東京ミュウミュウ -Rhinoceros Spear- 作:寿垣遥生
オープニングテーマ
『my sweet heart』
歌:小松里賀
エンディングテーマ
『恋はア・ラ・モード』
歌:東京ミュウミュウ
side汐
れたすが仲間に加わってから何日か経ったある日、俺達は今日も学校を終えてカフェの仕事へと向かっている。仕事面でも戦闘面でも頼りになる人が加わって正直な話をすると仕事はだいぶ楽になった…れたすは仕事に一生懸命打ち込む性格でたまにドジるけど精一杯には頑張っている。それに刺激されたみんとも少しずつ働いているのでかなり回ってる感じだな…
「れたすが加わってから仕事もだいぶ楽になったよね。」
「本当だな…みんとも働くようになってこれで人手不足も解消できたし、このままさらにビッグなカフェにしてやろうぜ!今日も頑張るぞ!!」
「汐、いちご…エイリアンがいる!」
俺達が話をしていると、エイリアンがいることをマシャが伝える。エイリアンがいるということはキメラアニマも近くにいるということなのだろうか…しかし、そんな姿はどこにも見られない。
「エイリアン?そんな気配はしねえけど、本当にいるのか?昨日も間違ってたのに信用なんねえな…」
「でも、いるよ!」
「壊れたんじゃないかしら?」
「ああ、とりあえず白金さんにメンテナンスを入れて…「いるよ!」…なにっ!?」
すると、どこからか幼い少年の声が聞こえてきた。俺達は声の方向が読めない中でエイリアンの姿を探すが…どこにも見当たらない。
「僕達の計画を邪魔しようって言うからどんなヤツらか見てたけど…可愛い女の子もいるみたいだね。気に入っちゃったよ!」
「いちご、上の建物!」
「えっ?」
俺がようやくエイリアンの声のした方向に気づいて後ろの建物を見るとそのエイリアンはそこから飛び下りてくる…その姿は声のイメージのように少年そのものでそいつはいちごのところへと降りようとしてきた。
「うわっ!?」
「なっ…」
そして、少年のエイリアンは何をするかと思ったら初対面のいちごの唇にキスをしてきた…彼女は俺どころか雅也を含めて男とキスをしたことがないってのに、何の躊躇もなくファーストキスを奪ったのだ。非常に許せない!
「うーん、美味しいね…」
「だ、誰よあんた!」
「僕の名前はキッシュ…とりあえず、ごちそうさま♪」
「てめえ、いちごに手を出すんじゃねえ!!」
怒った俺はキッシュというエイリアンに殴りかかろうとするが、攻撃はあっさりと受け止められる。何だこいつ…俺のパンチの筋を読んであっさりと受け止めやがった!エイリアンとてただ者じゃねえぞ!?
「なっ…」
「随分と野蛮なことをしてくれるね?でも、今日は挨拶だけにしておくよ…それじゃあ。」
それだけ言い残してキッシュは嵐のように消えていった。あの野郎…俺だってしたくてもできないキスを初対面でやるとかとんでもないことをしてくれた。羨ましい、じゃなくて腹立たしい!
「いちご、大丈夫か!」
「そんな、私の初めて…」
いちごは相当ショックだったのかその日の仕事は上の空だった。本人からすれば雅也に奪われたかったファーストキスが初対面のエイリアンに奪われたからな…ただ、それが俺じゃないというのが悔しい。俺だっていちごとキスしたかったのに…畜生!!
