ドゴ、バギ、ドカン。
「せっ船長がやられたー。逃げろーー。」
ジョージが賞金首の船長をボコボコにし、船長を捕らえて敵船から戻ってきた。
船で待機していたレミとルルーがジョージを出迎える。
「ジョージ、よくやったれす。」
「数字が6個の賞金首れすね。まぁ、数ヶ月くらいは、過ごせそうれすね。」
「“個“じゃなくて、”桁“って言うよし。覚えるよし。」
レミは、ルルーの突っ込みにむすっとした顔をする。
レミ自身も自分に学がないことを理解しており、こうやって言葉を修正されることに納得はしているが、いい気持ちでいられないのである。
敵船は船長のみが賞金首で、そのほかのメンバーは船長がやられたらすぐに逃げ出していった。まったく、薄情な奴られすね。
「リーダー。ローグタウンに戻って換金しますかい。」
レミ達は、いつもローグタウンにいる海兵へ身柄を捕らえた海賊を換金しに行っていた。
ほかの島では手数料と称し全額支払ってもらえなかったが、ローグタウンの強面海兵だけは、全額支給してくれたからだ。
「いや、このまま、もう1つ行きたいところがあるれす。アーロンパークれす。」
次の目的地を告げると、ジョージとルルーが少し驚いたような顔をする。
「アーロンパークって、これは、また大物狙いだな。」
「この前バギーと会ったれすよね。見た感じ、今の僕たちでも勝てると考えたれす。バギ-は、8“桁”の賞金首、同じ桁のアーロンとも十分戦えると判断したれすよ。」
「レミが言うならそうなのかもしれねぇがよ。バギーのやつ麦わら帽子の海賊に体を奪われて弱くなってるって言っていたじゃ無いか。バギーの強さとアーロンの強さ、同じに考えていいのか。まだ、やめておいた方がいいんじゃ無いか。」
ジョージは、制止するように声を掛け、ルルーもうんうんと何度も頷き同意している。
そのあまりの、真面目な顔に、レミは笑い、答える。
「アーハハハハ。あの身長を見たれしょう。あれは、身長が低いことの言い訳れすね。つまり、バギーは、もともとあの身長で、ちびだったのですよ。体が大きくなって、パワーアップなんて、ありえないれす。」
ジョージは、体が大きいのにずいぶんと保守的だ。賞金稼ぎとして、海に出ることも最後まで悩んでいたのは、ジョージだ。
結局、レミの意見に押され、渋々了承することとなった。
ゴアの町、近海。
レミ達は、アーロンパークを探して海をさまよっていた。
「リーダー、アーロンパーク見つかれらないし、そろそろ諦めようぜ。」
元々、乗り気では無かったジョージが、諦めるように促してくる。
「何を言っているれすか! ここで、大物を討伐して、勢いに乗ってグランドラインに入るれすよ。」
「いよいよ、グランドライン行きだよし。」
最初は、アーロン討伐を懸念勝手いたルルーも今ではすっかり乗り気になっている。
「アーロンを倒してからだぜ。グランドラインへ行くのは。実力の離れすぎた相手と戦うと死にかねないからな。」
普段は無駄に大きなジョージの体が少し小さく見えたような気がした。
雑談をしながら、ルルーに船を牽引してもらっていると、突如あたりが暗くなってきた。
「あたりが、暗くなったよし。んん!?にっ逃げるよし!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ。」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
辺りが暗くなったのは、巨大な牛の海獣が空から降ってきた。
牛の海獣は、レミの船より大きく、直撃コースで降ってくる。
「また空から降ってきたよし。」
「船に激突するれす。海に飛び込むれす。」
「ちょっとまてって、俺は泳げねぇ。」
レミとルルーは海に素早く飛び込むが、ジョージが飛び込めず海獣と激突する。
「ジョージ!!!」
海獣は船より遙かに大きく、船は粉々に吹き飛んだ。
「ルルー、ジョージを頼むれす。」
海の中で素早く泳げるのは、魚人のハーフであるルルーだ。
レミは、ジョージを託し、陸へと泳ぎ出す。
ゲホッゲホッ。
ルルーはジョージを助けた後、素早く捕らえた海賊とレミも回収し陸へと上がった。
「ルルー、ありがとうれす。」
「あぁ、いいよし。これからどうするよし。魚人は泳ぎが得意だからな。」
ジョージは、牛の海獣とまともにぶつかったのだろう、白目をむいて気絶している。
「ルルー、ジョージを近くの村に連れて行くれす。わっちは、海獣が飛んできた方向に行くれす。もし、誰かのペットならクレームを入れるれす。」
レミは、自分のとんがった鼻で鼻息を荒くさせながら、足を高速で動かしバタバタと駆けていった。
バタバタと駆けていった先には、アーロンパークがあった。
ほうほう、あれが海賊がりのゾロとアーロンれすね。
瓦礫に自身の小さな体を隠しながら、戦闘を見ていた。
賞金稼ぎの同業者のロロノア・ゾロとアーロンの戦闘だ。
アーロンパークの入り口には、賞金稼ぎ風の男が二人と村人が多数いる。
ゾロは村人に雇われて賞金首のアーロンを倒しに来たのだろうか?
