元ロシア最強傭兵、祖国に棄てられて亡命したらトレセン学園のトレーナーになりました   作:武装田んぼ

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第39話 天皇賞春に向けて

 

 

 テイオーの誕生日から少し遡って4月16日。

 この日、中山競バ場ではクラシック一冠目となる皐月賞が開催されていた。

 去年皐月賞ウマ娘となったテイオーは同日に開催されるイベントに出演することとなっており、アルチョムと共に中山競バ場に現れた。

 

「あー、走りたいなぁ! イベントで踊れるのは嬉しいけどやっぱり走りたいよぉ! 皐月賞に飛び入り参加できないかなぁ?」

「あのなぁ。気持ちはわかるけど無理なものは無理だ」

「わかってるけどさぁ」

 

 テイオーとしてはやはり走りたいようだ。が、レースに飛び入り参加などできるはずもなく、つまらなさそうに口を尖らせる。そんなテイオーを控室に送り出し、アルチョムはコース内側に設置されたライブステージの裏手に向かう。

 テイオーはこの日、ミニライブとトークショーの出演依頼が来ていた。このイベントにはスペシャルウィークとサイレンススズカも出演するとのこと。

 アルチョムの仕事は……、まあいつも通りだ。裏手からテイオーを見てればいい。何かあったらその時はその時だ。

 

 そんなことを考えながら裏手で控えていた。するとそこに現れたのは沖野トレーナーだ。スペシャルウィークとサイレンススズカのトレーナーとして来たのであろう。

 

「よう、お疲れさん」

「ああ沖野か。お疲れ」

「大阪杯観てたぜ。ネイチャとの競り合い、凄かったな」

「だろ? さすがはテイオーだよ。復帰戦であんな走りをかますなんてな」

 

 自慢気に語るアルチョム。その目はテイオーの実力に確かな信頼を寄せていた。

 

「俺もスズカが骨折した後の復帰戦を思い出したよ。あの大逃げをまた見れた時は涙が出そうになった。アンタも似たようなモンだろ?」

「ああ。その気持ちはよくわかる」

 

 アルチョムはテイオーの大阪杯を思い出す。全力でターフの上を駆け抜けるテイオーの姿を再び見られた時の感動を忘れることはないだろう。

 大阪杯の走りを思い出していると、準備を終えたテイオー達がやってきた。スターティングフューチャーという名のライブ向け衣装を身に纏っている。ライブ向け衣装というが、着用するのはウマ娘。その素材は伸縮性と耐久性に優れ、ある程度の通気性を確保しているという代物。もちろんその気になればこれを着てレースだって出走できるし実力があれば勝てる。実際、G3、G2のレースでは体操着ではなくこちらを着用して行われるレースも少なくない。そんな訳で中央トレセンでは事あるごとにこの衣装を着ることになる。

 

「トレーナーお待たせー!」

「おう来たか。ほら、観客が待ってるからステージに上がってこい」

「じゃあ行ってくるねー!」

「はい、いってきます!」

 

 元気に返事をするスペシャルウィーク。ステージに向かった彼女にスズカとテイオーもついていく。彼女達がステージに上がると歓声が聞こえてきた。その歓声に応えるように3人は元気な挨拶をする。

 

《皆さん、今日は足元の悪い中、来てくれてありがとうございます!》

《生憎の天気ですが、どうぞ楽しんでくださいね》

《じゃあこんな曇り空に負けないよう、ボク達の歌で盛り上がって行こう!》

 

 そんな掛け声と共にミュージックスタート。流れる曲は“Make debut! ”

 夢に向かって走り出すウマ娘達をイメージしたこの曲はファンはもとより、ウマ娘達からも人気の高い曲だ。

 リハーサル通りに曲を歌い終え、そのままトークイベントに入る。トークイベントといっても、今日の皐月賞の予想や、自分が走った時の感想を語るのがメインだ。というわけでテイオーは去年に皐月賞を走った時の感想を語る。その後、この皐月賞での注目ウマ娘の話をしてイベントは終了。次のイベントへ移行する。

