東方魔箱録 〜メモリの使役者〜 作:マイスイートザナディウム
現在来雪が使えるメモリはこちら!
PLANT,FLEET,T-REX,ICEAGE,WISDOM,DRACULA,ZOO,ENIGMA,FIRE EXTINGUISHER,HEAT
はいどうも〜マイスイートザナディウムです!
今回は霊夢や魔理沙の場面に加え、来雪達にも焦点を起きます。
それではどうぞ!
レティとの戦いに勝利した霊夢が居る森の近くにて、穢土転生がまた召喚された。
ガガガガガ
ドスン
地面から二つの棺桶が出現した。
「……此処は…森の中…ですか」
博麗
一人は六代目博麗の巫女の博麗霊結ーーー
もう一人は黒い長髪でハイライトがない黒目でサングラスをかけ、黒いスーツを着た男の姿。
背中には蝶の羽が生えている。
「お前は…巫女か?」
『黒色火薬を生み出し操る程度の能力』
蝶の妖怪で能力を活かし、影も形も無い爆弾魔・エアボマーと呼ばれていた殺し屋である。
「そう言う貴方は…妖怪ですね?」
「あぁ…俺は黒涙鳳…見ての通り蝶の妖怪だ…で?あんたは?」
「……私は博麗霊結…博麗の巫女です」
霊結の名前を聞いた鳳は驚愕する。
「はっ?博麗霊結?…おい俺の記憶が正しければ六代目の名前だよな?まさかこうしてお目にかかれるとはな」
「そこまで大層な存在ではありませんよ…貴方も死んで蘇ったクチですね?」
「あぁ…木っ端微塵に吹っ飛んだ筈なんだがなぁ…一体何だこりゃ…」
鳳は自身の手を動かし始める。
その手には黒色火薬が握られていた。
「ん?…何で火薬が出てやがる?俺は能力を発動してねぇぞ?」
「私達はある存在によってこの世に蘇らせられ…体の自由を奪われています」
「……何か知ってんのか六代目?」
「えぇ…蘇った直後に元凶に会いましたから…」
「死人を使うのか……気に食わねぇなこの能力よぉ」
二人は動き出した。
「クソ…ホントに体が言うこと聞かねぇ」
「私達は何をやらされるのでしょうか…」
「さぁな…ただ何かを消しに行くのは確かだろうさ」
鳳の答えに霊結は疑問を感じた。
「何故そう言い切れるのですか?」
「なに簡単だ…俺は殺し屋だからなぁ…殺し屋の俺を復活させたんだ…何かを消す以外考えられねぇ」
「殺し屋…ですか…」
霊結は険しい顔になった。
「そう怖い顔しなさんな六代目…殺し屋だったからこそ…ロクな死に方してねぇしな…チッ…能力が発動するみてぇだ」
鳳の腕から黒色火薬が生成され、形を変えていく。
「起爆殺……
黒色火薬は蝶の形に変わり、森の奥に飛び去った。
「ムカつくぜ…こうして駒の様に使われるとはよ…」
(これから戦いが始まる…ということですね…)
二人は黙々と歩いて行った。
「メモリ……メモリ…」
霊夢は落ちたサイクロンメモリを探していた。
「何で無いのよ……まさか誰かが回収した?」
「お〜い!」
そこに魔理沙が飛んできた。
「ん?魔理沙…あんた箒は?」
「あっ…いやぁさっき橙と闘った時に折れちまってな」
「橙?……まさか…」
「あぁ…メモリの力に呑まれてた…改めて実感したよ…メモリの怖さをさ」
魔理沙は暗い顔になりながら言った。
「そうね…私もメモリに呑まれたレティと戦ったけど…これがなければ死んでたわ」
霊夢はアクセルメモリを見つめて言った。
「なっ!?メモリ!?何で霊夢がそれ持ってんだ!?」
「託されたのよ…ある人にね」
「かぁ〜…大丈夫なのかよそれ?ドーパントになったら最悪戻れなくなるって来雪も言ってただろう?」
