東方魔箱録 〜メモリの使役者〜 作:マイスイートザナディウム
現在来雪が使えるメモリはこちら!
PLANT,FLEET,T-REX,ICEAGE,WISDOM,DRACULA,ZOO,ENIGMA,FIRE EXTINGUISHER,HEAT
はいどうも〜マイスイートザナディウムです!
今回遂に白玉楼到着です!
少し駆け足になりますが悪しからず
それではどうぞ!
「クッ…ハァッ!」
「まだ粘るか…諦めが悪い」
ローマ・ドーパントがローマグラディウスでナスカブレードを受け止める。
「クッ」
「先程も言ったね?私にだけ気を取られて良いのかね?」
「ガッ!」
ローマ・ドーパントの背後からメタル・ドーパントがメタルシャフトを突き出し、ナスカ・ドーパントの腹部を突いた。
「歩兵隊…構え」
ローマ・ドーパントが腕を挙げる。
すると何処からともなくローマ歩兵隊が数人現れ、ナスカ・ドーパントに向けて槍を構える。
「ッ!」
「放て!」
ローマ・ドーパントが腕を降ろしたと同時にローマ歩兵隊は持っている槍を投擲する。
「この程度…ハァァァァ!」
ナスカ・ドーパントは青いオーラを発しながら飛び出す。
「何度も同じ手が通じるとでも?行け!」
ローマ・ドーパントはローマ歩兵隊を更に動員した。
「それは…こちらの台詞です!!」
追撃のローマ歩兵を斬り捨てつつ、ナスカ・ドーパントはオーラを纏いながら飛ぶ。
飛んだ先には典韋と戦闘した際に弾かれた楼観剣が転がっており、ナスカ・ドーパントは飛びながらそれを掴む。
「ムッ!させるとーーー」
「フッ!」
ナスカ・ドーパントは持っているナスカブレードを投げつけた。
ザクッ
「なっ!?」
ローマ・ドーパントの挙げた右腕にナスカブレードが突き刺さり、隙が生まれた。
ナスカ・ドーパントはローマ・ドーパントの懐に入る。
「しまーー」
「草早楼観剣!!」
ナスカ・ドーパントは掴んだ楼観剣でローマ・ドーパントを居合い切りの要領で横に一刀両断した。
「……見事だ…
ドォォォォン
ローマ・ドーパントは呟くと同時に爆発した。
ピキン
爆炎が収まると、皮膚の色が白くなり斬り捨てられた腹部から崩れ始めるムッソリーニとメモリブレイクされたローマメモリが地面に散らばっていた。
「ふむ……不死身の体の筈だが……成る程その刀か」
ムッソリーニは崩れる体を見ながら言った。
「……楼観剣は一振りで幽霊10匹分を屠る殺傷力があります…死人である貴方に振るえば一溜まりもない筈です」
「そのようだね…しかし無念だ…私の野望の為に従ったが…こうもあっさり崩れ去るとは…」
「………」
ナスカ・ドーパントは敢えて聞かなかった。
「
「……冥界白玉楼庭師兼剣術指南役…魂魄妖夢です」
「……うむ…覚えておこう……冥界の剣士魂魄妖夢よ!良くぞこの私…ベニート・ムッソリーニに掛けられた術を解いてくれた!大義である!貴女の様な勇士を私は忘れることは無いであろう!…さらばだ」
ムッソリーニは高らかに語り、崩れ去った。
ムッソリーニが立っていた場所には、体を形成していた紙と穢土転生の器にされたであろう男性の遺体があった。
「……」
ナスカ・ドーパントは無言でお辞儀をした。
そしてナスカブレードを拾い上げ、メタル・ドーパントに意識を向ける。
「残るは貴方だけです」
「ーーーーーー」
ナスカ・ドーパントはナスカブレードと楼観剣を構えた。
「行きます!」
ナスカ・ドーパントは青いオーラを纏いながらメタル・ドーパントに向けて飛び出す。
白玉楼入口にて、ある3人が逃げていた。
「何なの何なの!?何で追いかけて来るの!?」
「リリカ!そんな事言ってないで急いで!」
それは幻想郷で人気を誇る騒霊演奏隊・プリズムリバー三姉妹のルナサ・プリズムリバー,メルラン・プリズムリバー,リリカ・プリズムリバーの3人だった。
