ポケモンに翻弄される現代社会、あるいはのうてんきミュウツー 作:ミュー(なきごえ)
どーも、なんかよくわからないうちに警護を増やされたミュウツーです。
しばらくの間は外に出るのに煩雑な手続きがいるので、屋内でできる作業がメインになる。
暫定ポケモン図鑑の作業も一段落して実態調査した情報とのすり合わせが必要な段階に来ているので、ポケモン世界の植物や鉱物などの『道具』をより分ける作業なんかに割く時間が多くなったね。
ポケモンは特定の道具に反応して進化するものもいる。
一番有名なのは『かみなりのいし』『ほのおのいし』『みずのいし』『リーフのいし』などの『進化の石』だろう。
実は進化の石は採石場などで結構な数が見つかっていて、中でも『たいようのいし』はクサイハナの出現対策の為に各地に配備されている。
なにせ、”2km先から気絶させるほどの悪臭”だという話だから、初期は異臭騒ぎが起きないかとかなり警戒されていたのだが。
後の実験で、ポケモンが出す悪臭や毒性など悪影響を及ぼすものは、そのポケモン自身の精神状態に大きく左右されることが分かってきている。
例えばある国の実験では、有毒な身体を持つベトベターでも、懐いている研究員と一緒にいる時は採取した体組織から毒成分が検出されないという。
──────明らかにおかしい結果ではあるが、ポケモンはふしぎないきものであるゆえ致し方ない。
つまるところ、ポケモンが出す脅威というのはほとんどが戦闘時、もしくは逃走時に起こる『
もちろん、軽々に扱えば恐ろしいほどの被害を出すこともあり得るので、危険度としては『見えている地雷』といったところか。
よくもまあポケモン世界の住人は気軽に野生ポケモンに喧嘩売れるものだな……
話を戻そう。
ポケモンが自然界に由来するものに反応して進化する、なるほど、おかしくはない。
進化の石は自然界に元々あるものであり、大きなエネルギーを秘めている。
これを取り込んだポケモンの身体に変化が起きるのは、棲んでいる地域によって生態が変わるのと同じくらい自然な事だろう。
だが、ポケモンの中には人間のつくった道具に反応して進化するものも存在する。
有名どころだと通信交換で効果を発揮する”メタルコート”なんかが挙げられるだろうか。
ストライクはヒスイ地方では自然物の”くろのきせき”でバサギリになるのに、それ以降の時代ではメタルコートによってハッサムになる。
環境に適応するか状況に適応するか、研究者の推論だと『通信交換という状況が一時的にポケモンの身体を不安定にして外部刺激に反応しやすくしているのでは』ということだ。
実際に交換進化ができるのなら研究も捗るけれど。
ポケモンの世界でもかなりフシギな要素である『通信交換』。
モンスターボールに収納したポケモンを電子化して他人のパソコンに預けてしまえるというぶっ飛んだ内容。
研究者に伝えた時は、真顔で『ムリです』って言われたよ。
まあたしかに、半ば以上科学じゃない所に踏み込んでいる気はする。
一応、解決の糸口になりそうなポケモンが捜索されているが、見つかるかどうか……
そのポケモンは『ポリゴン』。
ポケモンを電子化し、また元通り実体化させられるなら、プログラム上で組まれたポケモンも実体化させられるという論理だね。
研究できれば飛躍的な進歩が見込めるんだけど……探す場所が現実と電子の海の両方じゃ砂漠で一粒の真珠を探すのと変わらない。
そもそも存在するかも怪しいので、そっちの研究は滞っている。
植物の方はもう臨床試験に入りそうな具合なのにね。
今日も研究所に送るために、強烈な独特の匂いがする『ちからのねっこ』や『ふっかつそう』をより分ける。
……ラルトスやケーシィが匂いだけで凄いイヤそうな顔をしている。
飲んだことないのに匂いだけで苦そうな気配が分かるんだろうか。
よく見れば特に反応していないヤドンもいつものようにボーっとしているが、若干顔にしわが寄っている気もする。
私だって好きじゃないんだけどね、この漢方薬みたいな匂い……
ラルトス《なんでめざめいしは見つからないんです?》