~~~~~~~~
あの出来事があってからいちごはおかしくなった。大好きなはずの雅也のことを避けるようになり、思い悩むことが増えている…元気で活発なところが取り柄の彼女がここまでになるのは相当重症だ。
「なあ、いちご…元気を出そうぜ?ファーストキスは奪われたけど、雅也の方は何も気にしてねえよ。そんな避けていたら悪い意味で気にするから、いつも通りでも良いんだぞ?」
「無理だよ…青山くんに会わせる顔がない。」
ダメだ、これはもう手遅れかもしれねえ…ここまで落ち込んでいるいちごを見たのは初めてだ。いじめられていた時は辛くても無理矢理俺の前で平気そうにしてたけど、その時よりも痛々しく映る。
「桃宮さん、汐くん。」
そんなタイミングで雅也が教室の中に入ってきた。やはり、いちごのことを心配していたのか…そんな様子も伝わってくる。そりゃあ、あれだけ避けられたからな…
「よう、雅也!」
「桃宮さんはどうかな?今日は元気がなかったけど…」
「ああ、この通り…「ううん、全然元気!」…いちご!?」
いちごはいきなり元気なアピールをしてきた。これには俺もビックリである…さっきまでこの世の終わりのような表情を浮かべていたのに急に元気になるとかありえない。恐らく、無理をしているのだろうな…いちごの悪い癖だ。
「じゃあ良かった。これ…」
そう言って雅也が手渡したのは西山動物公園の一日入場券である。おそらくはデートの誘いだろう…1回目のデートは地震があったり、レッド・データ・アニマル(いちごの場合はイリオモテヤマネコ)のDNAを打ち込まれて消化不良だったからな。
「明日、西山動物公園で動物達と触れ合いタイムがあるんだけど…桃宮さん、僕と一緒に行かない?」
そして、雅也は口でも自らデートに誘う。あのデートはいちごから誘ったのだが…あの時のが楽しかったのだろうな。恐らくは雅也もいちごのことを好きになるつつある…こちらとしてはまずい事態だ。
「青山くん、ごめんなさい!私…明日は忙しくてダメなの。」
「そう…」
「ごめんなさい!」
「おいっ…」
いちごは雅也の誘いを断ってから教室から走り去り、俺は雅也をほったらかしで後を追っていく。恐らくはキッシュのことが頭に浮かんだんだろう…雅也から誘われたら普通は断らないはずだ。しかし、あのダメージは相当でかく残っていて職場に行っても集中力散漫である…
「いちご、いい加減にしてちょうだい!」
「何が?」
「何がじゃねえよ…あれを見ろ!」
俺は机の上に置いてある割れた皿の山を指差す。いちごは終始ぼんやりしていて皿を何枚も割ってしまっている…それをれたすが掃除してくれたのだが、このペースだと店の皿がなくなっちまいそうだ。(もちろん、また皿を割った…)
「店中の皿を割るおつもり?」
「やだなぁ…れたすったら、ダメじゃない。」
「私じゃなくていちごさんですよ!?」
れたすは自分のせいにされていちごにツッコんだ。彼女は皿の扱いでドジったことはなくて何枚も割るようなことは絶対にしない。しかし、これだけ割ったとなると皿だけでかなりの出費となりそうだ…コーヒーが何杯売れれば元が取れるのやら。
「もう私のハートは皿のように粉々よぉ…」
いちごはとうとう泣き崩れてしまう。ぼんやりしているかと思ったら急に泣き出して本当に情緒不安定だ…相当キッシュからファーストキスを奪われたことがショックだろうな。
「どうしちゃったんです、いちごさん?」
「さあ…汐は何か知ってますの?」
「まあ、色々あったんだよ。」
「うわあああ、折角青山くんがデートに誘ってくれたのに行けないよぉ…」
「確かに、そんなガサツじゃ行けないわね…嫌われちゃいますもの。」
「いや、そういうことじゃないんだ。簡単に話せば知らないヤツとキスを…「ああ〜っ、何でもない!」…いちご?」
「大丈夫ですか?辛いことがあったのなら話してみては…」
「私なら大丈夫!さあ、お仕事おしご…うわあっ!?」
いちごは平気だとアピールして仕事に戻ろうとしたものの皿の破片を踏んでしまっておもいっきりずっこけてしまった。本当に大丈夫とは思えない…これは立ち直るまでの道のりは遠きにありてという感じだな。
「とりあえず、いちごに関しては俺に任せとけ。お前らは仕事を頼んだぞ…」
「ええ…」
「分かりました。」
~~~~~~~~
「なあ、元気を出せよ…気持ちは分かるけど、そろそろ切り替えてもらわないと仕事にならねえぞ?」
「分かってるよ…」
それから、いちごは奥に戻ってから雅也から貰ったチケットを眺めながらぼんやりとしていた。大好きなケーキも食べずでとうとうこれは重症だ。俺でもここまで落ち込むいちごは初めてだし、いくら雅也が友達だとしても今は恋敵だ。俺では力になれない…と言うよりなりたくない。どうすれば良いのだろうか?