そんな3人を追う者がいた。
「アハハハハハハルデスヨォォォ!!」
それは先程まで霊夢と戦っていたサイクロン・ドーパントーーー
否、レティ・ホワイトロックが使っていたサイクロンメモリを挿入され理性を失った春告精リリーホワイトであった。
「何でリリーが襲ってくるの!?しかも変な姿になってるし!?」
「知らないよ!兎に角今は逃げるしかないよ!」
リリカの叫びにメルランが言った。
「ッ!」
すると一緒に逃げていたルナサがその場で止まった。
「ルナサお姉ちゃん!?」
「何やってるの!?」
「二人は逃げて!私が時間を稼ぐから!」
ルナサは持っているヴァイオリンを奏でる。
「ストラディヴァリウス!」
ヴァイオリンから音符型の弾幕がサイクロン・ドーパントに放たれる。
「アハハハハハ」
ドォォォォン
突っ込んでくるサイクロン・ドーパントは弾幕に被弾した。
「速く行って二人とも!!」
「でもルナサお姉ちゃん!」
「ッ!危ない!」
メルランが叫ぶ。
「ッ!」
「アハハハハハ!」
「ガッ!」
煙からサイクロン・ドーパントが風を纏いながら飛び出し、ルナサにボディーブローをいれた。
その威力でルナサは吹っ飛ばされた。
「ルナサお姉ちゃん!」
リリカが吹き飛ばされたルナサの元へ飛ぼうとするが、サイクロン・ドーパントが既に迫っていた。
「ガッ」
「カッ」
サイクロン・ドーパントは二人の首を絞め始める。
「アハハハハハ」
「アッ…カッ…リリー…」
「やめ…て…リリー」
「アハハハハハ」
サイクロン・ドーパントの手が止まることは無く、二人の首は絞まりつつあった。
「うっ…メルラン!リリカ!」
吹き飛ばされたルナサは、痛みに耐えながら二人の元へ行こうとする。
「アハハハ!」
サイクロン・ドーパントは風を操り、ルナサの邪魔をする。
「うっ…やめてリリー!お願い!私の妹達を奪わないで!!」
ルナサは泣きながら訴えた。
「アハハハハハハルデスヨォ!」
「ガッ……ァ」
「お…ねぇ…ちゃ…」
「やめてぇぇぇ!!」
二人の首はへし折られる寸前だった。
その時だった。
キュインキュイン
「ッガァ!?」
突然、首をへし折られる寸前だった二人がサイクロン・ドーパントの顔面を殴り飛ばしたのだ。
「え?」
その光景に唖然するルナサ。
「間に合ったわね」
ルナサが声のする方を見るとそこには漸くここまで辿り着けた来雪達と、アリスが変身したパペティアー・ドーパントがいた。
「ナイスだぜアリス!」
「貴女達は…ッ!メルラン!リリカ!」
ルナサは二人の妹達の所へ行き、抱き着いた。
「へっ?…ルナサ姉さん」
「お姉ちゃん?」
メルランとリリカは何があったか分からずに戸惑った。
「良かった…良かったよぉ…」
二人はパペティアーの能力で一時的に操り人形になり、サイクロン・ドーパントを殴り飛ばしたのだ。
「サイクロン・ドーパント…ヒートメモリがあるんだからあっても不思議じゃないよね」
来雪は殴り飛ばされたサイクロン・ドーパントを見て言った。
「アイツ…さっき私が倒した奴よね…やっぱりメモリを回収されてたのね」
霊夢は苦い顔をし言った。
「速く逃げなさい」
咲夜がプリズムリバー三姉妹に言った。
「ありがとう」
ルナサは来雪達に御礼を言いつつ、二人を連れて逃げた。
「アハハハハルデスヨォォォ」
「春ですよ……リリーホワイトね」
「無害なアイツですらこうなっちまうのかよ」
霊夢がサイクロン・ドーパントの正体を呟き、魔理沙がその姿に戦慄した。
「たださっき相手したレティよりは弱いわ…変身してない私でもダメージを負わせられたのだから」
霊夢は御札を構える。
「ハルデスヨハルデスヨォォォ!!」
「霊夢さん達は先に行って下さい…私が抑えます」
紗綾が前に出た。
「紗綾さん」
「大丈夫です…すぐに後を追いますから」
