいつもの姿だとエムルが俺に乗って耳掻きすることになるからな。それにしても膝枕……膝、ひざ、ピザ。う、頭が…。
うっかりトラウマを思い出していると、エムルが耳に顔を近づけてきた。
「今はマナポーションが無くて数分しか出来ないけど、がんばって気持ち良くしてあげるですわ」
いつもの騒がしい声とは真逆の囁くような優しく落ち着いた声に一瞬息が止まる。
「それじゃあ入れますわ」
エムルが俺の耳に耳掻き棒を入れる。
思ったより優しい手つきだな…もっとガシガシ削って来るのかと。
「痛くないですわ?」
「ああ。思ったより優しくて驚いてる位」
「それどーいう意味ですわ!?」
「褒めてんだよ、大声出すな」
「な、なら良かったですわ…?」
上手く丸め込まれたエムルが耳掻きを続ける。
それにしても……
「なんで耳掻きしようと思ったんだ?」
「ほえ?」
「いや、急に耳掻きするとか言い出したからな。なんでだろうってな」
「……サンラクサンはいっつも休む暇無いくらい突っ走っちゃうから、たまには息抜きして欲しかったんですわ…」
「ありがとな」
「ぴょえっ!? べ、別に感謝して欲しくてやったんじゃないですわ! ま、まあ、その気持ちはありがたく受け取っておくですわ……」
それから少し経ち。
「サンラクサン、なんかうとうとしてますわ?」
……眠い。想像以上に気持ち良くてちょいちょい意識が飛びそうになる……。
「寝ても良いんですわ。さっきも言ったけど、たまにはお友達の家に行かないでお休みすることも大事ですわ。だから……」
エムルが顔を近づけ、耳にふーっと息を吹き込む。
「今日は、お休みなさいですわ、サンラクサン」
ぼやけた視界に微笑を浮かべたエムルが映る。
その光景を最後に俺の瞼と意識は落ちていった……。
評価、感想宜しくお願いします。
別のも書くかも。