元ロシア最強傭兵、祖国に棄てられて亡命したらトレセン学園のトレーナーになりました 作:武装田んぼ
先程千葉県のマーサファームさんにお邪魔してハルウララちゃんに会ってきました。動物と触れ合うと日々のストレスを忘れられて良いものです。
2月12日。
バレンタインも間近となり、ウマ娘達がやけにソワソワしている。日本ではバレンタインとして女性が仲が良かったり、意中の男性にチョコレート菓子を贈るようだが、アルチョムにはあまり関係が無い。確かにロシアでもバレンタインはあるが、日ごろから仲の良い人に感謝を込めて贈り物をする日だ。性別はあまり関係ない。
一応テイオーに何か贈ろうかとも思ったが、特に思いつかず、テイオーも別に求めて無さそうなので結局やめた。こういう時にアルセニーがいれば良いアドバイスをもらえたかも知れないが、行方すらわからない人間に尋ねることはできない。
ついでに今日のトレーニングはテイオーからの希望で休みになった。まあ、まだ大阪杯まで時間はある。それにちゃんと休んで身体を回復させるのもアスリートには重要なことだ。
そうなればやることは一つ。
床下から上質なウォトカを取り出し、冷蔵庫からニシンの酢漬けとクリームチーズを。棚からオリーブのオイル漬けとクラッカーを取り出しテーブルに並べて、動画配信サービスを開く。
“007は二度死ぬ”
1967年のアクションスパイ映画だ。あの有名な007シリーズの五作目である。日本を舞台に米ソの対立を激化させようとするスペクターの陰謀を阻止するストーリーだ。コテコテの娯楽映画で日本の諜報機関として忍者が登場するなど、あまりリアリティは高くないが、たまにはこういう映画も悪くない。
混ざり物のないウォトカのシンプルな風味を愉しみながらショットグラスを空にする。そしてまた瓶から水のように透明な液体をグラスに注いだ。
ここでオリーブとクリームチーズを乗せたクラッカーを一つ、口に放り込む。程よい塩味とオリーブの風味はウォトカと素晴らしく合う。
贅沢なひとときだ。
この贅沢を昼間から満喫できるのを幸せと言わずなんというか。
こうして昼間から呑みを楽しんでいると、インターホンが鳴った。この間も似たような出来事があった。となると来客は……。
インターホンのモニターを観る。テイオーとマヤノの耳がぴょこぴょこと動いていた。
「何用だ?」
《キッチン貸して!》
「天野の部屋行け」
《だってトレーナーちゃんにあげるチョコケーキ作るんだよ? そしたら意味ないじゃん》
「マックイーンでも誘って相田の部屋行ったらどうだ?」
《さっきゴルシが3Dプリンターとチェーンソー持って相田トレーナーの部屋に入って行くの見たから多分ダメ》
「トレセンにキッチンあったろ」
《寮もトレセンも全部使われてるんだもん》
《いいでしょトレーナー! 余ったチョコあげるから》
俺のは余り物かい! とツッコミを入れそうになったがこのまま追い返すのも心苦しいので結局部屋に入れてしまう。相変わらず子供に弱い人間だ。
「「お邪魔しまーす」」
部屋に上がり込むテイオーとマヤノ。するとテイオーが下駄箱の上に置いてある封筒に気づいた。
「この封筒は?」
「国連難民高等弁務官事務所のやつだ。この前も寄付したからな」
「へぇ〜、トレーナー募金とかするんだ」
「偉そうなことを言うつもりはないが過去へのせめてもの償いさ」
「そうなんだ」
テイオーはアルチョムから聞いた過去を思い出す。何を見てきたのか、何をしてきたのか。それがあるからこそ、今余裕があるアルチョムは寄付を行うのだろう。
「で、キッチン使うんだろ?」
「うん! 手作りチョコケーキをトレーナーちゃんにあげるの!」
