来る世界(とこ)間違えてね?   作:元・配達人

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しれっと、更新です。


第五十四話っぽい感じ!

 

 

 

唯 視点

 

『スタスタ』

 

「む~~~~」

 

今、目の前を、お兄ちゃんが通っていった。

 

で、なんで私が唸っているかっていうと・・・その通っていった、お兄ちゃんのカッコが問題だからだ。

 

そのカッコっていうのが・・・。

 

上着を着ないで、上半身、裸のカッコ・・・。

 

 

「ちょっと、お兄ちゃん! そんなカッコで家の中、うろつかないでっ!」

 

「あーーー?」

 

私が注意すると、お兄ちゃんはめんどくさそうに振り返って。

 

「別にいいじゃねーか? 家の中なんだから」

 

「だめよ! だらしがないわ!!」

 

全く、いくら家の中だからって・・・。

 

一瞬だけ・・・マサ君の上半身、裸の姿を思い出し。

 

慌てて頭を振る、うぅ~~~なんてハレンチな・・・。

 

「チッ・・・最近は大分、丸くなったと思ったのにに、相変わらず、おカタイな・・・って唯? どうした?」

 

「なっ、なんでもないわよっ! ホントに!!」

 

言えるワケないじゃない・・・。

 

「そっか? まっあんまり、おカタイ、ままだと、いつまでたっても男ができねーぜ?」

 

なっ・・・!?

 

「何、言ってるのよ!! そんなのいらな・・・」

 

そこまで言って、言葉が詰まる、いらない!! と言い切るつもりが、言い切ることが出来ない。

 

どうしても、思い出してしまう、男の子・・・。

 

強引で、無茶苦茶で、勉強が苦手で、サボり魔で、目つきが悪くて、友達思いで優しい、そんな変わった男の子。

 

一部の先生には問題児扱いされてるし、きっと彼と出会う前の私だったら、同じ様にただ問題児としてしか見れなかったかもしれない。

 

 

でも、ただの問題児じゃなくて、彼の回りは、いつも誰かの笑顔で溢れてる。

 

私も彼の前では笑う事が多い、まぁ、ため息の数も多いけど・・・。

 

 

最近のため息は、彼の無茶苦茶な行動だけじゃなくて、彼の凄い鈍さに対しての方が多いかもしれない・・・。

 

里沙さんや、未央さん、いわく呪い級、確かにあの鈍さは、呪いよね・・・。

 

 

「あーーー? また唸りだしたな?」

 

『ピロリロリ~♪』

 

「おっ電話、もしもーし! あ、マユミ? 今日? おう、もちろんヒマ、バッカ、香織とは、もう別れたって~~~」

 

むっ・・・お兄ちゃん・・・人が悩んでるって言うのに・・・。

 

「ハレンチだわっ!!」

 

『バンッ!!』

 

つい、強い力でドアを閉じてしまった。

 

ドアの向こうで。

 

「ん? 何でもねーよ、妹が難しい年頃でね、アイツも、もっと他の事に・・・って最近は、結構、目を向けてるよな・・・まさか・・・イヤ、まさかな・・・っと悪い悪い!!」

 

そんな、お兄ちゃんの声が聞こえた。

 

 

「もう・・・うちの家族はどうしてあんなにだらしないのかしら」

 

 

 

気分転換の為に外へと出掛ける。

 

あら・・・あそこに居るのって・・・。

 

前の方に見えるのは、買い物袋を下げてあるく結城君に、ララさんの二人。

 

「あっ! 唯だ~~~唯!!」

 

ララさんが私に気付いて、何時もみたいに人懐っこい笑顔で、私に駆け寄ってくる。

 

「急に走り出すなって!! よお、古手川」

 

 

少し遅れて結城君も、袋を揺らしながら駆け寄る。

 

「こんにちは、買い物かしら?」

 

二人にアイサツをして、そう話題を振ると。

 

「あっああ、何時も買い物とか家事は美柑やマサに任せっきりだから、たまにはさ?」

 

「マサも美柑もいっつも頑張ってるもん、だからたまには、お休みしてもらうんだ」

 

フフ・・・。

 

「そうなの? それでマサ君はお家にいるのかしら?」

 

「いや、それが・・・八百屋の、おじさんがギックリ腰になったって聞いて、マジかい!? おっしゃ、ちょっくら手伝ってくらぁ~ って飛び出してったんだよな~」

 

今のマサ君のマネ似てたわね? それにしても。

 

「らしい話ね」

 

「うん、マサは優しいからね」

 

