ポケモンに翻弄される現代社会、あるいはのうてんきミュウツー   作:ミュー(なきごえ)

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第12話 世紀の発見は遠慮したいミュウツー

 どーも、ミュウツーです。

 記念すべきことに、本日から一般向けのモンスターボールの供給が始まった。

 厳正な書類審査やら証明書発行などハードルが高いので申請者のほとんどは企業や団体だけど、ポケモンが社会に溶け込む大きな前進だ。

 モンスターボールでの捕獲は、相手のポケモンの同意があればレベルとの性能差があっても大丈夫、という前評判につられて結構な強気の企業もあったが、そうすんなりとはいかない。

『飯を食わせてもらって感謝しているし頼まれたら助力はするが、それはそれとして指示に従うのは気に食わないし寝床を勝手に決められたくない』というポケモンはそれ相応にいるものだ。

 土建屋を手伝ってたゴーリキーやドテッコツ狙いの企業なんかは特に多く失敗している。

 失敗した場合は次の二次募集での再申請と改善点の提示が義務付けられるので、意気消沈していたね。

 成功していた例としては、養蜂家とミツハニーであったり、変わったところだと漁師とフローゼルの組み合わせなんかもあった。

 これはあくまでモンスターボールの所持のための申請なので、ボールの必要無しで共生する人たちはまだすべては把握できていない。

 偉い人たちは”危険度の高いポケモン”に絞って報告義務をつけるか、”比較的安全なポケモン”以外すべてに報告義務をつけるかで意見が割れているらしい。

 どちらにせよ現段階ですべての報告を義務化するのは難しいだろうという見解だ。

 コイルみたいな明らかにポケモンじゃないとありえない見た目ならまだしも、アーボとかは初見じゃわからないだろうしなぁ……蛇は大きいのは大きいらしいし。

 

 ちなみにモンスターボールの一般供給は今のところ日本だけだ。

 他の国では人口が多すぎて一般に回せるほどの数が出回っていない。

 人口の少ない小国の場合は国土も小さいので採れるぼんぐりも比例して少なくなるので結局供給しきれないのが現状だ。

 この国ではやたらぼんぐりが採れるので、輸出品に入れないかという話も出ているくらいなのにね。

 まあ、ボール無しで交流できるくらいならば、ボールの利点は携帯性だけとも言えるので致命的な問題ではない。

 それでもいろんな国が躍起になってボールを作ってるけど。

 

 

 通信交換についての情報共有の後、この国と同盟国の間でポリゴンの大捜索が行われたんだけど、意外なところで見つけることができた。

 発見したのはA国、航空宇宙局。

 先日打ち上げられた小惑星探査機が、妙に詳細なデータを送ってくるので調べたところ管制プログラムにポリゴンがいると判断された。

 A国には”シルフカンパニー”の話が伝わっていたからこそ判明したことである。

 本当ならすぐに捕まえるかしたいところなのだが……

 小惑星探査機はすでに宇宙空間に旅立っており、目標地点まで2年、そこから地球に戻ってくるまで5年かかる。

 つまり確実に会うことのできるポリゴンは7年後まで地球上に存在すらしていないのだ。

 この事実に多くの研究者は歯噛みし、予定を変更して探査機を地球に帰還させようとしたが、ポリゴンが頑としてミッション続行を望んだためか叶わなかった。

 ……設定に、宇宙開発用だというのもあったからなぁ、その意志は固いのだろう。

 結局ポリゴンの帰還は待つことになり、航空宇宙局のスタッフはミッションの成功率が上がったのを喜んでいいやら悲しんだらいいやらだね。

 ポリゴンへの期待が大きかった分、肩透かしを食らったがっかり感は大きい。

 

 

 そうそう、同じA国で研究されていたきのみ原料の薬は臨床試験を突破してついに実用化された。

 最後まで反応の過程は解明できなかったらしいが、一般的な薬剤などとの併用での問題が発生しないことから実用化に踏み切ったらしい。

 どこよりも先んじての発表のために特例扱いで最短距離で突っ走ったんだとか、無理するよねぇ。

 出来た薬は内服薬もあるけど、ゲームでおなじみのスプレー式の浸透薬もあるらしい。

 とりあえず発表されたのは『汎用解毒新果実由来薬』と『汎用筋硬直改善新果実由来薬』、つまり”どくけし”と”まひなおし”だ。

 どくけしは神経毒・細胞毒両方を種類問わず解毒できる夢の薬。しかしその時点での解毒なので自家中毒など原因が残ったままだと対症療法にしかならないとか。

 まひなおしは筋肉の硬直を解き、自由に動かせるようになる薬。後遺症でのまひやけいれん・ひきつけなんかにも効くらしい。

 この発表で、開発に携わったA国研究所の所長はノーベル賞確実と目されている。

 日本の研究所も”『きずぐすり』の実用化が間に合えばミュウツー()さんがヒト以外初めての受賞者になったでしょうに……”と言っていたが、そんなの恐れ多いよ。

 レシピもゲーム知識からこねくり回して作ったんだから、そういうのは一から研究して作り出した人がもらうべきもんじゃないかな。

 

 そんなこんなでエスパータイプの研究に来てる人も”我が国から世界的な発見を! ”と意気込みがすごい。

 感情を読み取れるラルトスなんかは微妙に引いているよ? ケーシィの方は……逃げたなアンニャロウ。

 

 我関せずとぽやぽやしているヤドンが唯一の癒しだね。

 

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