「R-2000の調整終わったぞ。」
そんなタイミングで白金さんが俺達のいるところへとやって来ては俺の依頼で調整を終えたマシャを机の上に置く。ここでいちごをからかうだけの彼が入ってきてプラスになるかどうかは分からないけど、俺1人では手が負えなかったので誰も来ないよりかは助かった。(本音を言えば赤坂さんの方が良かったけど…)
「白金さん、ありがとうございます。俺達のために大変な中でお仕事を増やしてすみませんね…」
「汐は何も気にすんなって!俺はやらなきゃいけないことをした…それだけの話さ。それで、いちごは相変わらずこの状態なのか?」
「はい…正直言って俺にはもう手詰まりです。どうすれば良いのでしょうか?」
「とりあえず、散歩がてらにエイリアンの調査に行ってきたらどうだ?きっと辛いことも歩いているうちに吹き飛ぶだろうし…」
「いちご、行こう!」
「ほら、さっさと行け!」
「何よ、人の気持ちも知らないで…鬼、悪魔!!」
「おいっ、待てよ…」
いちごは白金さんの言葉に腹を立て、マシャを持ち出してから店から飛び出した。俺はそれをとにかく追っていく…あの人はデリカシーがないのか何なのかは分からないけど、いちごに対しての当たりが強い。白金さんは赤坂さん曰く素直になれないらしいのだが、精神的に追い込まれているいちごにこう言うのは少々きついのではとも思った。
「白金のヤツ…私が悩んでいるのに命令して!」
「まあ、あの人もあの人で考えがあると思うから気にすんなよ…お前は怒ってるよりも笑ってる方が可愛いからな。俺はお前の笑顔が世界一大好きだぜ!」
「えっ…」
いちごは顔を赤くして一瞬固まり気まずい空気になってしまう。俺も俺で何を言ってるんだろう…いちごを褒める時はとことん褒めてるけど、何かチャラ男みたいで自分らしさがないようにも感じた。
「いや、何でもない…それよりも調査のついでにどこか出かけねえか?最近、キメラアニマと戦ったり仕事で遊んでないからさ。雅也と行けなかった分、代わりになるかは分からねえけど…俺と遊んでくれるか?」
「汐…ありがとう。それじゃあ、エイリアンの調査が終わったら遊ぼうね!」
こうして、俺達は調査が終わったら久しぶりにいちごと遊ぶこととなった。これがデートとして相手も終わってから認めてくれれば…とにかく、俺も良いところを見せねえとな!
「いちご、汐、そっちじゃない!こっち!!」
「どうしたの、マシャ?」
「まさか、キメラアニマ…それとも、キッシュか!?(また戦うのか。全然気が休まらねえな…)」
すると、マシャは反対方向に何かいることを知らせる。こんな時にまたキメラアニマかキッシュが出現したのだろうか…仮にキッシュだったら今度は変身してシオスピアで真っ二つにしてみせるぜ!とりあえず、マシャの案内する方向へ電車とバスを使って向かった。
(40分後…)
「いちご、汐…ここ来る!」
「はあ、はあ…ここって?」
そして、バス停から走ってたどり着いた先はいちごと雅也がデートをする予定だった西山動物公園である。ここにキメラアニマの気配がするとマシャは読んだのだろうか?
「マシャ、気持ちは嬉しいけど…私。」
「桃宮さん!それと、汐くんも…」
ちょうどその時、雅也が俺達の前にやって来る。彼も何だかんだでいちごが来ることを信じていたのだろうか…それとも、チケットが無駄になると判断したのか?
