もしかしてラスボス枠…ってコト!?   作:山吹乙女

2 / 2
 おはようございます
 お待たせしました、続きましたね…今後も細々と書いていくかもしれません



第二話 戦術予報士

 

 アーモリーワン外壁に張り付き、エクステンデッド三人組の脱出を見送るピンク色に塗装されたモビルアーマーエグゼス、そのコックピットの中では仮面をつけた金髪の男性が一人でに呟く

 

「あらら、スティングとアウルは被弾しちゃってるじゃないか、見積を誤った俺のミスかな?…それとも」

 

 もう一つの可能性を考えた仮面の男、ネオ・ロアノークはワイヤーで固定されたエグゼスを外壁から切り離し、アーモリーワン内部から出てくると予想される追手を迎撃するため体制を整えた

 

 

◆◆◆

 

 

 アーモリーワン内部でビーム兵器の使用が躊躇われていたわけだが、エクステンデッド組の技量はなかなかの物だった。原作では一時的とは言え実質シンが一人で凌いでいたのだから十分主人公のポテンシャルはあったのだろう

 しかし原作通りアーモリーワンから逃してしまったのはいただけないか

 

『シン、ノア、無事か』

 

 アーモリーワン外壁の穴の前でレイのザクファントムから通信が入る。確かレイはエクステンデッド組との交戦をしていた気がするが、私の存在で原作より撤退が早まった可能性があるが、ここで合流する分には問題ないな

 

「レイ、シンも私も無事だ、しかし強奪された機体は外に脱出した。敵の母艦が待機していると予測できるが、大した戦力での迎撃は恐らくないだろう。ミネルバにはこのまま敵を追うことを伝え私たちも外に出るぞ」

 

『外に出て行って大丈夫なのかよ』

 

「私の考えが正しければ問題ない」

 

『…ノアのことを疑うつもりはないが、考えを聞いてもいいか?』

 

 やはりレイは冷静だな、セカンドステージの機体を外に逃してしまって一刻を争うといった状況だが、敵が艦隊規模での迎撃をしてくることを想定してミネルバとの合流を優先しようとしたのだろう

 

「いや、当然の疑問だな。正体不明の部隊が攻めてきて恐らくデータは漏洩されている、敵が万全の状態で待ち構えていると考えるのは妥当だろう。だが敵の大部隊が外で待ち構えていることは無いと断言できる、ただでさえ潜入が困難なザフトのお膝元であるアーモリーワンで戦闘をしたのだから、この作戦は向こう側からしたら最低限の戦力を搭載した高速艦一隻で行う電撃作戦だろう、でなければ強奪時に基地のモビルスーツを破壊して追手の数を極力減らそうとせず、撤退後にアーモリーワンそのものに外から打撃を与えたらいいわけだからな」

 

 自分自身急いでいることもあり、淡々とした口調でレイに説明してしまったが、レイは驚きと納得の表情を持って笑みを浮かべた

 

『なるほど…まさか戦闘中にそこまで考えていたか、戦術予報士の名は伊達ではないな』

 

『やっぱりノアはすごいな…』

 

 二人からの尊敬の視線が熱いな、原作知識の裏付けがあったとは言え現状の状況とエクステンデッド組の動きから直に戦術予報を披露するのはやはり気恥ずかしいところがある。シンに至っては、某団長みたいな感想を言ってしまうくらいだし、私からしたらSEEDで覚醒できるシンの方がすごいと思うけど

 

 ミネルバには敵部隊(アンノウン)が高速船一隻での電撃作戦であることを戦術予報として伝え、このまま宇宙へと進出する

 

 出て行った瞬間、センサーに熱源を捉える。正面斜め二時の方向と側面から恐らくコックピットを狙った横からの射撃のアラートが同時に鳴り響く

 先頭で出て行ったこともあり、私が最初に狙われたか…流石モビルアーマーで戦い慣れたムウ_ネオさんだな、狙いが正確な上にコックピットや関節部分ばかり狙おうとしてくる

 

「シン、レイ、気を付けろ!敵はオールレンジの攻撃を仕掛けてくるモビルアーマーだ!」

 

 危なげなく避けながらシンとレイに指示を出す。GN視力検定*1をクリアした私なら避けられる範囲だな

 

『モビルアーマーだって!?』

 

『くっ、この感覚』

 

