元ロシア最強傭兵、祖国に棄てられて亡命したらトレセン学園のトレーナーになりました   作:武装田んぼ

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第43話 ビールか日本酒か

 

 

 5月下旬、東京競バ場。

 この日、ここで開催されるのは日本ダービー。もっとも運のあるウマ娘が勝つと言われる大舞台。全てのウマ娘が目指す頂点とも言われる。そんな大舞台をテイオーは去年、制したのだ。

 あれから一年。あの骨折とリハビリを乗り越え、大阪杯と天皇賞春を制し、無敗の春シニア三冠へ王手をかけた。

 

 あの時から今日までを振り返るアルチョム。……あの時の俺に言っても信じないだろう、なんて考える。過去のことも、一年前の自分は話すとは思ってなかった。どうにか隠し通そうと考えていた部分もあった。

 だが人生なんてそんなモンだ。なんなら5年前の俺は死ぬまで戦場にいる運命だと考えていたし、それを受け入れていた。亡命からもうすぐで4年。来年の俺は何をしているのか。ただ一つ言えることは、トレーナーという職を離れる気は無い、と言うことだろうか。

 

「トレーナー、何考えてるの?」

「ん? ああ、テイオーがダービー獲った一年前から今までいろいろあったな、ってな」

「そうだね。あの時のボクはクラシック三冠は獲れて当然と思ってたし」

「未来なんざわからん。日本のことわざで、一寸先は闇ってのがあるが、よく言ったものだ」

「本当にその通りだね。でもさ、それと同時に諦めなければその未来を良くできるってボクは思うよ」

「言うじゃねぇか。さて、準備してこい。イベントまで時間ないぞ」

「はーい」

 

 テイオーとアルチョムがここにいる理由。それはイベントへの参加だ。ダービーの開催に合わせて催されるイベントにテイオーは招かれており、ステージでトークショーとミニライブを行う。

 今回のイベントに出演するのはテイオーとシンボリルドルフ。テイオーはカイチョーと一緒に舞台に立てるということで、かなり前から楽しみにしていたようだ。

 

 白いジャケットとショートパンツ、腰には赤いオーバースカート。ニュースターズ・ロゼと呼ばれるイベント用衣装の一つに身を包んだテイオーは舞台裏で出番を待っていた。

 

「どうトレーナー? カッコかわいいでしょ!」

 

 アルチョムの前でくるりと回転するテイオー。この衣装のデザインを気に入ったようだ。

 

「バッチリ決まってるな。よく似合ってるぞ」

「でしょ〜! あ! カイチョーだ!」

 

 そこへ現れたシンボリルドルフ。

 

「カイチョー、その衣装すっごく似合ってるね!」

「そうか? テイオーにそう言われると嬉しいよ」

 

 目を輝かせたテイオーに絶賛されてルドルフは少し恥ずかしそうにはにかむ。

 

「あまりこういう服は慣れてなくてね。でも似合っているようでよかった」

「カイチョーならどんな服だって似合うよ!」

「流石に私にだって似合う似合わないはあるぞテイオー。おっと、そろそろステージに上がる時間だ。準備しよう」

 

 ステージ上ではちょうどプログラムが終わり、演奏を終えたガールズバンドが舞台裏に戻ってきた。

 そのバンドメンバーと笑顔で挨拶し、テイオー達はステージに上っていった。

 

 イベントはつつがなく終了し、ファンの歓声に応えながらテイオーとルドルフは舞台を降りる。戻ってきたテイオーとルドルフをアルチョムはいつものように迎えた。

 

「よくやった。お疲れ」

「どうだった? 今日のステージ」

「素晴らしかったぞ。いつもながら感心する」

「ふふ〜ん、でっしょ〜? じゃ、着替えてくるからトレーナーは席に戻ってて」

「あいよ」

 

 そう言い、テイオーはルドルフと一緒に控室に向かった。2人を見送ったアルチョムは関係者席を目指す。すると現れたのはキタサンブラック。関係者席の方へ向かっている。するとこちらに気づいたのか、笑顔で近寄って来た。