「俺もそう言ったら、ンなこたぁねぇって、こういうなぁ持ち持たれつってんだ、八百屋のオッチャンには、値引きしてもらってっしな? って返されたぜ、ハハ、妙なとこで照れ屋だよなマサって」

 

 

臨海学校の時にも同じこと言ってたわね。

 

「マサ優しいのにね~」

 

「だよな~」

 

「そうね」

 

気付いたらこの場にいない人の話題で盛り上がってた。

 

人付きが下手だった、昔の私には信じられないかもしれないわね。

 

「あっ! 唯、見て見て~~あのね、こんなの買ったの」

 

そんな事を考えてた私にララさんが思い出したように、何かを見せてくる。

 

何かしら? と見てみたら・・・。

 

「マジカル・キョーコの入浴剤!! 一瞬で溶岩風呂のできあがりだって!!」

 

えっ何それ?・・・そんな、嬉しそうに言われても・・・。

 

「大丈夫かよ、それ・・・」

 

結城君が半目でララさんが持つ入浴剤を見てる。

 

「大丈夫だよ!! だってキョーコちゃんのだもん!!」

 

「それがなんで大丈夫ってことに繋がるのかわからないわ・・・」

 

「だよな・・・溶岩って、危険過ぎる匂いがするし」

 

そうよね・・・。

 

「ええ~~~でもでも、温泉の名前に、地獄温泉っていう怖い名前の温泉があるってマサが言ってたよ」

 

た・・・確かに、そうだけど・・・。

 

「マサもまた、微妙なことを・・・」

 

しかも間違った知識じゃないっていうのが、また・・・なんとも言いづらいわね。

 

 

 

それから少しだけ話をして二人と別れ、のんびり、と街を見て歩く。

 

外に出て来てよかったわね、さっきのことといい、いい気分転換になるわ。

 

そう言えば、マサ君、今、その八百屋さんの手伝いをしてるのかしら?

 

気になるわね・・・。

 

「少し・・・覗いてみようかしら?」

 

でも・・・邪魔になったら・・・でも気になるし・・・むぅ~~~。

 

あっ!! そういえば、タマネギが無かったわよね、うん、買い行かないと、そういうことにしよう。

 

そう、自分を納得させて、八百屋さんへと向かい足を進めることに。

 

「「「ギャハハハ!!」」」

 

ン・・・何? あっ・・・何よ、あの人達、歩道なんかに座りこんで・・・。

 

迷惑って言葉を知らないのかしら・・・。

上向いた気分が下がり始める、やっぱり、ああ、いうのは見逃せないわ。

 

「あなた達! そこは通行のジャマよ! 道をあけなさい!!」

 

座りこんでる、男の人達に注意する、すると、その人達は。

 

「あ?」

 

ジロリと私の方を睨みながら。

 

「何? 俺らに行ってるの?」

 

と詰め寄ってきた。

 

「そうよ!!」

 

怯まずにそう返す、マサ君が怒ってる時に比べれば、怖さなんて感じない、比べるまでもないけど。

 

ホントはカッコのことも言いたかったけど、余りカッコだけで人を決めるのは・・・。

 

チラッと詰め寄ってきた人のカッコを見る・・・やっぱりダメね、あんな所に座ってた人達だし。

 

「だいたい! そのカッコは何よ? 親が見たら泣くわよ」

 

結局は言ってしまった。

 

「ホホ~~~言ってくれるじゃん」

 

「おっ、このコ、ちょっとカワイくね?」

 

「俺もそう思ってたトコ!」

 

ニヤニヤとイヤらしい笑いを浮かべる、その人達。

 

何を・・・。

 

『グッ!!』

 

 

「ッ!!」

 

その人達のうちの一人が私の後ろに回り、羽交い締めにされてしまう・・・。

 

「はっ放しなさいよ!!」

 

その人達のリーダー格みたいな人に、そう言うも。

 

「ヒヒヒ・・・ンな事、言わずに遊ぼーぜぇ」

 

またイヤらしい笑いをしながら近付いて来て、私のスカートに手を伸ばし。

 

「キレーな足~~」

 

スカートを摘み、捲くろうとする。

 

イヤ・・・なんで、男って・・・全部の男の人がこうじゃないっていうのは、わかってる。

 

身近にそういう人がいる・・・でも・・・。

 

誰か・・・何とか言ってよ。

 

回りに助けを求めても、回りは、見てみないフリ・・・。

 

なんで、明らかに、この人達、間違ってるのに・・・。

 

誰かーーー・・・マサ君・・・。

 

「ウォォォォ!!」

 

そう思った時、私を囲んでいた男の人達の一人が、突然、大声を上げた。

 

私のスカートを捲くろうとしてた、あのリーダー格っぽい人が。

 