「はいよ。わかってるとは思うが手を切ったり、火傷したりするなよ」
「「はーい」」
「あ、あと先に手を洗え。汚い手で食い物触るな」
「「はーい」」
手を洗った彼女達は早速キッチンに立ち、持ってきた材料を並べていく。どうやら調理器具も持ってきたようだ。ボウルに計量カップ、泡立て器やらがカバンから出てくる。
「トレーナー昼間からお酒飲むとかダメ人間じゃん」
「アルチョムさん、飲み過ぎは良くないよ?」
「休みなんだからいつ酒を飲もうが自由だろ。そもそもテイオーとマヤノが来るって知ってたら飲まん。前もそうだが、アポ無しで来るな。ったく」
そんなことを言いながら、リビングのソファに座り映画の続きを観る。その様子はどう見ても休日の父親だ。
「んで、テイオーとマヤノは料理できるのか?」
「できるよー、今度トレーナーちゃんに作ってあげるの♪」
「当たり前ジャン! そんなこと聞くトレーナーこそ作れるの?」
「俺か? カーシャ、シチー、ウハー、オクローシカ、シャシリクなら軍隊でよく作ったな。いつか作ってやるよ」
「ねぇアルチョムさん、そのカーシャとかウハーとかってどこの料理?」
「東欧だ。ロシアやウクライナ、ベラルーシで食べられる料理だが、ポーランドやブルガリアでも食べられることもあるな」
「アルチョムさんってアメリカから来たんじゃないの?」
「両親がベラルーシ出身なんだ。だからハンバーガーよりカーシャの方が口に合う」
「へぇー」
そんなやりとりを隣で聞くテイオー。本当のことを話したい気もあるが、流石にそれはできないので料理に集中する。
「トレーナーはお菓子とか作らないの?」
「ああいうのは作るのに手間がかかるだろ。それに自分で作るのより既製品を買った方が早いし味も保証されてる」
「手作りも楽しいよ?」
「気が向いたらな」
「マヤ知ってる。それ絶対やらない人のセリフ」
「って、マヤノ! 牛乳入れ過ぎ!」
「わ! ごめん!」
「これどうしよう」
「捨てる?」
「もったいないよ!」
キッチンが賑やかだ。だが、アルチョムは気にせず映画を観続ける。小さな失敗をどう解決するかも料理の醍醐味だろう。たぶん。
「じゃあこれをオーブンで焼いて……」
「その間にクリーム作るから……」
ガチャガチャとボウルや泡立て器を用意しながら、決して広くないキッチンをパタパタと動くテイオーとマヤノ。料理は手際の良さが肝心だ。無駄な動きや時間を極力排除し、効率よく作業をこなす。自分が食べるためでも他人に振る舞うためでも。
「テイオーちゃん! 温度間違えてるよ!」
「え⁈ わ、ホントだ! 焦げちゃう!」
「早く取り出して!」
「えっと……! あちち!」
「先にオーブン止めなきゃ!」
「おい大丈夫か⁈」
さすがにスルーできなくなり、様子を確認する。チョコケーキを焼いていたが、どうやらオーブンの設定温度を上げ過ぎてしまったようだ。少し焦げ臭い。
「おら、さっさと換気扇回せ」
換気扇を回して、オーブンからチョコケーキを取り出す。多少、というかまあまあ焦げている。
「作り直す?」
「材料ある?」
「もう一回は作れると思う」
「ったく、次は気をつけろよ」
「「はーい」」
それからしばらくして。
「「できたー!」」
完成したケーキが置いてある。小ぶりだが、チョコチップが入ったチョコクリームとその上にはいちごとブルーベリーが並ぶ立派なケーキだ。
「なかなかの出来じゃねぇか。さっきの失敗はなんだったんだ?」
出来上がったケーキを見ながら感心した様子でアルチョムが言う。テイオーとマヤノはそれを丁寧に箱に入れ、綺麗にラッピングしていく。
そして完成。二人の手作りで気持ちがこもった特別な一品。これを受け取る天野は幸せ者だ。
「この焦げた方どうする?」