「これは大丈夫よ…風の街を守護している刑事さんの想いが宿ってる特別なメモリだもの…だからといって過信はしないけどね」
アクセルメモリを握り、霊夢は改めてメモリを使用する覚悟を決めた。
「まっ…霊夢なら大丈ーーー」
「ッ!魔理沙!!」
魔理沙が喋っている最中に、霊夢は魔理沙の腕を掴み自身の後ろへ引っ張った。
「なっ!」
ドォォォォン
その瞬間に突如、辺りが吹き飛んだ。
「起爆したか……さて…バラバラになったターゲットを拝みに行くか」
「余り気乗りはしませんが…私の意志で動く事が出来ない以上…仕方ありません」
火薬蝶が起爆した事を察知した鳳と霊結は、爆発が起きた場所に向けて走り出した。
着いた先は辺りの木々が吹き飛び辺りが更地になっており、爆発の威力が強力であることを物語っていた。
「これは……」
「俺の作る黒色火薬はそんじょそこらの火薬とは訳が違う…ほんの少しの火薬でも辺りを吹き飛ばすのは造作もねぇ…こりゃターゲットも見る影も……いや…初めてだなぁ…俺の爆破で生きてやがるのは…」
鳳がそう言いながら爆破地の中央を見ると、結界を張り無傷で立っている霊夢と魔理沙の姿があった。
「た…助かったぜ…霊夢…」
「正直ぎりぎりだったわ…あと少し遅れてたら私もあんたも木っ端微塵よ…で?…こんなことする馬鹿は誰かしら?」
霊夢が元凶である鳳を睨み付けた。
「これはこれは…まさかターゲットが博麗の巫女様とはなぁ」
「ッ!…あんたは…
「ほぅ…俺の顔を覚えてるのか…光栄だねぇ」
鳳と霊結が霊夢達の前に姿を表す。
「ん?…霊夢…あの女の格好…」
「……えぇ…巫女服ね…あんた何者よ」
霊夢と魔理沙は霊結の格好を見て、疑問に思った。
「……貴女が現博麗の巫女ですか?」
「現?…えぇそうよ…私は博麗霊夢…博麗の巫女よ」
「霊夢ちゃんって言うのね…こんな時に言うのも難ですが…可愛い後輩が出来て嬉しいです♪」
「は?…後輩?」
霊結の発言に疑問を抱く霊夢。
「おいおい六代目…俺達は今からあいつらと戦うことになるんだぞ…馴れ合ってどうする?」
「……六代目?…待って…六代目って…」
「申し遅れました…私は六代目博麗の巫女…博麗霊結と申します…どうぞよろしくお願いしますね」
霊結の爆弾発言に二人は驚愕する。
「はぁ!?六代目博麗の巫女!?おい霊夢どういう事だ!?」
「こっちが聞きたいわよ!大体六代目って…とうの昔に死んでるのよ!?何で此処に居るのよ!」
「まっ当然の反応だわな…正直俺も聞いた時は耳を疑ったぜ」
「混乱させてごめんなさい…霊夢ちゃん…それと魔法使いちゃん?」
霊結は魔理沙を見て言った。
「…私は霧雨魔理沙だ」
「霧雨?…貴女…霧雨魔理沙と言うの?」
「あぁ…そうだぜ?それがどうしたんだ?」
「…フフッ…いいえ…そう…
霊結は嬉しそうに微笑んだ。
「おいおいどうした六代目…急に笑ってよ…ッ」
鳳は自身の手に黒色火薬が生み出されていることに気付く。
「チッ…おい博麗霊夢…それと魔法使いの嬢ちゃん」
「嬢ちゃんじゃねえ!私は霧雨魔理沙だ!」
「んなことどうでもいい!良いか!死にたくなけりゃ避けろよ!」
鳳は黒色火薬を辺りに振り撒いた。
『ッ!』
「起爆殺…
振り撒いた火薬が小さな蜘蛛の形に変わる。
「その蜘蛛に捕まるなよ…爆発するからな!」
「はあっ!?」
「魔理沙!気を抜かない!」
霊夢が御札を取り出し、蜘蛛達に投げつける。
御札を触れた蜘蛛達は光出す。
「マズイ!」
ドドドドドドォォォン
蜘蛛達は一斉に爆発し、辺りを巻き込んだ。
「また助けられたな霊夢」
