東京ミュウミュウ -Rhinoceros Spear-   作:寿垣遥生

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デートから2日後、何事もない日常は怪物の出現で突然と崩れていく。そんな時、2人の救世主が生まれる…その名は『ミュウシオ』と『ミュウイチゴ』。怪物の正体とは果たして…そして、汐達がおかしくなった理由も解明される。


オープニングテーマ
『my sweet heart』
歌:小松里賀

エンディングテーマ
『恋はア・ラ・モード』
歌:東京ミュウミュウ


#2 俺はシロサイ、いちごは猫になる…地球の救世主ミュウミュウ誕生!

side汐

 

 あの騒ぎがあってから2日後の月曜日…俺達はいつものように学校へ行っていつものように授業を受けている。今は国語の時間だ。俺は朝から何事もなく過ごしていて今のところはシロサイの力を出してはいないが、問題はいちごの方だ…同じビームを浴びたのだからどこかでシロサイの力を出してしまうのではないかと隣の席から思っている。(俺といちごの席は隣同士←来月は席替えするけど…)

 

(しかし、いちご…授業中も関係なく居眠りしてやがる。これで先生に気づかれたら終わりだぞ!ウチの国語の先生は文系とは思えないぐらい厳しいからな。)

 

「それじゃあ、この段落の文を読んでくれ…そこで寝ている桃宮さん。桃宮…おいっ!!」

 

 その時、国語の進藤先生が怒り出席簿でいちごの頭を思いっきり殴った。進藤文平(しんどうぶんぺい)先生は見た目から教師の雰囲気が無くてこの学校の国語教師どころかどの教師よりも厳しくてチョーク投げや出席簿で頭を殴るのが日常茶飯事で出される宿題も多い上に短気な鬼教師だ。これは宿題倍増か、そう思っていたその時…

 

「シャーッ!!」

 

 いちごは血迷ったのか目を覚ました瞬間に進藤先生の顔を爪を立てて引っ掻いたのだ。その動きは怒り狂った猫のようで先生の顔には引っ掻き傷がついた…

 

「痛っ…お前、教師への暴力とは良い度胸してるじゃねえか。だったら、こっちだって分からせてやる!!」

 

「ウウーッ!!」

 

「おいっ、落ち着くんだいちご!相手は先生だぞ!?進藤先生もやめてください!」

 

「うるせえ、才川…そこをどけぇ!!」

 

 進藤先生は完全にブチ切れていちごを殴り飛ばそうと拳を振るう。このままだとこの拳が命中して傷がついてしまう…いくら先に仕掛けたのが生徒だとしても報復をするのは教師としてやってはいけない。そんなことなど先生に考える余裕はなく襲いかかった。

 

(すみません、先生…)

 

「ふぐぅっ!?」

 

 俺は手刀で進藤先生の首に命中させて気絶させた。普段の俺だったら到底敵わない相手ではあるが、今はシロサイの力が宿っているから力では負けない。ただ、本気を出すと先生の身がぶっ壊れることもあるのでここは軽く手刀でねじ伏せるのみで勘弁することに…わずか2日ぐらいではあるが、力の制御はできるようになってきた気がする。

 

「すげぇ…」

 

「才川が桃宮さんと進藤先生を止めた。」

 

「悪い…ちょっと落ち着かせてくるわ。」

 

 クラスメイトが驚く中、俺はいちごを連れて教室を後にして隣の資料室に移動する。まだ彼女の怒りは収まらない…どうしてこうなったのかは不明だが、今は別室で落ち着かせるのが先決だ。トラブルを起こした教室だと居心地は悪いだろうからな…

 

「ふうう、ふああっ!!」

 

 資料室の中に入ってもいちごの怒りはまだ収まらない。その怒りの原因は何なのか…今は冷静さを失っていて言語を失っている。こんなに落ち着きのないいちごを見たのは初めてだ…

 

「いちご、落ち着け!もう進藤先生はいない…一体、何があったんだ?寝てるのに起こされたのが不満なのか!?」

 

「ああああっ!!」

 

「いっ…いちご!」

 

