東京ミュウミュウ -Rhinoceros Spear- 作:寿垣遥生
幼馴染のデートを尾行したその時、一筋のビームが1人の少年の運命を変える!
オープニングテーマ
『my sweet heart』
歌:小松里賀
エンディングテーマ
『恋はア・ラ・モード』
歌:東京ミュウミュウ
side主人公
俺の名前は才川汐(さいかわしお)、どこにでもいる男子中学1年生。学校が終わった今は親友を校門の前で待っているところだ…アイツからは『用事を済ませてから行くね』とは言われたけど、どんな用事なのか気になるところだ。
「汐、お待たせ〜!」
待つこと20分、赤のセミロングヘアをツインテールにした俺と同い年の女の子がやって来る。彼女は俺の幼馴染で親友の桃宮いちご…表情からしてかなり嬉しそうだが、用事の中で何か良いことでもあったのだろうか?
「おう、いちご!用事は済んだのか?」
「うん。おかげ様で…それじゃあ、一緒に帰ろう!」
そして、俺達は並んでから一緒に歩き出す。いちごとはもう幼稚園の時からの付き合いで小学3年生以外は同じ組にいて遊ぶ時や帰る時等も一緒と今日に至るまで仲良くしている…今日も今日で一緒に帰ることになるけど、彼女の表情は快晴の青空のように明るくて嬉しそうだった。
「随分と嬉しそうだな。何か良いことでもあったのか?」
「実はね…青山くんとデートすることになったんだ。」
「青山ってあの青山雅也か?」
「うん!青山くんは動物好きということで、CMで観た『レッド・データ・アニマルズ展』に行こうと誘ったら『良いよ』って言われて…って、汐はどうして青山くんのことを知ってるの?」
「小学3年生の時に俺達はそれぞれ違うクラスになっただろ?その時に雅也と同じクラスになって仲良くなって友達になったんだ。お前、もしかして雅也のことが好きなのか?」
「えっと…うん。かっこよくて、スポーツもできるし、勉強もできて優しいところが素敵だなって…特に剣道をやって相手に技を決めるところを見ているとテンションが上がるんだ。でも、他の女の子にも人気なのに私が独り占めしちゃって大丈夫かな?」
いちごは顔を赤くして雅也の魅力を語る。雅也は申し分なしのイケメンで成績優秀スポーツ万能、そして剣道はめちゃくちゃ強くて部活内ではゴールデンルーキーとして早くも大会に出ては大活躍中だ…そんなアイツを語る彼女はまさに恋する乙女だった。今までは元気で可愛いところが取り柄だった彼女が恋愛と向き合ってこうなるとは…ただ、その相手が俺じゃないというのは複雑な心境だ。
「まあ、アイツは同級生だけじゃなくて先輩女子からも人気だからな…それで、どうして俺は誘わなかったんだ?」
「だって、汐は動物に興味は無いんでしょ?それに、チケットは2枚だけしか理科の先生から譲ってもらってなくて。もしかして、行きたかった?」
「いや、まあ…2枚だけなら好きな男が優先だろうよ。仕方ねえさ…」
俺は悔しい気持ちを噛み締めながらいちごの問いかけに答える。確かに…動物のことは嫌いではないけど、雅也のように特別興味があるわけではない。家では犬を飼っているけど、ほとんどの世話は親父か兄貴に任せているから俺が面倒を見るのは2人が忙しかったりいない時ぐらいかな?まあ、ウチのは結構人に懐いているから俺を攻撃することはないし大丈夫なのだが…俺じゃなくて雅也と一緒なのが少し悔しく感じる。
(それにしても、いちごはまた可愛くなったな。昔から可愛かったけど、大人に少しずつ近くなる度に日々可愛くなって…ヤバいな。)