魔理沙は冷や汗を搔きながら言った。
「さっきも言ったはずよ…気を抜かないで…」
爆煙が晴れるとそこには爆発に巻き込まれ、体が欠損している鳳と霊結の姿があった。
「おい自爆かよ…」
「……ッ」
二人は言葉を失った。
何故なら欠損していた体のパーツがみるみると再生しているからだ。
「チッ……死ぬ事も出来ねえのかよ…」
「どうやらその様ですね…」
「なっ…何なんだよあいつら…」
「あの男は兎も角…六代目にこんな能力があるなんて聞いたことないわよ…」
霊夢の呟きに鳳と霊結が反応する。
「俺にもこんな能力はねぇよ!チッ…ムカつくぜ…自分の意志で動けねぇこの状況よ!」
「霊夢ちゃん…魔理沙ちゃん…よく聞いて下さい…私達はある者によって蘇らせられた駒に過ぎません…意識ははっきりとしていますが体の自由を奪われています…私達の意志に関係なく貴女達を攻撃する様になってしまっています」
「…どういう事だよ」
魔理沙が険しい顔をしながら聞いた。
「理解してると思うが…俺も六代目も既に死んだ身だ…元凶は死人を蘇らせ手駒にしてるってこった」
「私だけではありません…初代様から十一代目まで…私を含めた歴代巫女…そして彼のように蘇らせられた存在がこの幻想郷に解き放たれている筈です」
「…何だよそれ…誰がそんなひでぇ事してんだよ!」
魔理沙は二人の話を聞いて激怒する。
「…六代目…貴女は元凶の存在を知っている…違いますか?」
霊夢は冷静に霊結に尋ねた。
「……Dr.ガイスト…それが私達を蘇らせられた術者の名前です…そして彼が所属する組織…〝裏〟幻想郷…私が知ってる情報はここまでです」
「〝裏〟幻想郷…」
霊夢と魔理沙は組織の名前を胸に刻んだ。
死者への冒涜を侵した組織を絶対に止めることを誓った。
「…ん?…何だこりゃ?」
鳳の右手が勝手にポケットの中を漁る。
ポケットの中にはある物が入っており、鳳はそれを取り出した。
「ッ!それは…」
「ガイアメモリ…てことはミュージアムってのはその〝裏〟幻想郷が動くための活動名って所かしら」
ガイアメモリが出てきた事で霊夢は察した。
ミュージアムという名前は仮の名前であり、本当の敵の名は〝裏〟幻想郷であるとーーー
「こんなもん知らねぇ…俺はこんなの使ったことすらねぇしな…」
鳳はそう言うと、メモリの起動ボタンを押した。
【ARMS!】
ガイアウィスパーが鳴ると、鳳の右頬に生態コネクタが出現しメモリを挿し込む。
鳳は形を変えていった。
真っ赤な人型の素体に、黒鉄色の様々な装備をまとった姿。
鳳は武器の記憶の
「その姿は…Dr.ガイストが言っていたドーパント…という事ですか…」
「……生前に知りたかったぜ…仕事が楽になったろうに…」
アームズ・ドーパントは右手に持つ盾を備えた剣、シールドソードを構えた。
「悪いが俺の意志じゃどうにもならねぇ…俺を止めてくれ」
そう言いながらアームズ・ドーパントは霊夢達に向けて走り出す。
「やるわよ魔理沙!」
「おう!」
二人は構えた。
場所は変わり、来雪達が居る森の中ーーー
穢土転生で蘇った描絵と美絃は着々と来雪達に近づいていた。
「全く…こんな術に操られてなければ久々に来た此処を絵にしていたと言うのに…」
「……お姉さんは画家なんですか?」
描絵の呟きに美絃が反応した。
「まぁね…自分で言うのも難だけど結構有名だったんだけど…田中描絵って言うんだが…知らないのかい?」
「うん…ごめんなさい…多分私が死んだのはお姉さんが死ぬ前だと思うんだ…だから…」