 いちごは俺の頬を全力で引っ掻いた。血は流れるし、凄く痛い…今まで俺どころか人に暴力を振るわなかった彼女がこんなことをするなんて。ショックや驚きはあるが、今は止めるのが先決だ!猫のようになってしまったのならこっちもこっちで相応に相手してやるしかない。

 

「大丈夫だ、俺がそばにいるからな。もう怖くねえ…俺はお前が守ってみせるから。頼む…元のいちごに戻ってくれ!」

 

 俺は飛び込むいちごを抱き締めてから頭を撫でて落ち着かせる。飼ってる動物にはこれが効果的なんだよな…ウチの犬も落ち着きがない時は兄貴がいつもこうしていた。その通りにしてみたらいちごの抵抗は止まり落ち着きを取り戻しつつある…

 

「し…お。」

 

「落ち着いたか?良かった…」

 

「えっ、汐…何、してるの!?」

 

「あっ、ああ…ごめん!」

 

 理性を取り戻したいちごは自分が抱き締められていることに気づいて驚く。これには俺も思わず手を離して『ごめん』と謝った…やっぱり、俺はヘタレなんだな。いくら勇気を持ってその時は積極的にできるとしても堂々とはできなくて、本当に情けない。

 

「ねえ、汐…私は今まで何をしてたの?」

 

「ああ…お前が居眠りしていた時に進藤先生から起こされ、それで猫のように怒ったお前が先生の顔を引っ掻いたんだよ。覚えてないのか?」

 

「えっ、何となく覚えてる…私、最近変みたい。ビームを受けた時から猫みたいになっちゃって。」

 

「お前、猫になったのか…具体的にどんな感じが猫なんだ?」

 

「うん。魚を見たら無性に食べたくなって変な食べ方をしてるし、突然身軽になって運動神経も良くなったし、すぐに眠たくなって。それに、今は抑えてるけど語尾に『にゃ』がつくようににゃってるし…」

 

 なるほど、いちごはあのビームを受けて猫の力を得てしまったということか。それに、抑えていた語尾も出てしまっている…俺はシロサイ、いちごは猫。あのビームを食らった人はランダムで力を得る動物が決まってるということなのだろうか?

 

「とりあえず、今日は気を昂らせらずに猫の力を抑えて過ごせ。もしもの時があったら俺がバックアップしてやるから…」

 

「ありがとう…汐、ごめんね。今度は私が迷惑をかけちゃって…」

 

「良いんだよ。迷惑をかけるのはお互い様だからな…それを助け合う、それが親友ってもんじゃねえの?」

 

「そうだね…うん。」

 

 そして、俺達はまた教室に戻ってからその後はいちごが猫にならないように気をつけながら過ごして今日の学校を終えた。力のコントロールができた俺はまだしも、いちごはまだコントロールができていないみたいだ…しばらくはこういう日々が続くかもしれないが、とにかくやれることはやるしかない。そう心に刻み込むのであった…

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 学校が終わって放課後、俺はいちごに導かれて例の公園へと向かう。まあ、俺もこの場にいたので何が起こったのかは全て把握してるけど…一応知らないように振る舞わないとな。ここで何が起こったのかを話したら、尾行をしていたことがバレて大変なことになってしまう…とにかく、気をつけよう。

 

「それで、ビームをここで浴びたお前は目が覚めたら猫みたいになってたってことだな?」

 

「うん…地震が起きてあの建物のアンテナから出たビームを浴びたら、猫が身体に溶け込んでいつの間にか3時間ぐらい青山くんの横で寝てたの。それで、目が覚めたら…」

 

「そうか。とにかく、今はこの解決方法を教えてもらわねえとな…今日は天気も悪くなりそうだし、早く帰ってまた日を改めてあの建物に行ってみようぜ?ビームを撃った張本人もいることだろうし。」

 

「そうだね…!?」

 

 その時、いちごの表情が険しくなる。それと同時に俺も何か嫌な予感を感じた…彼女も同じ気配を感じたのだろう。普通の人では感じられない何かを…

 

「いちご、感じたか?」

 

「うん、森の中で誰かが襲われそうな気がしたよ。」

 

「とりあえず、行ってみるしかねえな…行くぞ!」

 

