賞金稼ぎレミ   作:香芝 緑

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ガチャン。

 

ボンちゃんがでんでん虫を置く。

 

話の相手は、クロコダイルでは無く、女性の声だった。

 

話の内容で、今後の行動が決まった。

 

今後、ボンちゃんとわっちは、Mr.3を探しながらアラバスタへ帰還することとなった。

 

その航路でMr.3を見つけれれば抹殺し、見つからなければそのまま、アラバスタのスパイダーズカフェに集合するみたいだ。

 

「ニューイヤーちゃんありがとーーーう。あちし、殺されるかと思ったわよーーーん。」

 

ボンちゃんが、涙を流しながら感謝してくる。

 

「では、これからどうするれすか?」

 

「ニューイヤーちゃんには、これからあちしの船に乗ってもらうわ。これから2人で任務に就くことになるわ。だ~か~ら、同じ船に乗ってお互いのことを理解するのよーん。そして、アラバスタに付く頃には、あちし達は最強のバディーになるのよん。なぜなら、おかまは男で女、2人そろえば4人力。だから、最強!」

 

「わっちは、おかまにならないれすよ。」

 

なぜか分からないが、ボンちゃんのなかでは、わっちはおかまになるみたいだ。

 

「なんでなのよーん。おかまになれば最強になれるのよーん。ニューイヤーちゃんもおかまになるべきよ。」

 

「いや、だってわっち女だし。」

 

「な!!!。たしかに男が女装をしたらおかま。おんなが男になるとおなべねん。一本取られたわ。」

 

「とりあえず、わっちはボンちゃんの船に乗るれすね。行きましょうか。」

 

「分かったわよーん。これからよろしくねん。やっとあちしにパートナーが出来たわん。あちしうれしい。だから回る。」

 

ボンちゃんは、船への移動中ずっと回りながら移動していた。

 

この人本当に、ずっとこんな調子なんれしょうか?

 

 

 

 

 

「ボンちゃんの船で過ごして分かった頃があるれす。ボンちゃんは仲間には凄く優しいれす。」

 

「だからなんだって言うんだよし。」

 

リトルガーデンを出航してから、レミことミス・ニューイヤーは、日中はボンちゃんの船で過ごし夜間は自分の船に戻っている。

 

「マーマーマー。それで、何か情報は分かりましたか?」

 

「アラバスタに付いたらスパイダーズカフェに集まるように言われているれす。そこには、Mr.1ペアとわっち達、Mr.4ペアが集まるそうれす。クロコダイルはまだ動かないようれすね。ただ、オフィサーエージェントが全員集合するのは初めて見たいれす。それ以外は、分からないれす。」

 

「オフィサーエージェントが全員そろって何か企んでいるのは間違いないだろう。反乱につながらなければ良いのだが。」

 

イガラムが不安そうな顔でうつむく。

 

「アラバスタに付いたらわっちは、ボンちゃんと行動することにするれす。イガラムさんとルルー、ジョージもどうするか考えておいてほしいれす。」

 

「俺たちは、イガラムさんを王都まで連れて行く。リーダーも気をつけて。」

 

 

「了解れす。では、アラバスタについてからは完全に別行動れすね。わっちは、これからボンちゃんの船に行ってくるれすよ。」

 

「マーマー。ちょっと待ってください。レミさんにこの手紙を渡しておくです。早ければ今日中にアラバスタへ着くでしょう。アラバスタで、王城に入るさいはこの手紙を見せてください。きっと、もてなしてくれるでしょう。そして、もう一通。道中でビビ王女に会ったらこちらの手紙を渡してください。よろしくお願いします。」

 

「分かったれす。同じところに船を停泊して上陸するのはやめるれす。アラバスタが近づいてきたらタイミングを見て別れるれす。」

 

イガラムから手紙を受けとる。

 

表には、イガラムの意外ときれいな文字が書かれている。

 

「レミ殿、アラバスタのこと何卒よろしくお願いいたします。」

 

イガラムの熱のこもった双眼がレミを見つめる。

 

レミは、ニヤッとすると片手をあげて返事をし、ボンちゃんの船へ飛び移る。

 