 レイがやはり何かを感じ取ったか…レイとムu_ネオさんに一体どんな因縁があると言うのだ…私の見立てでは恐らく最終回から一つ前の話でレイとムウさんが激戦を繰り広げるのだろう、戦術予報士として認められた私の見立ては間違いないはず…

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

「さぁてと、まずは先頭のゲイツからご退場願おうか!」

 

 エグザスからガンバレルを二機切り離し、指揮官用ゲイツのカスタム機を取り囲むようにして展開するネオ・ロアノーク、しかし一向に当たる気配はせず、更に計四機あるガンバレルの全てで取り囲んでもまるで撃ってくる方向がわかっているかのように掠りすらしない

 

「おいおいマジかよ…まさか君か?ウチのステラ達を撤退に追い込んだイレギュラーは」

 

 イレギュラー的技量ではあるが何か特殊な感覚は感じず、感じるのは随伴機である白色のザクファントムからであり、妙な感覚に囚われる

 

「しかしここまで当てられないのは久々だな、ラウ・ル・クルーゼ以来か?…ラウ・ル・クルーゼ………誰のことだ?」

 

 自分の知らない名前が自分の口から出てきた妙な感覚にネオは陥る。例えるなら呼吸のいらない体で水中に落ちて行っているような、何か大事なことを忘れているような、奇妙な感覚に囚われガンバレルの操作に半ば集中できずにいた

 

 ただでさえ三機の機体を相手にしている上に、集中できなければ単調な動きとなり、数刻の末ガンバレルの一機をゲイツに落とされ、続く形で随伴機のザクファントムにも一機落とされる

 

「あわよくば新型を鹵獲しようと思ったが。そうは問屋が卸さないようだな…ここは引くとするかね。それではまた会おう、不思議な感覚を感じるザクの少年とイレギュラーくん」

 

 ネオは去り際を悟られず鮮やかに撤退し、母艦に帰投する

 

「全速離脱!撤退するぞ!!」

 

 ネオが母艦、ガーティー・ルーに帰投すると高速艦の名に恥じぬ加速を持ってアーモリーワン宙域を離脱しようとするが、アーモリーワン外壁が一部稼働され、中からは本日進水式を予定していた新造艦ミネルバが姿を表した

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 エグザスが撤退した後に、ミネルバが発進したということはやはり原作より展開自体が速くなってしまっているか…確か原作ではミネルバが出てきたことが原因で、エグザスが撤退を決めガーティー・ルーもといボギーワンを追う形になっていたはず

 しかしミネルバが出航する理由についてはシンとレイが宇宙に進出したからではなく、私の戦術予報を頼りに追って出た様なので独断専行でシン達がお咎めを食らうことは無くなったのは幸いだな

 

 原作とのちょっとしたズレを確認しながらミネルバにモビルスーツを収容された後、急いでモビルスーツデッキから遮蔽されたブリッジの隔壁を一部稼働させ入り、艦長の斜め後ろである今後定位置となる座席に腰を下ろす

 

「すみません、遅れました」

 

「お疲れ様、帰還直後で悪いわね」

 

 艦長とのやり取りの後、座席の位置的に背もたれで死角になっていた位置にいるデュランダル議長が、こちらに体を向け目が合う

 展開が早くなっているとはいえここは原作通り、議長も乗り込んでいるな…帰還時にチラッと被弾したザクも見えたしオーブ組もおそらく乗り込んでいるだろう

 

「お疲れ様、君の戦術予報は私も艦長から聞いた。恐ろしく正確な戦術予報だね」

 

「…ッ!議長…はっ!ありがとうございます」

 

 ミネルバにデュランダルさんが乗り込んでいることを今知って、避難位置的にミネルバが一番安全なので乗り込みそのまま宇宙に出て来たことを想像して「自分、状況理解しています」風な含みを持たせ敬礼して返すと議長も何か含みを感じる笑みで返す

 

 議長との怪しさ増し増しの一時が終わった後、定位置の座席で確認した情報からやはりボギーワンと呼称した後の出来事だな、となると次は…

 

「敵艦、艦体の一部を分離!」

 

 やはりボギーワンから予備エネルギー切り離しの目眩しか

 

「撃ち方止め!」

 

 正体不明の切り離された敵艦の一部に警戒して砲撃をやめたグラディス艦長だが、原作知識がなくとも戦術を齧っている手前、この場合の様子見は悪手と思うのだが

 

「いえ、撃ち落とすべきですね。後ほど詳しく理由を説明しますがアレはおそらく爆発物ですので即刻撃ち落とすべきかと」

 