「謝る必要は無いさ…生きた時代が違うんじゃ仕方ないしね…ッ」
描絵は腰のベルトに付いている巻物を広げた。
「お姉さん?」
「チッ…私の芸術をこんなことに使うことになるのか…何処の誰だか知らないが巫山戯るなよ…」
描絵の顔は鬼の形相になっているが、筆を持った右手は止まること無く絵を描き始めた。
その絵は笛の中から大量のネズミが現れ植物や食べ物だけでなく、建物や岩といった無機物までも食べ尽くし、全てを穴だらけにする絵だった。
「作品番号参……ネズミの妨害」
描絵が絵を描き終えると、その絵は巻物から飛び出し実体化した。
笛を持ったネズミの獣人が描絵と美絃の前に現れ、手に持つ笛を吹いた。
すると何処からともなく大量のネズミが現れ、辺りの木々や石等の無機物までも喰い荒らして行った。
「チッ…まさかこの森の木々を絶滅させる気か?…生態系がどうなっても知らんぞ…」
「お姉さん…このネズミ達は何?」
「あぁ…これは私の能力だ…描いた絵を実体化させる程度の能力…それが私の能力でね…これは私の作品の一つさ」
田中描絵ーーー
現代の幻想郷で知らぬ者等殆ど居ない天才画家。
彼女が描く作品の人気は非常に高いーー
人里のみならず妖怪の山や地底、更には博麗神社でも彼女の絵を見ることが出来る。
外の世界よりも文明が多少遅れている幻想郷だが、そんな幻想郷に絵画という物を流行らせたのは間違いなく彼女の功績である。
今では寺子屋の子供達ですら、彼女の存在を認知している程である。
何故なら幻想郷の歴史の教科書に載っているレベルの人物であるからだ。
そんな彼女の能力ーーー『描いた絵を実体化させる程度の能力』はその名の通り、彼女がこれまで描いてきた絵を実体化させ攻撃や防御更にはサポートまで何でも熟す能力なのだ。
彼女が戦闘で使う作品は全部で十種類程度で、この
「この作品は探索型の作品でね…大量のネズミが辺りを喰い荒らして穴だらけにする代わりに敵を見つけるのさ…だが欠点もある…このネズミ達は植物は喰うが生物は喰わん…よってこの森に住む妖怪や動物は無傷って訳だ」
「それの何処が欠点何ですか?」
美絃は純粋な疑問をぶつける。
「欠点だろう…植物や無機物は喰うのに生物は喰わんのだ…辺り一面の隠れ場所が全て穴だらけ…尚且つ敵は生きている…私は能力の発動時に絵を描かなければならない…この意味が分かるか?」
描絵の説明に美絃は納得した。
「絵を描くにも時間が掛かる…でもネズミ達は生物を攻撃しないから探索は出来ても迎撃出来ない…障害物も食べちゃうからお姉さんが無防備になるって事ですか?」
「その通りだ…中々賢いな美絃は…」
描絵は美絃の頭を撫でようと力を入れるが腕が動かない。
「本当に不便だな…頭すら撫でられんとは…」
「…ねぇお姉さん…ネズミ達が溶け始めたよ?」
美絃の言う通り、ネズミ達の体が溶け始めていた。
「このネズミ達も所詮は私の描いた絵だ…雪は水蒸気が結晶化して降ってきた物…つまりは水分と変わらん…私の作品は水で消える…」
描絵が呟くと、辺りにいた大量のネズミが完全に溶けて消えた。
そして辺りに残ったのは穴だらけになった木々や無機物の残骸だった。
「雪が降っていて助かったな…これが晴れや曇りだったら辺り一面何も残っておらんぞ」
すると森の奥から三人の人物が走って来た。
「何…何これ!?」
「酷い…さっきまで木々が生い茂ってたのに…」
それは先程まで闘っていた来雪達だった。
「ッ!?…そんな…まさか…」
一緒に付いて来たアリスは描絵の顔を見て驚愕した。