 俺といちごは気配を感じた森の中へと急いで向かった。これは可愛いことで済みそうにはなさそうだ…まるで誰かが怪物に襲われてしまいそうで大きな事態になりそうでゆっくりはしてられない。

 

(移動中…)

 

「とりあえず、ここか。」

 

「そうみたいだね…って、青山くん!?」

 

 しばらく走った後に嫌な気配がした場所へたどり着くと、その奥には雅也の姿があるのだが…ベンチが既に壊れていて彼は何があったのかを確認している。雅也の仕業とは考えられない…そう思っていた時、後ろから大きなネズミらしき怪物が現れる。

 

「ヴオオオオオ!!」

 

「うわっ!?」

 

 怪物は雅也に攻撃を仕掛けて彼の身体は吹っ飛んで受け身も取れずに気絶してしまう。何なんだ、あの怪物は…ネズミの姿には似合わねえぐらいに目つきが悪いし凶暴だ。俺達が感じていたのはこれが現れる兆候だったのか…

 

「青山くん、青山くん!」

 

「バカ、いちご…無闇に突っ込むなって!!」

 

「シャアアアアア!!」

 

 いちごが雅也に駆け寄ろうとしたその時、ネズミの怪物がいちごの目の前にやって来て攻撃を仕掛けようとする。その時、俺の頭の中に小さい時の記憶が映し出される…俺をいじめから守ろうとしていじめられ、リンチに遭っていたいちごを助けられなかった忌まわしい思い出。また歴史は繰り返されるのか、また目の前でいちごを助けられずに…そう思った瞬間、いちごは突然飛び込んできた金髪の男にお姫様抱っこされて気づいたら木の上にいた。

 

「大丈夫か?桃宮いちご…それと、才川汐もセットだとは運が良いな!」

 

「えっ、どうして私達の名前を?」

 

「説明は後だ…あれを倒せ!」

 

 金髪の男はいちごを抱きかかえながら怪物を指さす。しかし、俺達でこれを倒せるのだろうか?いくら俺がシロサイの力を持っていて怪力とていちごは猫。猫はネズミに強いとて大きさが違うし、剣道をやっている雅也が吹き飛ぶぐらいの威力だからどこまで通用するか分からない俺といちごでは勝ち目は無いだろう。

 

「これを私達が?」

 

「そうだ…にしてもお前、見た目より重いな。」

 

「離してよ!貴方、何者なの?」

 

「そうですよ。俺達と貴方は初対面なのに…何で俺達のことを知ってるんですか?それに、どうやって戦えと!?」

 

「そんなこと、言ってる場合かよ!」

 

「青山くん!あっ…」

 

 俺達がやり取りをしている間に雅也はネズミの怪物に食われようとしていた。雅也はこんな状況でも目が覚めずで動けない…このままだと絶体絶命だ。そんな時、男に背中を押されたいちごは猫のように身軽に着地する。

 

「いきなり何するの!?」

 

(いちごの着地の仕方、本当に猫だな…)

 

「桃宮いちごと才川汐、お前らは特別なんだ。受け取れ…ミュウイチゴ、ミュウシオ!!」

 

 男は木の上から俺達に光るものを2つ投げてそれを受け取る。その光るものは金色の石のような物体となった…どちらにも赤いハートが刻まれている。これを受け取ると身体にスピリチュアルな力が宿り、言葉が浮かんできた…

 

「ミュウミュウストロベリー…」

 

「ミュウミュウシオ…」

 

「「メタモルフォーゼ!!」」

 

 俺達が呪文を唱えると、自分の身体が光に包まれる。白いアイドルのような衣装を身にまとって髪が伸びて自分の身体が熱くなって自分の身体じゃなくなるような感じもした。そして、光が消えるとまた敵の怪物とまた向き合う。

 

「よっしゃ、発動した!」

 

 後ろでは男が喜んではいるが、何が発動したのだろうか?そんな中で俺達は自分の姿を確かめる…俺の頭には角が生えていて胸が膨らんでいて、さらにあったものが無くなっていた。

 

「ちょっ…汐、そんな触り方しないで!」

 

「えっ、いちご…俺、女になってるのか?」

 

「うん…私達、なんか変な格好になったみたい。猫耳も生えてるし…」

 

