DIARY OF MERCENARIES: THUNDER RUNNERS 作:コルディアムに脳を焼かれた阿慈谷ヒフミ
MISSON1 OPERATION BLACKRIDGE
オペレーション・ブラックリッジ
OPERATION:Blackridge
May 5, 2024 1125
Place:Berlin, Deutschland
目標達成済み
ルイス・“エレステナー”・コール少佐
コールサイン:センパー1
現在の契約先:NATO ドイツ連邦空軍
搭乗機:XF-35D Prototype Striker
「最後の1機、撃墜!落としたのはセンパー1!」
ドイツ、ベルリン上空。左派と右派の対立が激化し、内戦が発生したドイツ国内において、ベルリンは政治的にあまりに大きな意味がある場所だった。俺はドイツ、というかNATOに雇われている訳なんだが、対する敵も金を積んでPMC連中をかき集めてきた、という話らしい。実際、F-15やらF-16、ああそれと前の戦場では
どれも、俺の敵ではなかったが。第4世代機以前の機体では、そもそも第5世代機と渡り合うのが大概無茶って訳だ。本日のスコア、タイフーン1機とF-16が2機と。まぁ悪くない。
「AWACSスノーオウル、こちらエレステナー。周辺空域の全機撃墜。ピクチャークリア、そちらはどうだ」
「コールサインで言え、センパー1。こちらもレーダーに反応無し。一帯の制空権の確保に成功した。他の機は既に撤退している。貴機もさっさと撤退しろ」
相も変わらず硬いAWACSだ。自分のことくらいTACネームで呼んだっていいじゃねぇか。まぁ、
俺は機体を基地がある方位に向ける。
...なんてこった、気づいていない間にかなりデカい黒い雲が出来てやがる。
「こちらセンパー1、AWACSスノーオウル、前方に巨大な積乱雲を確認、迂回して帰投する」
「何バカなことを言っているんだ、センパー1。こちらには雲があるなどという反応はないぞ」
バカなことだと?それを言いたいのはこっちだ。こんなデケぇ雲があるっていうのに。気象レーダーは正常か?
そう思いながら、自機のレーダーモードを気象レーダーに切り替える。...冗談じゃない。こちらでも、確かに雲の反応がない。目の前に、こんなにはっきりと存在しているのに。
呆然としている中、突如として、視界を光が支配した。
「...!?ちっくしょう...!何も見えねぇ...」
「見えない...?センパー1、どうした!状況を報告しろ!」
急に飛び込んできた光に目がとても痛む。一旦ヘルメットのバイザーを外して目を押さえながら、AWACSに報告する。
「...こちらセンパー1、例のデカい雲からすごい光だ。どう考えても落雷とは思えん。音がしてないし、なにより光がいくらなんでもデカすぎる。光が強すぎて目がクソ痛い」
一体全体なんだってんだ、そう吐き捨てて若干戻ってきた視界で前方を捉える。
既に、雲は消えていた。
「こちらセンパー1、例の雲が消えている。跡形もなくな。あるのは澄み渡る
目の痛みも収まり、現況をAWACSに報告する。そういえば、最近某空戦ゲームの曲、聴いてないな。Blockadeは特にいい、落ち込んだ時はいい薬になる。...というか、AWACSからの返事がない。なんだ?実はあの光は電磁波を発生させていて、それがAWACSを落としたとか、そんなオチか?だとしたら
「...こちらドイツ空軍。所属不明機に告ぐ。貴機の所属を明らかにせよ」
おい、AWACSがなんか警告しだしたぞ。大体敵機なんてどこにいる。
「緊急通告!センパー1、3機の所属不明機が接近中!現在この状況に対応できるのは君しかいない。不明機への交信を行い、対応せよ」
ここに来て所属不明機だと?増援にしては数が少ない上にタイミングがおかしい。
「いろいろおかしくないか。大体、IFFに反応がなくて、この空域にいるんなら敵機に間違いないだろ」
「機種の識別を行ったが、どうもおかしい。なにより、先ほどまで反応がなかったのに急に現れた」
機種がおかしいだと?気象レーダーのままになっていたレーダーシステムを対空モードに変更して走査する。...
