東京ミュウミュウ -Rhinoceros Spear- 作:寿垣遥生
オープニングテーマ
『my sweet heart』
歌:小松里賀
エンディングテーマ
『恋はア・ラ・モード』
歌:東京ミュウミュウ
side汐
俺達は今日も今日でカフェ『ミュウミュウ』で働いている…働き始めてから何日経ったことだろうか。仕事にはとにかく慣れてきて、その中でみんとも戦士に加わりカフェの仕事も3人体制になった…のだが、これが楽になるどころかむしろキツい。その理由とは?
「汐は3番テーブルを片付けて?」
「了解!」
「いちごは6番テーブルに注文を取る!」
「はいはーい!」
「ほら、片付けが終わったらお水を2番テーブルへ持って行きなさい。それが終わったらこっちも下げてくださる?」
「おう、任せとけ…って、お前はさっきから働いてねえで悠々とお茶すんなよ!」
そう、みんとが働かずにいつもお客さんと同様どころかそれ以上にゆっくりしていて紅茶とケーキを悠々と頂いているからだ。お客さんがさらに増えて大変という中で人手を増やしたのにも関わらずコイツは働く気がない…これには俺だけじゃなくていちごもイライラしていてもうそろそろ限界だ。
「そうだよ!みんとも働かないと人手不足でくたくたなんだから…ね?」
「しょうがないでしょ…今はアフタヌーンティーの時間と決めてますもの♪」
「「決めるな、そんなもん!」」
まあ、こんな調子で俺達が身を粉にして働いて最後の掃除まで終えたら身体はもうくたくたで何もする気力が起きなくなる…俺達だって超人の力を得たとしてもスタミナまでは強化されていない。みんとの分も働けばもう満身創痍だ…
「よう、終わったか?」
「白金さん…お疲れ様です。」
「あんたね、少しは手伝ってくれてもぉ…」
「終わったらエイリアンの捜索だ…グズグズするな!」
「鬼いいいいいい!!」
そして、仕事が終わったら今度は白金さんからエイリアンの捜索を指示されるのだ…みんとの分も働かされた後にさらなる仕事、時間外労働をさせるとか本当に厳しい人だよ。
「赤坂さぁん、みんな酷いんだよぉ…」
「いちごさんと汐さん…新作のケーキなんだけど、試食してくれませんか?」
(3分後…)
「「美味しい〜♪」」
そして、赤坂さんに相談しようにもケーキという甘い罠で話をはぐらかされてしまう…俺達はもう本当にしんどすぎて辞めてしまいたい気分だ。でも、俺達が地球を守る戦士である以上はこの鬼の空間から逃げ出すのは不可能…こうなったら、明日は何があろうとも白金さんに訴えてやるまでだ!
~~~~~~~~
「はあああ、遅刻するうううう!!」
そんな決意をした翌朝、いつものように学校へ向かう道中で荷物の忘れ物に気づく。俺は一緒に行っていたいちごを先に行かせてから家に帰って忘れ物を取りに行って大急ぎで学校に向かう…家の中で時計を確認したら遅刻までのタイムリミットはあと15分、とにかくシロサイの脚力を使って駆けるのみだ。
(こんな時に忘れ物をするとか最悪だ…とりあえず、今は急がねえと!)
