CyberPunk-OVER the EDGE-   作:コーカサスカブトムシ

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他の方がサイバーパンク二次が日刊一位にいるっ!
めちゃくちゃに面白くて触発されたーっ、投稿開始だGOー!

原作死亡キャラ生存タグを付けておいて大変申し訳ないのですが、死亡したけどこの作品では生存するキャラと原作通りに死亡してしまうキャラがいます……ご了承を……


夢の終わり

 彼の存在を一言で表すとするならば、それはずばり『アラサカ』だ。アラサカの開発したサイバーウェア、アラサカの開発した戦闘チップ、アラサカが入手した別企業のインプラント、アラサカの知識、アラサカの人手、アラサカの資金。その男にはアラサカの全てが注ぎ込まれているといっても過言ではない。

 世界的大企業であるアラサカが、たった一人の人間に何もかもを投資する事を厭わない。何故そんなことをするのかと言われれば、勿論それがアラサカにとって代え難い利益となるからだ。それはつまるところ、かの企業が抱える『最強』の兵器として。

 

【震えて潜むだけしか出来ないネズミかと思えば、中々どうして出来るらしいな】

 

 アダム・スマッシャー。かつては企業戦争で精強たる傭兵達を悉く殺し、今もなおアラサカに弓引く存在に死を齎す処刑人。相対すること自体が死と同義であるとされ、伝説と呼ばれる傭兵達の死因が彼の出動であるという話も珍しくはない。

 2076年、サイバースケルトンを身につけアラサカタワーを襲撃したエッジランナー、デイヴィッド・マルティネスの死がそうであったように。

 

「うおわああああああっっっ!!!!」

 

 決して間違っても、アフターライフの出入りが今日許されたようなアマチュアの傭兵が挑んで叶うような存在ではない。だからその行動は窮鼠が猫を噛もうとしただけの物。もっとも彼我の戦力差は蟻が巨象に挑むに等しいものではあるが。

 ジャッキーの携えたクラッシャーが火を噴く。ミリテク製のパワーショットガン『クラッシャー』はマックスタック隊員が使用する程のポテンシャルを持ち、傭兵にも人気の高い散弾銃だ。マガジン式であり12発という大容量、連射により高い制圧力を誇るクラッシャー……しかしそれを至近距離に、まともに受けていながらアダム・スマッシャーのボディには傷一つ付けられず、それどころか身動ぎさせる事も能わない。

 

「─────っ!!」

【勇気だけは認めてやろう】

 

 大きく振りかぶられたスマッシャーの剛腕、大袈裟なまでのテレフォンパンチ。だが対面したジャッキーはその動きに鎌を振り上げた死神、吊り上げられたギロチンの刃を幻視した。そして数秒もしないうちにそのビジョンは現実となって彼の身に降り掛かる事となる。

 最もそれは、彼がただ一人であったならばの話だが。

 

バヂィイイイイインッ!!

 

【……面白い】

「っ、逃げるぞっ!!」

 

 ブオンッ、とスマッシャーの腕が宙を切る。機械仕掛けの巨躯が塞ぐようにしているエレベーターの扉。その隙間を縫うようにしてジャッキーの身体を引っ掴んだVがサンディヴィスタンを起動、超人的速度で死地から一気に脱出した。

 サンディヴィスタンは正しく先手必勝のクロームだ。アダム・スマッシャーも当然それを搭載しているし、その性能はVのような一介の傭兵が身につけている物とは比較にならない。

 だがサンディヴィスタンを起動する……スマッシャーがVの動きを見てその判断を行動に移すまで、ほんの僅かではあるがどうしてもVだけがサンディヴィスタンを使用出来る瞬間が存在する。その特性が二人の命を救った。

 次の瞬間起こる爆発、すれ違い様にVがエレベーター内に放り込んだ幾つかのハンドグレネード。人体であれば容易に黒焦げのミンチを生成するであろうその爆炎でさえも、その特殊合金製の身体を煤で汚すだけ。