 

「戻りました!」

「トレーナー! 戻ったよー!」

「お疲れ。予定通り終わって何よりだ」

「よくやった。控室に戻って休んでこい」

「「「はーい」」」

 

 控室に戻るテイオー達を見送り、アルチョムと沖野トレーナーは関係者席に向かう。その途中。

 

「悪い沖野、先に席に行ってくれ。テイオーから飲み物を頼まれてな」

「あいよ」

 

 沖野トレーナーが去ったのを確認したアルチョムは近くのピザ屋へ。そして列に並ぶ。お目当てはもちろん冷えた生ビール。混雑のせいで地味に待たされたがようやく順番だ。

 

「生ビールLサイズを……、っでぇッ!」

 

 アルチョムの尻に強い衝撃が加わる。何事かと振り返るとキタサンブラックがいた。

 

「なんでキタサンがここにいる?」

「テイオーさんに言われたんです。トレーナーがお酒とか買わないか見ててって」

「……ったく、余計なお世話だっての」

「たづなさんと樫本さんに言いますよ」

「チクショウ勘弁してくれ」

 

 今日も今日とで阻止された野望。いたずらな笑みを浮かべたキタサンがスマホの画面を見せた。

 

テイオー[もしトレーナーがお酒買おうとしてたら好きなものおごってもらおうね!]

 

「……クソッタレ」

 

 キタサンはテイオーに電話して何が食べたいか尋ね始めた。アルチョムはとりあえず後ろの人に先を譲り、もう一度並び直す。

 

「テキサスピザのハーフ一つとナゲットとコーラを二つづつください!」

「2290円になります」

「スマホ決済で」

 

 軽食を買ってもらいご満悦のキタサンとつまらなさそうな表情のアルチョム。二人はそのまま関係者席についた。しばらくして制服に着替えたテイオーが現れる。

 

「トレーナーまたお酒買おうとしたんだ」

「悪かったな」

「別に家に帰ってから飲めばいいじゃないですか」

「観戦しながら飲むのがいいんだ。場の盛り上がりと一緒に飲むんだよ。テイオー達も酒を飲むようになればわかる」

「わかりたくない」

 

 呆れたようなジト目でアルチョムを見つめるテイオー。そんな会話をしていると、相田トレーナーがやってきた。

 

「お疲れ様です、相田トレーナー」

「こちらこそお疲れ様です」

「ゴールドシップの初G1ですね」

「はい。まあ、ゴルシなら好きに走って来ますよ」

「でしょうな」

 

 なんて会話を交わしていると、メジロマックイーンが現れた。

 

「お! マックイーンじゃん。今日はゴルシの応援?」

「ええ、そうなのですが……」

 

 その表情には何故か疲れが見える。

 

「控室からずっと荒ぶっておりまして……。先程ようやく解放されましたわ」

「あはは……、ゴルシらしいと言えばゴルシらしいね。あ、コーラ飲む?」

「あら、ではお言葉に甘えて……」

 

 マックイーンにコーラの紙コップを差し出すテイオー。マックイーンはそれを受け取り飲もうとするが、ストローを口につける直前で手が止まる。

 

「あれ? マックイーン炭酸ダメだった?」

「い、いえ、そうではなくて……」

「あ、もしかして間接キスとか気にしてるの〜?」

「べ、別にそうではありませんわ!」

「あれれ〜、でも顔赤くなってるよ〜?」

「そ、そんなわけありません!」

 

 露骨に顔を赤らめるマックイーン。そんなやりとりをしているとまた一人現れたウマ娘。ライスシャワーがいた。

 

「たぶんそろそろゴールドシップさんがパドックに出てくる頃ですよ?」

「じゃあ見てこようっと! キタちゃん、行こ!」

「はい!」

 