俺は近道をすべく路地裏へと入ってとにかく猪突猛進(俺に宿ってるのはシロサイのDNAだけど…)の勢いで突き進む。もうブレーキなんてかけない…ノンストップで突っ切ろう。そう思った瞬間、目の前で沢山の鞄を持った眼鏡をかけた緑髪の女の子が歩いていた。
「危ない!」
「あっ…」
俺は咄嗟にブレーキをかけて止まろうとする。しかし、勢いを殺すのに精一杯で止まることなく女の子と正面衝突してしまった…それでも、相手は俺がブレーキをかけていたこともあってかちょっと吹き飛ばされて鞄がバラバラになった程度で済んだらしい。お互いに怪我がなくて一安心した…(そのまま体当たりしてたら女の子の命すら危なかった。)
「ごめんなさい!お怪我はないですか?私が前を見て歩いていればこんなことにならなかったのに…」
女の子は立ち上がると俺に怪我がないかを心配してくる。それにしても、見た目の通りに優しい女の子だ…どこも怪我はしてないのだが、自分のことよりも相手のことを優先するところはまさに人間としての理想像だ。まあ、彼女の場合は少々気にしすぎなのだが…
「大丈夫だよ。俺は頑丈だから全然平気!むしろ、急ぐことしか考えてなかった俺の方が悪かったさ…」
「本当にごめんなさい!」
女の子はこれでもかと言わんばかりに謝って俺の鞄を手渡す。彼女って相当一つ一つの出来事を気にするタイプなんだな…そこは俺と同じだけど、随分と腰の低い子だ。やけに謙虚というか気が弱いようにも感じる…
「俺の方こそごめんね。君に怪我がないだけでも俺は嬉しいよ…」
「えっ?」
「どうかしたの?」
「あっ…」
すると、女の子はバラバラになった鞄を一つ一つ拾っていく。それにしても…沢山の鞄を持っていたけど、これはもしやこの子はいじめられてるのではないだろうか?いじめっ子からパシリで使われているに違いない。しかし、制服からして別の学校の生徒…違う学校の俺には言いづらいだろうな。
「ねえ、その鞄は…「れたす〜、何してんのよ!」…えっ?」
「早く〜、置いてくよ?」
「はーい!ごめんなさい、それじゃあ…」
俺が女の子にいじめられているかどうかを質問しようとした時、いじめっ子と思われる3人組がやって来た。鞄を持った女の子は返事をしてから俺の前から走り去る…あの子、れたすって名前なのか。とりあえず、同じいじめられてきた人間としてこの先で痛い目に遭わないことを祈るばかりだ。同じ学校だったら助けられたのに…物凄く歯がゆい。
「…って、ゆっくりしてる場合じゃねえ!このままじゃ遅刻するうううう!!」
遅刻しそうだということを思い出した俺は再び学校へと走り出した。さっきので3分ぐらいロスしている…とにかく、人混みとかを切り裂いて最速で向かった。その結果、5分前のチャイムが鳴るタイミングで教室にたどり着く…
「はぁ、はぁ…間に合った。」
「随分遅かったね…今の汐の脚力だったらすぐに着くと思ってたけど。」
「ちょっと色々アクシデントがあってな。」
「アクシデント?」
「まあ、それは良いとして…今日はとにかく白金さんに職場環境の改善を訴えようぜ!このまま俺達に疲れが溜まるばかりだとやってらんねえからな。」
「うん、私も乗った!白金にガツンと言ってやるわよ!!」
そんなこんなで俺達の意思が合致したということで職場環境の改善を訴えることにした。俺達の友情パワーにかかれば負け知らず…こっちはキメラアニマという強力な敵と戦う戦士だぞ?キメラアニマ以外に屈するなんて決してありえない。そう思っていた…
(時が流れて仕事中…)
「「全然言える時間がない…」」
しかし、店の中が忙しすぎて訴える余裕すらないという…本当にカモフラージュで始めたことなのか?これだとエイリアンの撃退とどっちが本業なのか分からなくなっちまうぜ…頭がおかしくなりそうだ。
「ねえ、聞いた?あの噂…出るんだって!」
「若い女の幽霊が校舎や校庭を徘徊してるんだってね〜。」
