ポケモンに翻弄される現代社会、あるいはのうてんきミュウツー 作:ミュー(なきごえ)
どーも、ミュウツーです。
ラルトスが進化してキルリアになったけど、その進化にかかった期間が今までの記録よりかなり短かったらしく、他のポケモンとの実践訓練もしてくれないかと持ち掛けられた。
まだ捕獲されたポケモンたちとの間には圧倒的なレベル差があるので負けることはないが、『こうかばつぐん』の技をくらった時の腹の底から体が震えるような不快感はどうも慣れないね。
まあ相手もどくタイプやかくとうタイプ持ちなら同じ思いをしてるんだろうけど。
それでもトレーナーと絆を育んだポケモンは相性不利のバトルでも逃げたりしないんだから、たいしたものである。
あまりこっちにばかり構ってもいられないので、急遽短期集中実践訓練合宿『ミュウツー'sブートキャンプ(仮名)』を開催し、勝ち抜き戦や乱戦もして短期間で鍛えるだけ鍛えさせてもらった。
現状捕獲されたポケモンの中でも一線級の者たちが集まったようなものなので、研究者たちも貴重なデータが取れてホクホク、トレーナーはポケモンを強くできて嬉しいと一石二鳥だ。
治療のための『きずぐすり』や『げんきのかけら』の量産ラインの限界試験にもなったし一石三鳥かな?
深刻な問題も起きなかったし、三方良しだな。俺にヨシ、お前にヨシ、うーんヨシ!
ただ最後にやった私を相手にした乱取りが、途中からなぜかレイド戦みたいになっていたのはなんか納得いかない……
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せっかく貴重なデータが集まったから、ということで研究者の人たちとディスカッションみたいなことをした。
ポケモン世界で通用したことがこちらでは通用しないこともありうるし、ポケモン世界での『当たり前』が画期的なアイデアの元にもなりうるから、こういう話し合いもデータが集まるとたまに行われている。
私が”実力差があっても相性不利な相手との戦いは忌避感がある”という話をしたら、それを利用してポケモン向けの忌避剤が作れないかとアイデアが出た。
今までの研究はヒスイ地方のレシピを基にした『よせだま』のような誘引剤で、音を鳴らして追い散らす『ばりばりだま』は別の道具で代用する方がマシという意見が主流だったが、ここにきてタイプ相性を基にした忌避剤の提案である。
たしかに、ポケモンには捕食・被食関係のポケモンもいるし、タイプ間での忌避感はどんな実力差があっても存在することは私自身実感している。
むしタイプ除けに、
強力な個体にはあくまで”避けたくなる”程度の効果しかないだろうが、同レベル帯の個体であれば死活問題だから必死で避けるだろう。
何気にこれはすごいアイデアなのでは?
大発明の予感にみんなが沸き上がる中、一人の研究者が呟いた。
”相性が悪くなくても、圧倒的強者の匂いが用意できれば汎用忌避剤にできるのでは? ”と……
大変遺憾なことに、皆の視線は一様に俺へと向かった。
さらに、それを聞いたオブザーバーとして参加していたキルリアがテレパシーで《ミュウツーさんぐらい強かったらボクなら避けますね!》と言ったものだから始末が悪い。
キルリアくんちゃん、この前ぶっ飛ばしたの絶対根に持ってるでしょ。つぶらなひとみで『きりゅあ!』って鳴いても分かるんだよ。
……この後、研究者にごねにごねられて体臭のサンプルを取られるという非常に恥ずかしい作業を受けた。
体液や体組織ではなく、あくまで揮発成分の採取ということを念押しして主張されたのは何に対する配慮だったんだ……?
そんなアレコレがあって、数週間後には大変不本意なことに試作品である
効果も上々で、可能な限り早く製品化したいとのことだが、私にとっては複雑極まりない。
ポケモンと人間の共存に必要でも…………自分の匂いの製品とか納得できないよ!!