「…アリス…君か……久し振りだな」
描絵は微笑みながら言った。
「…描絵……本当に……描絵…なの?」
アリスは悲しそうな顔をしながら聞いた。
「…フッ…何だ?…友の顔を忘れたか?」
「描絵?…描絵って…まさか田中描絵!?…あの天才画家の田中描絵!?」
紗綾はこの場に天才画家が居ることに驚愕する。
「……誰?」
「えっ!?…来雪さん…田中描絵を知らないんですか!?幻想郷に来てもう結構経ちますよね!?」
「えっ…あっうん…ごめん…有名人何ですか?」
「有名人も何も!田中描絵と言えば此処幻想郷で名高い天才画家です!幻想郷に絵画を広めたと言っても過言ではない偉大な人で!人里の寺子屋じゃ歴史の教科書に載ってる位有名な人ですよ!」
紗綾は来雪の肩を掴んで揺らしながら語った。
「紗綾さん!分かった!分かったから揺らさないでぇ〜!」
「ふむ…私の名も随分と売れたものだ…そこの犬妖怪君…その反応…私の支持者かな?」
「はい!私貴女の絵が大好きなんです!貴女の作品を見た時に一目惚れして…初めて人里で買い物したのも貴女の作品でした!…流石に本物は高過ぎて買えないから模造品でしたけど……」
「お姉さんやっぱり凄い人だったんだね」
美絃は描絵を見て言った。
「私は別に売れたくて売れた訳じゃないがね…まぁ此処まで褒めてくれるのは素直に嬉しいけどね」
「………」
アリスは無言で描絵を見つめていた。
「あれ…でもおかしいです」
「え?」
紗綾の疑問に来雪は反応する。
「田中描絵は数年前に病に倒れてそのまま亡くなってしまった筈なんです…貴女は本当に田中描絵何ですか?」
「あぁそうさ…私は確かに病に倒れそのまま死んだ筈だ…だが気が付いたらこの森の近くで目覚めた…この美絃と共にな…」
「……」
美絃は悲しい顔をしながら俯いた。
「アリス…こうして君と再び会えたのは正直凄く嬉しい…だが喜んでも要られんのだ…」
「描絵…この周りの景色は貴女の作品がやったのね?」
「あぁ…だが私の意志じゃない」
描絵は怒りの形相で語り出す。
「何処の誰だか知らないが…私と美絃は蘇らせられた…そして自由を奪われこの有り様だ…今は辛うじて命令が下されていないようだが…術者の力で何時でもお前達を攻撃するだろう」
『ッ!』
三人は構えた。
「アリス…頼む…私達を止めてくれ…私は我慢ならないのだ…私の芸術が…これ以上こんなことの為に使われるのは…私は君の作品に惚れ込み様々な作品を描いた…私にとって絵画とは君と出会った大切な思い出なのだ…それを…こんな…」
描絵は悔しそうに言った。
「描絵…」
「アリス…そしてアリスの友人達…で良いんだよな?」
「あっ…園田来雪です」
「犬飼紗綾と言います」
来雪と紗綾は軽く自己紹介をする。
「そうか…では来雪に紗綾…君達も頼む…私達をーーーッ!?」
描絵は喋っている最中に巻物を広げた。
「描絵!」
アリスが叫ぶ。
「マズイ…頼む三人共…私を止めてくれ!!」
「紗綾さん!」
「はい!」
来雪と紗綾がガイアメモリを取り出し、起動ボタンを押した。
しかしーーー
【HEAT…HE…HEAT…】
【KER…KERBE…BEROS…】
ガイアウィスパーが異様な鳴り方をした後、機能が停止した。
「えっ!?」
「メモリが…起動しない!?」
「…まさか…」
その様子に美絃が気付いた。
「これは私の能力です!」
「能力?」
来雪が聞くと、美絃は答えた。