「余ったクリームといちご乗っけて食べちゃお」
「じゃあこれトレーナーとボク達の分ね!」
「結局余り物かよ」
そんなことを言いながらアルチョムは棚からサモワールを取り出して紅茶を準備する。今日はティータイムは少し賑やかになりそうだ。
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2月中旬のある日。
いつもの二人はこの日、都内のとあるテレビ局のオフィスにいた。テイオーは競バ特番のゲストとしてだが、アルチョムにも目的があった。
話はバレンタインより10日ほど遡った2月上旬。
《アルチョム・ルイシコフトレーナー、理事長室までお越しください》
「何用だ?」
理事長からの呼び出しだろうか。特に何かやらかした覚えはないが……。
「失礼します。アルチョムです」
「どうぞ」
ドアを開けて理事長室に入る。
「アルチョム君、君にインタビューをしたいという者がいる」
「乙名史記者ですか?」
「いや、違う。君の過去を語ってほしい」
「……冗談でしょう」
「ロシアによるウクライナ侵攻が始まってもうすぐ一年だな」
「……」
「私の知り合いのディレクターが、その件で特集を組むのだが、その特集でロシア人、できれば軍と関わりがあった人にインタビューをしたいそうだ」
「他を当たってください、と言いたいところですが……」
「ずいぶん探し回っているようだが、全く見つからず企画の変更も考えているようだ。無論、承諾するのであれば君の本名や今の職業などは全て伏せられる」
「……少し時間を下さい」
アルチョムはかなり悩んだ。インタビューに答えれば、今の居場所や情報がロシア側に知れてしまう可能性は否定できない。だが、自分以外に適任がいないのも事実だ。自分が話すことで、より正確な情報を伝えることが出来るかもしれない。
俺が語ったところで戦争が終わるわけではないが、発信できる情報があるなら、その情報が誰かの役に立つのなら、話す価値はある。そう考えてインタビューを受けることを決意した。
ただ、条件として顔を一切映さず、氏名は本名偽名共に、そして現在の職業も伏せること、インタビューの映像は完成したらこちらで確認することを承諾してもらった。
アルチョムはテイオーを見送ったあと、フロアで待機していた。すぐにこちらへ近寄ってくる男性が現れる。
「初めまして。アルチョム・ルイシコフさんでよろしいでしょうか?」
「はい、本日インタビューに呼ばれたアルチョムです」
「ああよかった! 本日はこちらの依頼に応えていただき感謝します! あ、申し遅れました、私、インタビューを行わせていただきます担当ディレクターの筒井と申します。何卒よろしくお願い申し上げます」
そう言うと筒井と名乗った男性はポケットから名刺を取り出してこちらに差し出す。
「初めまして、お招きいただいたアルチョム・ルイシコフです。こちらこそよろしくお願いします」
アルチョムは名刺を受け取って筒井ディレクターと握手した。
「いやぁ、完全にダメ元でお願いしたのですが……。まさかまさか、トウカイテイオーさんのトレーナーさんが関係者だったとは……」
「テイオーをご存知で?」
「ええ、もちろん! この間の有マ、あの時の復帰ライブは家族で見に行きましたからね! うちの息子なんか将来はトウカイテイオーみたいなウマ娘さんになりたいー、なんて言うんですよ。まだまだ小さいので、なれないんだよ、なんていうのも可哀そうでどうしたものかと……、ああ、ごめんなさい、つい身の上話しを……」
「いえ、お気になさらず。そこまで言っていただけるとトレーナーとして嬉しい限りです」
こうまで言われるとやはり嬉しくなる。が、この男、どこまで信用できるか?
