「デザートスパーダ。」
見合っていた、二人のうち先に動いたのはクロコダイルだった。
右手を砂の刃に変えて、斬撃を飛ばし、距離を詰めてくる。
レミは、斬撃を受けずに大きく横へ避ける。
レミにとって、クロコダイルの砂に捕まることは必滅を意味する。
避けた先には、クロコダイルがかぎ爪を振るってくるが、十手を振るい攻撃を受ける。
「クハハハハ。逃げてばかりでは俺には勝てねぇぜ。」
クロコダイルが右手で、レミを捕まえようとしてくるが、距離を取って回避する。
「アーハハハハ。攻撃を当てないとわっちには勝てませんよ。」
クロコダイルの煽りにレミが煽り返すと、クロコダイルのこめかみに血管が浮き出てくる。
「どうやら、地獄を見たいらしいな。」
クロコダイルは、体を砂に変え周囲に漂う。
クロコダイルが砂から実態になる際には必ず、実態と同じ体積分の砂を集めている。
砂の動向をよく見極めれば怖くない攻撃だ。
レミの右斜め後ろに砂が集まり出し、前方に回避する。
後ろに上半身だけ姿を現したクロコダイルが右腕を振り上げている。
「バルハン!!」
右腕が三日月状の刃になっている。
攻撃を視認する前にとっさに避けたレミは、難なく攻撃を回避する。
グイ!!
突然、背後から腰を押されクロコダイルの方へ引っ張られていく。
突然のことに驚くが、レミの腰にクロコダイルのかぎ爪が引っかかっている。
かぎ爪がクロコダイルの方へレミを押しているのだ。
状況を確認した頃にレミは、目前にクロコダイルの三日月状になっている右腕が迫ってくる。
「バルハン!」
っつ!!
体を強引にひねりポンチョを脱ぎ捨てて地面に転がるように避ける。
三日月状の右腕は、レミのすぐ横を通り、地面に当たり、
レミは、すかさず地面を蹴りクロコダイルと距離を取る。
なるほど、体は各部位別々のところに生成できて、飛ばすことが出来るようれすね。
今のは危なかったれす。
「今のを避けるとは、なかなか器用じゃないか。」
クロコダイルの攻撃を受けた地面は、砂になっている。
フックに引っかかっているポンチョをクロコダイルが、手で取るとサラサラと砂になり崩れ落ちていく。
「うげぇ!」
檻の中のルフィと仲間達が悲鳴を上げている。
当たったら、ひとたまりも無いれすね。
「クハハハ。俺は、スナスナの実を食べた砂人間。俺は右手で触れたものの水分を吸収することが出来る。捕まれば、お前もMr.3同様にミイラになるのさ。いつまで逃げ切れるかな。サーブルス!!」
実体化したクロコダイルの右手に小さな砂嵐が生じる。
室内に砂嵐を作るなんて、何でもありれすね。
クロコダイルは、また体を砂に変え近づいてくる。
砂嵐が、広範囲攻撃のため、逃げるところが限られてしまう。
クロコダイルの攻撃を2,3バックステップ躱すと、オアシスの池と隔てるガラス張りの前まで、追い込まれるが、砂嵐が消滅していく。
チッ。
クロコダイルが、舌打ちをしてまた距離を取り、レミも動きやすい部屋の中央へ移動していく。
砂嵐の攻撃は、時間経過で自然消滅するようれすね。
「サーブルス。」
また、同じ攻撃れすね。
クロコダイルはまた砂嵐でレミを追い込みながら攻撃してくる。
レミは、先ほどとは反対側の壁側へと避けながら移動していく。
クロコダイルの攻撃にも慣れてきた。
捕まったら負けという重圧からいつもより攻撃を避けることに集中してきたれすが、そろそろクロコダイルの間合いもつかめてきたれすね。
まずは、砂嵐がそろそろ消えるから、それと同時に切り込むれすよ。
クロコダイルの攻撃を避けながら、タイミングを見計らう。
そろそろれすね。
タイミングを見計らうも、なかなか砂嵐が消えない。
レミが、自分の過ちに、気づいたのは、部屋の隅まで追い込まれた後だった。
クロコダイルも、竜巻もすぐそこまで迫っている。
わっちとしたことが、判断を誤ったようれすね。
レミは、決死の覚悟で踏み込む。
「デザート・ラ スパーダ。」
追い込んだクロコダイルも勝負を決めるために隠し持っていた技を使う。
左からは竜巻が、正面からは複数の砂の斧が迫り来る。
砂の斧は、徐々に大きくなってきている。
レミは間一髪致命傷を避けたが、肩に傷を負ってしまった。
「ハァ、ハァ。今のは危なかったれすね。」
とっさに、前方に距離を詰めていなかったら、砂の斧の餌食になっていたれすね。
時間制限で竜巻が消えるのでは無く、クロコダイルの意思で消滅させていたのれすね。
先ほどの砂嵐を解いたバックに水槽があった。
おそらく水槽が壊れるのを警戒したのれしょう。
「今のは、とどめを刺しに行った攻撃だったんだがな・・・。」
クロコダイルは、自分が優位に立っているとでも思っているのれしょうね。
「レミ、大丈夫か?」
麦わらのルフィが、尋ねてくる。
スモーカーは、いつも通りのポーカーフェイスだ。
まったく、少しは心配してもいいと思うれすがね。
肩の傷もそれほど深くはない、武器を振るうには問題ない。
「わっちは、まだまだ戦えるれす。これから反撃に出るれすよ。」
「そうだ。逃げてばっかじゃ。勝てねぇぞ。」
「バカ。ルフィ。静かにしろ。」
麦わらの一味が応援してくれている。