「青山くん!?」
「よう、雅也!お前…やっぱり来たのか。」
「うん。桃宮さんはきっと来てくれると信じてたし、チケットも無駄になるからね…まさか、汐くんも一緒だとは驚いたよ。やっぱり来てくれたんだね!」
「いや、その…」
いちごは雅也の眩しい笑顔を見て緊張してしまう。ここに行くこと自体も予想外だったけど、雅也も合流してくること自体も予想外だ…まあ、コイツともしばらくは遊んでなかったし恋敵とはいえ友達だからな。ここは正々堂々と雅也よりもナイスガイなところを見せて恋のバトルに勝ってみせるぜ!
「とりあえず、行こうぜ!ぼんやりしてたら触れ合える動物とも触れ合えないからな。」
「汐くん、当日券を買わないと入れないよ?」
「あっ、そうだな…少し待っててくれ。」
俺は当日券を買ってから3人で西山動物公園へと入っていく。最近の俺は動物への興味も出始めて命の尊さもより強く感じるようになってきた…知識も身につけたし、動物への愛もいちごへの愛も負けてない。そんな気持ちを抱きしめて向かうのだった…
~~~~~~~~
それから、俺達は動物公園の中を回っていく。遊園地のようにアトラクションもあり、動物園のように沢山の動物がいたり…初めて立ち寄った場所だけど、なかなか良い場所だ。もしも、俺がいちごを勝ち取った暁にはここで月2ぐらいのペースでデートをしたいぜ!
「動物達の触れ合いタイムってあっちでやってるんだね。」
「確か、今日は特別にライオンの赤ちゃんに触れるらしいけど…ライオンか。百獣の王の赤ちゃんってどんな感じなのかワクワクするぜ!」
「そ、そうだね…」
いちごは複雑な表情をして答える。幼馴染で親友の俺と大好きな雅也が一緒なのにも関わらず、そんなに楽しそうではない。少し気まずいと思っているんだろう…だけど、俺はここで決着をつける覚悟で雅也とも一緒に行動すると決めたんだ。俺だっていちごのことを心の底から愛しているからな!
「キャー!」
「動物が暴れてるとかこの世の終わりなのか!?」
「ママァ、怖いよぉ!」
「大丈夫よ!ここから出れば安全だから。」
その時、目の前から人の群れが一斉に走ってきた。俺達は路肩に避けて人の群れをやり過ごす。遠くからは落ち着きのない動物達の鳴き声が悲鳴と同じぐらいに響いている状況…それと同時に例の嫌な予感もしてきた。
「動物達がおかしい…」
「エイリアンがいるよ…(小声)」
やはり、この場にはエイリアンがいたのだ。この騒動もエイリアンが原因…恐らくはキッシュの野郎か。現場に向かいたいところだが、雅也に黙っていなくなると変な心配をかけられる。
「雅也、お前は逃げていてくれ。俺といちごはちょっとトイレに行ってくる…」
「えっ?」
「汐くん、何を言ってるんだい?しかも、桃宮さんと一緒なのはさらに危険だよ!」
「良いから先に逃げろ!俺達はもう漏れそうだから行く…無事でいろよ?」
「ちょっ、汐…!?」
俺はいちごの手を引いて嫌な予感がした方向へと人をかき分けて向かう。雅也には悪いかもしれないが、これは緊急事態だ…いちごの取り合いに関してはまた後日、俺達がエイリアンに勝って生きていればの話だがな。
「汐、何を…」
「良いから離すんじゃねえぞ!これからは俺とのデートだ…地獄に行く覚悟で付き合ってもらうからな?」
「…」
いちごはまた顔を赤くして黙り込んでしまう。何だかんだで俺に対してこんな反応をする彼女は初めて見たのだが、ヘタレの自分がここまで強気になれたのには正直驚いている。愛の力って凄いものだ…良い勉強代になった気がする。
(ここら辺か…一旦森に入ろう。)
俺はいちごを気配を感じる森の中まで引っ張ってから手を離す。短い時間ではあったが、小さい時のように彼女と手を繋ぐことができたのはこういう状況とて幸せだ。エイリアンとかキメラアニマが出てくること自体はありがたくないが、いちごと結びつきが強くなる切欠を与えてくれたことには感謝だな。
「青山くん、無事かな?」