心配そうに呟く来雪に紗綾はケルベロスメモリを取り出しながら言った。
「行って下さい!!」
【KERBEROS!】
紗綾は右太腿の生態コネクタにケルベロスメモリを挿し込み、ケルベロス・ドーパントに変身した。
「ハァァァァァ!」
「アハハハハルデスヨォォォ!!」
二人はぶつかった。
「行くわよ」
「うん…紗綾さん…気をつけて」
霊夢達はケルベロス・ドーパントに想いを託し、白玉楼の入口に入った。
「……ムッソリーニだったか?…殺られたの」
陰でナスカ・ドーパントの闘いを見物している博麗霊斬が呟いた。
「にしても…楼観剣…魂魄家の出じゃな」
同じ魂魄家の出である霊斬は笑みを浮かべる。
「見た所
霊斬は知らなかった。
今戦っている魂魄妖夢は自身の息子である魂魄妖忌の孫であることをーーー
自分は祖母ではなく曾祖母にあたる事をーーー
「うむ…わしに似て可愛かったのぉ…可愛い孫に加勢してやるのが祖母であるわしの務めなのじゃが…チッ…あの老いぼれめ…」
霊斬は今の状況に苛立ちを覚えていた。
「にしてもあの男も粘るのぉ…じゃが倒されるのも時間の問題…ムカつくが行くかのぉ」
霊斬が陰から姿を現し、戦闘に参加するーーー
その直後だった。
「……ほぅ…こっちが先か…」
霊斬の後ろから白玉楼を目指す者達の気配がした。
「自動的に対処するのか…仕方あるまい…今の巫女の力を拝見するとしよう」
霊斬は後ろを向き、階段を降りてった。
「…もう少しね」
階段を登る霊夢達。
「…ッ…誰か降りてくるわ」
いち早く咲夜が気付いた。
目的地である白玉楼から誰かが降りてきている事をーーー
「…ふむ」
それは紅白の巫女服に紅い持ち手の刀を腰に差した白髪のセミロングで深緑のリボンをし、白目部分が黒く緑色の瞳でグラマスな体型の皮膚の罅が目立つ女性だった。
「一先ずは褒めておくかの…良くぞ白玉楼まで辿り着けた」
「霊夢…あいつの恰好…」
魔理沙が霊夢に呟いた。
「えぇ…六代目と似た恰好…貴女…博麗の巫女ね」
「如何にも…わしは博麗霊斬…八代目博麗の巫女だ」
「八代目……博麗の巫女の中で剣術に秀でた巫女…確か紫がそう言って…」
「ほう…それを紫から聞いているという事は…お主が現博麗の巫女かの?」
「えぇ…博麗霊夢…十三代目博麗の巫女よ」
霊夢はお祓い棒を構えながら言った。
「十三代目…あの場には十一代目までだったな…」
霊斬は呟いた。
「うむまぁ良い…知ってると思うが…今のわしは体の自由が無い…今もこうしてお主らの前に来たのもお主らを斬れという命令故にな…」
霊斬は自身の愛刀
「じゃがそれでは困る…お主らにはこの異変を止めて貰わねばならんからの…一人…いや二人は残れ…他は首謀者を何とかしろ」
宝桜を構え霊斬は言った。
「…みんなは行って頂戴…此処は私がやる」
霊夢が前に出ようとするとそれを止めた者達がいた。
「それはこっちの台詞よ霊夢…寧ろ貴女が先に行きなさい」
「そうだぜ霊夢…お前が元凶を叩かないでどうすんだよ」
それは咲夜と魔理沙だった。
「魔理沙…咲夜…」
「咲夜ちゃん」
「…安心しなさい来雪…大丈夫…私にはコレがあるもの…だから行って頂戴」
咲夜は懐からチャーチメモリと
「それは…」
「お嬢様から借りた物よ…大丈夫…もうメモリに呑まれたりはしないわ」
「…気をつけて」
「…全く…任せたわよ」
「えぇ」
「おう!」
霊夢達は先に行くために階段を上がる。
「分かっていると思うが…これはわしの意志ではないからの!」
階段を上がる霊夢達に向けて霊斬が斬り掛かる。
だがその刃が降り掛かる事は無かった。
「む?…空振った…わしがか?」
斬り掛かろうとしていた霊夢達が一瞬で姿を消したのだ。
「私の能力で先に行かせたわ」
霊斬が上の段を見ると、何時の間にか咲夜が立っていた。