 一方のいちごは髪がピンク色になっていて猫耳が生えてまさにテレビの向こう側にいた変身して戦う女の子って感じな衣装を着ていて何と言うか可愛い。

 

「おい、目の前!」

 

「「うわあっ!?」」

 

 俺達が自分の姿を見合っている中で、じっくり観察する暇もなく怪物は容赦なく攻撃してきた。男に言われて気がつけたけど、危なかったぜ…しかし、凄い跳躍力だ。超人度合いに磨きがかかっていてこれなら戦えそうな予感がする。

 

「きゃっ!?」

 

「いちご!」

 

 その時、いちごは石を踏んでバランスを崩し転んでしまう。怪物はこれをチャンスとばかりに踏み潰しにきた…このままだといちごが下敷きになってしまう。

 

「はああっ!」

 

 しかし、今の俺なら助けられる…そう思って俺は全力で走り、いちごを救出した。もちろん、雅也やあの男がしていたようにお姫様抱っこも忘れずである。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、ありがとう…汐、強くなったね。」

 

「まあな。俺も強くなったんだよ…いちごを守るために!」

 

 俺はいちごのお礼に対して笑顔で答える。今の姿は女ではあるが、男らしいところを見せることができた…それがとにかく気持ち良いけど、どうやら余韻に浸ることはそんなに許してはもらえなさそうだ。

 

「いちご、後は俺に任せろ!怪物は俺が始末してやる…」

 

「う、うん。」

 

 いちごを安全な場所に置いてから俺はまた怪物と向き合う。しかし、どうやって倒せば…俺にはシロサイの力が宿っているからサイらしい戦い方で体当たりで戦うのか?いや、何か武器があるはず…そんなことを考えているとある言葉がまた浮かび上がってきた。

 

「シオスピア!」

 

 その言葉を発した途端に槍が出てきてそれを握る。なるほど、今の俺は槍を使って戦うんだな…剣と比べれば少々扱いづらいかもしれないが、こうなったらとことんやってやる!

 

「ここからは俺のステージだ!精一杯ご奉仕してやるぜ!!」

 

 俺は決め台詞を怪物に向かって高らかに放つ。ちなみに、これはもちろん即興である。こんなもの事前で用意できないだろ?あの怪物が現れて戦うシナリオなんてないんだから。

 

「リボーンライノスストリーム(癒)!」

 

 そして、目の前の怪物を槍で斬るのであった。厳密に言えば怪物自体ではない…俺が斬った怪物の悪だ。斬られた途端、元のネズミの姿に戻り悪とも言える魂らしきものは男と一緒にいる毛玉のような生き物が食べて回収された。これにて一件落着のようだ…そして、変身を解いた俺達は雅也の元へと駆け寄る。

 

「青山くん、青山くん!」

 

「大丈夫だ、息はしてる…気を失ってるだけだ。」

 

「良かった…」

 

 とりあえず、雅也の脈とかを確かめてみたのだが…息はしていて脈も正常だ。単に気絶しているだけでしばらくすれば目が覚めるだろう。それでいて制服もそれほど汚れていないからダメージはほぼ無しと見ている。

 

「お疲れさん。スゲーよ、大成功じゃん!」

 

「どうなってるのよ…何が何だかよく分からない!説明してよ!?」

 

「貴方がこれらの原因だとしたら話してください。それに、何者なんですか?」

 

「ピーピー言うんじゃねえ!お前らは選ばれたんだよ。」

 

「選ばれた?」

 

「ご心配なく…私達は怪しい者ではありません。」

 

 すると、今度は茶髪で長い髪を結んでいて長身の男がやって来た。現れたのと同時にそっぽを向いた金髪の男もイケメン(なお、性格は悪い…)なのだが、こっちの男は対照的に爽やかなイケメンである。こっちの方がモテそうだな…

 

「事情はきちんとご説明させていただきます…彼なら私が責任を持って送り届けるのでご心配なく。」

 

「だけど…」

 

「初めまして、私…赤坂圭一郎と申します。先ほどまで貴方達と話していたのは白金稜です。稜、そういう態度は人…特にレディーから嫌われますよ?」

 

「ふんっ…」

 

