ポケモンに翻弄される現代社会、あるいはのうてんきミュウツー   作:ミュー(なきごえ)

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第17話 ポケモン発電と蚊帳の外ミュウツー

 どーも、ミュウツーです。

 先日は自分の体臭の製品化などというドえらい辱めを受けたが、代案の1つも出せない者には断固拒否の姿勢はできないのだ……

 私の羞恥心という尊い犠牲のもとに、それなりの効力のポケモン忌避剤は開発され各地で実地試験が行われている。

 他国からの引き合いもあるというけど……別のポケモンの匂いに変えてくれないかなぁというのが正直な感想である。

 だって、その、自分の体臭だよ? 役に立つからって世界に流通するのはいろいろ複雑だ。

 ”きよめのおふだ”や”きよめのおこう”みたいな代用アイテムが無いかとも思ったんだけど……ああいうのはポケモン世界のマジもんの霊能力者監修で作られてるだろうから参考にならないんだよねぇ。

 こっちの世界で開発するために自称霊能力者に協力要請とかもしてみたけど、ゴーストポケモンで実地試験されると聞いたらみんな断るんだもの。

 まあポケモン世界の霊能力者でも憑依して操られたりしてるくらいだから、仕方ないといえば仕方ないけど。

 

 さて、汎用ポケモン忌避剤”ゴールドスプレー(仮)”が使われるようになって、今まで気付かなかった場所に潜んでいたポケモンの発見情報も多く上がっている。

 葉っぱ部分以外を地面に埋めて隠れていたナゾノクサだったり、電線にくっついて電気を吸ってたコイルだったりしたが、大半は問題にはならなかった。

 問題になったのはごく一部……例えば、廃棄予定の不良品モンスタボール置き場で発見されたビリリダマとかね。

 ビリリダマ、モンスターボールによく似た姿をしているのが特徴で、ちょっとしたショックで自爆するのでポケモン界でも有名な厄介者だ。

 しかしそれは通常のすがたの場合……ぼんぐり製のモンスターボールしかないこの世界ではビリリダマもそれに似た”ヒスイのすがた”である。

 でんき・くさの複合タイプで、頭頂部(?)の穴から種子を飛ばすくさタイプの特徴と、テンションが上がると大笑いしながら放電するでんきタイプの特徴を持つ。

 厄介なことにこのヒスイビリリダマ、種族全体がいわゆる『ゲラ』で笑いの沸点が異常に低いのである。

 ツボに入ると延々笑いながら放電するし、ほんの些細なことでも笑い出すので気が抜けない。

 なかなか扱いづらいこのポケモンをどうするべきか悩んでいたところ、ある電力会社がその手を挙げた。

 今まで、でんきポケモンの力で発電をする試みは電圧が安定しないことから実現できていなかった。しかし、モンスターボール登録で複数体のコイルを捕獲したその会社は新しい発電の形を思いついたのだ。

 コイルは鋼の胴体と2対の磁石のようなユニットを持つポケモン。電気を食べ、ユニットから電磁波を放出することで宙に浮かぶことすらできる。

 電力会社はこの性質を利用して、コイルを間に挟むことで安定した電力を発電できると考えたのだ。

 

 まず、コイルがでんきポケモンの発した電力を吸収する。

 コイルは蓄えた電力をユニットから指向性の強力な電磁波として放出し、人間側は電磁波発電のアンテナで電磁波をキャッチ、電磁波を電力に変換する。

 コイルは食べる電力の電圧なんか気にしないし、放出した電磁波で空中に静止できるほど電磁波の安定した扱いができる。

 つまり、最初の電力を賄えさえすれば、安定した電圧の電力に変換できるのである。

 そしてヒスイビリリダマは笑わせられれば簡単に電力を出力してくれる非常に便利な存在であった。

 

 業界としてはかなりベンチャーな部門ではあるが、『ポケ(りょく)発電』は共存にかなり貢献してくれるんじゃないかな? 

 ポケモンの扱いや稼働体制など政府側からかなり詰めた質問をされていたが、それくらい期待も大きいんだろうね。

 実用化・普及がされれば夢のクリーンな発電方法だ。

 ドサ回りの芸人でも簡単なヒスイビリリダマを笑わせるのが発電の要なので『笑力発電』と言ってもいいかもしれない。

 コメディアンで電力を生み出すとか、字面で改めて見るとわけわかんないな……

 

 これを受けて政府側でもマグカルゴに体温を加減してもらって原子力発電の核分裂反応の代わりに蒸気を発生させてもらう『ポケ火力発電』みたいなのの構想を練ってるらしい。

 ここらへんは技術屋の仕事だからあまり助言できないけど、頑張ってほしい。

 ポケモンは適度な運動と好みのきのみが対価にあれば、大概は協力してくれるだろうし。

 

 ポケモンの能力と人間の技術の合体、これもまた共存の一歩だね!

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