CyberPunk-OVER the EDGE-   作:コーカサスカブトムシ

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アウォンチュアウォンチュアウォンチュがうるさすぎるので初投稿です


レリック

「予想通り簡単なロックしか掛けられてないな。ならこうして……よし、これでいい」

 

 ジャケットを脱ぎ、シャツの袖を捲り上げたVは自身の両腕……戦闘用インプラントである『マンティスブレード』に掛けられたセキュリティーを解除する。この紺碧プラザを利用する人間はコーポや政治家などの富裕層がメインであり、このようなインプラントを着けている者は少ない……かと思えばそうではない。寧ろ逆であるとさえ言える。

 傭兵とフィクサー、そこにコーポの組み合わせというのは一見妙なように見えてこの街ではありふれている物だ。ライバル企業の重役や研究所が保持している情報、それらを窃盗する為にコーポが足のつかない手先としてフィクサーに金を払う。そこからサイバーパンク、エッジランナー達を動かし、秘匿されているプロジェクトを明るみにするというのも珍しい話ではない。

 そんな事情があるからこそ、狙われやすい身にある彼らはその肉体に護身用のクロームを施すのだ。アラサカがある程度階級の高い社員に高品質のマンティスブレードを装着させている事は有名ですらある話。日夜鉄火場を駆け抜け、漸く集めた金で買い付けたクロームを着けた一端のゴロツキが、上質なクロームと戦闘用チップに支えられた企業務めに返り討ちに合うというのもありふれた事。

 故にVがマンティスブレードを装着している事に関して疑問を感じる者などいないのだ。突っ込んだ話をするならば、スキャンに掛けた時にそのクロームの品質が武器商人の物の割にグレードが低いというので怪しむ点にはなりうるが、そこまで気に掛けられる者は居なかったようだ。

 

「おお、流石はテッキー。手際が良いな」

「なに、言った通り簡単なロックなんだ。これくらいは教えたらジャッキーでも出来るさ」

 

 ジャキンッ、と展開されたブレードを構え、その動作を確認するV。マンティスブレードは接近戦において無類の強さを誇るサイバーウェアだが、その扱いは非常にデリケートだ。折り畳み式である為定期的に点検をしておかなければ動作不良の元になりうるし、それがいざという時に起きたら……どうなるかは言うまでも無い。

 周りにぶつからないように腕を振り回し、問題なく使用できる事を確認した彼はブレードを格納して元通りの腕に戻す。シャツを下げてジャケットを羽織り直すとそのままボフンとソファーに身を投げる。

 

「それにしても……一万もするテックが使い捨てか、大した仕事だ」

「バグがICEを抜くまではまだかかりそうか、こっちもこっちで流石だな」

 

 ホテルに持ち込んだフラッドヘッドはその用途を既に達成し、経路が辿られぬようにした後そのまま廃棄する事になった。回収して離脱するのがベターではあるのだが、ヘッド自体がネットを警備しているランナーに掛かり切りになっているのでそうもいかない。

 そこからT-バグがホテル全体のネットに攻撃を仕掛けている間にVはジャッキー共々手持ち無沙汰になった為、ロックの掛けられた腕を弄っていたのである。

 

「だがお前さん、いつマンティスなんて入れたんだ? オールフーズでミリテクとやり合った時にはそんなん着けてなかっただろ」

「連中から受け取ったデータバンクでフラッドヘッドの支払いはしたんだがな、プロトコルがぬる過ぎてエディーのデータが複製出来たんだよ。ごっそり一万、ミリテクの財布にご馳走になった形だな」

「なんっ……お前って奴ぁ抜け目無ぇなぁ!」

 

 目を剥いて驚いたジャッキーだったが、それもすぐ大きな笑いに変わる。一連の騒動ではミリテクがほとんど割りを食った形になったが、コーポの事を好いているサイバーパンクなど殆どいない。迂闊なミリテクを一頻り笑ってやったジャッキーはやおらに席を立ち、一面ガラス張りかなっている窓を見つめた。

 

「どうしたジャッキー」

「いやなに、俺達にゃこんな景色縁も所縁もねぇけどよぉ。すんげぇもんだって思ったのと同時に……不思議に思ってな」

「何をだ?」

「ヨリノブ・アラサカだよ。昔の話だけどよ、こんなもんを奴は自分から捨てたんだぜ? 使い切れねぇような金も、ストリートのガキじゃ受けられねぇような教育もあって、何より親父は世界最強の独裁者みたいなもんだ」

 

 得心するV。今回自分達がチップを盗み出す相手……ヨリノブは大企業を持つサブロウ・アラサカの息子として産まれ、この世の何よりも恵まれた存在として生きていた。何もかもを与えられた存在であるヨリノブだが、ある日彼はアラサカの元を飛び出したのだ。