不器用な男れすね。

 

普段は、マーマーマー言っていておちゃらけているように見えるが、国を思う気持ちは本物であることを知っている。

 

自分の思い描くもののためにがむしゃらに努力する人は好きだ。

 

後、お金をくれる人も好きだ。

 

最初のうちレミは、金儲けのためにクロコダイルが討伐しに行き、勝てそうに無ければ逃げるつもりだった。

 

今までも、勝てそうに無い相手には戦わずそうしてきたれた。

 

だが、今回は、クロコダイル討伐に全力で打ち込むことに決めた。

 

ルルーやジョージ達には悪いが、分の悪い戦いになろうとも最後まで付き合うれす。

 

 

 

 

 

「おはよーん。ニューイヤーちゃん。今日のあちしも絶好調よ。」

 

ボンクレーは、今日もくるくる回っている。

 

全く、熱苦しいれすね。

 

「いつものもらえるれすか。」

 

レミは、特等席となりつつあるベンチに腰掛けると、ボンちゃんの部下に声を掛ける。

 

いつものとは、オレンジジュースのことだ。

 

準備してきたのだろうか、すぐに出てくる。

 

正直、ボンちゃんがうるさいことを除けば、この船は想像以上に居心地がいい。

 

船は大きいし、設備も整っている。

 

いずれ敵になるのが分かっているから少し距離を置くようにしていたが、何度無視を決め込んでも周りの人が話しかけてくるから、諦めてしまった。

 

「ニューイヤーさん。この前話しておりましたお召し物が出来ました。」

 

今日も、おかま達が、砂漠に適した服装を作成して持ってきてくれた。

 

依頼していたのは、ターバンとストールポンチョだ。

 

一昨日、砂漠に適した服を何でもいいから準備してほしいといったら、水着みたいな衣装を持ってきた。

何でも、アラバスタでは今年流行のファッションだとか。

こんな服を着て戦う馬鹿がどこにいるんれすかと一蹴してやったのは言うまでもない。

 

きちんと、要望を伝えて、外装だけ準備してもらった。

 

中に着る服は、いつものシャツと大きめのズボンで大丈夫だ。

 

ターバンとストールポンチョを着てみる。

 

「うん。サイズもちょうどいいれすね。ありがとう。」

 

わっちにお礼を言ってくれてうれしかったのか、服を作ってくれた船員は回転しながらどこかへ行ってしまった。

 

オレンジジュースを飲みながらボンちゃん達がダンスのレッスンをしているのを見ているとまた別の船員が近寄ってきた。

 

「ニューイヤー様。お加減はどうですか?」

 

「いいれすよ。」

 

ここの船員は本当に海賊なのれしょうか?

 

どちらかというと、おかま王国の従者に見える。

 

「我々では、ボンクレー様の隣に立って戦うことは出来ません。どうか、ボンクレー様へのお力添えよろしくお願いします。」

 

頼むことが、本当に海賊なのだろうか。

 

「アーハハハハ。わっちに任せておくれす。わっちはボンちゃんより強いれす。心配無用れすよ。」

 

会話の内容が聞こえていたのか、ボンちゃんが怖い顔をして近づいてくる。

 

「ニューイヤーちゃん。言ってくれるじゃない。どっちが強いか白黒つけようじゃな~い。」

 

「いいれすよ。その不細工な顔をもっとボコボコにしてあげるれす。」

 

ローグタウンを出てから、戦闘をしていない。

 

ドラゴンに負けてからずっとトレーニングは積んできたんれす。

 

ここで、その成果を確認しようでは無いれすか。

 

「啖呵切ったからには覚悟してちょーだいよ。」

 

ボンちゃんは、白鳥の首を両足につけると外野がざわつきだす。

 

聞こえてくる話によるとボンちゃんの本気モードみたいれすね。

 

ほとんどの船員がボンちゃんの勝ちを確信している。

 

アウェイの状態だがら仕方ないでしょう。

 

敵となる相手に剣技を見せるのも嫌れすので、銃剣なしの拳で戦うれすよ。

 

