賞金稼ぎレミ   作:香芝 緑

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「モンキー・D・ルフィー。絶対に首取ってやるれす。」

 

レミは、ルフィーに吹っ飛ばされてから3日後に目が覚めた。

殴られた右頬は、普段の三倍に腫れ上がっており右目がこぶで隠れてしまうほどだ。

 

レミが吹き飛ばされた後、死闘の末ルフィーがアーロンを討伐した。

しばらく時間がたっても目が覚めないレミを麦わらの一味が連れて村に帰ったところ。

レミを探していたルルーと麦わらの一味が出会ったのだ。

 

ルフィーが間接的に船を壊したことと、直接的にレミをぶっ飛ばしたことを謝られたルルーは、船をもらうことで和解した。

 

レミが目覚めると騒ぎ出すことになると思ったルルーはジョージの目が覚めるとレミが目覚めるのを待たずに船を出すことにした。

 

その予感は正しく目覚めたレミに事情を話すと、私がアーロンの首を取れそうだったのに横取りされたと荒れに荒れた。

 

散々愚痴をこぼしたレミの怒りが収まりかけたところに、ニュースクーがルフィーの手配書を届けたことにより、再度怒りだしたのは言うまでもない。

 

もらった船は帆が着いており、ルルーが牽引していた頃の数倍のスピードで進む。

目的の島のローグタウンは、すぐそこに見えてきた。

 

 

 

 

「たしぎちゃーん。また、賞金首捕まえてきたれす。」

 

レミは捕まえた海賊を引き釣りながらリーグタウンの海軍派出所に入っていく。

 

派出所の中は、いつも通り煙っぽい。

どうやら、中に白猟のスモーカー大佐がいるみたいだ。

 

「なんだ。また、お前らか。たしぎは、今はいねぇ。おい、誰か処理をしてやれ。」

 

「ハッッ!!!」

 

見事な敬礼をし、海兵は、海賊を連れて奥の部屋へと入っていった。

 

「その顔どうしたんだ。あいつを、捕まえるのにやられたのか?」

 

スモーカー大佐が、ソファーに掛けながらレミの腫れ上がった顔のことを聞いてくる。

 

「あんな、モブになんてやられてないれす。モンキー・D・ルフィーにやられたれすよ。」

 

「ルフィー? 聞かねぇ名だ。モブじゃねぇか。」

 

「新聞読んでないれすか? 8桁の賞金首れすよ。わっちがアーロンと戦っているところを、不意打ちでやられたれすよ。絶対に許さないれす。あと少しで、アーロンをとっ捕まえれそうだったのれすけど…」

 

「アーロンを追い詰めるなんて、やるじゃねぇか。たしぎじゃ、歯が立たないわけだ。」

 

レミとたしぎは、模擬戦を何度かやっている。

今回も、たしぎと模擬戦をするのを少し楽しみにしてきたのだ。

初めて会った頃は、刀の扱いを全く分かっていないたしぎだが、会うたびに強くなっている。

今回もどのくらい強くなっているか楽しみなのである。

 

スモーカーが葉巻を吸うのをやめる。

たとえ賞金稼ぎだとしても、子供の前でたばこを吸うのは良くないと考えるからだ。

スモーカー大佐は、怖い顔に反して気遣いの出来る人物だ。

気を遣われているレミは、そんなことには全く気づかない。

 

「この島で、モンキー・D・ルフィーを待ち伏せしてとっ捕まえるれすね。」

 

「賞金稼ぎがこの島で何をしようと勝手だが海軍の邪魔をしたらただじゃすまさないぜ。」

 

スモーカーが、レミの行動に釘を刺すと、海兵が賞金を持ってきた。

レミは受け取ると、こんなものれすかと受け取った封筒の分厚さを確認する。

 

受け取るもの受け取ったらさっさと帰れと、スモーカーが追い出そうとするが、レミは帰る気配がない。

どうやら、たしぎを待つようだ。

待つとは言ったもののやることがないレミは、部屋にあった石ころを、縦に積み始めた。

 

 

「いつもでも、派出所にいるんじゃ...!!」

スモーカーはつまみ出そうと、レミに近づくが、レミの石積みを見て驚愕する。

石を積み始めてから数秒しかたってねぇのに、石を4段も積んでやがる。

なんて器用な奴なんだ。俺の、最高記録は6段。まだ4段しか積んでいないとはいえ、この積みスピードは異常だ。

 

「おい。お前、器用だな。こつでもあるのか?」

 

スモーカーが、興味ありげな表情で聞いてくる。

ニタァー。

スモーカーに追い出されると思っていたレミは、石積みに食いついてきたスモーカーに、ニタニタした顔を向ける。

 