「汐、私の顔に何かついてるの?そんなにじっと見られると照れちゃうよ…」
「あっ、悪い…とりあえず、デート頑張ってこいよ!お前のこと、応援してるから!」
「ありがとう!応援してくれる汐のためにも頑張ってくるね。」
いちごは満面の笑みで俺の応援に答える。しかし、少し虚しくも感じてしまう…と言うのも、俺はいちごのことが小さい時からずっと好きなんだ。気持ちを伝えられなかったのも俺が臆病で告白のタイミングを逃していたこと、これに尽きる。そして、今も俺はヘタレなのだ…小学校は卒業してもヘタレを卒業できないなんて情けないと自分でも思う。
「それと、遅刻はすんじゃねえぞ?集合場所とか集合時間はどんな感じだ?」
「えっと、駅のバス停で10時集合って言ってたような…って、どうしてそれを訊くの?」
「いや、別に…」
「変なの。それじゃあ、また月曜日ね!」
「ああ…またな。」
沢山話をしている間に俺達はあっという間にそれぞれの自宅の前まで来ていて、そこで別れる。俺の才川家といちごの桃宮家は昔から隣同士にして幼馴染で親友…付き合いも関係もズブズブだ。でも、それなのに未だ親友から関係は進展しておらず…幼馴染が恋をするのは漫画、アニメ、ドラマ、小説の創作物だけの話なのだろうか?そもそも、いちごは昔から俺のことを男として見ていない…何らかの形で男としてのアピールができればな。(見た目のアピールではなく内面的な意味でのアピール)
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翌日、俺はいちごの後をつけて家を出たところから様子を尾行する。もちろん、帽子を被り、サングラスとマスクも着用という変装だけでなく新聞もわざわざコンビニで調達して万全だ…これでバレそうになっても新聞を読んでいるふりもできる二重装備は整った。そんな風に後を追っていると、雅也がバス停で本を読みながら既に待っていて2人がそこで出会う…時刻は指定された朝の10時ジャスト、ギリギリだ。
「おはよう!」
雅也はいちごと向き合うと本を畳んでから笑顔で『おはよう』と挨拶をする。長すぎず短すぎない黒い髪に褐色の肌で整った顔立ち…剣道をやっていることが想像できないぐらいにかっこよくてまさに王子様だ。そんな彼を見たいちごはすっかり蕩けてしまって見つめるだけしかできなくなる…俺の前でこんな感じになったことは一度もない。俺への慣れなのか、雅也が異次元なのか…どっちにしても嫉妬してしまうな。
「…どうしたの?」
「えっ、ううん…何でもない!ごめんなさい、遅くなっちゃって…あっ、晴れて良かったね。」
いちごは誰がどう見たって雅也を目の前にして緊張していてもうタジタジだ。いつものいちごは元気満点で怖いもの知らずなのだが、今日の彼女は緊張のあまりにこじんまりしているようにも見える。
「そうだね…じゃあ、行こうか。」
そして、2人はレッド・データ・アニマルズ展へ向かうべく駅に入っては電車に乗って移動していく。いちごは早足気味でカチンコチンな動きで終始雅也の横を歩いていて電車の中でもほとんど会話できずだった。俺もいちごと話す時は緊張する時がたまにあるから気持ちは分かる…だけど、付き合いの長さもあって緊張はあまりしないし、緊張したとしても彼女の前には出さない。俺は男だからな…堂々としとかなきゃ締まりがねえだろ?
(俺としてはこのままグダグダで終わってほしいけど、人の不幸を祈ってると俺が呪われるからな。とりあえず、まともに会話ができるぐらいは頑張れよ?)