「プールの水が干上がったり、蛇口の栓が勝手に開いたり…最近学校で起こってる怪事件ってみんな幽霊の仕業らしいよ?」
少し遠いところから話し声が聞こえてその方向を俺は向くと、そこには朝に会った女の子…れたすさんといじめっ子の3人が話をしていた。何やら学校に幽霊が出るとかどうのこうの言っているらしいが、彼女は終始元気がなく俯いている様子だ。
「あの子…」
「汐、知り合いなの?」
「今日の朝、あの緑髪の女の子と会ったんだ。でも、ちょっと様子が変だったんだよな…」
「変?」
「奥村大付属中学校の子達ね。」
「奥村大付属って確か…凄い中学校だって聞いたことがあるような?」
「ああ、中高大一貫校で合格すれば大学までの道が保証される超名門校だ…少なくとも俺といちごよりは凄いヤツらが集まってるぞ。」
みんとに言われてれたすさんがどこの学校なのかを思い出す。奥村大付属中学校の親学校である奥村学園は中学校から大学まで進路が保証された一貫校でレベルはかなり高く合格できるのはほんの一握りと言われている名門校だ。ちなみに、俺といちごが通ってる学校は渋谷区立の代官中学校…どこにでもあるような公立校で学校の質では足元にすら及ばない。みんとが通う学校は不明だが、恐らく彼女の学校ぐらいしか質で及ぶところはないと思う…(あの時見た制服からして立派なお嬢様学校だからな。)
「それで、れたすに相談なんだけどさ…ちょっと見てきてよ。」
「えっ?」
「もちろん、幽霊を写真に収めてきてくれるかしら…」
「写真を撮るまで帰っちゃダメよ?」
3人はれたすさんに幽霊の写真を収めてくるようにと言ってきた。女の子1人で自分の学校ながらも心霊スポットに行ってこいというのはあまりにも酷すぎる。
「でも、あの…」
「まさか、嫌なんて言わないわよね?」
「だって、あたし達…友達だもんね?」
いじめっ子達は嫌がるれたすさんに圧をかける。気の弱い彼女がここまでされたら断るにも断れないじゃないか!やっぱり、これはいじめだということが明確に分かった。同じいじめられた人間として許しておけねえ…俺は策を実行した。
「お待たせいたしました。マヨネーズパフェのケチャップソース和えでございます…」
「そんなの頼んでないわよ!?」
「あーっ、手が滑ったぁ!!」
俺はわざと急ピッチでこしらえたパフェをいじめっ子3人に向かって投げつける。パフェは顔面に命中して顔が汚れた…ざまあ見やがれ!
「「「何すんのよ!!」」」
「いやぁ…相手が嫌がることを楽しそうにしていたのでこれぐらい許されるかな〜っと思いまして。恨むなら嫌がらせをするてめえらを恨んだらどうですか?」
「この無愛想男…やっちゃうわよ!」
「「うおおおお!」」
いじめっ子3人組は怒り、俺に向かって襲いかかってくる。相手にとっては知ったこっちゃねえが、今の俺にはシロサイのDNAが宿ってるんだ。キメラアニマと比べれば怖くも何ともねえな!
「はあっ、たあっ、おりゃあ!!」
「ひぎっ!?」
「はぎっ!?」
「ふぎっ!?」
俺は攻撃してきた3人に張り手を頬に浴びせて制圧。ちなみに、本気でするとどこへ吹っ飛ぶかは分からないので30%程度にセーブして攻撃した。相手はみなノックダウン…言うまでもない完全勝利だ。
「弱い者達が弱い者いじめか…情けねえヤツらだぜ!」
「「「このぉ…!」」」
「失礼…申し訳ありません。店員が何か粗相を?」
3人組が立ち上がったその時、赤坂さんがグッドタイミングで間に入ってきた。俺だけだと手が負えなかった中でこれは非常に助かる…本当に頼りになる人だ。
「「「いいえ、何でもないわ!ちょっとしたことよ♪」」」
「そうですか、それは良かった。」
赤坂さんの対応にメロメロになる3人組。男の俺でも惚れたぐらいのイケメンにして人としての深さがあるからな…こんな男は俺の身の回りには他に兄貴ぐらいしかいない。
「お拭きしますので、どうぞこちらへ…」
「「「はーい♪」」」