同業者と争いごとになるのは嫌れすが、これは、横やりを入れた方がよさそうれすね。
なんせ、ゾロは虫の息だ。
首を締め上げられている。
村人達は、ゾロの負けを悟ったのか、落胆している。
レミは、悪い海賊と良い海賊がいると認識している。
村人が、海賊の根城に攻め入るのは、総じて悪い海賊の場合であるといえよう。
良い海賊の首をとるのは気が引けるが、悪い海賊の首を取るのに何の躊躇がいるだろうか。
レミは、自慢のレイピアを撫でて、銃に弾がこめられていることを確認してから、飛び出していく。
「だぁぁぁーーー。」
レイピアを、真っ直ぐ前へ構えて、突進していく。
狙いは、ゾロを締め上げている、アーロンの腕だ。
声を上げて、突進してくるレミに、アーロンはすぐさま気づきゾロを手放してから身を引く。
「シャハハハハ。わらわらとゴキブリのように沸いてくるな。海賊ども。」
突然のレミの登場にアーロン以外の皆は困惑する。
アーロンはレミのことを、麦わらの一味だと思っているようだが、実際には違う。
ゾロは、仰向けになって、倒れている。
「はぁはぁ、助かった。礼を言う。」
「シャーハハハハハ。今更、下等種族の子供海賊が増えたところで、どうにもならねぇ。」
「子供でも海賊でもないれす!!」
足を高速回転させアーロンの背後に移動し、レイピアを横に振る。
油断していたアーロンは、レミの速さについて行けず吹き飛ばされる。
「「「ええええーーーー。アーロンが吹き飛ばされたーー。」」」
「誰だか知らんが、アーロンを倒してくれーー。」
周りの村人が、うるさいれすね。
急に現れたレミがアーロンと対等に戦えるかもしれない人物に希望を抱いている。
アーロンの言葉から、戦っていたのは海賊同士だったのだろう。
ロロノアもいつの間に海賊になったんだか。
海賊狩りの異名は、レミもよく知っている。
その海賊狩りが、海賊に落ちるなんて、同じ賞金稼ぎとして尊敬していたレミは少しさみしいが、今はそれどころではない。
アーロンは、何事も無かったかのように瓦礫の中から立ち上がる。
「下等種族のガキが、俺様に何をしたんだぁ!!」
「何をしたって、ぶっとばしただけれす。海賊が叩かれて、何を怒っているのですか!怒りたいのは、わっちのほうれすよ!こっちの方角から牛の海獣が飛んできて、わっちの船が粉々になったれす!ここから、飛んできたのは、間違いないようですね。言い逃れ出来ませんれす。」
「シャーハハハ。お前は、海賊の仲間では無いのか。海獣ってのは、ここから飛ばされたので、間違いないさ。モームっていう俺の戦闘員だ。飛ばしたのは、そこに転がってる海賊の仲間だ。お前は、自分の船の仇を守ったんだよ。シャーハハハ。」
「こいつらからは、後で金をむしり取るれすよ。わっちは賞金稼ぎ。あんたの首ももらうれすよ。」
「人間風情が、魚人の俺様にたてついたことを後悔させてやる。撃水。」
乱入してきた、少女とアーロンの戦闘が始まった。
手も足も出なかったアーロンの攻撃に彼女はついて行っている。
誰だか知らないが、助かった。
くそ、レディーに助けられるなんて情けない。
「おい、ウソップ!!そこから謎のレディーを援護しろ。レディーが傷ついたら許さないからな!俺は、あほ船長を起こしに行く。」
サンジは、未だに目覚めない船長をたたき起こしに、海へと入る。
「ちょこまかと避けるじゃないか。下等種族。撃水!!」
アーロンが、手のひらから、水滴を飛ばすが、レミには当たらない。
レミは、戦闘に集中すると、相手の動きが手に取るように分かるようになる。
体の動かし方もうまく、仲間内からは戦闘に関してだけは天才だと言われるほどである。
力自慢のジョージやルルーを押さえてリーダーをしているのは、単純に強いからだ。
「下等種族じゃないれすよ。三段突き。」
レミから繰り出される攻撃は、名前の通り三回の突き攻撃。
対するアーロンは、ガードして受ける。
三段突きで崩したアーロンのみぞうちを蹴る。
ドゴーン!!
