元ロシア最強傭兵、祖国に棄てられて亡命したらトレセン学園のトレーナーになりました   作:武装田んぼ

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第2話 異色?コンビ

 

 

 4月1日。

 今日から晴れて、トレセン学園のトレーナーとして正式に配属となったアルチョム・ルイシコフ。

 就任式を済ませ、翌日から3日ほどガイダンスを受ける。同期の新人トレーナーから多少ビビられた以外は、まあ何事もなく済んだ。ガイダンスからトラブルに巻き込まれてたまるか。

 

 そして今日は担当のウマ娘を決める選抜レースが行われる。本格化が始まったウマ娘達の走りをトレーナーが見てスカウトする。逆にウマ娘の方からトレーナーに指名されることも多々あるが。

 

 そしてグラウンドに現れたアルチョム。上下マルチカムのコンバットシャツにパンツ、タンカラーのタクティカルブーツを履き、腰のベルトにはいくつかのタクティカルポーチが付いている。その姿は目つきも相まってどう見ても兵士だ。

 

 もっとも、トレーナーの服装は特に決まりは無いのか、背広からジャージ、タンクトップまで様々だ。陸自迷彩のシャツを着たトレーナーもいる。

 

「とりあえず走る子を確認するか」

 

 タブレット端末でレースに出走するウマ娘の一覧を表示する。その中にトウカイテイオーの名前があった。

 

「あの時の子か」

 

 自販機で出会ったウマ娘。そのあとの購買の一件で一番購入額が高かったのもこの子だ。

 

「他には……バイトアルヒクマ、ミニコスモス、タイプワンベッティ……、まだまだいるな」

 

 ズラリと並ぶ名前。だが、この中で輝けるのはほんの一握りだ。この名簿に載る名前のほとんどはその夢を叶えることなく、競技人生を終えるかもしれないのだ。勝負の世界に慈悲は無い。

 

「俺が担当したところで、そんな上手くいくか?」

 

 漠然とした疑問を呟く。こんなド素人に何ができるんだ? 急に自信が無くなってきた。元から無かったかもしれないが。

 とりあえず走りを見てみよう。そうすれば何か見えてくるかもしれない。

 

 コースの側に立ち、ターフの上を走るウマ娘を観察しながら、講習で学んだことを思い出す。

 あの子の走りはパワーがあるが、テクニックはダメだ。

 その子はすぐに掛かってレース展開を読めてない。

 この子は走りは速いが足を痛めてしまう走り方だ。

 

 知識と照らし合わせてその子の欠点を探り、解決法を模索する。

 パワーを維持しながらテクニックを身につけさせるには、軍で学んだ格闘技を応用できないだろうか? 

 

 レース展開を読むには冷静さが必要だ。戦場で冷静さを保つ訓練を活かせるのでは? 

 

 軍では死ぬほど走って歩いた。足を痛めない走り方ならよくわかってる。それを教えてやれば伸びるはずだ。

 

 なんだ、俺の経験も捨てたもんじゃないな、なんて考えるアルチョム。

 軍隊という身体が全ての世界で5年も過ごしたし、その後のPMC時代では、アフリカ某国の軍隊で教官として指導をしたこともあった。

 〝銃を持った農民〟から〝アフリカ屈指の精鋭〟まで一年半で鍛え上げた経験は伊達じゃない。

 それに今回は人の殺し方を教えるのではなく、純粋にその身体機能の向上を図るトレーニングだ。銃の分解結合を頭に入れる必要もない。

 

 なら、あとは相性の良さそうなウマ娘を探してみるか。

 ふと、近くを歩くウマ娘を見る。

 

「ひっ……!」

 

 まるで殺人鬼にでも遭遇したような目で見られて、その子はどこかに行ってしまった。

 

 目つきが悪いのはわかってる。顎の傷痕も怖く見えるだろう。だがあの対応はあんまりだろう。軽くショックだったが仕方ない。昔からちょくちょくあることだ、もう慣れた。

 

「早速フラれたようだな」

「ああ、どうも沖野さん。初っ端からこれだと参るよ」

 