そして、赤坂さんに案内された3人は顔を拭くために店の奥へと消えていく。赤坂さんはこの事態を察して行動したかを示すようにウインクしてから立ち去る…後でお礼を言っとかないとな。
「ナイスだよ、汐!だけど、あまり暴力を使うのはちょっとまずいかな?」
「仕方ねえだろ?ここまでしないと止まらなかったんだから。とりあえず、今後は気をつけるさ…」
「とりあえず、万事解決って感じかしらね。やり方は頭が悪くて下品ですけど…」
「まあな…って、俺は頭悪くねえよ!一言余計だ。(むしろ、体育以外の成績は良い方だし!)」
「あ、あの…」
俺達が話をしていると、れたすさんが俺達に声をかけようとする。彼女も何から伝えれば良いのか分からない状況なのだろう…俺がいきなり手を出したんだからな。
「ごめんね。俺、こういうの見てられなくて…大丈夫かい?」
「は、はい…」
「そうか…でも、君はどうしてあんなヤツらと一緒にいるのかな?朝の様子や今の様子からして酷いことをされたり言われたりしてると思うけど。」
「多分ですけど、みんなイライラすることや嫌になることがいっぱいだと思う。そういうことがあるから、私にきつく当たったり酷い言葉を言ったりすると思うんです…そんな悩みを相談したり、話し合えたりしたらいつかきっと仲良くなれるかもって。」
れたすさんは俯きながらも自分の気持ちをハッキリと伝えてくれた。彼女はどんな目に遭っても前向きでいてることがとにかく凄いと思う…いじめられていた当時の俺はとにかく辛くて、助けてくれたいちごが巻き添えを食らった時は自分の無力さを痛感したからな。恐らく、れたすさんの心は俺よりも強いんじゃないだろうか?無理をしていなければ良いのだが…
「なるほど。でも、無理はしたらダメだよ?困った時は俺に相談していいから…俺、才川汐。右横にいるのが親友の桃宮いちごで左横がついでの藍沢みんとだ。」
「ついでとは何ですの!?」
「まあまあ…とにかく、よろしくね。」
「碧川れたすです。今日は皆さんと話せて本当に…「れたす、行くよ!」…じゃあ。」
名前を名乗ったところでれたすさんは例のヤツらに呼ばれて、俺達に一礼してから店を後にする。本当に幽霊を撮影しに行くんじゃないかと不安で仕方ないが、無事に断れているといいな…
「間違いないですわ!」
「えっ?」
「みんと、何が間違いないんだ?」
「一見ただの学校の怪談話に聞こえますけど、違うわ…きっと水を使う新たなキメラアニマですわ!早速仕事が終わったら…」
みんとはさっきの話を聞いてこれがよくある学校の怪談ではなくてキメラアニマの仕業だと分析する…なるほど、話を聞く限りはこういう線の可能性もあるな。(まあ、本当に単なる心霊現象の可能性もあるけど…)
「いや、怖い…」
「えっ?」
「ああ…いちごは幽霊とかそういうのはダメなんだよ。コイツ、子供会の旅行で肝試しに行った時にたった2分でギブアップしたからな。」
「やだ…お化け、怖い!」
一方のいちごは夜の学校と聞いては完全に怖がっている。昔から肝試しとか怖い話とかホラーゲームとかそういった類を嫌っていて、お化け嫌いは今になって始まったことではない。
「何を言ってますの?甘いことを…」
「お化けはいやあああああああ!!」
~~~~~~~~
仕事が終わって、俺といちごはみんとに見つからないように気をつけながら店の裏口から出ようとした。俺としてはは怪奇現象が嫌ないちごを帰らせて、みんとと合流して2人でキメラアニマを倒す…こういった感じで計画を立てた。
「私のためにごめんね…」
「お前に無理はさせたくないからな。とりあえず、いなさそうだし出るぞ!」
「うん。」
俺達はドアを開けてから外に出て、ドアを閉めてから忍者のように抜き足差し足忍び足…みんとに見つかったらいちごが連れて行かれる。こっちとしてはそんな事態は避けたいところだった…
「2人とも?」
「みみみみみみんと、どうしてここに!?」
「裏口に回ることぐらいお見通しですわよ…汐も加担していたのは驚きでしたけど。」