「たしぎちゃんが帰ってくるまでなら、教えてあげるれるよ。こうやって、スッて積むれすよ。」

 

「・・・。」

 

スモーカーが無言でレミの対面に座り、石を積み始める。

どうやら、渋々ではあるが、了承してくれたようれすね。

レミは、8個9個と順調に高さを上げていくが、スモーカーは、5個積むまでに何度が倒して積み直している。

一度も崩すこと無く10個石を積み上げたレミは、スモーカーにアドバイスをする。

レミにとっては、石を積み上げるなど造作もないことで、なぜスモーカーが出来ないのか理解できない。

 

「スモーカーさん、スッれすよ。スッっておくれすよ。」

 

壊滅的なレミの説明能力のなさに、スモーカーの顔がどんどん険しくなっていく。

ガタガタガタ、スモーカーが何度目かの石を崩す。

 

「違うれすよ。スー、じゃなくてスッれすよ。本当にわっちの言うこと聞いてるれすか?」

 

「だぁぁぁ。おめぇの説明が分からないんだよ。だいたい、こういうのは、向き不向きがあるんだ。くそ、お前の説明じゃ全くこつがつかめねぇ。とっとと出て行け。」

 

いとも簡単に石を積むレミに負けている自分が悔しくてレミに八つ当たりする。

 

「わっちは、真剣に教えていたのにひどいれすよ。出来ないのは、スモーカーさんがわっちの言うとおりに置かないかられすよ。」

 

額に血管が浮き出て怒っているスモーカーが十手を手を掛けたたところで、レミが逃げす。

 

「出てけーーー!!!」

 

本気で結構いらついてるれすね。

十手を振り上げて威嚇してくるスモーカーを見て、これ以上ここに居座ることも出来ないと悟ったミラは、派出所を大急ぎで出て行く。

 

 

 

久しぶりにたしぎに会いたがったが、今回は会えないかもしれませんね。

メインストリートを通り、海賊達が隠れて船を止める岩場までやってきた。

ローグタウンには、海賊達が船を止めるいくつかの隠れスポットがある。

 

レミもすべて知っているわけではないが、もしかしたら賞金首を見つけれるかもしれない。

いつもは、賞金をもらえたらすぐに海へ出るのだが、今回はしばらくとどまる予定だ。

もちろん、狙いはモンキー・D・ルフィーだ。

 

ルルー達の話によると、モンキー・D・ルフィーはグランドラインへ入るようだ。

グランドラインへ入る前にほとんどの海賊は物資をそろえるためにローグタウンに立ち寄る。この島で待っていればルフィーもいずれ来るだろう。

アーロンの首を横取りされた分は、自分の首で償ってもらう予定なのだ。

 

ルルーやジョージも島の至る所でルフィーがいないか目を光らせている。

 

海岸へ来たのは、ルフィーを探しに来たこともあるが、修行をすることも目的なのだ。

 

ルルーやジョージには、あと少しで勝てたと豪語したものの、実際はかなり厳しい戦いになったれすね。もちろん、負ける気はないれすが。

負傷しているとはいえアーロンに勝ったルフィーと戦うのれす。鍛えなければいけないれしょう。

強化項目は、体力と筋力れすね。

 

 

 

 

 

一方その頃、ジョージとルルーはメインストリートで見知った顔を見つけていた。

 

「ジョージ。もしかしてあいつバギーじゃないかよし。」

 

「こりゃ、驚いた。あそこまで似ている奴がいるとはな。だがよく見てみろ。顔はそっくりだが、身長が全く違う。あいつは2頭身くらいの低身長だったじゃ無いか。」

 

「そうだが、体を奪われたとも言っていたよし。もしかして本当だったのもしれないよし。」

 

「おいおい。人の体を奪うなんて、どんな化け物なんだよ。」

 

「悪魔の実を食ってるお前が言うんじゃねぇよし。まぁ、あそこまで似てるんだよし。聞いてみようよし。」

 

バギー一味は、広間のオープンテラスを貸し切って食事を取っている。

バギーの席の向かいの席には美女が座っている。

 

ルルーとジョージはそのままバギーの元まで歩いて行く。

 

「あんた、ライオンと魚人が近づいてきてるよ。あれもあんたの仲間なのかい?」

 

「あぁ。ライオンと魚人? ライオンは一匹いるが、魚人はいねぇぞ。って、おめぇらは!?」

 

美女が声を掛け、バギーが気づく。

反応からしてバギーで間違いないようだ。

ルルーとジョージに警戒して、周囲の男達が警戒しているが、バギーが止める。

 

「おめーら、久しぶりだな。俺様は今機嫌がいいんだ。おめぇらも一緒に飲め。」

 