「では、こちらの部屋にお入り下さい」
ある一室に案内された。ソファと椅子、棚とその上に花瓶が置かれていて、壁には絵画が飾ってある。室内にはすでにカメラやマイク係が待機していた。
「お座りください。あ、おい三田、アルチョムさんの顔を映すな」
「うぃっす」
三田と呼ばれたカメラマンがうなづいてカメラの角度を調整する。
「大丈夫です」
「ちょっと確認する」
筒井がカメラを覗く。少し調整してから、椅子に戻った。
「では、インタビューを始めますね」
それから約一時間ほど、インタビューが行われた。アルチョムは質問に対し、過去の経験と関連したニュースから得られる情報から推察し答えていく。オリョールグループを去ってから4年近くだが、その内情は今でも良く覚えいる。
「インタビューは以上です。ありがとうございました」
「こちらこそ。私が話した情報が何かの役に立てれば幸いです」
筒井ディレクターと固い握手を交わす。
「では、編集が終わった動画はそちらに提出いたしますので、ご確認をお願いいたします」
「ええ、楽しみにしていますよ」
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2月下旬のある日。
栗東寮一階の食堂で晩御飯を食べながら、ウマ娘たちが壁にかけられた液晶テレビでニュースを見ていた。
《まもなく、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してから一年になります。未だロシア軍はウクライナの東部から南部にかけての広い地域で戦闘を継続しており、撤退の兆候は見せていません》
そんなナレーションと共に、ZやVと書かれた戦車や装甲車が隊列を組んで道路を移動する映像や、青い腕章をつけた兵士が陣地から機関銃を発砲する映像が流れた。
《また、この戦争ではロシア政府が設立に強く関与しているとされる民間軍事会社、オリョールグループが戦闘地域に多数展開しているとみられます》
映像では数人の迷彩服を着た兵士が、鷲が両脚でカラシニコフライフルを掴む意匠が描かれた旗を掲げている。
「戦争のニュースばっかで嫌になるよなぁ」
「そうね、暗いニュースばかりで気が滅入るわ……」
ウオッカとダイワスカーレットがテレビを眺めながら言った。すると、マチカネタンホイザがチャンネルをテレビに向ける。
「チャンネル変えます?」
「ちょっと待って」
止めたのはテイオーだった。なんとなく、自分はこのニュースを観るべきだと思ったのだ。
「ボク、このニュースをちゃんと観たいんだけどいい?」
「あら、テイオーって案外ニュースとか観るのね」
「うん、ボクのトレーナーが昔軍隊にいてね。それでさ」
少し意外そうに見るネイチャにテイオーはそう返した。
《我々は今回、ロシアの民間軍事会社、オリョールグループの元構成員だった人物へインタビューを行うことができました》
すると映像が切り替わり、ミリタリールックに身を包んだ男が映る。その男は名前をイヴァンと名乗った。しかし、テイオーは確証は持てなかったが、なんとなくアルチョムであると感じていた。
トレーナー? だよね。
首元から上は見切れていたが、テイオーはその男の声や身振りからアルチョムであると確信する。
《これはその時の徽章です。こっちはオリョールグループのワッペンですよ》
簡単な自己紹介のあと、男は徽章やワッペンを手の平に並べて見せる。その手の平はテイオーにとってよく見慣れた手だ。
やっぱりトレーナーだ! この前ボクが出た番組の撮影の時のだ!
《オリョールグループが作られたきっかけは、2008年の南オセチア紛争での経験からです。あの時、ロシア軍がジョージア北部に展開した為に、NATOを中心にロシア政府へ非難が集まりました。ですので、当時のクレムリンは軍隊を用いない武力介入組織を求めたのです。それがオリョールグループでした》
カメラの前で語る男。その話し声や身振りから、テレビを見ていたウマ娘の何人かもなんとなく彼がテイオーのトレーナーであると気づいたようだ。それを口に出す子はいなかったが。
《私が所属していた頃のオリョールは強力な準軍事組織でした。航空機や榴弾砲の支援が必要ですが、それがあればNATO諸国の正規軍とぶつかっても、十分戦えます》
男はそう答える。
《なぜ、ロシアは正規軍ではなく、オリョールグループを派遣するのですか?》
《これは、民間軍事会社が持ついくつかのメリットの一つでもありますが、正規軍の人手を割かず人員を送り込めますし、さらに損害を公表する必要が無いのです。政府にとって、これほど都合の良い存在はないでしょう》
身振り手振りを交えながら話す男。
《オリョールはロシア軍から引き抜かれた優秀な人員で構成されています。はっきり言いますと、この一年で証明されたように、現在のロシア軍に十分な作戦遂行能力はありません。ですので、我々を派遣して、あたかもロシア軍が精強な軍隊であるかのように見せるのです》