 振り向くと沖野トレーナーがいた。

 

「そんなもんだ。俺なんかスペシャルウィークの脚触って蹴飛ばされたしな」

「犯罪だろ」

「反省はしてる」

「よくアンタのチームに入ってくれたな、スペシャルウィーク」

「まあ成り行きというかなんというか」

「……そんなのでいいのか?」

「んー、とりあえず難しく考えるな。この子ならってウマ娘がいたらスカウトすりゃあいいし、ウマ娘の方からくることもある。気楽にいけ、気楽に」

 

 アドバイスをもらったが為になるのかならないのか。

 

「それにほら、お前に注目してるウマ娘もいるぞ」

 

 沖野トレーナーが親指を横に向ける。

 

「あ、アルチョムトレーナーじゃん! 来てたんだ」

 

 ぴょいと柵を飛び越えて前に現れたウマ娘。トウカイテイオーだ。

 

「アルチョムトレーナーは担当決まったの?」

「いや、まだだ」

「へぇー、ならボクの担当になる?」

「なって欲しいならそれで構わないが、ちゃんと考えたのか? 自分の将来を左右するぞ」

「えー、だって走るのはボクだもん。誰がトレーナーだって変わんないよ。だったらアルチョムトレーナーみたいな人だと面白そうじゃん」

 

 そう言われて言葉を失う。

 この子はトレーナーの重要性をどこまで理解しているのか。自分の人生を左右しかねないパートナーを面白そうじゃんという理由で決めて良いのか? 

 こういう考えなら、自分が担当するのはやめた方が賢明かもしれない。

 

「すぐに決めるな。ちゃんと自分のこれからを考えて、もっといろんなトレーナーと話してみろ。面白そうじゃんなんて理由はダメだ」

「えー、誰でも同じだよ。なんならトレーナーなんていなくたってボクは走れるよ」

「あのなぁ……」

 

 こうなるとこっちが何を言ってもダメかもしれない。直感的にアルチョムは思った。

 

「まあいいや、じゃあまた走ってくる」

 

 そう言ってテイオーはまたグラウンドに駆け出した。

 

「こっちが何を考えてるかも知らずに能天気な……」

 

 先が思いやられる。トレーナーが一生懸命にウマ娘のことを考えようとウマ娘自身がこれではトレーナーの空回りで終わる。

 

 アルチョムはまたグラウンドを見る。そこで駆けるウマ娘を眺めていると、なぜかアフリカや中東で見た子供達の姿を思い出した。

 あの子たちもウマ娘達のように叶えたい何かがあった。だが、その叶えたい何かは俺が握っていた銃が撃ち壊した。そう考えてしまう。

 

 なら、今の俺にできるのは……? 

 そうだ、ちゃんとウマ娘と向き合い、その子の夢を叶えてやる。俺にできるのはそれだけだ。

 

 そう考えながらターフを見てると、トウカイテイオーが走っている。

 圧倒的な走りを見せて彼女は1着でゴール板を駆け抜けた。

 

「実力はある。あるんだがなぁ」

 

 腕を組み、悩ましげな表情でテイオーを見る。だが、それに反して周りのトレーナーはかなり注目しているようだ。

 

「やっぱりトウカイテイオーの実力は段違いだ」

「ええ、彼女は確実にトップクラスのウマ娘になるわ」

「こうしちゃいられない、スカウトしてくる」

 

 すでに何人ものトレーナーに囲まれるトウカイテイオー。だが、肝心の本人は塩対応だ。そもそもいなくたって走れると言うぐらいだ。アルチョムがさっきしたアドバイスもどこまでわかってくれたことやら。

 

 いっそ変なトレーナーと組んで痛い目見た方があの子の為では、と思うがそれはそれでかわいそうだ。結局あの子が自分で気づいてくれるようどうにか誘導せねば……。

 

 じゃあどう誘導する? 全く見当がつかない。あれこれ悩んでいると、後ろから声がかけられた。

 

「君がテイオーの言っていたアルチョム君だね」

 