(20分後…)
「桃宮さん、着いたよ?」
「う、うん…ああっ!?」
そんなこんなで2人はレッド・データ・アニマルズ展の会場の最寄り駅に到着してから電車を降り、それを俺はコソコソ追っていく…やってることはストーカーなのか尾行なのかはよく分からねえけど、このままだと雅也にいちごを奪われるようで我慢ならない。告白しようものなら『ちょっと待った!』と突撃して意地でも阻止してみせる。
『繰り返して会場内入場へのお願いを申し上げます。入場はお1人ずつ、ゆっくりお進みください。』
受付を通ってチケットを確認してもらってからいよいよレッド・データ・アニマルズ展の会場へとたどり着く。俺に関してはお客さんから1枚チケットを貰っていた親父から譲ってもらい無事に行けることに…ちなみに、レッド・データ・アニマルとはまあ簡単に言ってしまえば絶滅危惧種のことで絶滅しそうな動物のあらゆるものが展示されているって訳だ。人が動物を乱獲したり、生息地を奪ったりしてきたことで動物は生きていけなくなりやがては絶滅していく…動物にあまり興味のねえ俺でも可哀想だと思わせられる。
「それにしても、意外だったな…」
「えっ?」
「桃宮さんがこのレッド・データ・アニマルズ展に誘ってくれるなんて…僕、こういうの前から見たいって思ってたんだ。」
「そりゃあ、青山くんが興味あるものは調査済み♪」
「えっ?」
「あっ、いや…何でも。」
いちごはついうっかり本当のことを言ってしまった。雅也が動物好きなのは事実で何しろ、飼育係を進んで立候補するぐらいだったからな。俺も一緒に飼育係をやってうさぎやにわとりの世話をしたことがあるけど、コイツの動物に対する愛情は半端ないことはよく分かっている…しかも、家でも犬を飼っていて動物が恋人なのかと思うぐらいだ。それを前から知っていたような言動だったから調査していたんだろうとは察していた…今はちょうど背後から見守っているのだが、いきなりいちごからやらかしてくれるとは思ってもいなかったぜ!運は少しずつだが俺に向いているのかもしれない。
「ところで、あれは何かしら?」
そんなこんなでこの悪い雰囲気を抜け出そうといちごは上にある金色の猫みたいな動物の像を指さして何かと雅也に訊ねる。あれも絶滅危惧種なのだろうか?猫は色んな場所で日時を問わずに見かけるから絶滅の『ぜ』の文字すら縁がないと思うのだが…
「この展覧会のシンボルかな?面白いね!」
『どうぞお進みください…』
場内アナウンスに従い、俺達は金属探知機を通過して展覧会の中へと入っていく。それにしても沢山の絶滅危惧種と扱われている動物の写真やら体の一部やら全身の模型が飾られていてその全てがこの会場にギュッと詰められている…その数2500以上、こんなにも絶滅しそうな動物がいると思うと俺達人間が生きていける環境や命を奪っているんだなと感じてしまう。野生の動物達にとって今の世の中は肩身が狭くて可哀想だ…
「桃宮さん、見て?」
「ん?」
「イリオモテヤマネコの珍しい写真があるよ!」
「あっ、はい!」
そんな時に雅也は自分が見ていたイリオモテヤマネコの写真をいちごに見せる。イリオモテヤマネコも絶滅危惧種なのか…西表島ではよく見かけるイメージがあったけど、ここまで追い込まれているとは思ってもいなかった。
「可愛いよね。」
「こんな猫もレッド・データ・アニマルなんだ…」
2人はイリオモテヤマネコの写真を見ていちごは夢中になる。どんなに可愛い動物でもいずれは絶滅する日は来るものだが…今すぐいなくなると思うとそれは虚しいが、まだ何年も先の話だ。とにかく、生きている間も絶滅してからも可愛さに触れるのが動物の楽しみではないかと思っている。(まあ、俺はそんなに興味はないけど…)
「僕達の星には絶滅しそうな動物がこんなにいるんだね…」
雅也は真剣な感じで呟いた。この地球には沢山の生き物が生きているのだが、中には人間のせいで住む場所や命を失ってきて絶滅危機に直面しているのも沢山いる。そう考えると、俺達は罪深い生き物だと思ってしまう…そんな中でいちごもいちごで真剣そうに雅也を見つめるのであった。
「ん?」
「ああっ…いやっ、これからはやっぱり私達が地球を守らなきゃ!なんて。」
「そうだね!」