 茶髪の男は俺達の前に跪き、自分の名前を名乗る。赤坂さんか…凄く紳士的な方で男の俺でも惚れてしまいそうだ。一方のあの金髪で性格が悪そうな男は白金さん…いちごとは反りが合わなそうなのが救いではあるが、赤坂さんには惚れてしまいそうで不安になる。

 

「特別なレディー達をお招きできることを光栄に思います。」

 

「特別なレディー…」

 

 赤坂さんはいちごの手の甲にキスをする。ちくしょう、ムカつくぐらいに紳士的じゃねえか!俺もこんなことができる男になりたい…羨ましさが爆発しそうだ。おまけに顔を赤くして、本当にずるい。

 

「行くぞ!」

 

「ちょっ…行くってどこへ?」

 

「良いから来い!ぼーっとしてると置いてくからな?」

 

 こうして、俺達は白金さんに連れられてどこかへ行くことに…一体、何があると言うのだろうか?変身してしまった秘密とか猫やシロサイの力を得たこととかと関係があるのか、とりあえずついて行くことにした。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「着いたぞ…」

 

 そして、俺達が連れて行かれたのは公園から見えてあのビームが放たれた例の建物だった。入口の前には初めて来たけど、下から見るとかなり大きい…まるで苺が乗ったケーキみたいだ。

 

「ここって…」

 

「もしかして、カフェだったりしますか?」

 

「はい、この前オープンしたばかりで…女性のお客様からはかなり定評が良くて嬉しい限りですね。それと、彼は送り届けたので大丈夫ですよ。」

 

「だってよ、いちご。」

 

「良かった…」

 

 とりあえず、赤坂さんの口から雅也が無事であることが伝えられて安心する。これで心の重りは少し外れたかな…いちごも安心してひと息つく。

 

「桃宮いちごさん、才川汐さん、ようこそカフェミュウミュウへ。そして…」

 

「俺達のアジトへ!」

 

 赤坂さんと白金さんが扉を開け、俺達は中へと入る。中は広くてそこら辺のカフェとは違った雰囲気を漂わせていてとてもお洒落なお店だ…ケーキも飾ってあり、家の豆腐屋よりも女性は近寄れる感じがして最高の一言に尽きる。(まあ、俺は生まれて初めてカフェに入ったが…)

 

「うわぁ、綺麗なお店。」

 

「本当。俺もいちごとデートしてえな…」

 

「えっ?」

 

「いや、何でも…」

 

「汐ってば、変なの。」

 

 危ない…つい心の声が漏れてしまった。とりあえず、いちごは気にしていない様子だから俺も気にしないようにしよう。いちごとのデートに関しては雅也と別れてチャンスができてからかな…そんな時が訪れる可能性は現状でかなり低いのだが。

 

「2人とも、お着替えください。ロッカールームはあちらにあって男女別々になっているので…」

 

「何で着替えるの?」

 

「いいから早くしろよ!」

 

「ちょっとぉ…!!」

 

「まあまあ…とりあえず、着替えてきますね。行くぞ…」

 

「う、うん…」

 

 俺達は赤坂さんに渡された衣装にロッカールームでそれぞれ着替えることに…それにしても、いちごと白金さんの相性は本当に悪いな。白金さんが突っかかってきたらいちごが反論する…まあ、好きになりそうなイケメンの駒が1枚減ってくれたことは俺にとっては有難いけど。

 

(3分後…)

 

「この服、凄く可愛い!ねえ、私…似合ってるでしょ?」

 

 着替えが終わってロッカールームから出るといちごは着ている服の可愛さに大喜びの様子だ。彼女が着ているのは赤いメイド服…デザインも秀逸で可愛いけど、何と言っても短いスカートがちょっぴり個人的にはセクシーだ。一方の俺は赤坂さんと同じ服を着ているのだが…これで少しは紳士的に見えるかな?