 マックイーンにコーラの紙コップを預けたままのテイオーとキタサンはパドックの方へ向かった。パドックではすでに多くの観客が詰めかけて出走するウマ娘に声援を送っている。そして満を持して現れたゴールドシップ。彼女はマイクを握るや否や、こう宣言した。

 

《おいお前ら! 今日は皐月賞、つまり5月の賞なんだ! おかしいと思わないか⁈ 今日は何月何日だ? そこのお前、言ってみろ!》

 

 パドックでやることといえば大抵はアピールだ。アピールを決めて観客に人気投票をしてもらい、見事そのウマ娘が勝ったり入着すれば、グッズやライブでの優先入場券が手に入ったりする。もちろん、レースへの意気込みを語ることだって珍しくないが、ゴルシのは明らかに違う。

 

「えっと、4月16日で……」

《そうだ、今日は4月16日! つまり卯月だ! なのに皐月賞! これはなんだ⁈ 4月への冒涜ではないか!》

 

 それを聞いたテイオーとキタサン。二人は顔を見合わせていた。ゴルシの発言に理解が追いついていないのだ。

 

《よってッ! アタシが勝ったら、来年から皐月賞は卯月賞にしてやるッ! いいなッ!》

「えぇ……」

「えっと、つまりどういうことなんですか……?」

 

 ゴルシはレース名と開催時期が異なることにひどく不満なようだ。皐月賞はその名の通りかつては5月に開催されていた。ゴルシがそのことを知っているかどうか定かではないが、少なくとも彼女なりのやる気はあるのだろう。おそらく、たぶん。

 先程マックイーンがやつれていた理由がなんとなくわかった。控室でもずっとあの調子だったのだろう。

 

 地下バ道にて。

 

「ゴルシー!」

「ゴールドシップさーん!」

「お! テイオーにキタサンじゃねーか! 何しに来たんだ?」

「もーっ、応援だよ、応援! 去年のボクの走り、超えられるかな?」

「ったりめーよ! このゴルシ様が勝って、来年から卯月賞にしてやるんだからな!」

「と、とりあえず頑張ってください!」

 

 任せろと言わんばかりに大股で歩いていくゴルシを見送り、テイオー達は観客席に戻った。

 

《各ウマ娘ゲートイン完了、まもなくレースがスタートします》

 

 そしてゲートが開いた。

 

 

 

《ゴールドシップが上がってきた! ゴールドシップが上がってきた! なんという末脚! 残り200でゴールドシップが先頭だ!》

 

 そのレースはゴルシが実力を余すとこなく発揮。恐ろしいまでの末脚でバ群後方から一気に差し、見事に勝利を飾った。

 その終盤の追い上げは後に“ワープ”と称されるほど強烈なもので、ゴルシもよく自慢していたという。

 ただ、その翌年も皐月賞の名が卯月賞に変わることはなかった。

 

 

 ────────────────────────

 

 

 天皇賞春まで残り5日に迫ったある日。だいぶ日照時間は伸びてきたこの頃だが、この時間になるとすでに日は暮れていた。

 照明塔が照らすトレセン学園のグラウンドに2人のウマ娘が走っている。

 トウカイテイオーとメジロマックイーンだ。この2人はこの天皇賞春において注目の対決として期待が高まっており、TM対決と銘打たれ、先日の記者会見では互いに宣戦布告を行い会見の場を盛り上げた。

 

 すでに練習時間は終わり、2人は追加の自主練に励んでいた。自主練と言ってもそれはほぼ模擬レースと言えるものだ。すでに2本走っており、結果は互いに一勝一敗。ヘトヘトになった2人は並んでベンチに座り、休憩していた。

 

「はぁ、はぁ……、あと、ちょっとだったのに……」

「こ、今回は私の勝ち、ですわね……。ふぅ……」

 