 今でも語り種になる<鋼鉄の龍>、彼が東京で結成した反グレの集団……同じ日系ギャングのタイガークロウズとは比べる事も出来ない木端の集まり。そうした活動などで度々サブロウの反感を買うような真似ばかりをするヨリノブだが、どうして恵まれた環境でその様な真似に走るのかがジャッキーにはただただ不可解でならなかった。

 

「こんなすげぇホテルをよ、何の気も無しに……もしかしたらこれでもショボいなんて思ってるのかもしれねぇな」

「反アラサカと言えばシルヴァーハンド……SAMURAIのファンだったって話も聞くな。まぁ拗らせた反抗期ってやつだろう、父親が偉大なだけ……しょうもない自分に対するな」

『お話が盛り上がってるところ悪いけど、こっちの仕事は終わったわ。行動開始よ、ヨリノブのペントハウスからチップを盗りに行って』

 

 二人の会話に割って入る様なバグからの連絡、室内の警備システムを無効化し部屋へのエレベーターを呼び出す手筈が整った。衣服を整えたV達は堂々とした足取りで、これから盗みを働くとは思えない程自然な足取りで部屋を出てエレベーターへと向かった。ヨリノブが滞在している部屋は紺碧プラザの最上階、階層を示すランプが目まぐるしく上昇していく。

 

「……シルヴァーハンドといやぁ、良いジョークを思いついたところなんだが」

「流石に後にしとけよジャッキー。さて到着だ」

 

 部屋に入ったVとジャッキーは念のため室内を見渡し、警備システムが切れている事を確かめる。ジャッキーはRelicの入ったケースを回収しに向かい、Vは行き掛けの駄賃とばかりにベッドの横に置いてあったヨリノブの特注銃、リバティCONGOUを引っ手繰った。近くにあった弾倉を入れ、何かあった時直ぐに抜き放てるようジャケット内のホルスターに仕舞い込む。ボンボンが作らせた銃なのだろうが、そこまで悪い物では無さそうだ。

 

「よし、BDの情報通りだな。後はデラマンを呼んで紺碧からおさらばするだけだ」

「終わってみりゃなんて事無かったな! エレベーターは……あ?」

 

 専用の冷蔵庫からチップが入ったケースを持ったジャッキーが撤収の為足を進めた所で、呆気に取られたような声を出した。バグから緊急の連絡が入るがVもジャッキーも、どうしたものかと流石に狼狽した。

 

『ヨリノブが戻ってきた! エレベーターで上がって来てる!!』

「なっ……あいつの動向はどうしてたんだバグ!」

「オイ、オイオイオイオイこの部屋はエレベーターと直通だぞ!? しかもこれ一つ……どうやったって逃げられねぇ!」

『ひとまず何処かに……モニターの裏に隠れて!!』

 

 運も実力の内と言う。どれだけ綿密に建てた計画、上手くいっていた作戦もたった一つの偶然によって全てが瓦解する事はある。現にVもジャッキーもここまで失点らしい行動は取っていない、ヨリノブが今部屋に戻って来ているのも……誰にも把握する事の出来ない秘密の所用があるからというもの。

 ディスプレイの整備用扉を開き、その中に隠れ込むVとジャッキー。内側からは外が見えるが、逆に外から中は見えない……だがそうとわかっていてもこの状況は大いに不安を駆り立てる。そうしてエレベーターがこの部屋に辿り着き……

 

【…………】

 

(出、出やがった……っ!!)

 

 戦慄に冷や汗が滝のように噴き出し、息をするのも忘れそうになるそのプレッシャー。開いた扉の中から姿を現したヨリノブ・アラサカとそのガード、アダム・スマッシャー。ジャッキーはこの場に似つかわしく無い想い、この街のレジェンドとの邂逅に僅かばかり高揚を覚えたものの、流石にそれを良しと出来る程能天気ではなく緊張に歯を食い縛った。

 

(…………なん、でだ。脅威検知が、作動してる、気づかれて、いやでもやつは……)

 

 一方でVはVで混迷の最中にいた。ヨリノブがこちらに気づいていないことから、モニターの外から自分達二人は見えていないのだろうと察することは出来る。だがしかし、Vが眼球として入れているインプラントのキロシ……そのパーツとして組み込んでいる脅威検知器が、アダム・スマッシャーが此方に気づいていると警鐘を鳴らしていた。

 

(何を考えているんだ、スマッシャーは!)

【……】

 

 




PS4でもイグアナ育てさせてくれー、やっぱり色々PS5の方がいいんだろうがいつになったら普通に買えるんだ
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