 今回こそビールを飲めると思ったが諦めろと言うことか? いや相手は子供だ。懐柔してやればいい。アルチョムは心の中でほくそ笑んだ。

 

「ようキタサン。どうした?」

「テイオーさんのステージを見に来たんです! 会長さんとテイオーさん、2人ともとってもかっこよかったですね!」

「だな。担当として誇らしいよ。ところでなんか飲み物いるか? 買ってやるよ」

「え、いいんですか!」

「ついでにスナックもいいぞ」

「ありがとうございます! あ、テイオーさんの分も……」

「当たり前だろ。2人分だ」

「じゃあテイオーさんに聞いてみますね!」

 

 キタサンはスマホを取り出してテイオーと通話を始めた。

 

「もしもし、テイオーさん?」

《キタちゃん? どうしたの?》

「アルチョムさんがドリンクとスナック買ってくれるそうなんです! テイオーさんは何食べたいですか?」

《キタちゃん気をつけて! トレーナーそうやってついでにビールとか買うつもりかもしれないから!》

「はっ! 危ないところでした! テイオーさん流石です!」

「チクショウなんでわかったんだ」

《ほらね! トレーナーお酒は良くないよ!》

「うるせぇ、わかってらぁ」

「コーラとかでいいじゃないですか」

「アルコールが入っているからいいんだ」

《トレーナーもしかしてアル中?》

「バカ言うな俺は健康体そのものだ」

 

 懲りない男、アルチョム・ルイシコフ。だが、その野望はまた阻止され結局コーラで我慢する羽目になる。もういっそ自分で持ち込もうかとも考えるが、そこまでやるといろいろとヤバい気がするので諦める。

 結局いつものように軽食を買い、関係者席に座った。

 

「トレーナー戻ったよー」

 

 衣装を着替え終わり、制服を着たテイオーが戻ってくる。

 

「キタちゃん電話してくれてありがとね。トレーナーがお酒買う前でよかったよ」

「たまたまですよ。でも危ないところでした」

「ほんとトレーナーも諦めないよね〜」

「休日にスポーツ観戦ってなりゃ冷えたビールだろうが。最近暑いし」

「コーラとかジュースでいいじゃん」

「ったく……」

「あ! そろそろレース始まりますよ!」

「お、ボクの次にダービーを獲るウマ娘は誰かな?」

 

 その年のダービーもまた伝説となった。

 ウマ娘のレースにおいては、皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制してクラシック三冠を狙うクラシック路線か、桜花賞、オークス、秋華賞を狙うティアラ路線かで別れる。どちらを狙うかはそのウマ娘個人の選択によるが、大抵は片方の路線を決めた以上、もう片方のレースへ出走することはほとんどない。

 しかし、この年にダービーを制したのは桜花賞に出走したウオッカだった。彼女が憧れる先輩、タニノギムレットの偉業を追い、達成したその姿に会場は去年に負けず劣らずの大興奮となり、その名を日本中に轟かせた。

 

 

 ────────────────────────

 

 

 そんなダービーから一週間程経った6月の始め。今日は金曜日。今日のトレーニングはお休みにしていつもの2人が向かったのはカフェテリア。そこには既にマヤノトップガンとナイスネイチャがいた。

 

「ごめん、遅れちゃった!」

「大丈夫よ、5分も待ってないから。さっさと始めましょう」

「トレーナーちゃんの誕生日だからね! 派手にやらなきゃ!」

 

 やたらとテンションの高いマヤノ。それもそのはず、この日は天野トレーナーの誕生日のようでマヤノはずいぶん前から張り切っていた。

 

「トレーナーちゃん、直前に言うんだもん。去年は全然準備できなかったし、今年はダイタンに大人なウマ娘らしい誕生日にするんだから!」

「マヤノ、気合い入ってるね!」

「んでケーキ作るのよね?」

「そう! 大人なビターチョコケーキ!」

 

 そう言ってマヤノは次々と材料を取り出した。

 

「「よーし、レッツクッキング!」」

 

 