 

「ああ、よく似合ってるぜ!俺のはどうだ?」

 

「汐もいつもと違って大人っぽくてかっこいいよ。凄く似合ってる!」

 

「ありがとな…(くう〜っ、いちごから褒められて嬉しいぜ!この出来事だけでご飯は3杯行けるな♪)」

 

「本当に2人ともよくお似合いです。」

 

「まあ、いちごに関してはデザインだけ優秀なんだがな!」

 

「何ですって!?」

 

「まあまあ、これから長い付き合いになりますから仲良くしていきましょう。」

 

「長いお付き合い…それはどういう意味ですか?」

 

「そうよ!それに、何で私達が怪獣と戦わなきゃいけないの!?」

 

「しかも、いちごは猫の力で俺はシロサイの力を得て変身までしたんですよ?俺に関しては女になっていて…何が何なのか教えてください!」

 

 俺達は赤坂さんに疑問を将棋で言う数の攻めといった感じで次から次へとぶつける。レッド・データ・アニマルズ展に行ってビームを浴びてから色んなことがありすぎて、知りたいことが山ほどで困っているのだ。それらの答えを教えてもらえないとスッキリしない…どうしたものか。

 

「お前らが戦ったのは怪獣じゃない…『キメラアニマ』だ。」

 

「「キメラアニマ?」」

 

 白金さんが俺らの疑問に答え、そこに出てきた新しい単語に思わず声を揃えてしまう。キメラが1つの媒体に複数のものが混ざっていることを意味しているのは知っているのだが…あの怪物は何かと何かが混ざっているということなのだろう。まあ、今回だったらネズミが媒体なのは確かなことではあるが…そんな中で白金さんが指をパチンと鳴らすと照明が暗くなって映像がプロジェクターから映し出されて再生される。

 

「ああ、エイリアンに寄生されて凶暴化してしまった動物達のことだ。」

 

「エイリアン…」

 

「彼らの目的は分かりませんが、人類が危機に瀕しているのは事実です。」

 

「それで…白金さんと赤坂さんって何者なんですか?」

 

「ただの金持ち高校生。」

 

「…とここのマスターです。」

 

「まあ、それは表向きの話だ。本当はエイリアンを撃退する研究をしている…そして、その方法として俺達が目をつけたのはレッド・データ・アニマルだ。」

 

 白金さんと赤坂さんはキメラアニマのことや自分の仕事のことを話した。なるほど、エイリアンを倒すために日々研究をしてるのか…って、白金さんって高校生だったんだな。結構大人びているから成人済みかと思っていた。

 

「それに、いちごはアイツとデートに行ってたから知ってるだろ?『青山くん』ってヤツと…」

 

「どうしてそれを…って、ああ〜っ!!」

 

 話が進んでいく中で映像はレッド・データ・アニマルズ展の防犯カメラのものに切り替わる。そこにはいちごと雅也が楽しそうにデートしている様子が映っていた…

 

「人のデータを見てたのね!?」

 

「まあまあ…最後まで人の話を聞いてください。」

 

「でも…」

 

「とにかく、お前らにも分かるぐらいに簡単に説明するとレッド・データ・アニマルズのDNAには強い力がある…その力をキメラアニマにDNAを打ち込めば、寄生しているエイリアンを退治して元の動物に戻せるはずなんだ。そこで俺達はレッド・データ・アニマルズのDNAに順応する人間を探していたって感じだな。」

 

「それで、俺といちごは…」

 

「ああ、合格した。まさか、汐も後ろからコソコソついてきていてラッキーだったぜ!」

 

「ついていた?汐、それって…「ああ、聞こえない〜!白金さん、続きをどうぞ。」…ええっ!?」

 

「ああ…それでいちごにはイリオモテヤマネコ、汐にはシロサイのDNAを打ち込んで、ミュウイチゴとミュウシオになり、それぞれの力を使って変身して戦い動物を元に戻した。こんな感じだな…」

 

「それで、俺が力持ちになったのもいちごが猫のようになったのも…」

 

「まあ、多少は仕方ないさ…レッド・データ・アニマルの力を使うためには。」

 

「それで、俺が変身したら女になっていたのは?」

 

「恐らくはそのシロサイのDNAがメスのものだったんだろうな…」

 

「なるほど。」

 

「冗談じゃない!汐はともかくとして私なんか天気予報は当たるし、階段で宙返りしちゃうし、いくら寝ても眠くて最悪よ!!」

 