雅也はいちごの言葉に笑顔で反応する。それにしても、コイツはかなり大規模なことを言ったな。普通だったら地球のこととかそんなことを語りそうもねえのに…恋の力は偉大である。
「それじゃあ、他のところも回ろうか!桃宮さんにも見せたい動物は沢山いるからね。」
「はいっ!」
それからも、いちごと雅也はエリア内に展示されているレッド・データ・アニマル達のところを全て回り、俺もそれを追いながら全部見てきた。主なところだとノドジロルリインコ、スナメリ、ゴールデンライオンタマリン、ハイイロオオカミといったところかな?他にも誰もが知る動物も沢山いた…身近で誰もがよく知っていて人気の動物も絶滅の危機に直面しているのか。いちごの言う通りに俺達人間も地球を守って動物の生きやすい星にしないといけないといけないと真剣に考えさせられる。その後はプリクラを撮ったりしていたけど、もうこの2人は完璧なぐらいに仲良しだ…これは会場を出たら告白するパターンじゃないのかと思った。
~~~~~~~~
全部見終わって会場を出た2人は公園の芝生を楽しそうな雰囲気を醸し出しながら歩く。俺に関しては足元が芝生ということもあって足音を立てずに抜き足差し足忍び足…まるで忍者のように背中を追う。バレてしまったら、いちごからはストーカーと言われて絶交を言い渡されて告白どころじゃない。色々感じることはあるが、今は我慢だ…
「今日はありがとう!」
「来て良かった。良い天気だね…あっ、さっきから同じことばかり言ってるね。アハハ…」
「ふふっ…本当。」
「僕、ずっと思ってたんだ。」
「えっ?」
「大事なことだから。」
すると、雅也は真剣な表情をして何かを言おうとする。おいおい、この場面で告白とか展開が早すぎだろ…俺からいちごを奪おうってのか!?俺、無愛想でぶっきらぼうに見られるから同級生の友達がいちごと雅也以外にいないんだ…それに、好きな相手に何もできずとか俺は単なるヘタレで終わっちまう。やめろ、やめてくれ!お前とも友達でいれなくなるから…頼む!!
「自然を守ることについて、君ともっと語り合いたくて…」
「(えっ!?)」
俺の願いが通じたのか分からなかったが、どうやら雅也は告白じゃなくていちごと自然を守ることを語り合いたかったらしい…そりゃあ、いちごが『地球を守りたい!』とか言えば自然と動物をこよなく愛する雅也は奮起することだろう。これにいちごはずっこけそうになり、俺は救われた。
「どうしたの?」
「ううん…私、ジュース買ってくる!ひゃああっ…」
テンパったいちごはジュースを買いに行こうとした時、木の枝に躓いて転んでしまいそうになる。しかし、その身体は雅也がお姫様だっこをして受け止めた…告白も告白でこっちには効くけど、お姫様だっこを見せられるのも同じぐらい効くものだ。
「大丈夫?」
「ありがとう、あの…」
「ジュースは僕が買ってくるよ。桃宮さんはここに座ってて…」
雅也はいちごを下ろして、自らジュースを買いに行くのであった。横顔からではあるが、顔は赤くて凄いことになっているのが分かる…俺でもしたことがないお姫様だっこを好きな相手にされたらこうなるだろう。ただ、俺は悔しい…初めてが雅也ならもうこれ以上満足できる相手はいないからな。そんなヤツに奪われたことも自分のヘタレ具合にも腹が立つ。
(それにしても、可愛いお店だ…いつの日かはいちごとデートで行けたらな。まあ、いちごが雅也じゃなくて俺を選んでくれればの話だが…)
俺はこの土地の近くにある可愛らしいお店のような建物を見つけていちごと付き合った時の青写真を思い浮かべる。いちごも同じお店を見ていると思うが、どうせ雅也と行けたらなぁ〜って思っていることだろう。それぞれがそれぞれで一方通行しているようだ…
(地面が揺れてる…地震か!?)
その時、いきなり大きく地面が揺れ始めてほんの数秒で大きくなりだして周りにいる人が立てないぐらいの揺れとなる…雅也はこの中でジュースを買いに行ったのだが、大丈夫なのだろうか?恋敵ではあるが気になる。
「青山くん、青山くん!」
いちごは雅也のことが心配なのか大きな声で彼を呼ぶ。相当パニックになっている様子だ…しかし、それと同時に例の建物のアンテナから赤いビームが放出される。逃げようにも逃げられない…そして、このビームはいちごと俺に命中した。俺の意識もここで途絶えて何があったのかもよく分からない…何があったのだろうか?