「俺はいちごのお化け嫌いは昔から知っててだな。ここは俺とみんとだけでも退治できそうだと思って…どうせ、奥村大付属中に行くんだろ?」
「その通り。さあ、行きますわよ♪」
「いや、私は帰る…」
「どうしても?」
「まあ、いちごもこう言ってるからキメラアニマは俺達だけで…「汐は黙ってて!」…はい。」
俺が何とかいちごを帰らせようとするもののみんとに『黙ってて』と言われ一蹴される。どうやら、コイツもこの任務(?)には本気みたいらしい…この圧に俺は圧倒されて何も言えなくなった。
「どうしても帰りたいのなら、私が首に縄をつけてでも連れて行くまでですわ!」
「えっ?」
(10分後…)
「そりゃあ、お化けは怖いですよ…だからといって、本当に縄をつけないでよね!!」
結局、いちごはみんとによってリードをつけられて夜の奥村大付属中へと連れて行かれる羽目に…時間もあっという間に夜となり、学校も徐々に近づいていってはたどり着く。
「着いたぞ、ここが奥村大付属中だな…」
「…」
学校の前に着くと明かりも何も灯っていない校舎が不気味に映る。俺は奥村大付属中に立ち寄るのは初めてだから昼と夜の雰囲気の違いは分からないが…ただ、お化けが出そうな雰囲気であることは確かだ。
「行きますわよ!」
みんとの一声で俺達は学校の敷地内へと立ち入る。とても暗くて並大抵の人だったら漏らすか立ち寄る度胸すらなく消え去るだろうな…しかし、俺達は怪奇現象の原因がキメラアニマの可能性がある以上は逃げるという選択肢はない。そんな中で怪奇現象が起きやすいプールの近くを通りかかる…(入る前にリードは外した。)
「ここがプールか…」
「あーっ、あんなところに人影がぁ〜!」
「えっ?」
「ぎゃあああああああ!!」
突然プールの方を指差すみんと…さらには人影がいると言ってきた。いちごは猫耳を出して叫んでは大慌て…しかし、人影どころか誰もいない。
「ふぅ…」
「いやあああああああ!!」
みんとが後ろからいちごの耳に息を吹きかけるとさらに大きな声で叫ぶ。本当にコイツは怪奇現象というか急なことに弱すぎる…こんな感じで戦士が務まるのか不安ではあるが、驚かせるみんともみんとで悪い。
「失礼、気のせいみたいだったみたいですわ。」
「あんた、わざと…!」
「みんと、こういうのはいちごや俺の心臓に悪いからやめてくれるか?今ので寿命が縮んだぞ…」
「冗談よ…とにかく、マシャに反応は無いから次は校舎の中へ行きましょう。」
そして、俺達は次に校舎の中を回っていく。音楽室、理科室、美術室…あらゆるところを回るが、特にキメラアニマが出るような気配はしない。マシャの反応も校舎内では無かったから、もしや単なる心霊現象ではないかと思えてくる。(こっちもこっちで問題だけど…)
「おかしいわね…出そうな場所はあらかた探したのに、全然それらしい気配が無いわ。」
「ああ、もしかしたらあいつらの根も葉もない噂かもしれねえな…ったく、何から何までトラブルを起こしやがって!」
「それって、お化けがいないってことじゃ…良かった。」
「バカね!私達はお化けじゃなくてキメラアニマを探してるんでしょ?」
「そうだったな…って、お前ら前を見ろ!」
「「えっ?」」
俺は前を指差して2人はその方向を見る。目の前には雨漏りなのか何なのか床が濡れていた…俺はみんとから懐中電灯を借りてからその床を確認する。この学校は比較的新しい校舎なので雨漏りなんてありえない以前に今日はずっと晴れていた。どうなっているんだ?
「何で濡れてるの?雨漏りにしても今日は晴れてたのに…」
「2人とも、後ろ!」
「うわああっ!?」
「な、何だ!?」
みんとに言われて後ろを向くと、誰もいなかったのに蛇口の栓が勝手に開いては水がドバーッと吹き出す。これがキメラアニマの仕業だとは考えられない…これは正真正銘の心霊現象だろう。さらに、天井も壊れて水が降ってくる…噂どころか噂以上の事態じゃねえか!?