...Su-57?俺が知ってる限りではSu-57乗りのPMCは1人だけだ。あいつは今、仕事したくないとか言って格納庫の中で機体を寝かせてるはずだが。何者だこいつらは。
「クソ、再三の呼び掛けにも一切応じない。国際チャンネルを全部使っているのに何故だ」
冷静なAWACSが珍しくイラついている。まぁスノーオウルは謎な状況はあまり得意ではないから仕方ないが。俺も謎だし。
説明のしようがない謎の状況を切り裂いたのは、そのわずか数秒後だった。
コックピットに耳をつんざく警報音が鳴り響く。...ミサイルアラート?
「クソ、連中ミサイルを発射してきたぞ!回避しろ、センパー1!」
唐突に放たれたミサイル。あまりに脈絡がないが、急いで回避機動に移る。ミサイル識別。
急いでスティックの
「AWACSスノーオウルよりセンパー1、交戦を許可!バンディットを撃墜せよ!」
AWACSからエンゲージの命令が入った。4機を相手するのはなかなか厳しいが、やるしかないか。
狙いを定める。第一目標を、あのSu-57に定める。Su-57(フェロン)は機動性が高い。XF-35Dでどこまで行けるか...
奴の機体を見る。...
クソみたいな事を考えている間に、敵機までの距離を詰めることに成功した。
ヘッドオンの様相となっている。とりあえずAIM-9Xを発射して様子を見る。
「センパー1、FOX2」
回避された。冗談だろ、アメリカ製の1級品のミサイルだぞ。どれだけの機動性があると思っている。相手も去り際に機関砲を放ってきたが、右ロールで回避する。奴はちょうど、俺の左下に飛び込み、そこから機体を急上昇させた。俺もついて行こうとするが、瞬間、レーダー警報が鳴り響く。くそったれ、別のやつに後方につかれたか。
機体に埋め込まれた赤外線カメラの映像をヘルメットに投影し、確認するとF-4がついていた。こいつは機体が緑になっている。なんか光ってないか。
ここはエンジン推力の暴力で無理やり機体を急上昇させて、厄介なステルス機を落とすことを選ぶ。こちとらアフターバーナー点けたら221kn出るエンジン2基積んでるんだ。
Su-57に追いつくと、久方ぶりのドッグファイトの開始と相成った。
運良くSu-57のケツにつけたが、途端に機体を右にロール、そこからピッチを入れつつ、急減速して俺をオーバーシュートさせやがった。
「クソ、妙に上手いな!」
ミサイルアラート。IRAAMか。さっきと同じくDIRCMとフレアで回避。IRスモークポッドは...まだ取っておくか。
Su-57のIRAAMランチャーは2つだ。おそらく短距離ミサイルは撃ち尽くしただろう。ここいらでECMをかけるか。レーダー操作、ECMをかける。これでかなり戦いやすくなると思うが。
何か使えるものはないか。XF-35Dの方が全体の性能は上だろうが、相手は性能差を腕で補っている。なにより機動性は相手の方が上ときた。使えるものは使って、こちらの有利をできるだけ多くしていきたい。
手近な雲を見つけた。これを使おう。機関砲とレーダー誘導ミサイルの射程の間を抜けるイメージで、相手との距離を取りつつ、雲に飛び込む。後方レーダー確認。よし、入ったな。一か八か、ここで掛けてみよう。
急減速、フックで機体を後ろに無理やり向ける。雲の中だから相手も何も見えまい。
レーダーロック。目標、距離2000。しくじれば俺もあいつにぶつけられてあの世行きだ。だが、ここにかける他ない。
「センパー1、FOX2!」
AIM-9を1発、Su-57に放つ。フックからここまでほとんど時間をかけずにやったおかげで、全く反応できていなかったらしい。見事に奴の鼻っ面にミサイル命中、レーダーロスト。
運良く撃墜に成功した。
