CyberPunk-OVER the EDGE-   作:コーカサスカブトムシ

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オトン……もうちょいじっくり考えて書いた方がええんやないかな?
一年開くよりはいい!
というくらいの勢いだけで書いたので続き書きます


day after day

【動こうとするのは勧めないわ。あんたはそのまま、質問するのはこっちだけよ。もし動こうとしたらその瞬間、あんたのシナプスを焼き切る】

『V! っクソ……ルーシー! こいつは』

『俺らが言って聞こえる訳ねぇだろ。しかしこいつは、藪蛇だったか?』

 

 冷酷そうな女の声が耳小骨を震わせる。手足指先の反応は未だ鈍く、無理矢理にでも動こうとすれば奴の言う通りに俺のシナプスは焼き切られる───とは思わない。

 手品の経路はホロコール、デイビッドの反応からしても声の主はルーシーで間違いないか。こんな拙い回路からクイックハックで身体の動きを止める、止めているように『演出する』とはアラサカが見込んだランナーなだけはある……だが俺もランナーじゃないが全く知識がない訳じゃない。

 

「ふんっ」

『な、V!?』

【チッ……】

 

 サイバーウェアに掛けられた停止信号をICEで散らし、身体の自由が戻ってきた瞬間宙を駆ける。ジャンプ、空中ダッシュ、強化腱を用いた空中での再跳躍により加速した俺は周囲の監視カメラや防衛用タレットに感知されない路地裏へと転がり込む。

 

『こいつ今何した? 空中走ってなかったか今?』

『は? そういうサイバーウェアがあるんじゃねぇのかよ……』

 

 今俺に掛かってきているホロの番号と、さっき俺がデイビッドに教えて貰って掛けた番号は違う。恐らく古い方の番号はブービートラップのような形で残してあるんだろう。あの番号にコールが掛けられた時点で繋がりはしなくてもルーシーへと通知が行き、相手を探知する形で掛け直す。

 相手が昔の知己であればよし……いや、それも繋がりを辿ったアラサカなんかの企業が利用している可能性を考えれば疑い半分ってところか。俺のような見知りもしない傭兵から掛かってきたホロなんか尚更だ。

 

【あんた……命が惜しくないの?】

「そんなわけないだろ。ホロコール越しに相手の脳を焼き切る技術なんてものがあるならこの世の権力者はみんな消されてる。お前が優れたランナーなのは知っている……いや、その前提で来た相手にこそ刺さるハッタリって訳だな」

 

 さっき俺の身体が動かなかったのはハッキング、デーモンとは恐らく違う。ブードゥーが市民への脅しに使う『呪術』……ホロコール越しに特殊な高周波を流してインプラントを一時的に麻痺させ、あたかも命を握っているように錯覚させて良いなりにする手口のそれに近いと判断した。

 だからあの場では命の危険は無かった、というのもまた違うだろう。言葉で俺をあそこに縛りつけている間にホロの電波を探知、周辺のカメラをハックして直接俺にデーモンを送りつける……そういう動きは出来るはずだ。だからこうして電子機器にも映らない物陰へ身を潜めた。

 

「お前が俺を警戒するのも最もだ、だが誓ってフィクサーやコーポの雇われなんかでも無ければお前自身の身柄をどうこうしようって思惑がある訳じゃない」

【そんな言葉を信じろって?】

「アラサカの手の物じゃないって最たる証拠になりそうな事件があってな……俺はV。少し前あった紺碧プラザでの皇帝、サブロウ暗殺の最有力容疑者だ」

【……V? あんた、が?】

 

 実際にサブロウを殺したのは息子のヨリノブだが、今アラサカのトップにいるのはそのヨリノブだ。サブロウの遺体から毒物が検出される事もなければ、その首にヨリノブが首を締めた痕が残っていようが、犯人はあの日紺碧に忍び込んでいた2匹の鼠になる。

 紺碧の警備と追って派遣されたアラサカの精鋭が返り討ちに遭い、挙句にアダム・スマッシャーまでもが出動して犯人確保には至らなかったという失態。面子の為か俺とジャッキーが指名手配される事もなくニュースで直接俺とジャッキーの情報は流れなかった。だが、アラサカの動向には目を光らせているだろうルーシーならば知っている筈だ。

 

「そんなやつがアラサカの為に仕事をする訳も、アラサカが仕事を寄越す訳もないだろ?」

【……私を見つけ出すのを条件に恩赦を受けた可能性もある】

「お前がアラサカに狙われている、追われているのは事実だろう。だがそれでも所詮は1ランナーだ。アラサカの皇帝殺しと釣り合う程の価値があるなんて思い上がりまではしないだろ」

 

 ここまで言ってもあくまでアラサカの手の者である可能性が低いってだけで、他のコーポやらフィクサーやらの差金って可能性は消せないが……ルーシーの身柄が欲しいのは話を聞いた限りアラサカだけだったようだし、暗殺事件に関してもアラサカ自身が箝口令を敷いた事案だ。そこから彼女の身柄を求めに行くってのは少し飛躍が過ぎる。

 

【……一先ずはあんたが何処かの回し者じゃ無いって事にはしておいてあげる。だけどそれなら尚更わからない、あんたが私を探してる理由も、私の昔の番号を知ってる理由も】

 

 知ってる奴は、殆ど死んでるから。そう溢したルーシーの声には先程まであったような殺意の滲み出るような冷たさは無く、孤独と寂寥が漏れ出したか細さがあった。その言葉にデイビッドも沈痛な面持ちとなり、ジョニーは……

 