(わしが背後を取られた……いや違う…これは…)
霊斬は一連の出来事を冷静に考え、答えを出す。
「……空間操作…いやこれは時間操作の類いか…成る程…やはり唯の人間では無い様じゃな」
「…まさか私の能力をこんな短時間で見破るなんて……時間を操る…それが私の能力よ」
「……面白いの」
霊斬は笑みを浮かべる。
「咲夜退け!!」
「ッ」
「マスタースパーク!!」
ドゥゥン
「ほう」
ドォォォォン
霊斬にマスタースパークが直撃した。
「危ないじゃない魔理沙」
「悪いな…けど…」
魔理沙は爆煙を睨み付ける。
二人は分かっていた。
この程度で殺れる相手では無いとーーー
「魔法か…そう言えば魔法使いと対峙するのは初めてじゃの」
霊斬の左腕が消し飛んだが、瞬時に再生し始める。
「やっぱ駄目か」
「消し飛ばしても再生出来るのね」
穢土転生の再生を初めて見る咲夜は冷や汗を掻いた。
「はぁ…惨めじゃな…わしがあの老いぼれ如きに自由を奪われるとは…お主ら…名は何と言ったかの?」
「…私は霧雨魔理沙…霊夢の相棒で普通の魔法使いだ」
「紅魔館のメイド長…十六夜咲夜と申します」
「そうか…では魔理沙に咲夜よ…生憎と加減は出来ぬ……死ぬなよ」
霊斬が宝桜を構えながら言った。
「当然だぜ!」
「此処で死ぬもんですか…」
「はぁ…はぁ…」
「ーーーーーー」
ナスカ・ドーパントは息を切らし、メタル・ドーパントの動きを伺う。
「中々手強いですね」
メタル・ドーパントがメタルシャフトを振り上げ、ナスカ・ドーパントに向けて走る。
その時だったーーー
「夢想封印!」
「ッ!」
ドォォォォン
ナスカ・ドーパントは突然の攻撃を察知し避けるが、メタル・ドーパントは諸に受けた。
「…貴女達は…」
ナスカ・ドーパントが見たのは、階段を上がってきた霊夢達だった。
「ナスカ・ドーパント…パチュリーさんが持ってたウィズダムメモリと同じゴールドメモリのドーパント…」
「要するに強敵って訳ね…」
来雪の言葉にその場に居た全員が戦闘態勢になった。
「…博麗の巫女…もう来たんですね」
「…あんた…今回の異変の関係者?それとも穢土転生を操る術者?」
「…穢土転生?…もしかして死者を操る術の事ですか?」
「……その反応だとあんたは異変の関係者の方ね」
霊夢はナスカ・ドーパントよりも、爆破したメタル・ドーパントの方を見た。
「ーーーーーー」
「メタル・ドーパント…ヒートやサイクロンに続いてメタルまで」
「…ナスカだっけ?…今はあんたとやり合ってる暇はないわ…先ずはこっちを退治するわよ」
霊夢は来雪の言葉を聞き、ナスカ・ドーパントに目を遣る。
「…良いでしょう…確かに異変所ではなさそうです…私は魂魄妖夢です」
「そう…博麗霊夢よ…こっちが園田来雪とアリス・マーガトロイド」
「宜しくお願いします妖夢さん」
「宜しく」
「…こちらこそ宜しくお願いします」
四人はメタル・ドーパントを見つめ構える。
「ーーーーーー」
四人とメタル・ドーパントの闘いが始まるーーー
かに見えた。
シュゥゥゥン
ガタン
メタル・ドーパントは突如地面から現れた棺桶の中に入れられ、消えた。
「なっ!?」
「消えた…術者が戻したのね…」
霊夢の言う通り、幻想郷中で戦闘を行っている穢土転生達が回収され始めていた。
「フッ…ハァ!」
「おっと…フフッ…強くなったな美鈴ちゃん」
美鈴の攻撃を受け流しながら蘭武は言った。
「蘭武さん…あの頃の私と一緒だと思ってたのですか?」
「まさか…気のデカさが桁違いーー」
蘭武の言葉は遮られた。
シュゥゥゥン
蘭武,ロベール,獄糸の背後に棺桶が出現する。
「ん?」
「棺桶?」
「おいおい何だよーー」
ガタン
「む?…終いか」
ガタン
「そうみたい…可愛い姪っ子達…じゃあね」
ガタン
ドドドドド