「スプラッシュ1!」
AWACSのコールが耳に響く。敵機、残り3。
レーダー確認。流石に下の方に居た連中も登ってきたらしい。1番近いのはどいつだ...居た。Su-47か。次はこいつをやるとしよう。
レーダー警報。瞬間、ミサイルがSu-27の方から放たれる。ミサイルは...レーダー誘導のR-77か。距離はそこまで遠くない、IRAAMの距離だと思うが。使い果たしてるのか?ともかくチャフを放出、ECMも出力を上げながら、スピードを上げて回避に勤しむ。
2発目接近。
ここで、はたと思い浮かぶ。やりようによっては、このミサイルを別のやつに当てられるのではないかと。やってみる価値はあるように思えた。
ECMのタイプ変更。Su-47の位置をレーダーで確認。R-77はレーダー誘導。つまりレーダーに間違った位置を表示させられればそこに飛んでいく。
Su-47の方に向かい、あえてオーバーシュートさせるように、わざとスピードを上げられるだけ上げる。
Su-47の目の前に出た。今がチャンスだ。
Su-47の位置を後方警戒レーダーで確認、ECMに位置情報をリンクする。間違った位置情報を受け取ったR-77は、そのままSu-47へと突っ込んでいく。
一方のSu-47は俺が前に出てきてチャンスと思ったらしい。どうにかしてこちらに攻撃を当てようと夢中になっているはずだ。まさか敵を狙っていたはずのミサイルが自分に直撃するなど思いもよるまい。接近するミサイルへの対応は全くできていなかった。
カメラで後方確認。ミサイルが見事に突き刺さった。エンジンがやられてるな、これは。黒煙を上げてやがる。
結局、戦闘機の機動性というのはエンジンが全てを担保している。エンジンが使えん戦闘機なぞ、空飛ぶこともままならん100億円の鉄塊でしかない。
もはやフックする必要もなく、機体を大きく後方へ一回転させる。
ガンレンジ。距離は950。二門の25mmガトリング砲をSu-47に放つ。回避しようにも、エンジン推力が足りず、まともに回避出来ていない。25mm
「スプラッシュ1、残り2機!」
世界観
この世界においては、いわゆる傭兵と呼ばれる人間が近年まで大手を振って商売をしていた。禁止条約が一応結ばれはしたが、傭兵はPMCという形になって結局生き残った。古の時代から世界の戦争に影響を及ぼした傭兵は今においてもあまりに大きな影響を残しており、それはPMCの立場に関する本格的な条約であるニューオーリンズ条約の締結、各国正規軍と比較して高い立場にあるPMCという形において現れている。大規模正規戦や対テロ戦争、大企業や市井の武装警備、正規軍の護衛や裏の任務まで、数々の仕事が存在する。また、PMCとなる上での国際的な免許制度も存在し、これを保有するものは自己防衛のためのあらゆる武器携帯すら許可されるなど、あまりに高い立場にいるPMCは、立場の「正常化」を求める声もあるが、実際問題各国軍においてもPMCの存在は便利極まりなく、契約の解除などを危惧してそういった声は黙殺されている。彼らは兵器開発においても影響を持ち、実地試験担当としての任務のほか、数々の架空兵器や試験兵器が興味を持った彼らにより、実用化されている。例えば、ASF-14やBAE MPF、CF-105 Mk.4 Super Arrowなどがそれである。そんな彼らのニーズに応えるため、世界各国各社は数々の兵器を開発している。そのために、軍事技術も現実世界から5年ほど進化しており、未だに実用化されていない兵器も運用されている。また、この世界のPMCはその成り立ちから、会社を立ててこそはいるが自分1人しか社員がいない、というケースが非常に多く、組織だった会社となっている例はそれほど多いとは言えない。