 

 こうして完成したチョコレートケーキ。バレンタインの時に作ったケーキより二回りほど大きい。

 

「デカすぎねぇか? これ」

「だって今日はたくさん人いるし、天野トレーナーの妹の華鈴ちゃんも来てくれるんだ。華鈴ちゃん、チョコ大好きなんだって!」

「ああ、なんか妹がいるとか言ってたな」

 

 そんな会話をしていると、入り口の方からかけられる声。天野トレーナーの声だ。

 

「みんなもう集まっていたのかい? ちょっと早すぎない?」

「そんなことないよトレーナーちゃん! せっかくの誕生日パーティーなんだからたくさん楽しみたいじゃん!」

 

 天野トレーナーに近寄り嬉しそうに飛び跳ねるマヤノ。すると天野トレーナーの隣にいる女の子が丁寧にお辞儀して挨拶する。

 

「初めまして。天野華鈴と申します。いつもお兄さんがお世話になっております」

「初めまして! 私はマヤノトップガン! 華鈴ちゃん、これからよろしくね!」

「はい、マヤノさん。こちらこそよろしくお願いします」

 

 丁寧なお辞儀で挨拶する女の子。この子が天野トレーナーが溺愛する妹、華鈴ちゃんのようだ。

 天野トレーナーに似た真っ直ぐな瞳に端正な顔立ち。黒髪のロングヘアーは彼女の清楚さを際立たせる。

 

「それでね、この子が私の友達のテイオーちゃんとネイチャちゃん!」

「よろしくね! 華鈴ちゃん」

「初めまして、華鈴ちゃん」

「初めまして。2人ともテレビで活躍は聞いております。大阪杯の勝負は感動しました」

 

 その言葉を聞いて嬉しくなる2人。だが、急に華鈴ちゃんの顔が恐怖に染まる。

 

「お、お兄さん、あ、あの人は……?」

「アルチョム先輩だよ。ちょっと怖い見た目だけど、真面目で優しい先輩だよ」

「ほ、ホントに……? 人を食べたりしない……?」

「大丈夫だって! アルチョム先輩はテイオーさんのトレーナーだし」

 

 天野トレーナーの後ろに隠れながら怯えた目でこちらを見る華鈴ちゃん。その光景はまるで紛争地で出会った子供達のようにも見えた。そのせいで少しショックを受けるアルチョム。だが、落ち込むわけにもいかないので普段通りの態度で接する。

 

「初めまして。アルチョム・ルイシコフだ。君が華鈴ちゃんだね。お兄さんによく似てしっかりした良い子だ。会えて光栄だよ」

 

 そう言い、右手を差し出す。

 

「は、初めまして。か、華鈴です……。よろしくお願い、します……」

「よろしく」

 

 握手を交わそうとしたが、触れた瞬間に華鈴ちゃんは手を引っ込めてしまう。

 

「トレーナーフラれちゃったね」

「うるせぇ」

「ごめんなさいアルチョム先輩。もう少しフレンドリーに接してくれると思ったのですが……」

「まあこういう時もあるさ。気にすんな」

 

 するとマヤノがスマホを取り出した。何か通知が来たようだ。

 

「あ! 頼んでたピザ来たよ!」

「マヤノグッジョブ!」

 

 校門の方へ駆けていくテイオーとマヤノ。しばらくして戻ってきた2人は両手にピザやポテトにナゲット、コーラを抱えて戻ってくる。

 

「ピザパーティーの始まりだよー!」

 

 カフェテリアのテーブルに並べられる大きなピザとサイドメニュー。塩味が強く脂っこい食事を見るとついつい飲みたくなるアレ。

 

「ちょっと待ってろ、ビール買ってくる」

 

 そのままアルチョムはカフェテリアを飛び出した。

 

「アルチョムさん行っちゃった……」

「トレーナー、ビール買おうとしてたね」

「今日ぐらいは許してあげたら?」

「えー」

「いいんじゃない? アルチョム先輩いつも我慢してるみたいだし」

 