 長距離模擬レースを2本連続で走れば、ウマ娘とてその消耗はかなりなものとなる。これではしばらく動けない。それでもなぜか楽しかった。ドリンクを飲んで一息つき、ヘトヘトになりながら顔を見合わせる。自然とお互いに笑いが込み上げてきた。

 

「模擬レースなのに全力出しちゃった」

「最初は普通に走ろうと言っておいて全力で走ったのはテイオーさんじゃありませんか」

「ボクも最初はほどほどに走るつもりだったんだけどね〜、マックイーンが隣走っているの見たら本気出しちゃった」

「どんな勝負でも手を抜かない姿勢は評価しますが、レース前に全力を出し過ぎて故障したら元も子もないですわよ?」

「わかってるけどさぁ」

 

 そう言って笑うテイオー。

 何度か一緒にトレーニングしてきたけどやっぱりマックイーンと一緒に走るのは楽しい。マックイーンの優雅な走りを間近で見ながら、自分の走りでそれに挑む。テイオーはその感覚が好きだった。マックイーンの走りと自分の走りでの勝負。相手の本気に自分の本気をぶつけるのはどんな時でもボクの心を昂らせる。

 この前の大阪杯でもそうだった。ボクにぶつけられたネイチャの本気。あれを見た時の緊張感と同時に感じた興奮は今でもよく覚えている。またあの興奮を味わえるんだ、春の大舞台で! そんなワクワクは隠そうとしても隠せない。

 

「テイオーさん、どうしたのですか? さっきから足をパタパタと動かして」

「レースが楽しみなだけ! マックイーンとガチ勝負ができるんだもん。マックイーンもそうでしょ?」

「ええ、そうですわね。もっとも、テイオーさんの本気はどこまで私に通じるでしょうか?」

「そんなこと言っちゃって〜、ホントはボクの実力にビビってるんじゃないの〜?」

「さっきの並走から考えればまだまだですわ」

「ムッ! そう言うマックイーンだって、あれが本気ならボクの足元にも及ばないね! ボクは全然本気じゃなかったし!」

「あら、私には本気で走っているように見えましたが?」

「ここで本気出しても意味ないからね。能ある鷹は爪を隠すってヤツだよ」

 

 得意げに言うテイオーを見ているとなんだか面白くなってきた。マックイーン自身、5日後のレースが待ち遠しい。

 メジロ家にとって重要な意味を持つ天皇賞。その連覇への期待はマックイーンも強く感じていた。その大切な舞台に挑んできたライバル(親友)。そのためにも情けないレースはできない。華麗に、優雅に、名優と称されるウマ娘にふさわしい勝利を飾らなければ例え勝ったとて意味が無い。

 ……この学園に入学した頃が懐かしいです。あの時はメジロ家のウマ娘というしがらみにがんじがらめにされてました。それを解いてくれたのは何者でもないあなた、トウカイテイオーさんなのです。それに去年の天皇賞秋でテイオーさんは私のためにURAの理事長に抗議してくれました。あの時の姿は本当に心強かったのをよく覚えています。貴女がいなければ、今の私はここにいません。

 ですからこそ、このレースは負けられないのです。それにテイオーさんだって本気の私と勝負しなければつまらないでしょうから。

 

 テイオーと笑い合いながらそんなことを思うマックイーン。今の自分は本当に幸せなウマ娘だ。心からそう思えた。

 

「ねぇマックイーン、もう一回走らない?」

「そうですわね、次も私が勝ちますわ」

「今度はボクがぶっちぎってあげるからね!」

 

 そんなことを言いながら2人はスタートラインに立つ。照明塔に照らされたターフ。一日中ウマ娘たちが走り回ったためかかなりボロボロだ。でもそんなことはどうでもいい。体力的にこれが最後だし、今はとにかく、2人で走りたい。

 

「「よーい、スタート!」」

 

 2人同時の掛け声と共に飛び出す。先を走るのはマックイーン。その後ろを半バ身ほど離れてテイオーが追う。お互いに突き放すわけでも、並走するわけでも無く、ペースを保ちながらコースを駆け抜けていく。

 全力で走りながら浴びる風。この風が大好きだ。きっとマックイーンも好きかもしれない。後で聞いてみようかな? なんて思いながら、ターフを踏みつける。

 2人はそのまま最終コーナーへ。マックイーンはまだ仕掛ける様子はない。これは直線勝負だな。テイオーは確信した。そのまま直線に入る。

 今だ! 

