ポケモンに翻弄される現代社会、あるいはのうてんきミュウツー 作:ミュー(なきごえ)
どーも、ミュウツーです。
偉い人の用意してくれた住まいを借りて日々を暮らしている私だが、それはそれとして仕事はある。
海外の研究機関とかへの出向の要請とかは結構来ているらしいんだけど、偉い人がそこらへんは止めてくれているらしい。
ミュウツーの誕生経緯はかいつまんで説明したから、地雷だと思われてるのかな。
まあ、おかげで私はきのみをかじりながら仕事するぐらいの余裕があるわけだが。
今日もナナシのみが美味い! ミュウツーになってから酸味が強い果実が好きになった。
……おかしいな、私の性格は”れいせい”か”しんちょう”ではないのか? *1*2
性格によるポケモンの味の好き嫌いも共存には重要だから、既にまとめてから伝達済みだ。
ちなみに私は組み合わせをポロックとポフィンで覚えました(非対戦勢)
《それでは、始めようか》
「分かりました」「I'm ready」
私のテレパシーに、新たに配属された書記官的な人たちが応える。
最近の仕事は”暫定ポケモン図鑑”の編纂だ。
この前のコイキングの例もあるのでゲームの時の図鑑説明が全部信用できるかと言えばそうではないが、情報が無いよりは有る方がいい。
私がポケモンについての情報をテレパシーで伝えて、書記官が文章にまとめる形だね。
テレパシーで相手の言語問わず意思が伝えられるから、私が各言語で打ち込むよりそれぞれの言葉が使える人がまとめてくれた方が早い。
まとめられた情報はあくまで参考資料として各所に送られ、生物学・生態学に詳しい研究機関がその理由に関する推論を添えてフィールードワーク側に広めていく。
例えば、ごうわんポケモン”キテルグマ”の『仲間と抱きしめ合う習性があり、怪力で背骨を砕かれる人間も多い』という情報。
他のかくとうポケモンでも鯖折りで背骨を砕くことは可能だろうが、キテルグマはとりわけ特徴的に言われていた。
これに対し研究機関は”進化前のヌイコグマの『抱きしめられるのが大嫌い』という特徴は群れのコミュニティにおいてキテルグマの抱擁を避ける意味があると考えられ、直立二足歩行の人間を仲間と認識した上での事故ならば、緊急時はヌイコグマと同じ四足歩行を示すことで回避が可能かもしれない”という補足を添え、実際に危機が回避された事例がある。
それが偶然だったのかそうでないのかはまだ研究を待たねばならないけれど、対策になりうる意見を出せるあたり、頭がいい人というのはすごいものだ。
ちなみにこの暫定ポケモン図鑑、タイプについても言及しているが、それもあくまで参考情報に過ぎない。
リージョンフォームとかで同種類でもタイプが違うことはあり得るし、特性でタイプを無効化するものも居る。
現在はまだ発見されていないが、ビリリダマなどはこの世界では多分”ヒスイのすがた”だろう。
モンスターボールはぼんぐり製の物しかないからね、気難しい普通のビリリダマより扱いやすいといいんだけど。
そんな穴だらけな図鑑ではあるが、将来的に裏付けが取れて『暫定』がとれた正式版は扱いとしては機密情報の塊になる。
緊急性の高い情報は先じて各国に大使を通して共有されてはいるが、あくタイプや伝説のポケモンに関してなどはまだ外には漏らせないから。
せめて格闘タイプやフェアリータイプのポケモンが警察などに配備されてからじゃないと……私じゃタイプ相性最悪だからさ。
自衛隊の方は戦闘訓練があるので、すでに進化したポケモンも多い。
ポケモンは進化すると基本的に大きくなるから、彼らもモンスターボールのありがたみが分かってきたことだろうね。
3匹目が整ったら一般や企業へのボールの普及が始まる。
もちろん許可証の申請やら書類の審査やらもあって個人が持つにはまだちょっとハードルが高いけれど、大きな一歩だ。
民間の一部においては、もうボールを介しない交流が生まれ始めているらしいから、ボールの供給を渋ろうと遅かれ早かれだったし。
申請したら私も許可証もらえるかな?
流石に劇場版みたいに”ポケモンがポケモントレーナー!? 馬鹿な! ”とか言う人はいないと思うけど。
可能ならば私もぜひトレーナー気分を味わってみたいものだ。