レミとボンクレーが向かい合い、構える。

 

「いつかでもいいれすよ。」

 

「ニューイヤーちゃん、あなた少し生意気じゃなーいかしら。」

 

レミが、かかってこいと手招きすると、ボンクレーが距離を詰めて蹴りを放つ。

 

レミは、軽々とそれを避ける。

 

反撃出来ていないレミを見てボンクレーがニヤリとする。

 

「ニューイヤーちゃん、大口叩くだけあって、なかなかやるわね。あっちの高速の蹴りを避けられる人はそう多くないわよ。でも、あなたは、分かっていないわ。あちしとの体格差はリーチの差、わちしは、あなたの間合いの外から攻撃すれば絶対に負けはしないのよん。」

 

「そういうのは、攻撃を当ててから言うものれすよ。」

 

「ぬぬぬ。今の攻撃は様子見よーん。少しはやるようだから次からは手加減出来ないんだからねぇ。ニューイヤーちゃん、降参するなら早くしてちょうだいねーん。おかま拳法。」

 

アン!!!

 

ドゥ!!!

 

クラァ!!!

 

確かに、本気で戦っているようれすね。

 

すべての技が一段階鋭く重く速くなっているれす。

 

でも、わっちには当たらないれす。

 

レミは、ボンちゃんの攻撃を見切り回避し攻撃をいなし、間合いを詰めるタイミングを測る。

 

ボンちゃんの攻撃を躱し強くなっている手応えを感じるレミ。

 

対して、ボンちゃんは攻撃が当たらず、焦りの色を浮かべる。

 

「ぬぬぬぬ!随分とすばしっこいわね~い。回る回る・あちし回る!!!おかま拳法。あの冬のメモワール!!!」

 

攻撃を躱されるばかりのボンちゃんは、空高く飛び大技を繰り出してくる。

 

着地と同時に猛烈な蹴りの嵐が降り注ぐが、すれ違いざまにレミの蹴りが入る。

 

「ぶふぇ!」

 

「ボンクレー様!」

 

周りの船員から悲鳴の声が上がる。

 

まさか本当にボンクレーと対等以上に戦えると思っていなかったのれしょう。

 

「まだまだぁぁぁ。」

 

ボンちゃんが、立ち上がる。

 

実力差を感じ取ったようれすね。

 

ボンちゃんの目が全然笑っていない。

 

アン!!!

 

ドゥ!!!

 

オラァ!!!

 

ボンちゃんは怒濤の攻撃を避けると、あたりが白くなってきた。

 

「んなぁ。なにも見えないじゃないのよぉん。でも、あちし負けない。」

 

あたりは、濃い霧に包まれて、1m先も見えなくなったが、ボンちゃんの気配は感じるれす。

 

どうやら、見えないなか、がむしゃらに攻撃仕掛けてきている。

 

敵になる存在に、自分の攻撃をあまり見せないように立ち回っていたレミであったが、濃い霧は好都合だ。

 

筋トレの成果を確認するときが来たれす。

 

右拳を強く握る。

 

両手を甲板に付き回転攻撃を繰り出すボンちゃんの攻撃をかいくぐり胴に狙いを定める。

 

「打ち抜け正拳突き。」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ。」

 

ボンちゃんが吹き飛んだのが分かる。

 

かなりの手応えだ。

 

あの体の丈夫なアーロンにもかなりのダメージを与えれただろうと確信する。

 

ボンちゃんは気絶しているのだろう、気配を感じない。

 

「どうやらわっちの完勝のようれすね。」

 

しばらくして、霧が晴れてきた。

 

甲板で倒れているボンちゃんが見えて、こないれすね。

 

霧が晴れるとそこにボンちゃんはいなかった。

 

「ボンクレー様がいないぞぉ。」

 

「なにーーーー。」

 

「ボンクレー様を探せー。」

 

船員総出で船内を捜索するも、ボンちゃんは見つからず、消去法的に海に落ちたと判断された。

 

「ぎゃぁぁぁぁ。ごめんなさいれすぅぅぅぅ。」

 

レミは、きれいな土下座を決め込んだ。

 


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