棺桶は三人を取り込むと、地面に沈んでいった。
「ロベールおじさん!」
「……叔父様…」
スカーレット姉妹は地面に消えたロベールを見て悲しい顔になった。
「蘭武さん…」
美鈴もまた、蘭武が消えた事に一筋の涙を流した。
シュゥゥゥン
ガタン
ガタン
ドドドドド
殺戮人形と化した描絵,モールド・ドーパントも棺桶に取り込まれ、地面に消えた。
「ふぇ?」
「穢土転生が…霊夢」
霊繋は白玉楼に向かった娘を心配する。
シュゥゥゥン
「これはーーー」
ガタン
「……どうやら此処までの様ですね」
ガタン
ドドドドド
アームズ・ドーパントと霊結も棺桶に取り込まれ、地面に消えた。
「…ある意味助かった…だが」
魅魔は白玉楼があるであろう場所を見つめる。
「はぁ…はぁ…何だよ…博麗の巫女ってみんな強すぎるぜ」
「…侮ってたわ…メモリを使う余裕すらくれないなんてね」
魔理沙と咲夜の体は切り傷だらけになっていた。
「なんじゃ終わりか?なっとらんの」
シュゥゥゥン
霊斬の背後に棺桶が現れた。
『ッ!?』
「む?これはーー」
ガタン
ドドドドド
霊斬は棺桶に取り込まれ、地面に消えた。
「どうなってんだぜ?」
「分からないけど…霊夢達を追いましょう」
「…そうだな…考えたって仕方ない…行こうぜ」
二人は階段を駆け上がった。
「どうして急に…」
「…急ぐわよ…嫌な予感がする」
来雪の言葉を聞いた霊夢が言った。
「……」
「貴女も来なさい」
白玉楼内に入る二人を追う様に、アリスがナスカ・ドーパントの肩を叩いた。
「…分かりました」
妖夢は変身を解いた。
アリスと妖夢も霊夢達の後を追った。
白玉楼の中庭に辿り着いた霊夢と来雪が見たのは信じられない光景だった。
「うっ…あっ…」
そこには穢土転生八雲輪廻により斬り刻まれ、血だらけの藍が倒れていたのだ。
だがそれだけではなかったーーー
「ゆ…かり…」
「………」
「ふむ…幻想郷の賢者に白玉楼の主と言うからどんなものかと期待したのだが…この程度とは…」
屋敷の壁にめり込み気を失った紫と穢土転生セクト・バグスターに踏み付けられた幽々子ーーー
そしてそれを見つめながら笑みを浮かべる変身を解いていたガイストの姿もあった。
「嘘でしょ…紫と藍が…」
「そんな…」
霊夢と来雪はその光景に絶句した。
「ッ!?これは…」
「ッ!!幽々子様!!」
遅れてやって来たアリスと妖夢もその光景に絶句した。
特に妖夢は自身の主のやられた姿が信じられなかった。
「よ…うむ……逃げ…ガッ!?」
妖夢に逃げるように言おうとした幽々子を蹴りつけるセクト。
「ッ!!貴様ァァァァァァ!!」
「待ちなさい妖夢!」
その姿を見た妖夢は逆上し、楼観剣と白楼剣を抜きセクトに向けて跳び出した。
アリスが静止するも遅かった。
「ふん」
ガイストは跳び出してきた妖夢に向けて手を翳す。
「なっ!?」
すると妖夢の動きが止まった。
「うご…けな…」
「魂魄妖夢…貴様程度が私を斬れると思っているのか?フンッ!」
「クァァァ!?」
翳した手を祓うと、妖夢が後方に吹き飛ばされた。
「妖夢さん!」
吹き飛ばされた妖夢を来雪が受け止める。
「フフフ…私をそこら辺のメモリ所持者と一緒にしないことだ…既に私は領域までに至っているのだよ」
「……あんたが術者ね」
「如何にも…自己紹介がまだでしたな…私はDr.ガイスト…幹部では無いが〝裏〟幻想郷の研究者だ…ご察しの通り穢土転生を作り出し操っていたのは私だ…如何だったかな?穢土転生の出来は?」
霊夢の問いに笑いながら答えるガイスト。
「…そう…あんたが描絵を…」
ガイストの話を聞いてアリスが殺気立った。
「アリス・マーガトロイド…貴様も此処に来たのは誤算だが…まぁ良い…目的は既に果たした」
ガイストがそう言うと、西行妖の陰から一人の穢土転生が現れた。
「ッ!?