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「ううっ…」
「気がついたか?まったく…手間かけさせやがって!とんだバカ野郎だよ。」
目が覚めると俺は畳の上でぐっすり寝ていたようだ。目の前には親父である才川文太(さいかわぶんた)がいて、たばこを咥えながら様子を見ていたらしい。ちなみに、俺の親父は元レーシングドライバーで自宅でもある『才川豆腐店』の店主だった親父の親父…つまり、じいちゃんが亡くなってからは引退してお店を引き継いだ。母さんに関しては俺が6歳の時に親父と喧嘩して離婚…片親ながらも俺と兄貴(いずれ登場する予定)を男手一つで育てている。
「なあ、親父…俺はさっきまでレッド・データ・アニマルズ展を見に行っていたけど、誰がここまで送ったんだ?」
「ああ、俺だ。腕が鈍らないようにドライブをしていて公園に立ち寄ってみたら芝生の真ん中で寝ていたお前がいてな…連れて帰ったよ。しかし、マスクもサングラスもして何をしたかったんだ?」
「いや…」
「まあ、それはどうでも良いことだ。聞かないでおいてやる…」
「あ、ありがとう?」
とりあえず、親父からは何も咎められずには済んだ。明らかに怪しい格好で行ってたから怒られるとは思っていたのだが、意外と怒らなかった…普段の親父はクールだけど怒らせると雷が落ちて感電するぐらいに痛い目を見るからな。救われたとも言える…
「それはそうと、お前は4時間も寝てたんだ。元気なんだろ?だったら、俺の仕事を手伝ってくれねえか?」
「まあ、俺にできることなら何でもやるよ。」
俺は親父に呼ばれてから外に出た。寝てたら元気になるって…昔の人間の考え方ではあるが、こっちもこっちで寝れた分はスッキリしていて身体も動く。やれることはやらねえと親父も親父でおっさんになりつつあるから息子として支えないと親父に失礼だ。
「それで…何をすれば良いんだ?」
「大豆を軽トラ1台分仕入れてきたんだ。これを全部持って行ってくれ…ぎっしり詰まってて重いかもしれねえが、今のお前ならこれぐらい持てるだろ?」
親父は軽トラの荷台に載せている大豆が入ったダンボールの山を指差してこれを持っていけと言う。このバカ親父、俺が力仕事ができないのを知ってるのか?それに、腰も悪くねえのに寝ていて元気だからと頼みやがって…
「おいおい、俺は力仕事ができねえんだぞ…1箱は辛うじて持てるとは思うけど、2箱目辺りからキツいっての!」
「そう言うと思ったよ…とりあえず、働いてくれたら1000円をボーナスでやる。今日のようなお出かけに使うなり、お前の好きないちごちゃんとのデートとかに使え。」
親父は嫌がる俺を丸め込もうと1000円のボーナスを出すと言ってきた。これなら働かない訳にはいかねえ…こっちはいちごと将来デートをするためにお金を貯めてきたんだ。断るわけにはいかねえだろ?
「まあ、やってやるよ。よいしょっと…!?」
俺は大豆がぎっしり詰まったダンボールを1箱持ち上げてみた。その時、今まで重かったものが嘘みたいに軽く感じてしまう…まるで空気を持っているかのような感じだ。何がどうなっているのか?
(とりあえず、3箱持ってみるか…)
これで何かに気づいた俺は3箱一気に持ち上げてみる…その予想は的中して軽く持ち上がり、全然苦しくない。俺は目が覚めたら力持ちになっていたのだ…
「お、おい…無茶はするなよ?」
「大丈夫だって!今日の俺は何だか知らねえけど、何箱だって行けるから。」
俺は店内に大豆の箱を置いてダッシュでまた取りに行く。今は何だか知らねえけど、身体が軽くて余裕がある…脚も軽くてこんなにも速く走ったことは運動会でもない。目が覚めたらこんなにも超人になってるとか凄すぎる…のだが、止まれない。
(ヤバい、このままだと親父にぶつかる…止まれ、止まれ!)