波の海賊であれば、一撃で勝敗がつく攻撃を2度も耐えているアーロンはさすがと言うべきであろう。
「アハハハハ。随分とタフなんれすね。おねんねししてもいいれすよ。」
「・・・あぁ。これが、種族間の違いだ。俺の体を見ろ。貴様の攻撃を何度受けようが、この通りだ。随分とすばしっこいようだが、俺様の攻撃をいつまで避けていられるかな。この身体能力の差が、種族の差だ。生まれ持った能力の差だ。お前も魚人族に生まれていれば、俺に勝てたかもしれねぇなぁ。ジャーハハハハ。」
「なんで、わっちに勝った気でいるのかなぁ。あんたの攻撃は一度も当たってないんれすよ。」
想像以上に、アーロンにダメージが通っておらず、少し焦り始めたレミはいらだっていた。
アーロンの言っていた、体力の差が勝敗を分けるのが、レミも分かっていたからだ。
このまま戦えば、アーロンに負けてしまうかもしれないと思ってしまった自分に、レミはいらだってしまう。
「いつまで、避けきれるかな。トゥースガム。」
アーロンは、自分の歯を両手に持ち、戦闘スタイルを変えてきた。
「俺の自慢の牙だ。捕まれたら最後、お前の負けだ。」
アーロンの拳が、迫ってくる。
両手に歯を装備したアーロンの攻撃範囲は、先ほどより広く近づきにくい。
躱すのは簡単だが、反撃に移れない。
カウンターで攻撃しても、アーロンからの追撃を完全に避けきれないからだ。
徐々に海際まで追い詰められるレミ。
覚悟を決めて、反撃に移ろうとしたとき。
「ウソ~~~ップ、輪ゴーーム!!!」
壁の外にいた、鼻の長いお兄さんが、叫びだした。
攻撃は飛んでこないから、ただのハッタリだろう。
だが、アーロンはレミより数秒長く気を取られてしまった。
「貫けレイピア。」
レミは、その一瞬のすきに、アーロンのエラにレイピアを突き立てる。
ぐはぁぁ。
「貴様、この下等種族がぁぁぁ。」
アーロンは、戦闘開始後初めて有効ダメージを受けた。
「はぁ、はぁ。魚人族にも、弱点はあるのれすよね。よく知ってるれすよ。どうれすか、うまく呼吸できないれしょう。」
ルルーが魚人だから魚人族の弱点はよく分かっている。
アーロンが、苦しそうに膝を突くが、アーロンの闘志は冷めていない。攻撃を受けたことで更に闘志に気がついたように感じる。
ブシューーーーーーッツ!!
突然、パーロンパークの壁奥の海の方から噴水が、上がった。
「何だ。あんなところに噴水はねぇぞ。まさかあのゴムやろうか!?」
アーロンが、噴水の方を見て、焦り出す。
黒服の男が船長を起こしてくると言っていたから、アーロンの言うゴムやろうとは船長のことだろう。もともと、アーロンと海賊が戦っていたのだ。その船長が、アーロンと手を組み私を攻撃するとは考えにくい。
アーロンからすれば、1対1で対等に戦っていたのに、これからは、1対2になるかもしれないのだ。
その焦りは、当然だろう。
「どうやら、海賊の仲間が、復活したようれすね。アーロン、おとなしく捕まってはどうれすか?」
「シャーハハハ。俺が、下等種族相手に負けを認めるはずがないだろうが、負けるのお前だ。シャーク・on・トゥース!!」
アーロンが、回転しながら飛んで来る。
こんな単調な攻撃を避けるのは簡単だ。
レミは、攻撃を避け、カウンターにレイピアで突きを放つ。
ぐはぁぁぁ。
「くそ、下等な人間風情が、なめるんじゃねぇ。」
アーロンの目つきが、変わった。
ん?
レミは、自分の両肩に誰かの手が乗っかっていることに気づく。
その両腕は、ずーっと遠くまで伸びていた。
「うちの航海士を泣かすんじゃねぇぇぇ。ゴムゴムのロケットーーーー!!!」
レミが、まずいと思ったときには、もう遅く。
その腕の持ち主がものすごいスピードで、飛んできて、レミが空の彼方へ吹っ飛ばされる。
ぐはぁぁぁ。
「「「「「えぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」」」」」
「ルフィー!お前何てことするんだ!!」
「わりぃ。間違えた。誰だあいつ?」
「「「「「おい!!!!!」」」」」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
香芝緑です。
次話もよろしくお願いします。