「私の能力は『文字を化けさせる程度の能力』です!周囲約三十mの範囲にある文字を解読不可能な状態にしてしまいます!物品に刻まれている文字が読めないという事は意味や機能が喪われるって事です!お姉さん達の持ってる小箱が起動しないという事は文字が書かれているんじゃないでしょうか!」
ガイアメモリにはその記憶となる名前が刻まれている。
美絃の能力はそんな名前すらも化けさせてしまい、ガイアメモリに刻まれている記憶を呼び起こす事が出来なくなったのだ。
「本当だ…メモリの名前が読めなくなってる…」
来雪は自身の持つメモリを確認すると、全てのメモリの文字が読めなくなっていた。
「ッ!来雪さんは離れて下さい!メモリが使えない今貴女は戦う術を失っている!」
紗綾が来雪を後ろに下がらせる。
「でも!」
「駄目よ間に合わない!」
アリスが人形達を操る。
「作品番号壱ーーー
描絵は絵を描き終えた。
その絵は紅蓮の業火の中に佇む一頭の獅子の絵だった。
巻物から絵が実体化し始める。
「気を付けろ!炎獅子はその名の通り業火を纏った獅子だ!咆哮だけで途轍も無い熱気が放たれる!近くに居たら焼け死ぬぞ!!」
描絵の忠告も虚しく、業火を纏った獅子が実体化した。
『ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
炎獅子の咆哮が灼熱の業火を生み出し放たれた。
「紗綾!」
「分かってますよ!!」
アリスの指示で紗綾が動いた。
紗綾は自身の『切り裂く程度の能力』を使い、灼熱の業火を文字通り切り裂く。
切り裂かれた業火は三人から軌道をずらされ、当たらなかった。
当たった木々の残骸は燃えるを通り越し溶けた。
「木が溶けてる…マグマの熱みたい」
来雪はその惨状を見て青褪める。
「気を抜くな!第二波が来るぞ!!」
描絵が叫ぶ。
「フッ!」
アリスが腕を前に掲げる。
すると炎獅子の頭上に魔法陣が描かれ、中から大量の水が放出させる。
『ガァァァァァァァァ!!』
炎獅子は雄叫びを上げながら溶けた。
「獅子が溶けた…」
「描絵の実体化させた物は所詮は絵なの…だから水を掛ければ溶けて消えるわ」
「アリス!流石だな!」
「…ッ」
美絃が懐からある物を取り出した。
「これは…お姉さん達が持ってる小箱…」
それはガイアメモリだった。
「ッ!?メモリ!?」
「どうして君が!?」
「分かりません…ですが勝手に体が動いて…」
美絃は起動ボタンを押した。
【MOLD!】
ガイアウィスパーが鳴ると、美絃の左手の甲に生態コネクタが浮かび上がる。
「モールド…カビ?」
「また新しいメモリ…という事は…ミュージアムの仕業って事だね」
「ミュージアム…」
アリスはミュージアムという名前を聞き、険しい顔をした。
友人を蘇らせた挙げ句、こうして手駒にしている組織を許せなかったのだ。
「何で私の能力の範囲内なのに…この小箱は動くの?」
美絃は自身の能力が発動しているにも関わらず、ガイアメモリが起動している事に驚いていた。
「力を抑えられているんだろう…能力者である美絃まで使えなくなっては敵わないからな」
「……出来ればこの小箱も使えないで欲しかったんだけど…」
美絃は生態コネクタにメモリを差し込んだ。
左手の甲からカビが噴出し、姿を変える。
その姿は某ホラーゲームの7作目に登場するカビのクリーチャーの様な姿になった。
美絃はカビの記憶の
「お姉さん達…お願い…止めて…」
モールド・ドーパントは悲痛な声を上げながら三人に向けて走り出す。
「上海!蓬莱!」
『シャンハーイ!』
『ホウラーイ!』
アリスの命令で上海人形と蓬莱人形がモールド・ドーパントに槍を構えながら突進する。