 権力や立場上、艦長や副官よりも発言権が弱いので艦長に意見を進言し、その意見を艦長が判断して通すワンクッションの遅れがあるので反射神経が求められる戦場では結構危ういが、私の戦術予報一つで宇宙に進出したほど信用はされているので、すぐにこの意見も通されるだろう

 

「…対象分離物に向け[ナイトハルト]発射後、艦首上げピッチ角60度、ナイトハルト撃てッ!」

 

 宇宙用ミサイルであるナイトハルトが、切り離された予備エネルギーに向かっていくと同時に艦体が斜め上を向く形で傾く

 そして切り離されたボギーワンの一部は、ミサイルが着弾したと同時に派手な爆風と光を撒き散らすが、艦体の底面を盾にしていることと爆発自体が離れている上、ナイトハルト自体の爆発で多少相殺していたこともあり、原作ほど大した揺れは起こらなかった

 

 しかしボギーワンは予備のエネルギーの備蓄が無くなり軽くなった分、加速力が増した手前、ミネルバ自体は多少の足止めをくらい再接近まで距離を離されることとなった

 

「一杯食わされましたな」

 

 ブリッジの隔壁が解かれ、床が上部にスライドして周りが明るくなった段階で艦長にそれとなく機嫌を伺う

 

「えぇ、やっぱり貴方の読み通りあの艦はかなりの高速艦のようね、あの程度の目眩しであそこまで離されるなんて…でも追いつけない距離じゃないわ」

 

 一時的とは言え緊張が解かれたこともあり、G兵器を取り逃したことに対しての言及はなさそうでちょっと安心してしまった…恐らく議長のシナリオ的には取り逃した方が良さそうではあるが

 

「私はこの手のやりとりは素人同然なので、どうして敵艦が切り離した一部が爆発物であると気がついたのか聞いてもいいかな?」

 

 議長が先ほどのやりとりの詳細を私に聞いてくるが、これは何を試されているのか…いや普通に疑問に思ったからか?

 

「はっ!僭越ながら説明させていただきます。今回敵艦は単騎での作戦行動を余儀なくされる上に、敵基地までの航海となれば継戦能力は高く、そして行きのエネルギー自体は多く見積もっておく必要があるため、艦体に外付けされる備蓄エネルギーは予測できました。ですのでその備蓄エネルギーを切り離してタイマーで爆発する様に設定される可能性が一番高いと考え撃ち落とす方が安全であると進言しました」

 

 原作知識という助けはあるが、士官学校で専攻した知識なので発言したが…デュランダルさんもグラディス艦長も「ほぅ…やるな」みたいに納得した顔で評価されるとやっぱり気恥ずかしいな

 

「なるほど…ありがとうノア、君の優秀さを間近で確認できて私も嬉しい限りだ」

 

「いえ、自分にはもったいなきお言葉です」

 

 本当だよ…本当に勿体無い言葉なんだよ…原作知識の助けと戦術齧っただけの若造には勿体無いよ

 

「今回は助かったわ、貴方も疲れているでしょうから、ボギーワンとの再接近まで休んでて頂戴」

 

「承知しました。それでは失礼します」

 

 デュランダルさんとグラディス艦長に敬礼をして、結局アスランとの接触はどうしたものかと考えながらブリッジから出て行く

 

*1
劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-の劇中に登場するガンダムハルートが使用したGNシザービットの動きが速すぎたため動体視力検定と一部界隈で呼ばれた




 お疲れ様でした
 主人公のノアくんが周りからすごい高評価を得ていて、書いてる自分がこんな設定だったかな?って疑問に思ってきました(おいおい)

 ここで主人公の機体説明
 レイノーツ専用ゲイツ(通称 ゲイツ改)
 カラーリングはパーソナルカラーの白を採用
 基本武装は指揮官用ゲイツの物を使用、背部ウイングはジャスティスの物を参考にしており、リフターの様に展開が可能だが機体との切り離しは不可となっている
 左腕に搭載された複合兵装防御盾はプロヴィデンスの物を参考にされ、ビームクローとビームサーベルの二種が展開可能
 武装においては扱いづらいと兵士から苦情があり、レールガンに取り替えられたエクステンショナル・アレスターは本機パイロットであるノア・レイノーツがあえて採用する形を取り、本機パイロットの空間認識能力の高さが窺われる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。