「ぐはっ!?」
しかし、俺の祈りも届かずに親父に衝突してしまう。ぶつかった親父はブレーキをかけていたにも関わらず3mぐらい飛んでいった…自分でも制御できないぐらいだとは本当にどうなってんだ?
「汐…てめえ、わざとぶつかっただろ?」
「ごめん!俺、何か変なんだよ…今までこんなにも動けたことのねえのに今に限ってこんなことになってるんだ!」
「まあ、確かに…運動も体力も平凡なお前がこうなのも変だわな。力持ちで脚も速くて体感も強い…まるでサイみたいだぜ。」
「サイ?サイ…ああっ!」
その時、親父の一言で俺は意識が途切れる前のことを思い出した。あのビームを浴びた直後、俺の身体にシロサイが突っ込んできては中へと溶け込んだ…もしも、ありえるかどうかは不明としてビームを浴びた俺はシロサイのように怪力俊敏な超人になったのかもしれない。これはラッキーのような悪いような…
「どうしたんだ?」
「いや、何でもねえ…」
「何だよ、心当たりがあるのかと思ったら何もねえのか。まあ、残りもあるからそのパワーできっちり持ってけ…終わったら晩飯だ。」
「ああ、任せとけ!」
とりあえず、俺は残りの大豆を全部運んで仕事を終わらせる。まさか、俺がシロサイの力を使えるようになっていたとは…ってことは、同じビームを浴びたいちごも?とにかく、明日は明日で様子を見るとしよう。身体能力が上がった要因はビーム以外にも存在している可能性もあるからな…とにかく、この力がいつまでも使えるのならいちごの前で自慢したいものだぜ!お前を必ず惚れさせてやるから、見てろよ?
才川汐(さいかわしお)
CV:森田成一
誕生日:8月31日(満13歳)
身長:166cm
体重:52kg
見た目:『BLEACH』の黒崎一護を銀髪にした感じ
解説
この物語の主人公で一人称は『俺』。一見するとぶっきらぼうで無愛想な感じに見えて口調はやや荒いが、義理堅く不要な争いを好まず心優しい性格を持っていて自分はともかく家族や友達といった身の回りの人をバカにすることは許さない。目上の人に対しては見た目からは想像できないぐらいに礼儀正しく、成績は体育以外なら上から数えた方が早いぐらいに頭は良いが、身体能力並びに体育の成績は平凡。動物の知識はあるが、それほど興味がある訳ではない。
そんな汐は父親のみの片親だった上に弱虫&泣き虫だった背景から幼稚園の時はみんなからいじめられ、その度に幼馴染のいちごから助けられていた。そんな彼女の優しさと可愛さに触れて次第に好きになっていくが、今度は彼女がいじめられていく中で助けることができずに自分の弱さを痛感する。それからはいちごを助けられる強い男になるべく一人称を『僕』から『俺』に変えて口調を強くしたり空手を習ったりして努力はしたものの空手は平凡ぐらいまでは身体能力を上げられただけで長続きせず、ヘタレも治らずでいちごを好きな気持ちだけが膨らみ続けていたのだが…いちごと雅也のデートを尾行していた時にシロサイのDNAを打ち込まれ、身体能力が格段に向上して人間離れした怪力と瞬発力を手に入れた。後は心のヘタレを卒業するのみだが…果たして?
才川文太(さいかわぶんた)
CV:平田広明
誕生日:10月2日(満45歳)
身長:180cm
体重:70kg
見た目:『頭文字D』の藤原文太
解説
汐とその兄の父親で2代目『才川豆腐店』の店主。元レーシングドライバーで先代の店主である父親が亡くなってからは引退して家業を継いだ。普段はクールで口数は少ないが、怒らせると何よりも怖い。元妻とは23歳の時に結婚したが、汐が2歳の時に喧嘩別れして離婚してそれからは男手一つで子育てをしつつ豆腐を作ったり売ったりしているが、豆腐の配達は負担軽減のために兄が担当している。愛車はAE86スプリンタートレノ(白黒)。
こんな感じで流行りの波に乗る意味として始めたこの作品の1話はいかがでしょうか?次回、ついにミュウミュウに変身する予定なので…どうぞお楽しみに♪
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