 しかしVの目的はそれではない。衝撃を感知したエレベーターの扉が中にいる人間を守る為、マニュアル通りにその扉を閉じてロックを掛ける。ジャッキー達を殺す為にエレベーター内に足を踏み込んだスマッシャーは、そのシステムによって閉じ込められる形となった。

 

『今すぐ御乗車していただく事をお勧めします』

「わかってんだよそんなこたぁ!!」

「デラマンッ!! こっちに寄せ……っ!!」

 

 平坦な調子の機械音声、デラマンからのホロコールに苛立ちながらも走る二人。ドアを全開にしながら二人の元へ走って来るタクシーの姿に安堵を覚えたその瞬間、背後から響いた轟音……途轍もない衝撃で金属がひしゃげた音に二人の背筋は凍り付いた。

 ガシャンッ、ガシャンッとゆっくりと、そして駆け出したその足音。それを耳にしたジャッキーは堪らずそれを排除しようとした、してしまった。意味がないとわかりながらも半ば反射的に、振り返って引き金に指を掛けた。

 

「あ……おわああああああああっっ!!」

「よせジャッキー!」

 

 ドウンッ、っと銃声が『二発』。溢れ出る血潮と共に地下へ響く、地獄の悪鬼のような笑い声。ジャッキーがソレを理解したのは一瞬後の事だった。

 

「うぐ、ぉぁ……」

「ジャッキーッ! っ、クソがあああっ!!」

 

 スマッシャーの腕に内蔵されているマシンガン。その銃口から放たれた凶弾はジャッキーの皮下アーマーを容易く貫通し、呻き声を上げながら彼は力無くその場に崩れ落ちる。

 激しく慟哭するV。それでも理性を手放さずにジャッキーの肩を支えて走り抜け、ようやく辿り着いたデラマンタクシーへ飛び込むように乗車する。

 スマッシャーの腕からは依然として弾丸が放たれてはいるものの、口径の都合とやはりそこは高級タクシーとして名高いデラマンの防弾性能によりその車体をズタズタにするものの貫通には至らない。

 

「デラマン、飛ばせえっ!!」

『御乗車あr戦闘モードに移行します』

 

 Vから悲鳴に近い激が飛び、規定の挨拶を打ち切りながら緊急事態用システムへと切り替わるデラマン。ギュルギュルとタイヤがアスファルトに痕を着けつつも即座に加速し、最高速度で駐車場を飛び出す。地上に押し寄せていた警備員を撥ね飛ばし、或いは引き潰しながらも紺碧プラザを脱していく。

 マックスドク、バウンスバックといった応急の医薬品をジャッキーに対して使用するVだったがその効果は芳しくない。白地のシートを流れ出る血が赤く染め上げていく。

 

「ぐぉぁ……っ、血が、止まらねぇっ……」

「っ、デラマン! 予定は変更だ、待ち合わせのモーテルより先にヴィクターの診療所へ……」

『脅威度の高い存在に追跡されています』

「なんだって!?」

 

 弾かれたように振り返ったVが目にしたのはプラザの入り口に立ち、今にも駆け出さんとするスマッシャーの姿。ヤバいと思ったのも束の間、座席へ預けていた愛銃『レキシントン DYINGNIGHT』、その隣にあったジャッキーの愛銃『ヌエ LA CHINGONA DORADA』を取り出すと窓から身を乗り出して後方へと銃弾をばら撒く。

 

バヂィイイイイインッ!!

 

 それと同時にサンディヴィスタンを起動。虚空に向かって放たれた弾丸の動きがゆっくりと遅くなる中、Vはびっしりと額に汗を浮かべる。ある種の確信を持ちながら、一見して無意味に見える銃撃を続け……

 

バヂィイイイイインッ!!