《ロシア軍の身代わりと?》
《ええ、そうです。中東でもそうでした。宗教過激派との戦闘で常に前線で戦っていたのは我々オリョールの戦闘員です。ロシア軍は砲撃や航空攻撃はしましたが、兵士が前線に展開することは稀でした》
インタビュー映像の中で男は淡々とロシア軍の内情やオリョールグループの活動について語る。テイオーはそれを真剣に観ていた。
トレーナーはなんでこのインタビューを受けたんだろう。そんな疑問を持ちながらもテレビの音声に耳を傾ける。
《ウクライナでも同じことが起きています。ロシア軍はあなた方も見てきた通りの有様です。だからこそ、徴兵で編成した正規軍より先に、囚人やら年金受給者やらをかき集めたオリョールを送り込むんです。そうすればいくら損耗しようと公表する必要もなく、正規軍が徴兵した人員に訓練をしてから展開するまでの時間稼ぎに使えるのです》
そう語る男。その声に怒りがこもっているのはテイオーや観ていた他のウマ娘もよくわかった。その怒りの矛先はロシア軍か、あるいはオリョールか。はたまた両方か。
その後もいくつかの質問に男は答えていく。
《イヴァンさんはこの戦争のこれからをどう予想しますか?》
《……わかりません、というのが本音です。ただ、私の予想としては短期的な話であればオリョールの存在はこれまで以上に、前線で大きなものになるでしょう。ですが、それにより近いうちにクレムリン内での確執が広まっていくかも知れません。民間軍事会社といえど設立者は軍人ではありませんし、構成員も正規軍の軍人とは違います。そんなヤツらが前線でのさばるのを軍部がどう見るか、そしてどんな態度を取るか、という話です。また、長期的な話をするのであれば、この戦争が今年中に終わるとは思えません。これからもウクライナ側の反撃が予想されますが、一撃でロシアの意図を挫くような反撃は難しいでしょうし、ロシアも持久戦を覚悟しています。これらを踏まえると、残念ながらまだまだ戦争は続くと予想します。停戦は早くて来年、終戦となればもっと先になると私は考えます》
重いトーンで語る男。その予想には強い説得力があった。長年の経験と豊富な現場知識に裏打ちされた彼の話は、現状から予想される展開として非常に現実味を帯びているのだ。
テイオーはその話を聞きながらアルチョムの過去を思い出していた。
もしかしたらトレーナーは、自分の過去に対して未だに複雑な感情を抱いているのだろう。ただ、その過去の経験から精度の高い情報を発信できるなら、それをちゃんと発信すべきだ。そう考えて、インタビューに答えたのかもしれない。
画面の中で語る男を見ながらテイオーはそんなことを思っていた。
《最後になりますが、なぜインタビューを受ける決意をなされたのかお聞きしてよろしいでしょうか?》
《勇気ある告発者達と同じように、私もかつての当事者としての義務を果たそうとしているだけです。いずれは公表しなければならないことを、今できる範囲で行っているだけです》
男はそう語り、インタビュー映像は終わった。
トレーナーはいつか全てを話すつもりなんだ。それがいつになるかはわからないけど、全てを話すのはとても勇気がいることだと思うし、話した後のボク達のことも考えなきゃいけない。だからトレーナーは、その第一歩としてこのインタビューに答えたんだ。
テイオーはインタビューの内容を思い出しながらなぜトレーナーがインタビューを受けたのか考えた。それまでずっと他人事だとか、画面の向こうの話だと思っていたことが最近はかなり身近な出来事に思えてしまう。
……これが大人になるってことなのかな? テイオーはそんなことを思いながら、テレビの特集を観ていた。
誤字脱字などございましたらご報告願います。
なお、作中にてオリョールグループの設立経緯を書きましたがこれは完全にオリジナルの設定です。ワグネルグループの経緯とは異なります。ご注意ください。
以下、主人公のインタビュー内容の参考文献、およびウェブサイト
マラート・ガビドゥリン 小泉悠監訳 中市和考訳『ワグネル プーチンの秘密軍隊』東京堂出版 2023年
広島テレビニュース 【インタビュー】「核の威嚇とG7広島サミット」小泉悠氏に聞く
https://www.youtube.com/watch?v=uCJLVCQLqo0
5月30日視聴
TBS NEWS DIG Powered by JNN プーチン政権が存在を否定…民間軍事会社「ワグネル」元傭兵が日本メディアに初めて語った“実態”
https://www.youtube.com/watch?v=hvMhIMVLsfI
6月3日視聴
テレ東BIZ ウクライナの大規模反攻が迫る中…ロシア・プーチン大統領の3人の“盟友”に異変【TV TOKYO International】(2023年5月19日)
https://www.youtube.com/watch?v=bLiSnjQcXmQ
6月5日視聴