 そこにいたのはトレセン学園生徒会長、シンボリルドルフだ。

 

「ああ、初めまして。シンボリルドルフ会長。アルチョム・ルイシコフです。よろしくお願いします」

 

 只者ではないオーラを纏いながら現れたウマ娘に、アルチョムも少し気圧されてしまう。もっとも、そんなそぶりは微塵も見せずに、極めて紳士的に振る舞う。

 

「トレセン学園生徒会長を務めるシンボリルドルフだ。よろしく頼むぞ。見たところどうやらテイオーにスカウトされたようじゃないか」

「まあ、そうなんですが……。俺をスカウトした理由が面白そうとかって理由でして。もう少しちゃんと考えてこいって言ったはいいがあの様子じゃあどうも……」

「ふむ。確かにトレーナーを選ぶ理由は様々だが、その理由では不安にもなるな」

「それにあんだけ注目株なら、新人の俺より実績のある人につくべきだろう。それこそ君のトレーナーの東條さんとか」

「君の言いたいこともわかるんだがな……。どれ、テイオーと模擬レースしてみようか」

「また突然な話で」

「まあ見ておれ」

 

 ターフに立つシンボリルドルフ。それだけでギャラリーがどよめく。それもそうだ。去年七冠を達成し、国内外にその名を轟かせたばかりだ。このどよめきも注目の現れだろう。

 

「私も模擬レースに参加したい。よろしいか?」

「は、はい! どうぞ!」

 

 審判のウマ娘が緊張した様子で返す。

 

「え、カイチョーもレースするの! じゃあボクも走る!」

 

 テイオーは乗り気だ。当然だろう。こうしてレースは行われた。

 結果は……、テイオーの惨敗だ。出だしこそ上手くレースを運んでいたが、中盤でシンボリルドルフに巻き返され、そのまま逆転は叶わなかった。

 

 だが、アルチョムはテイオーの反応を見て違和感を感じた。テイオーはほとんど悔しがっていなかった。トレーナーがいなくたって走れる、というぐらいだ。それほど自分の脚に自信があるのだろう。実際、他の模擬レースでは圧倒的な実力を見せていた。

 

 しかし、それならば例え相手がルドルフであろうと負ければ悔しくて悔しくて仕方がないはずだ。ましてやあの惨敗だ。また、ルドルフが実力の全てを出し切ってないのはアルチョムにもわかった。

 それでもテイオーは笑いながらやっぱカイチョーにはかなわないや、なんて笑っている。どういうことだ? すると、ルドルフが手招きしている。

 

「ここではあれだ。少し場所を変えよう」

 

 ルドルフについていくアルチョム。着いたのは三女神像の噴水が置かれた広場だ。

 ウマ娘の始祖と言われる三女神像。一部では伝説上の存在とされるなど謎も多い。

 噴水の前に来て、ルドルフはアルチョムに尋ねた。

 

「テイオーを見て何か感じたか?」

「まあ、多少の違和感というかなんというかは……」

「ふむ、君の目は信用できる」

「はあ、ありがとうございます」

「違和感について具体的に話せるか?」

「具体的と言われると……。そうですね、実力も自信もあるのに、さっきのレースで惨敗しても悔しさを感じているように見えない……とかですか?」

「君の観察眼は素晴らしいな。一体どこで培ったんだ? ま、余談はさておくとしてその通りだ。もし私がテイオーの立場なら、今頃再戦を申し込んでいるだろう。次こそは勝ってやる! ってな。だがそれもない」

「そうですね……、惨敗を当然の結果として受け入れてる」

「もったいないだろう」

「もったいない、ですか」

「私達ウマ娘のレースへのモチベーションで最たるものはなんだと思う?」

 

 そう問われて答えに詰まる。

 やはり勝利だろうか? いや、その先にある名誉か? あるいは金? いや、金のために動くにはまだ若すぎる。なら名誉か?