 そして戻ってきたアルチョム。缶ビールを3缶袋に入れて戻ってきた。

 

「待たせたな!」

「トレーナー、酔っ払って暴れたりしないでね?」

「俺はそんなに酒癖悪くないぞ。せいぜい歌うぐらいだ」

「それはそれでめんどくさそう」

「とりあえずアルチョムさんも戻ってきたからトレーナーちゃんの誕生日パーティー始めるよ!」

 

 マヤノ達はクラッカーを取り出して天野トレーナーをお祝いする。アルチョムも隣でにこやかに拍手していた。今日のカフェテリアは賑やかになりそうだ。

 

 

 ────────────────────────

 

 

 天野トレーナーの誕生日パーティーが盛り上がっていたその頃。

 

 東京都千代田区赤坂見附。

 我が国の中枢たる永田町からほど近いこの場所はいくつもの料亭が店を構えている。

 そんな中のとある料亭。明治時代後期の創業以降、多くの政財界人に愛されてきた老舗で、あのミシュランガイドで三つ星を獲得した格式高い料亭だ。

 その料亭のある一室。窓から見える小さいながらも趣のある日本庭園で鹿威しが和の音を奏でる。

 

「光武様、お連れ様がお見えになりました」

「うむ、通してくれ」

「はい」

 

 URA理事長光武健蔵はある人物を待っていた。

 

「待たせたね、光武君」

「これはこれは、熊谷先生。お久しぶりです。お忙しい中わざわざお越しいただき申し訳ありません」

「まあそう畏まるな。君と私の仲だろう」

 

 四角い顔に綺麗に整った白髪が特徴的な男性が部屋に入ってくる。熊谷誠太郎内閣特命担当大臣だ。

 光武理事長は中腰になりながら、手で座椅子を示した。熊谷大臣はゆっくりと座椅子に腰を下ろす。

 

「光武君も座りたまえ」

「では、失礼して」

 

 そそくさと座椅子に腰を下ろした光武理事長は、穏当な天気の話題から切り出す。

 

「いや〜、この頃は暑くてかないませんな」

「全くだよ。6月と言えばまだ過ごしやすい時期だったんだがねぇ」

「ええ、この暑さは体に堪えますなぁ」

「ああ、最近はすぐに体が参ってしまう。年はとりたくないものだよ」

 

 当たり障りのない会話から始める。ビジネスの基本だ。すると扉が開き仲居が頭を下げた。

 

「お料理をお持ちしました」

 

 そして先付と徳利をテーブルに並べる。

 

「ではごゆっくり」

 

 再び頭下げて部屋を後にする仲居。静かに扉を閉じ、部屋が静まり返る。

 

「では、早速いただくとしよう」

「はい。では」

 

 光武理事長は徳利を持ち、熊谷大臣のお猪口に酒を注ぐ。その後、自分のにも注いだ。

 

「では、乾杯」

「乾杯」

 

 お猪口を軽く掲げ、少し口に含む。口に広がる日本酒の香りをゆっくり堪能しながら2人はお猪口を置いた。

 

「さて、今日の話は他でもない、例の法案の話だ」

「ええ聞いております。スポーツ基本法及び競バ基本法の改正案と、公営賭博化ですな」

 

 競バ基本法。

 1961年に制定されたスポーツ振興法に追加される形で1969年に制定された法律で、日本におけるウマ娘のレース、競バの基本理念や国及び地方公共団体の責務及び努力などを定めた法律だ。また、競バの賭博に関してその一切を禁止することも定めている。後に2011年にスポーツ振興法がスポーツ基本法に改正された際に共に改正され、現在の競バ基本法となった。

 

「ああ。URAの方での根回しを頼みたい」

「もちろんですとも。ですが……」

「花江やメジロの奴らか」

「それともう一つ、トレセンの奴らは反対するでしょうな」

「全く、賭博化の何が悪いと言うのだね奴らは」

「ええ、昔は普通に行われていたことです」

 

 彼らは競バの公営賭博化を目論んでいた。それにより新たな財源とすることで、増額される防衛予算や少子化対策、新型感染症対策などに充てる予定だ。また、トレセン学園の教育方針にも国として強く介入することを考えている。