バギーは、すこぶる機嫌がいいようだ。

バギーの席には、いくつかの酒樽が転がっている。

もうずいぶん飲んでいるのだろう、バギーから酒の匂いがプンプンする。

 

バギーから話を聞くと、どうやら本当に体を奪われていて身長が低くなっていたそうだ。

バギーがおっている麦わらの海賊は、どうやらレミがおっているモンキー・D・ルフィーと同一人物のようだ。

レミもルフィーにアーロンの首を横取りされて、ルフィーの首を狙ってこの島にいることを話すと、一緒に戦わないかと誘われたが、海賊と手を組む賞金稼ぎがいるかと断った。

 

 

 

 

 

ふん、ふん、ふん。

レミが、自重トレーニングをしていると誰かが近づいてきた。

 

「こんなところにいたのですか。探しましたよ。」

 

めがねを掛けた女海兵たしぎが岩場に躓きバランスを崩しながら近づいてくる。

相変わらず、少しドジなところは変わっていないみたいだ。

 

「別に探してくれなんて、頼んでいないれすよ。」

 

レミは、稽古を中断して、たしぎと会話する。

 

スモーカーは、たしぎが派出所に戻ってまた出て行くまで石積みに打ち込んでいたようだ。

石積みで私に負けたのが悔しいのれしょう。

額に血管を浮かべ上がらせながら、石を積んでいる姿が脳裏に浮かび上がる。

 

「で、たしぎは何をしにここまで来たのれすか?」

 

分かっているでしょうに。といいながら、剣を構えるたしぎ。

 

レミも同じことをしたくてたしぎを訪ねたから、分かっている。

 

たしぎとレミは、会うたびに剣を交えている。

初めて会ったときは、子供が賞金稼ぎなんてするんじゃありませんと、説教を始めたのが始まりだ。

レミが子供ではないことを知るのは、ぶち切れたレミがたしぎを倒した後だった。

 

 

たしぎが長刀を振りかざし攻撃してくるが、遅い。

剣筋は前より少しよし良くなったのだろうか。

レミはレイピアを抜き攻撃をいなす。

 

まだまだだれすね。

たしぎは、まだまだ弱い。

刀の重みに振り回されている。

 

攻撃をいなすと、バランスを崩し転ける。

 

「足腰をちゃんと鍛えているれすか?」

 

「クッ。」

 

倒れ込むたしぎが、すぐに立ち上がり攻撃を仕掛けてくる。

最速の連続攻撃もレミには全く届かない。

 

正直、たしぎは弱いれすね。

だが、確実に強くなってきているのも確かれす。

ルルーやジョージと比べるとたしぎの方が弱いれすが。

強くなることへの貪欲さは、ルルーやジョージよりも強いれす。

 

その強さに貪欲なたしぎのことを好いたレミは、毎回剣を交えて遊んであげているのだ。

たしぎも全力で相手にされていないことには気づいているが、自分よりも強い女性の技を少しでも盗むために挑んでいる。

海軍本部にも、強い女性はいるがみんな悪魔の実の能力者か巨人族などの身体的に優れた種族の人だ。

その戦闘スタイルは、悪魔の実の能力に任せた戦闘か、身体的特徴をいかした戦闘でたしぎの参考になるものではなかった。

 

そんな中、レミはたしぎの知る数少ない非能力者で強い参考になる女性なのだ。

彼女の強さの秘訣を教えてもらうために聞いたことがあるが、説明が分からなさすぎて、剣を交えて盗むことに変えたのだ。

 

はぁ、はぁ、はぁ。

 

何度目かの攻防の末、たしぎが膝を突く。

 

「すみませんれすね。剣を刃こぼれさせてしまったれすね。」

 

「いえ、問題ありません。ありがとうございました。」

 

膝を突き、肩で息をしているたしぎとは逆に、ぴんぴんしているレミ。

たしぎは、先ほどの戦闘に満足しなかったのか強く歯をくいしばり、肩をふるわせている。

 

「レミさん、あなた海軍に入りませんか?その頬の腫れ、海賊にやられたのでしょう。あなたほどの腕でも怪我をするほど、男は強い。あなたが、海軍に入り正式な訓練を受ければきっともっと強くなれます。」

 

たしぎが、レミに負けてする話題は大体似通っている。

この前はなぜ、そんなにも実力を持っているのに正義のために力を振るおうとしないのですか?だった。

 

「たしぎちゃんが、悪党に渡った名刀を回収したいのと同じように、わっちにもやりたいことがあるれすよ。それは、わっちが悪党だと決めた賞金首を片っ端から取って、世界一のお金持ちになるれすよ。そのためには、海軍の安月給では割に合わないれすよ。」

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

香芝緑です。

イーストブルー編は、次回で最終話です。

この次は、アラバスタ編です。

今後ともよろしくお願いします。

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