それは先程まで魅魔と闘っていた博麗霊結だった。
「穢土転生を操っているのは私だ…一度全ての穢土転生を引っ込め再びこの地に召喚したに過ぎん…ベニート・ムッソリーニは敗れたみたいだがね…だがおかげで時間稼ぎが出来た」
霊結はある物を持っていた。
それは
「ッ!?」
「腕?…いったい何処から…」
「霊夢!」
魔理沙と咲夜が遅れてやって来た。
「なっ!?」
「これは…」
魔理沙と咲夜もその光景に驚愕した。
「霧雨魔理沙に十六夜咲夜か…だがもう遅い…既に目的の物は手に入れた…最早此処に用はない」
「逃がすと思ってんの?」
霊夢が御札を投げつけると、八雲輪廻が間に入り壁になった。
「ッ」
「無駄だ…今の貴様らに敗北する私ではない…」
霊結から右腕を受け取るガイスト。
「さて…私は此処で失礼させてもらう…実験があるのでね…貴様らは此奴らの相手でもしていたまえ」
カツン
ガイストがステッキで地面を叩くと、二つの棺桶が新たに出現する。
ガガガガガガ
ドスン
中から出てきたのは初代博麗の巫女・博麗初夢と先程まで魔理沙達と戦っていた八代目博麗の巫女・博麗霊斬だった。
「また八代目かよ!」
更に初夢の隣に霊結が並び立った。
「六代目に八代目…真ん中の巫女…十中八九博麗の巫女ね」
「その通りだよ博麗霊夢…此奴は博麗初夢…初代博麗の巫女だ」
『ッ!?』
その場に居た全員が絶句した。
幻想郷に存在する博麗の巫女の原点にして頂点ーーー
初代博麗の巫女博麗初夢が目の前に現れたのだからーーー
「六代目や八代目だけじゃなく初代様まで…」
「おいおい何の冗談だよ…」
「フフフ…奇跡の瞬間ではないかね?初代博麗の巫女と対面など出来る訳ないからな…」
ガイストが念を送ると、薄黒く罅だらけだった皮膚が生気を取り戻した。
「……ん…此処は」
「…霊夢ちゃんに魔理沙ちゃん…またこうして会ってしまうなんて」
「何じゃ…白玉楼の中庭じゃないか…」
三人の巫女の意識が覚醒した。
(メモリを使わずに能力を…元々の程度の能力…それとも…ハイドープ?…あれ…何で
来雪は目の前に復活した巫女達を見て思った。
「博麗初夢,博麗霊結,博麗霊斬…足止めは貴様らに任せる」
シュゥゥゥン
ガタン
ガタン
ドドドドド
ガイストがそう言うとセクトと輪廻が棺桶に取り込まれ、地面に消えた。
「…Dr.ガイスト…貴方ですか」
「…死者に対する冒涜の数々…到底許せません」
「…体さえ動いていれば貴様を斬り殺してやるのに…」
三人の巫女はガイストを見て殺気立った。
「フフフ…さて…長く話してしまったな…私は拠点に帰るとしよう…あぁ私が拠点に帰ったら貴様らを回収してやる…くれぐれもムッソリーニの様にやられぬ様にな」
ガイストはそう言うと、懐からカードの様な物を取り出す。
カードが起動すると、ガイストはその場から消えた。
「待ちやがれ!!」
「魔理沙!今追うのは得策じゃない…相手は歴代巫女達なのよ」
追おうとする魔理沙をアリスが止めた。
「くそっ!」
「……誠に不本意ではありますが…どうすることも出来ないのも事実…貴女達に止めてもらう他ありません…」
初夢が霊夢達に言った。
「本気で来て下さい…それこそ…私達を消し去るつもりで…」
「…歴代巫女三人の前で手を抜ける程余裕なんてあるわけないじゃない」
初夢の言葉に、霊夢は鬼気迫る表情で言った。
はいという事で…漸く春雪異変編が終わりそうです。
最早春雪異変の形が残ってませんが…穢土転生を導入したことでこうなるのは分かってました…
だが前に書いたように悔いはない。
それはそうと…ガイストの魔改造半端ないな…
送られて来たガイスト此処まで強キャラでは無かったのだが…送って下さった神谷主水様申し訳ありません!
魔改造し過ぎました!
これ幹部にしても良いくらい魔改造したけど…ガイスト幹部では無いキャラだし……幹部クラスのキャラ魔改造しないとヤバいわ…
それはさておき次回は三人の巫女との闘い…出来れば後二話位で春雪異変編を終わらせます。
そして此処で予告です。
春雪異変の後は萃夢想までの間、即ち空白期編パート2に入るのですがーーー
フォーウルムさんの作品・幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》とのコラボ回になります。
コラボするフォーウルムさんの作品はこちらになります!
https://syosetu.org/novel/300944/#
次回も含めてお楽しみに!
それでは!