「落ち着け!お前がイリオモテヤマネコになった時は俺が必ず人間に戻してやるから安心しろ…俺は力を制御できてるから力持ちになったこと以外は特に問題は無い。だから、一緒に克服していこう…なっ?」

 

「汐、ありがとう…」

 

 俺は怒るいちごを励ます。思えばイリオモテヤマネコのDNAを打ち込まれたいちごは天気予報はともかくとして学校の中でも階段で躓いて転びそうになった時も宙返りしていたし、眠そうになっていたからな…それに反応するいちごの笑顔はとにかく可愛かった。これを見るとご飯が焼肉と一緒に食べるよりもさらに進みそうな気がする。いちごの笑顔は俺にとっては良い薬だ!

 

「おおっ…青山くんがいながらもお熱いな!まっ、頑張れよ。正義の味方達♪」

 

「ちょっと待ってください!まさか、俺といちごの2人で地球を守れと言うんですか?この先どれぐらいのキメラアニマが出るのか分からない中で俺達だけじゃ荷が重いですよ。」

 

「お前らだけじゃない、仲間があと4人いる。そいつらにもお前らと同じアザがあるんだ…」

 

「アザ?」

 

「アザだったら俺は首の後ろにあったけど、いちごは太ももだったような気がする。」

 

「太もも?太もも、あった…って、見てたの!?」

 

「いや、メイド服姿を見てたら太ももに目が行って…事故だよ、事故事故!」

 

「もう、汐のエッチ!!」

 

「なかじまっ!?」

 

 俺はいちごから強烈なビンタを食らってたまらずノックアウトする。威力はとても強烈で年並の女の子のものとは思えなかったぞ!?いずれにしても、アザが目に入って位置を教えただけで不可抗力だ…こんな感じだけど、俺の恋模様はどうなるのだろうか?不安で仕方ないが、とにかく全力で頑張ろうと心の中で誓うのであった。




ミュウシオ

CV:朴璐美

身長とかのスペックは変身前と同じ

解説
汐が変身した姿でシロサイの角が額から生え、女体化もして髪もロングまで伸びてポニーテールになる。白いアイドル衣装のような服を着ていてブーツも白、身長は変身前と変わらないもののバストが大きくなりスタイルはかなり良い。武器であるシロサイの角で刃先作られた『シオスピア』を振り回して戦う。


リボーンライノスストリーム(癒)
シオスピアで悪の心を斬る技。斬られた相手は痛みを感じることなく心と体が浄化されて元通りになる。キメラアニマが相手の時に使用。

リボーンライノスストリーム(断)
シオスピアで悪を物理的に斬る技。斬られた相手は物理的なダメージを負うが、これで相手を倒せるかどうかは相手の強さ次第である。エイリアン等の悪の根源が相手の時に使用。


進藤文平(しんどうぶんぺい)

CV:川原和久

身長:183cm

体重:68kg

誕生日:12月26日(満30歳)

見た目:『頭文字D』の岩城清次

解説
汐といちごのクラスの国語担当教師。強面でジャージと風貌は国語の先生とは思えないものでその見た目通りに厳しい鬼教師として知られている。ただでさえ課題は多くて悪いことをした人は懲罰として倍増…さらに当てるのもランダムで授業に集中していない人には暴力は当たり前の武闘派。ただ、知識に関してはかなりある…要するに短気なのだ。


こんな感じで第2話はいかがでしたか?ついに2人がミュウミュウに変身しました。しかし、本来のメインであるマジエチよりも早く完成させてすみません…U-NEXTで観ながらの執筆は捗りますね!それでも、両方とも効率良く書けるように頑張るので…どうぞよろしくお願いします。

ちなみに、最後に汐がいちごちゃんからビンタされた時の断末魔の『なかじまっ!』は初代のいちごちゃんである中島沙樹さんから来ています。断末魔に声優ネタをぶっ込むのは『銀魂』で銀さんを演じる杉田さんもやっていますね…それをこっちでもやってみましたw

それと、補足ですが…リメイク前の原作アニメの脚本陣には銀魂のメインシナリオ担当を後に任された大和屋暁さんも名を連ねています。なるほど…ギャグとシリアスのバランスが取れているのも納得ですね!

こんな感じで次回もお楽しみに♪
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