『気をつけろよV、俺の男としての勘が囁いてる……こいつはとんでもねぇメンヘラだ』

『殺すぞお前』

 

 ……まぁいい。ここからはより言葉を選んだ方が良いだろう。下手に最初からデイビッドがデジタルゴーストとして俺の中で生きている、なんて言うと却って顰蹙を買いかねない。だがとりあえず先に、食いつかせよう。

 

「俺がお前の、昔の番号を知ってる理由な……聞いたからだよ、デイビッドに」

【〜〜〜っ!!! ……そ、う……知り合いだったんだ、デイビッドと……】

 

 デイビッドはルーシーの為に生き、スマッシャーと対峙して足止めをした末に命を落としたが……そのルーシーもデイビッドの為ならば死も厭わなかったのだろう。彼女はアラサカがデイビッドを調べる為に走らせたランナーを始末していたらしいが、銃弾くらいしか痕跡の残らないチンピラ同士の殺し合いと違って、ランナー同士のハッキング合戦というには余りにもリスクの高い行為。

 それをするだけの関係性……それだけデイビッドを愛していたというなら、その知己である事も匂わせておけばいくらか話も聞いてもらいやすくなる。

 

【……ねぇ、デイビッドとは、どういう関係だったの?】

「これに答えない事でお前の中にはそう騙っているだけなのか、そういう疑念が産まれるだろう。だから敢えて先に……それは言えない、が俺の話す事を聞けばすぐにわかる。だからそこは一旦置いておいてもらいたい」

【……わかった】

 

 情報の不開示なんて怪しさを助長するだけだが、その質問には大前提であるRELIC強奪とその端末の話からしないと突飛過ぎる。その点で不信感を抱かれるかとも考えていたが、まだ問題なさそうだな。そしてそこさえ越えたなら後は順序立てて話していくだけだ。

 デクスを通したエヴリンからの依頼とその顛末、RELICを手にした俺がどうやって紺碧を脱して……そして死に、生き返ったのかを。

 

 

 

 

 

 久しぶり『その通知』が鳴った時、ありもしない希望に縋った私はまさかと思った。一時期はよく掛かってきた……昔のちょっとした知り合いが抱き込まれるなり、番号を調べるなりしていたことがあったから。でもこの半年はまるで音沙汰もなく、その機能を残しているのもわざわざ消す理由もないから、それくらいで。

 でも当然昔の番号に電話を掛けてきたのは『彼』じゃなくて、私の知ってる奴でも無かったから、どうしようかと思った。あの頃は黒ならすぐに始末するかまた逃げるかってところだったけど、今回の電話はかなり間が空いてた。

 だからとりあえずカマを掛けてから、どういう相手かを聞き出して対応を考える事にした。想定外だったのは電話先の相手が無知じゃなかった事、それを置いても実行に移せるだけの胆力があった事。居場所を割り出す前にそいつは何の目にも付かない場所まで退避したらしいから、逆探知も無駄になった。

 それでも私は何故か電話を切ろうというつもりになれなかった。こうして話を続けるだけリスクでしかないのに、それとも何か予感がしたのかしら。今更になって私に掛かってくる電話っていうのがどういう物なのか……

 電話先の相手、傭兵はVと名乗った。私は……こいつを知っている、というか忘れる訳も無い。どうやら向こうは覚えてないみたいだけど……サブロウが死んだ日にノーテルモーテルですれ違った、フィクサーに始末されていた筈の男。

 私としてもサブロウは憎いなんてもんじゃないからあの時は密かによくやってくれたなんて思ったけど……まさかそんな相手が今になって関わることになるなんて。

 

「それで? デクスに撃たれて死んだ……それで終わりならこうして話せちゃいないでしょ?」

【あぁ、俺達が盗み出したチップ……RELICは広告で打ち出されてるような他人の擬似人格とコミュニケーションが取れるなんてものじゃない。チップに刻まれた情報が宿主の脳と肉体を焼き潰して……本人として成り変わる、蘇らせるチップだったんだ】

「あの男のやりそうな事ね。でもそう考えるとあのサブロウがむざむざ殺されてやったってのも信じがたいし……何か考え、て……」

 

 紺碧プラザでVがやろうとしていた仕事はサブロウを殺すことではなくヨリノブが持っていたチップ、RELICの奪取。ケースが破損してそれを自分の中に入れて……つまり今の彼の身体は別の何かに乗っ取られようとしているって事? そしてそれが……私の番号を知っていた事に繋がるって、そのチップの中にいたのは『誰』なの?

 

「っ、ふ……はっ……はっ……」

【おいどうした、大丈夫か?】

 

 希望を持たされてから落とされるのは辛い。けれども浮かんできたその可能性に、どうしようもないくらいの動悸が襲ってくる。もしも、もしも『そう』だったなら、それはつまり彼が、彼の、死体は、結局……どうなったかわからない訳で……

 

「だい、じょうぶ……大丈夫だから、それで、それが……?」

【あ、あぁ。俺に差し込まれたチップは俺の仮死をきっかけに作動して、肉体を乗っ取るためにまず破損したソレを再生させ始めた……それが俺の生き返った理由。そしてそのチップに入れられていた、アラサカが抜き取りRELICとして作り替えた人間の人格達】

 

【1人は50年前のアラサカタワー襲撃、世界的なロッカーボーイでもある銀腕の男……ジョニー・シルヴァーハンド】

 

【そしてもう1人が、だ。去年アラサカタワーを襲った最新鋭の街の伝説……お前のインプット、デイビッド・マルティネスだ】




単純な男なんで感想とか評価とかしてもらってウレシイを得ると乗せられて頑張れるかもしれませんよ()
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