 

「……名誉とか?」

「まあ、ハズレではないが……、答えは勝利への渇望だ。誰よりも速く、誰よりも強く。自分の憧れすら超えて勝利を掴む。だが、今のテイオーに憧れたる私を超えたい、私に勝ちたい、というのが感じられない。これが無ければどれほどの実力があろうと埋もれていくだろう」

「勝利への渇望……」

「実力がありながらも憧れを憧れで終わらせてしまい、己の才を発揮できず学園を去ったウマ娘を見たのは一度や二度ではない。だからこそ、テイオーをこのまま終わらせたくない」

「その気持ちはわかります」

「それにこの話はテイオーの担当トレーナーの話も関わってくる」

「……さっき言った東條トレーナーに担当してもらったらって話ですか?」

「うむ。なぜ私の所属するチームリギルに入って欲しくないか」

「同じチームに入ってしまうと憧れのまま終わりかねない……と?」

「そうだ」

「でも入ってみなきゃわからんでしょう」

「同じチームにいたらテイオーは私しか見ないだろうし、それでは超えられない。無論、こうなる可能性が高い、という話だがな」

「その可能性を少しでも下げたい、と」

「そんなところだ」

「ですが、最終的に本人が気づかねば解決には繋がらないのでは……?」

「そこだな……。テイオーがわかってくれるまで何度も何度も走ってやるか。テイオーが目指すべき場所を見つけるまで」

「それでわかってくれますかね」

「あの子ならわかってくれるさ」

 

 そう言うと、シンボリルドルフはグラウンドに向かう。アルチョムはその後を追った。

 そして行われる模擬レース。結果は言うまでもなく、ルドルフの圧勝だ。テイオーの様子はさっきと変わらない。

 

 ルドルフは再びテイオーを言いくるめてレースをする。

 模擬レースといえど、レースである以上は皆本気で挑む。3回目となれば体力の消耗もバカにならない。しかし、ルドルフの走りは相変わらず力強かった。

 それどころか、1回目のレースより速く走っている。これが七冠バの実力か、とアルチョムは畏怖の念すら覚えた。

 

 ふと、ルドルフの後を必死に追うテイオーを見る。先程のレースとは目が違っていた。

 

「3回も負けりゃ少しは変わるか……?」

 

 ルドルフの後を追うテイオー。だが、その差は縮むどころかみるみる離されていく。

 当然だが、ルドルフの圧勝でレースは終わる。

 

「やっぱカイチョーは最強のウマ娘だね! 全然勝てないや」

 

 そう言い、グラウンドを後にするテイオー。その様子を見ながら、ルドルフはアルチョムに話しかける。

 

「アルチョム君。テイオーを見ていたか?」

「ええ。さっきと目が変わってました」

「アルチョム君、テイオーの後をつけてくれ」

「俺がですか?」

「君の顔に放っておけないって書いてあるぞ。それにもうじき日が暮れる。校外に出て、無茶なことをしそうになったら止めてほしい」

「わかりました」

 

 アルチョムはテイオーの後を追っていく。テイオーは校門から出て、河川敷の方に向かった。

 

「こんな時間から何するつもりだ?」

 

 トレセン学園から少し離れた多摩川河川敷。川の両岸に築かれた堤防の上にはサイクリングコースやランニングコースが整備されており、ウマ娘もよくトレーニングなどで利用している。

 そのランニングコースをテイオーは走り込んでいた。

 

「モヤモヤする……! カイチョーに勝てなくて当たり前なのに……!」

 

 ある程度距離を取り、テイオーを眺めるアルチョム。それでも、その仕草や動きから悔しさが滲み出ているのがわかった。

 少しは気づいてくれたか、なんて思い少し安心したアルチョムはしばらくテイオーを見守ることにした。

 

 太陽は地平線に消えていくにつれて、東の空から夜の帳が下りてくる。だが、テイオーは走るのをやめようとしない。今、彼女の瞳には何が映っているのか。アルチョムに知る術は無かった。

 その時だ。テイオーの脚がもつれ、派手に転んでしまった。

 

「おい、大丈夫か⁈」

 

 アルチョムは慌てて飛び出して、テイオーのもとに駆け寄る。

 