 

「そもそも、今のトレセンの教育方針は行き過ぎた個人主義が蔓延しております。その個人主義を排除し、大和撫子としての、日本人たる自覚を持たせる教育を行うべきです」

「全くその通りだ。ウマ娘共はメディア露出も多い。ならば、国民の規範たる精神と振る舞いをしてもらわねば困るのだよ」

 

 現行のトレセン学園では生徒の自主性を重んじ、個性を伸ばすカリキュラムをとっている。だが、熊谷大臣や光武理事長はそれを快く思ってはおらず、新たに定めるカリキュラムに厳格に従うべきとしている。そのカリキュラムはかつての教育勅語にならい、滅私奉公を重んじるものだ。

 

「ですが、公営賭博化や新たなカリキュラムを制定するとなると、野党やメディアが騒ぎそうですな」

「野党など問題にならん。問題はハト派の連中だよ」

「大原首相率いる永志会ですか」

「奴らの言ってることは野党とほとんど変わらん。政権を担う与党がこんな体たらくでは情けないばかりだ」

「国民はそう思っていないようですがね」

「所詮は愚衆にすぎん。平等だの自由だの平和だの言っていれば票を入れる。何も考えずにな」

「その通りですな」

 

 すると扉がノックされ、静かに開き仲居が深く礼をして料理を持ってきた。

 

「こちらはお造りになります」

 

 テーブルに並べられるお造り。綺麗に盛り付けられたそれは一種の芸術とも言える。

 

「ではごゆっくり」

 

 扉が閉まり、訪れる静けさ。

 

「これは天然の初ガツオか」

「はい、ちょうどこれから旬になりますね」

「こっちはアジだな」

「はい。最近は養殖が多いですが、ここは厳選した天然物しか出しません」

「やはり刺身は新鮮な天然物に限る」

 

 刺身を口に運ぶ熊谷大臣。天然物のアジをゆっくり味わった後、口を開く。

 

「愚衆な国民を導くには、強権的な姿勢で臨むしかない。だが、首相と取り巻きはそれをわかってない」

「私も常々不満に感じております」

「ウマ娘共も同じだ。所詮は愚衆の一部に過ぎん。多少なりと特権を有しているならば、それ相応に国家に尽くしてもらわねばなるまい」

 

 ウマ娘達の権利は基本にウマ娘共同参画基本法に基づいている。とはいえこの法律は同時に制定された男女共同参画社会基本法の一部として扱われているが、ウマ娘の特性故に多少なりとも優遇されている面があるのは事実だ。だが、ウマ娘達の社会的貢献はそれを補って余りあるものである。

 

「我々URAの予算に関しては融通を効かせてもらってる故、私としても還元したいとは思っておりますが……」

「トレセンも同じだ。中央地方合わせてどれだけの助成金が出てると思っているのだ」

 

 ウマ娘トレーニングセンター、通称トレセン。制度上は中学校や高等学校と同じとされるが、その特性故にかかる経費も通常の学校とは比べ物にならない。その為、国から莫大な助成金が支給されている。これはもちろん、海外も例外ではなく欧米などでも同じだ。ただ、やはり欧米と比較すると、日本政府が出す助成金は少ないと言わざるを得ないのが現状である。

 

「これでも足りないと言う連中がいるのだからな」

「欧米と同水準にすべきなどと抜かしますが、投資に見合った還元が無い以上金は出せないという話です」

「君を理事長に据えて正解だよ。君のおかげでURAは法案の障害にならんだろう」

「もちろんです。法案成立の為に、尽力させていただきます。ところで法案の提出は今年の臨時国会で?」

「ああ。未だに予算案で紛糾しているからな。新たな財源案として提出する予定だ。君も尽力してくれるならありがたい。法案可決の暁には君の新たなポストを約束しよう」

「はっ、ありがたき幸せ」

 

 深く頭を下げる光武理事長。2人の談話は夜遅くまで続いた。

 






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