「きゃああっ…」
「いちご!みんと、変身だ。」
「ええ!」
「ミュウミュウシオ…」
「ミュウミュウミント…」
「「メタモルフォーゼ!!」」
いちごが怪奇現象に怯える中で俺達は変身をする。キメラアニマの気配は無いのだが、怪奇現象の度が超えていて緊急事態だからな…とにかく、何が起こるか分からないので変身することに。
「待ちなさい!」
「みんと、お前は水の行方を追え!俺は蛇口の水を止めてから行く。」
「分かりました!」
みんとは窓を割って飛び出した水を追いかけ、俺は校舎の中を暴れる水を食い止めることに…二手に別れないといちごが危ないからな。蛇口の栓を閉めてみたが、あっさり閉まって水が止まった…何とも呆気ない。
「水は止まったぞ…もう大丈夫だ。」
「ありがとう…」
「いちご、汐…キメラアニマ、いる!」
「「キメラアニマ?」」
俺達がマシャの見ている方向を向くとそこには人影なのか何なのか分からない影が浮いていた。人間にしてはどうして空が飛べてるのか…まさか、エイリアンではなかろうか?
「いちご、変身してこっちから迎え撃つぞ!」
「うん…ミュウミュウストロベリー、メタモルフォーゼ!!」
そして、いちごも変身したのだが…そのキメラアニマの気配がした影は何かを察したのかあっさりと消えていく。一体、何があったのだろうか?俺にもいちごにもさっぱり分からない。
「あれ?」
「とにかく、みんとのところへ合流するぞ!こっちもこっちで嫌な予感がするんだ…」
「そうだね、行こう!」
敵が去ったところで俺達もみんとのいるところへと合流しようと割れた窓から飛び出して後を追う。敵は消えてもまだ嫌な予感が残っているのはどうしてなんだ…今はその正体を確認しなければいけない。
(2分後…)
「お待たせ!」
「みんと…これは一体どうなってるんだ?」
「私にも分かりませんわ…」
プールにいるみんとを見つけて合流してみると、プールの水がまるで竜巻のように渦を巻いて上へと打ち上がっている。もう噂以上の出来事が沢山起きたので、目の前で何が起きても驚かない。
「やいやい、よくもお化けの真似をして脅かしてくれたわね!」
「別に真似なんかしていないんじゃなくて?」
「とにかく、こんな立派な学校で問題を起こしやがって…ここからは俺達のステージだ、最高のご奉仕をしてやるぜ!!」
「貴方って相当な目立ちたがり屋ね…」
「汐って見た目からは想像できないけど、意外と目立ちたがり屋なの…幼稚園の時の劇では桃太郎をどうしてもしたいって駄々をこねたりとかもしてたんだよ?」
「いちご、それだけは思い出させないでくれ…」
「2人とも…!」
俺が決めゼリフを言ったところでいちごが思い出したくもない過去をみんとに打ち明ける…さっきまでお化けがどうのこうのって怯えていた姿はどこへ行ったのやら。そんな話をしていたタイミングでプールの水が竜のごとく襲いかかってきたが、間一髪で回避する。
「ミントアロー!…リボーンミントエコー!!」
みんとはいつもの弓での攻撃で水の竜を攻撃して命中。竜は崩れて水に戻り、何とか一段落ってところか…しかし、あの攻撃だけで崩れるのは何とも呆気ない。
「やりましたわ!」
「待って、キメラアニマにしては簡単すぎる…まさか、本物の幽霊!?」
いちごがキメラアニマにしてはおかしいということに気づくと目の前に人がいて光が消えると…それは俺達がさっき会ったばかりのあの子だったのだ。
「あれは、昼間の…」
「れたすさん…君がどうしてこんなところに、うわっ!?」
その正体がれたすさんだと知ったその時、彼女の体がまた光り出す。服装が制服から緑のレオタードのような衣装へと変わって、かけていた眼鏡もなくなった。さらに、胸の上にはアザがある…まさかとは思うが、やはりそういうことだった。
「あの子のコスチューム…!」
「れたすさんが俺達の仲間…ということなのか!?」
「レタスタネット!」
れたすさんが何かを唱えると2つのカスタネットのような武器が出てきた。それを軽快なリズムで鳴らしていく…これは俺達のパターンからして攻撃の構えだ。
「リボーンレタスラッシュ!!」
「きゃあっ!?」
そして、れたすさんは水を操りみんとに向かって強烈な一撃を浴びせる。攻撃を食らったみんとは地面に打ちつけられてしまう。何という威力だ…こんなのを並大抵の人間が食らったら生きてはいられねえぞ!?