「あいつなら大丈夫だろ…剣道では負け知らずだぞ?そんなヤツがこんな場面を乗り越えられないなんてありえねえよ!」
「だったら、その青山くんってのを倒せば良いのかな?」
「…あんたは!?」
「また会えたね、ハニー。あの時はご馳走様♪」
背後を振り返るとそこにはキッシュの姿が…それにしても、よりによっていちごの背後につくとかマジで気持ち悪い。しかも、ハニー呼ばわりとかムカついてくるばかりだ…こいつに関しては殺しても悪くないと思えてくる。
「キッシュ、何の用だ!」
「おまけに恋敵くん1号も一緒だとは…とりあえず、今日はハニーをもっとお腹いっぱいにさせてあげるから。」
「まさか、キスよりも上のことか?」
「それは言えないかな…それよりも前に君も含めてもう1人の青山くんってヤツを倒さないとね。」
キッシュは舌なめずりをして俺を睨みつける。顔は笑っているが、目は笑っていない…敵のエイリアンから睨まれるこの状況は正直言うと怖くて昔までのヘタレの俺なら逃げていた。でも、逃げちゃダメなんだ…逃げたらいちごはキッシュに何をされるか分からない。
「やめろ、これ以上てめえに手は出させねえ!いちごは…いちごは俺の女だ!!」
「ええっ!?」
俺は一呼吸置いてから魂の奥底からキッシュに向かって叫んだ。いつもだったらこんなことを言う勇気はないのだが、今の俺は不思議とこんなことを叫んでも何とも思わなかった。一方のいちごは顔をまたもや赤くしてはこの状況を理解していない…
「ふふっ…これは倒しがいがありそうな恋敵だね。まずは君から倒すことにしようかな?ハニーと遊ぶついでにね。」
「あのクラゲ…」
「もしかして、キメラアニマの素か!?」
「その通り。そんな察しの良い君達の力、試させてもらうよ…行け、パラサイトエイリアン!」
キッシュはキメラアニマの素となるクラゲ…パラサイトエイリアンをライオンの赤ちゃんがいる檻に放つ。パラサイトエイリアンがライオンの赤ちゃんに憑依すると、媒体は檻を破壊するほど大きくなってキメラアニマと化すのであった。
「いちご、変身するぞ!」
「う、うん!」
「2人とも…前!!」
「「うわあっ!?」」
俺達が変身しようとしたその時、キメラアニマは怒涛の勢いで突っ込んできては殴り飛ばしてきた。これには防ぐ術もなく吹き飛ばされてしまう。隙を突いての攻撃は卑怯ではあるが、相手は自我を失っているので一概に卑怯とは言い切れない。
「なんだ…変身しないと普通の人間と何も変わらないんだね。ガッカリだな…」
「あんたって最低!」
「そうだ…てめえのようなクズに地球の未来も何もかも渡さねえ!!」
「あっそう…もう飽きちゃったし、2人揃ってさっさと死んでくれる?折角、可愛いおもちゃと恋敵を見つけたのに…残念だよ。君達を生かしていると僕は怒られるから…それじゃあ、バイバイ。」
キッシュがそう言うとキメラアニマは俺達の首を切り落とそうと前足を振るう。このまま俺はいちごに告白できなくて死んでしまうのか…折角、怪力を手に入れたのにかっこいいところを見せずに終わるとか情けねえ。本当に地獄行きなんてバッドエンドすぎるだろ…そう思うしかなかった。
「お待ちなさい…リボーンミントエコー!!」
ダメかと思ったその時、みんとの声がして彼女の放つ決め技が飛んできた。キメラアニマには当たらなかったが、何とか命は救われる…あの時のお礼なんだろうな。
「なんだ…まだ仲間がいたんだ。」
「ミュウミント、ミュウレタス!」
しかも、みんとだけじゃなくてれたすも変身してから駆けつけてくれた。どうして場所が分かったのかは知らねえが、この2人には後で感謝しねえとな…
「いちごも汐も2人揃って仕事をサボって何をしてますの?」
「何って…!」
「それよりも、どうして俺らの場所が分かったんだ?お前らには知らせてないだろ…」
「いちごがここの入場券を見ていたから…と言っておきますわ。」
「それで、白金さんから見てくるように言われたのです。」