 

「そりゃあそうだよなぁっ!」

【……小賢しい】

 

 サンディヴィスタンを起動したスマッシャーが道路を走っていた車を弾き飛ばし、不運にも道を横断していた人間を挽肉に変えながら猛追。時速数百キロにまで到達し、紺碧プラザからそれなりに離れつつあったタクシーの元へあっという間に辿り着く。

 今度は腕からランチャーを展開し車諸共吹き飛ばそうという算段だったようだが、Vが予め張っていた弾幕の中では高品質の兵器と言えども使用に差し支えがでた。

 自分よりも速く動くことの出来るスマッシャーに対してこれ以上無い程に肝を冷やしたVではあったが、このタイミングでスマッシャーに搭載されているサンディヴィスタンにも制限時間が来る。如何にアダム・スマッシャーが人外の域にあるクローム耐性を持つとは言え、無制限に使用出来るサンディヴィスタンと言うものは未だに開発されていない。

 デラマンとスマッシャーの距離が離されていく。いまだサンディヴィスタンのクールタイムの明けないVに対してスマッシャーはあと数秒といったところだったが、窓から絶え間なく放り出されていた閃光手榴弾が追跡者の視界が眩ませた。

 

「ざまぁ、みやがれっ……!」

 

 眼球までもが高性能インプラント、それを高性能のゴーグルで覆っている為スマッシャーの目を潰す事は出来ないが、放たれた光そのものを無効化する事は出来ない。視界が閃光で埋め尽くされ、それがようやく晴れた時にはもうタクシーは街中へと消え去っていた。

 

 

 

 

 

「やった……っ、やったぞジャッキー! あのスマッシャーを振り切ったんだ! これで俺達も……っ」

 

 かつては史上最強と名高い傭兵『モーガン・ブラックハンド』とも拳を交え、数多くの傭兵の墓場に送ったレジェンド殺しのリビングレジェンド、アダム・スマッシャーの手から逃れた。逃れただけに過ぎないがその事実がVをハイにさせる。

 拳を車の天井へ叩きつけ、相棒へと声を掛けようとしたその瞬間……血だらけで衰弱しきったその姿に素面へと引き戻された。力なくジャッキーの手がVの顔に触れた。

 

「おい、おいおいおい嘘だろっ……急げ!」

『ウェルズ様は重症を負っていま』

「うるせえっ!! 見りゃわかんだよっ!!」

 

 怒りのままにデラマンの男性型アバターの表示されているモニターを殴りつける。意識が朦朧としつつあるジャッキーの肩を揺さぶり、Vは彼に声を掛け続けた。

 

 

 

「しっかりしろジャック、もう少しだ! 金を何に使うか考えとけ……」

「うぅ……おお……」

 

 彼らが初めて会った時、ジャッキーは車を盗もうとしていたVに割り込むように銃を突きつけた。

 

「これからはもっとデカいヤマが待ってる! そうだろ?」

「お前は大金持ちになるな……間違いねぇ……」

「違う! 俺とお前、二人で大金持ちになるんだ!」

 

 それから二人ともNCPDにしょっぴかれ、頬をさすりながら仲良く飯を食った。

 

「っ、頑張れジャッキー! ミスティやお母さん、大切な人達がお前を待ってる! ジャッキー!! 目を開けろ!!!」

「……ミスティの言う通りに、しときゃなぁ……」

 

 コヨーテ・コホで酒を飲みながら、二人で夢を語った。このコンビでナイトシティの天辺に登り詰め、伝説になってやろうと。

 

「V……」

「ジャッ、ク……」

「すまねぇ……」

 

 ジャッキーが血に濡れた手でソケットからチップを抜き出し、Vの手にそれを握らせる。

 それが二人の傭兵が思い描いた、夢の終わりだった。




生存ifは大変素晴らしい物だと理解してはいますが……彼は死んでこそのサイバーパンク2077だと思ってしまっています。追い詰められているVに対して彼がいるだけでだいぶ支柱になってしまう。助けを求めることが出来てしまう……元よりレリック二本差しの発想が執筆の契機で、避けられない展開でした……
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