「みんと!どうして…仲間なのにどうして攻撃してくるの!?」
「次は貴方達の番ね…」
「もうやめろ、れたすさん!!あんたはどうしてこんなことをするんだ…優しくて相手のことを思いやられる碧川れたすがどうしてこんな真似を!」
「貴方、誰…」
「今は変身してあんたと同じような格好をした女になってるけどな…あんたの友達になった才川汐だよ!そんな俺から忠告させてもらう…これ以上、みんなに迷惑をかけるのはやめてくれないか?」
「嘘よ…貴方が才川さんなんて。そんな嘘で私は止められない!」
「だったら、これで止まれるか?」
「汐、一体何を…」
そして、俺は攻撃態勢に入ろうとするれたすさんの前で変身を解除して『才川汐』の姿に戻る。これで俺の言うことを信じてくれるだろう…これで落ち着きを取り戻してくれれば良いのだが。
「才川さん、何で…」
「れたすさん、あんたは何が辛いんだ…昼間に言っただろ?困った時はいつでも相談してくれって。辛い何かがあるからこんなことをしてるんだろ?それを素直に吐けよ!」
「うるさい!貴方に私の何が分かるの?私の身の回りにいる人はみんな相談しても私の気持ちなんか分かってくれなかった…どうせ貴方も!」
「分かるさ。俺もお前と同じいじめられっ子だったからな…」
「えっ?」
「俺、片親の子だし残った親父は豆腐屋で決して裕福な家庭じゃねえからお金持ちの野郎とその取り巻きから幼稚園の時にいじめられたさ…それで、いちごがいつも助けてくれたけど今度はいちごもいじめられ、傷つけちまったよ。それで自分の無力さを痛感して生きているのが辛くなったこともある…だから、俺は強くなろうと思ったし、いじめられてるれたすを見て心から助けようと思ったんだ。俺やいちごと同じ思いをする人を見たくなかったからな…」
「才川さん…ぐすっ、ごめんなさい!」
俺が自分の過去を話すと、れたすはその場に蹲って泣き崩れた。正直な話をすると自分がいじめられた時の話をするのは凄く嫌なことで思い出したくもない。だけど、同じ境遇のれたすにだったら不思議とトラウマもなく話すことができた…そして、何よりもこれで彼女が止まってくれたことが最大の幸せである。
「私、みんなと仲良くしたかった…なのに、こんな変な身体になって。もう友達なんてできないと思ってました。でも、才川さんは私のために助けてくれて…私のことを真剣に考えていたんですね。」
「当たり前だろ?お前だけじゃなくて俺はみんなのことを同じぐらい真剣に考えているよ。それと、変な身体は俺だけじゃなくていちごもみんとも同じだ…それに、俺達は友達だろ?」
「友達…」
「そうにゃん!これからも仲良くしていこうね♪」
「私も…これからよろしくお願いいたします。」
「皆さん…ありがとうございます!」
「これからもよろしくな!それと、俺のことは汐って呼んでくれ。」
「私はいちご!」
「みんとで構わなくってよ?」
「はい。汐さん、いちごさん、みんとさん…これからもよろしくお願いします!」
こうして、いじめっ子達からの呪縛と孤独に打ち勝ったれたすが俺達の仲間となった。もちろん、カフェの店員としても加わったのは言うまでもない…これで残る仲間は2人、どんな人達が待っているのか。地球を守れそうな希望が芽生えてきた気がする。俺だけじゃなくてみんなで強くならないとな…カフェもエイリアンとの戦いも頑張るぞ!
ここだけの話をすると、マジエチよりもこっちの執筆が楽しいと思っている今日この頃でありますw
とりあえず、二刀流で頑張りますよ!もちろん、大谷翔平のようにハイレベルな次元でね…低次元の二刀流は二刀流とは言わないです。やるったらとことんやりますよ!
感想、お気に入り登録、評価の3点をお忘れなく。ちなみに、次回の後書きからはちょっとしたことをやりますので…本編と共にお楽しみあれ♪