「なるほど、白金さんか…行動が早い人だな。」
「こんな話をしてる場合じゃないよ!早くあのキメラアニマをライオンの赤ちゃんに戻さないと…」
「とにかく、俺達も変身するぞ!」
「うん!」
「ミュウミュウシオ…」
「ミュウミュウストロベリー…」
「「メタモルフォーゼ!!」」
そして、俺達も遅れてながらも変身する。相当な時間を食ってしまったが、ここからは怒涛の勢いで巻き返させてもらう…そう思いながらまたキメラアニマやキッシュと向き合うのであった。
「やいやい!キッシュだかキッスか知らないけど、私の純情を…許さないんだから!!」
「「何のこと?」」
「とにかく、動物と触れ合うこの空間で問題を起こすとは不届き千万…ここからは俺達のステージだ!」
「へぇ…恋敵くんも女の子になるのか、みんななかなか可愛いね。」
そう言ってからキッシュは指をパチンと鳴らす。それを合図にキメラアニマが俺達に向かって襲いかかってくる。ただ、いくら相手が相手でもライオンの赤ちゃん…変に痛みつける訳にはいかない。
「「「きゃあっ!?」」」
俺達は攻撃をひたすら避けていく。相手は流石、赤ちゃんとてライオンということもあってか強くて止めようにも止められない。キッシュの野郎は相当厄介なキメラアニマを作り出したようだ。
「逃げてるだけじゃ埒が開きませんわよ!?」
「こうなったら4方向に分かれて逃げるしかねえ!合図をしたら行くぞ、せーの!!」
とりあえず、作戦として俺達は4方向に分かれて逃げたのだが…キメラアニマが追いかけたのはいちごだった。なんて運が悪いのだろうか。
「何で私なの…って、尻尾をかじるなぁ〜!」
「ミュウイチゴ!」
いちごは尻尾をキメラアニマにかじられてから投げ飛ばされる。まずい、このままだと大変なことに…そう思っていたその時、れたすが前に出てくる。
「レタスタネット…リボーンレタスラッシュ!!」
れたすが呪文を唱えるとカスタネットから攻撃が放たれてキメラアニマを足止めすることに成功。これでいちごは助かった…この場面は俺が決めねえとな!
「シオスピア…リボーンライノスストリーム(癒)!!」
俺はシオスピアでキメラアニマの悪を断ち切り、元の姿に戻した。パラサイトエイリアンはマシャに回収されて万事解決…これで動物公園に平和が戻った。
「よしっ!!」
「やった!」
「やりましたわ!」
「やりましたね!」
「やられちゃったか。まあ、いいや…今日のところは帰るかな?」
「もう二度と来ないでよね!!」
「ふっ…」
そして、キッシュは不気味な笑みを浮かべて空間の穴へと消えていった。あの野郎…次にいちごにキスとかちょっかいを出してきたら容赦なくぶっ殺してやるからな!
「ところで、いちごさんと汐さん…青山さんとお出かけの方は?」
「そうだった!」
「れたす、みんと…ありがとな!!」
俺達は変身を解除してから雅也のもとへとダッシュで向かうのであった。合流してからは心配させた分で少し怒られたけど、『無事で良かったよ…』と安心してくれて何とかなった。それからは動物との触れ合いを沢山楽しんでお出かけは無事に成功…雅也といちごの距離は確実に詰まったのではないだろうか?しかし、俺も負けてられねえな!お前に勝っていちごは俺のものにしてみせる…そう心に誓うのであった。
side out
~~~~~~~~
sideいちご
『いちごは俺の女だ!!』
「俺の女…か。」
青山くんや汐と別れてから私は家のお風呂で汐がキッシュに対して放った言葉を思い出す。あの時の汐はその場しのぎでこのようなことを言ったのだろうか…それとも、本気で言ったのか?そのことが頭の中をぐるぐると巡る。
(そういえば、汐って私がいじめられてからかっこよく振る舞おうとしていたような。一人称は『僕』から『俺』になったし、口調も強くなって…それに、私に対してたまに『好き』とか『可愛い』とか言うようにもなったから、私のことが好きなのかな?)