 一気に加速するテイオー。だが、マックイーンもそれを予期したかのように加速した。

 やっぱりね! 

 スピードでは僅かにテイオーの方が有利だ。ジリジリと差を縮めてマックイーンに並んだ。だが、マックイーンもそのステイヤーとしてのスタミナを全力で両脚に送り込み、テイオーの先へと踏み出そうと走る。

 そのまま2人並んでゴール。3本目を走り抜き、スタミナの尽きた2人はそのままターフの上に座り込んだ。

 

「はぁ、はぁ……、ふぅ、こ、今回はボクの勝ちだね……!」

「い、いいえ、はぁ、はぁ、勝ったのは、私ですわ……」

「いーや、ボクの……、はぁ、勝ち!」

「いいえ、はぁ……、私の勝ちです!」

 

 なんて言い合うが、ほとんど並んでゴールした為、他の誰かが見てない限り勝敗はわからない。息を整えながらふと上を見上げたテイオー。まばらな星が輝く都会の夜空が広がる。

 そんな夜空をぼんやり見ながら呼吸を整えていると、マックイーンも隣で同じように夜空を見ていた。

 

「……星、あんまり見えないね」

「明かりがたくさんありますからね。東京ではなかなか見れませんわ」

 

 そんな会話を交わして、また夜空を見上げた。星はあまり見えなくても、その広い広い夜空を見ていると吸い込まれそうになる。テイオーはなんとなくマックイーンに身体を寄せた。マックイーンは何も言わない。ふと鼻に香るマックイーンの匂い。どこか安心するような、懐かしいような匂いだ。

 不思議だな。なんでホッとするんだろ。

 そしてテイオーは無意識に自分の尻尾をマックイーンの尻尾に絡ませた。びっくりするマックイーン。

 

「ち、ちょっと何してますの⁈」

「あ、ごめん。嫌だった?」

「い、いえ、嫌という訳ではありませんわ。ただ、こういうことは特別な方とするものだと聞いたので……」

「ボクにとってマックイーンは特別だよ?」

 

 そう言われて顔を俯かせるマックイーン。その耳が嬉しそうに動いているのをテイオーは見逃さなかった。

 

「わ、私も、テイオーさんのことは日頃からお世話になっておりますし……、私の誕生日の時もいろいろなさってくれて……、そ、それに……」

「もう、そんな畏まらなくていいよ。それにボクにとってはみんな特別なんだ。マックイーンはもちろん、マヤノだってキタちゃんだってネイチャだって、それにトレーナーも! みんなボクと全然違う場所で生まれてさ、全然違う経験してきたのに、みんなここで一緒になってがんばってるのってさ、すごい特別なことだな、ってボクは思うんだ。マックイーンもそう思ったりしない?」

 

 そう言われたマックイーン。いろいろと考えすぎて損した、なんて思いつつも、テイオーの言葉に強く共感する。

 

「……そういうことでしたのね。でもその気持ちはよくわかりますわ。出自の全く異なる皆さまがここに集まって、共に研鑽し合い、高みを目指す。それは何かの運命なのかもしれませんわね」

 

 そう言ってマックイーンもお返しとテイオーの尻尾に自分の尻尾を絡めた。

 

「天皇賞、絶対負けないから」

「その言葉、そっくりそのまま返しますわ」

 

 そう言ってお互いに笑い合う。そんなライバル(親友)との青春の一幕を夜空のまばらな星は静かに見守っていた。

 

 





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