グサグサッ
槍がモールド・ドーパントに刺さる。
すると槍からカビが生え始めた。
「ッ!上海!蓬莱!」
アリスは即座に上海人形と蓬莱人形を下がらせる。
刺さった槍はカビだらけになり軈て朽ちた。
「触れたものが喩え無機物でもカビて朽ちる能力…厄介なメモリだね」
来雪の想像通り、モールドメモリの能力の一つである。
「アリス!来雪!紗綾!次描き始める!対処しろ!」
描絵が筆を走らせていた。
「そうしたいのだけど…こっちも厄介なのよ!」
アリスは人形達で対処するが、モールド・ドーパントの能力で次々と大切な人形達が朽ちていった。
「ごめんなさい…ごめんなさい!」
モールド・ドーパントは謝りながら攻撃をし続ける。
「クッ…紗綾!」
「ウオォォォォォ!!」
紗綾が自慢の脚力でモールド・ドーパントの懐に入り、切り裂いた。
モールド・ドーパントは上下真っ二つになった。
「良し!」
「今よ!描絵を止めて!」
アリスの指示で駆け出す紗綾。
「クッ…もう遅い!」
描絵が叫ぶと絵が実体化を始めていた。
その絵は天空に向けて飛び立つ龍の絵だった。
「作品番号弐ーーー昇り龍!」
巻物から竜巻を纏った龍が実体化した。
『ギャァァァァァス!!』
昇り龍は三人を見下ろしていた。
はいという事でまた新たな穢土転生が登場しました。
一人目は前々回蘇った六代目の博麗霊結ーーー
もう一人は肘神さまさん考案の黒涙鳳です。
肘神さまさんありがとうございます!
穢土転生として召喚した書院蝕美絃と黒涙鳳はメモリ使用有りと募集の方に書いてありましたのでこちらで選ばせて貰いました。
まず黒涙鳳には原作メモリのアームズを選択しました。
理由としましては、募集したメモリの中にボマーメモリもあったのですが彼の能力である『黒色火薬を生み出し操る程度の能力』で爆発は十分と判断しました。
なので近接戦闘も出来遠距離攻撃も可能なアームズを選択させて頂きました。
書院蝕美絃には募集したメモリの中でメモ男さんのモールドメモリを選択しました。
理由は単純で、偶々某ホラーゲーム7作目をプレイする機会がありまして…その最終ボスの少女兼カビを見てこれだ!と閃いた次第です…はい。
メモ男さんのモールド・ドーパントの見た目と違いますが安心して下さい。
美絃が使用したモールドメモリの姿が某ホラーゲーム7作目のカビクリーチャーなだけで、募集でモールドメモリの使用者に選ばれた者には希望通りの姿で登場させますのでご安心を!
今回のモールドメモリの様に送った容姿が違うと思うかもですが、あくまで穢土転生に使用したメモリの容姿が違うだけで募集で使用者に選ばれた者に希望通りの姿で登場させますので良しなに!
今回はこの作品過去一長かった…まさか9000文字突破してたとは…
次回はこれより短いかも…
それにしても……何時になったら妖夢出せるかな…これ妖々夢なのに…まだアリスの面で止まってるよ…この後にもプリズムリバー三姉妹やリリーホワイトが残ってるのに…
そしてまだ出てないオリキャラが数名…どうやって出すか…
グダグダですがこれからもよろしくお願いします。
穢土転生はまだまだ募集中ですのでこちらからどうぞ!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=296531&uid=163934
次回は紅魔館に向かった穢土転生達と紅魔館組の戦い…そして十一代目博麗の巫女の戦いを書きます。
次回もお楽しみに!
それでは!