そして、汐は私のことが好きなのではという結論に至った。もちろん、お友達としてではなくて異性として…その気持ちは凄く嬉しいけど、私には青山くんがいる。どうすれば良いのだろう…
(だけど、私のことを理解しているのは同じ立場の汐。汐のことは嫌いじゃない、むしろ好きだけど…私、どっちを選べば良いのかな?)
青山くんと汐のことを考えると頭の中はパニックになって、興奮を抑えられずいつものように猫耳と尻尾が生えてきた。これ以上考えると心臓が破裂しそう…体温も上がってきてこのままだと逆上せてしまいそうだ。
(とりあえず、今日は考えるのはやめてお風呂から出よう…)
私は湯船から立ち上がり、お風呂の扉を開けてからこの場を後にする。青山くんのことも大事だけど、長年一緒にいる汐のことも大事。どっちが好きかなんて選べないよ…とりあえず、このことを保留するのであった。私、どうすれば良いの?
後書きトーク
どうも、作者の寿垣遥生です。今回から始まりました後書きトーク!記念すべき最初のゲストは主人公の才川汐くんです。
汐「おいおい、何だこのコーナーは…こんな話は聞いてねえぞ!?」
聞いてなくても僕がやると決めたらやるんだよ。ささっ、座って?
汐「…それで、どんな話をすれば良いんだ?」
とりあえず、この5話までを振り返ってみた感想を教えてもらえないかな?色んなことがあったでしょ。それを振り返っていこうか!
汐「それは作者であるお前の仕事じゃねえのか?」
まあまあ、そこは本人から聞ける裏話ってのがあるだろ?何でも遠慮なく話してみろよ!NGはないから心配するな。
汐「そうだな…まずはいちごと雅也の初デートを尾行してたらシロサイのDNAを打ち込まれて怪力になってしまったのがもう驚きだったかな。それで、白金さんから戦えって言われて変身したら女になってからカフェで働くことになったし…驚くことばかりだぜ?」
それでも、みんとちゃんとれたすちゃんに会えたでしょ?ミュウミュウになれて良かったじゃん!
汐「まあ、みんとに関しては出会いが最悪だったけどな…れたすに関しては助けられて良かったと思ってるよ。俺の日常が非日常になったことに関しては迷惑だと思ってるけど、こういう面では感謝だな…ただ、みんととの出会いに関してはタイムマシンで戻って過去を変えたいぜ。」
なるほど…それに、いちごちゃんとも距離を詰めれたからもう最高だよね!これに関してはどう思う?
汐「もうありがたいも何も絶好のチャンスでもうにやけが止まんねえよ!俺達は秘密を共有できるってのはアドバンテージだから…これで俺の気持ちは伝えやすくなったもんだ!」
ヘタレのお前にしては上出来じゃん!まあ、これからも頑張ってくれ!!
汐「お前からヘタレとは言われたくねえよ!!それで、次回はどんな話なんだ?」
そうだね…次回は原作通りならいちごちゃんが新体操部にオファーされる話をやるけど、オリジナルの話をここではする予定だ。この恋模様がそれぞれ動き出すから楽しみにしていてくださいね!それじゃあ、汐…最後に読者へ一言を。
汐「おうっ!読者の皆さん、いつも『東京ミュウミュウRS』を読んでくださいましてありがとうございます。これからも俺はいちご、みんと、れたすだけではなくまだ見ぬ仲間と共にキメラアニマやエイリアンと戦って恋もしていくので今後ともご期待ください!お気に入り登録、感想、評価をよろしくお願いいたします。」
以上、後書きトークでした。また次回お会いしましょう!