「痛ってて……、転んじゃうなんて……。あれ、アルチョムトレーナーいたの?」

「ああ、いたよ。ちょいと脚見せろ。あー、擦りむいてやがる。消毒するぞ、我慢しろ」

 

 テイオーの膝を診ながら、タクティカルポーチから取り出したウェットティッシュで傷口を拭き、消毒液をガーゼに浸して当てがう。

 

「……痛ったい!」

「あまり動くな。ほら、これで大丈夫だ」

 

 擦り傷に絆創膏を貼り、2人は近くのベンチに座った。

 

「あとテイオー、さっきから水分摂ってないだろ。飲め」

「あ、そうだった。ありがと」

 

 アルチョムはスポーツドリンクを差し出す。ドリンクを受け取るとテイオーは一気に飲み干した。

 

「……ぷはっ、喉カラカラだったから助かったよ」

「ったく、無茶すんな」

「だって……、カイチョーに勝てないのはわかっているのにすごいモヤモヤするんだもん」

「3回も負けたらな」

「1回目はカイチョーはすごいなってしか思わなかったけど、2回目の時、少しモヤモヤして、3回目はそのモヤモヤで頭の中いっぱいになって……」

「それは悔しさの感情か?」

「わかんない。悔しいって気もあるけど、なんで悔しいのかわからないし。最初に負けた時は悔しくなかったのに……」

「そうか。じゃあなんで今走ってた?」

「……わかんない。でも走ったらモヤモヤが無くなるかなって思ったから……?」

「言語化は難しいか」

 

 腕を組むアルチョム。彼自身、未だに言語化が難しい感情だってある。まだ子供のテイオーなら尚更であろう。

 

 しばらく2人の沈黙が続いた。日はすっかり暮れ、前に流れる多摩川の水面に月が映る。そろそろ戻らないとまずいと思い、テイオーに帰るよう促そうとしたその時、テイオーが口を開いた。

 

「ねぇ、アルチョムトレーナーがボクの担当になったらボクはカイチョーよりすごいウマ娘になれる?」

「何が言いたい?」

「さっきのモヤモヤの正体がわかったの。ボクはカイチョーを超えたいんだって。カイチョーにもすごいって思われるウマ娘になりたいんだって。アルチョムトレーナーはボクがカイチョーを超えられると思う? カイチョーがボクのことすごいって言うようになると思う?」

「……なれる」

 

 勢いで言ってしまった。この子の言葉に押されたか。

 

「ホント⁈」

「ああ。テイオーならシンボリルドルフを超えるウマ娘になれる」

 

 だが言ったからには引き受けようではないか。なぁに、死ぬリスクは無いんだ。どうにでもなるさ。

 

「じゃあ決まり! アルチョムトレーナー、ボクの担当になって!」

「……一応言っておくが、面白そうって理由だったらさっきと答えは同じだぞ」

「だってアルチョムトレーナーだけだもん。ちゃんと考えてトレーナー選べって言ったの。他のトレーナー、みんなボクのことすごいって言うだけだし」

「……なるほど」

「だからね、そういうこと言ってくれるトレーナーなら信頼できるって考えたの。それにボクをカイチョーを超えるウマ娘にしてくれるんでしょ?」

「ああ。男に二言はない」

「よーし、契約成立!」

 

 そう言うと手を差し出すテイオー。握手を求めてるようだ。アルチョムもしっかりと握手する。小さな手だが、力強さを感じる手だ。

 テイオーの蒼い瞳をしっかりと見る。あの時の難民の子も綺麗な瞳をしていたな、なんて思い出すアルチョム。テイオーは不思議そうにこちらを見る。

 

「さあ、トレセンに戻るぞ。あと、担当になったからにはビシバシいくからな。ちゃんとついてこいよ」

「望むところだよトレーナー! どんなトレーニングだってこなしてみせるもんね!」

 

 翌日、アルチョムはテイオーと一緒に担当申請書類を提出。こうしてトレセン学園に新たな担当ペアが生まれた。

 

 

 

 






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