「これから、反撃にでるだって?随分と俺のことを舐めてくれるじゃないか。悪いが、お前には、ここで無様に死んでもらう。」
「わっちが、今まで距離を取って逃げ回っていたのは、あんたの攻撃の間合いを把握するため。おおよそ、間合いはつかめたれす。それに、十手も手になじんだれすよ。わっちのことを舐めているのは、クロコダイル。あんたれす。」
「クハハハ。何とでも言え。サーブルス。」
クロコダイルは、砂嵐を作ってまた、間合いを詰めてきた。
レミは、砂嵐には目もくれず距離を詰めてくるクロコダイルの方へと駆け出す。
クロコダイルは、砂の刃で牽制してくるが、すべて見た技だ。
避けるのはたやすい。
「舐めるな。小娘が!バルハン。」
レミとのすれ違いざまに、右手を三日月状の刃にして攻撃してくる。
「その攻撃も見たれすよ。そこれす。」
その攻撃を掻いくぐるようにレミは十手を繰り出す。
レミの十手は、クロコダイルの鳩尾に深々と突き刺さり、吹き飛ばす。
ゲホッ、ゲホッ。
クロコダイルは、鳩尾をさすりながら立ち上がる。
にらみつける眼光は鋭さを増している。
レミは、十手を構えはにかんで見せる。
「調子に乗ってんじゃーねぇぞ。小娘が!」
「デザート・ラ スパーダ。」
「その攻撃はもう何度も見たれすよ。」
砂の斧が複数レミに迫ってくる。
それと同時にクロコダイルは、体を砂に変えた。
砂の斬撃は直線的に飛んで来る攻撃。
躱すだけならたやすいが、クロコダイルが背後に回り込んできている。
クロコダイルをこの場で実体化されるとやっかいだ。
レミは、回し蹴りで砂を蹴散らし、迫り来る砂の斧をギリギリで避ける。
グハッ!
突然、首が絞まる。
クロコダイルの右手が中に浮かび、レミの首を絞めている。
見落としていたれす。クロコダイルにつかまれた。
クロコダイルが、徐々に目前に姿を現す。
「随分と手間を取らされたもんだ。あながち、ドラゴンとやり合ったって噂も間違いじゃぁ無かったようだな。だが、もう終わりだ。俺の右手は水分を吸収する。干からびて砂の大地に眠るといい。」
「おい、逃げろレミーー!。」
膝を突いたのは、レミでは無くクロコダイルの方だった。
「焦って、冷静な判断が出来なくなっているようですね。スモーカーの十手は、海楼石入りれすよ。」
レミの十手はクロコダイルの体に当てられている。
クロコダイルの首の拘束が緩まる。
海楼石に対して能力者は無力になる。
ここまで効果があるとは思っていなかったれす。
海楼石がによりクロコダイルの体は砂になることは出来ない。
レミは、そのままクロコダイルを蹴り飛ばす。
レミの渾身の一撃がクロコダイルを襲う。
ドカァァアン。
「わっちの攻撃の方が、攻撃を当てているようですね。お利口に出来るなら、わっちは許してもいいんれすよ。」
クロコダイルが、口元を拭いにらみつけてくる。
本日、何回もクロコダイルの怒った顔を見てきたが、本日一番の怒り顔れすね。
「どうやら。死にてぇらしいな。」
クロコダイルが、右手を地面に付ける。
この攻撃は、初めてのやつれすね。
「グラウンドー」
「サー!!ここは、オアシスの中の部屋よ。」
クロコダイルが、技を放とうとしたとき、今まで傍観を決め込んでいた、白いシルクハットの女が声を掛けた。
「ッチ。寿命が、数秒延びたな。賞金稼ぎのレミ。今は、7時この時間が何を意味するかお前も知っているだろう。これ以上お前に構っている暇は無い。」
「もう7時、作戦開始時刻れすか。それは、わっち達にとっても時間が無いれすね。」
「レミさん。作戦開始って何の話なの!?」
「なぁに。お前達には、もはや関係ない話。これから、始まるんだよ。王都アルバーナで反乱軍と国王軍の戦いがな。」
「そんな・・・。」
「ビビ王女。始まるものはいつか終わるれす。わっちは、アラバスタ王国護衛隊長イガラムの名を受け、ここでクロコダイルを討つれす。」
「ふん。もうお前を相手にする時間は無いのだよ。」
クロコダイルが、下半身を砂に変え突進してくる。
何の小細工も無い突進だ。
避けるのは動作もなッ!
手足が動かないれす。
レミの体や地面から手が数本生えておりレミの動きを拘束している。
しまったれす。
白いシルクハットの女が、手をクロスさせている。
あの人も能力者だったのれすね。
クロコダイルのかぎ爪が迫ってくる。
グハァッ!!
「レミーーー!!!」
クロコダイルの心臓を狙った攻撃は、体をひねり即死を免れたが、致命傷だ。
攻撃を受けたレミは、地面に力なく投げ出されている。
「ゲフッ。」
しまったれす。
啖呵を切ったすぐに、やられてしまうなんてみっとも無いれす。
なんとかして、立たなければいけないのに、目がかすんで・・・。
「フン。とっさに体をひねり心臓を避け、即死は免れたようだな。だが、明らかに致命傷だ。お前は、そこで苦しみながらくたばりな。」
「おい、卑怯だぞ。1対1で戦ってたんじゃ無いのかよ。くそぉぉ。ここから俺を出しておれと戦え!!」
「クハハハハ。卑怯だと!?。俺は海賊だぜ。」
「レミ。立て、お前がこの場をなんとかしないで誰がなんとかするんだよ。」
「クハハハハ。」
クロコダイルの笑い声を聞いてレミの意識は途絶える。