「ゲハハ・・・興奮し過ぎだ・・・は?」

 

動きを止めて、その大声を出した人の方を見る、私も、恐る恐る見てみると。

 

「ウォ・・ガッ・・・オゴッ・・・ブクブクブク・・・」

 

足が地面から離れ、浮いている状態、そして口からは泡を吹いて気絶してしまった。

 

その後ろには・・・。

 

「テメェ・・・何してんだ、あ? 人の身内によォ? そんなに遊びてぇなら俺が遊んでやるよ?」

 

何度か見た、あの怖い顔のマサ君がいた・・・。

 

安心したと同時に、助けに来てくれた嬉しさ、さっきの恐怖、そして、マサ君が怒ってる時、特有の怖さ、そんな気持ちがないまぜになって、ほうけている間に。

 

『ゴキンッ!!』

 

「アギャッ!!」

 

私を羽交い締めにしてた人の手が外れる、今の音・・・。

 

『ダラン・・・』

 

「折れ・・・折れ・・・痛でぇ~~~痛でぇ~~~よ」

 

「うるせぇな? 外しただけだよ」

 

腕を抑えて、叫ぶ人にマサ君は冷たい目でそう呟く。

 

 

「て・・・テメェッ」

 

「テメェも黙れ」

 

『ブンッゴギャッ!!』

 

リーダー格っぽい人を振り返りもしないで、殴りつける。

 

鼻が折れたか、そのリーダー格の男からは沢山の血が流れでている。

 

いっ・・・痛そうだ・・・。

 

そのリーダー格に対して。

 

「右手・・・だったな?」

 

 

そう言って足を振り上げ・・・って、まさか!!

 

「マサ君!! やり過ぎ、落ち着いて!!」

「あン? って、前にも似たよなことあったな?」

 

振り返りながら、そう言うマサ君、そう言えば、以前にも、あったわね・・・。

 

この状態のマサ君にはやっぱり慣れないけど・・・。

 

「まっいいさね、唯がそう言うなら、この辺でカンベンしてやっか・・・」

 

『ピ・ポ・パ』

 

マサ君はそう言って携帯を取り出し、どこかに電話をかけ始める。

 

「あっスンマセン、バカが三人転がってんで、救急車三台~ヨロシクお願いしま~す」

 

『ピッ』

 

電話してた場所は病院だったみたい。

 

「コレでよしっと・・・ってイカンな、めっさ注目されてるな?」

 

マサ君が言うように、回りを見てみると、かなりの注目を浴びていた。

 

その中には、マサ君を・・・なんていうか・・・かなり、イヤな目で見てる人もいる。

 

その目を見て凄くイヤな気分になる・・・確かに、やり過ぎ出し、怒ったマサ君は怖いけど、何もしてくれなかったアナタ達が、マサ君を、そんな目で見るなんて!!

 

そのことに一言、言ってやろうとすると。

 

「よかよか、慣れとるし? まっよく知らんヤツに、あんな目で見られても屁とも思わんわい、っと、とりあえず離れるべ~」

 

『バッ!』

 

と私を抱えて。

 

「ニン!!」

 

『シュバッ』

 

出会った時みたいに、一瞬で移動した・・・つい。

 

「ハッハレンチよ~~~~~!!」

 

と言ってしまったのは仕方ないわよね、本当は、嬉しのに。

 

「はいハレンチいただきました~」

 

相変わらずのマサ君だった。

 

 

マサ 視点

 

唯を連れて、あの場から離脱し、唯を下ろしてから。

 

「あっと、そういや唯、大丈夫だっか?」

 

かなり、いまさらながら確認。

 

「うっうん・・・大丈夫・・・マサ君、助けてくれてありがとう」

 

大丈夫みたいね、うむ。

 

「ナッハハ、気にしなさんな、困った時はお互い様ってな?」

 

「クスッ・・・やっぱり」

 

ン? 何がやっぱりなんだ? まっいいさね。

 

っと・・・そだった。

 

「まだ、八百屋ン手伝いがあるんだったわ」

 

そろそろ行かねば・・・あんまし遅くなっとオッチャンが無理に出てきてまう。

 

「そっそういえば、マサ君って八百屋さんの手伝いをしてるんだって?」

 

「まぁよ、って何故に知ってんだ? って、さっきンでわかったんか、ナイスな推理力だな」

 

グッとサムズ!!

 

「違うわよ、ララさんと結城君に会って、その時に聞いて」

 

ほう、それはまた奇遇な・・・。

 

ってイカンがな。

 

「オッチャン無理する5分前だ・・・じゃそういうこったから、俺ァ行くわ、あっと、今から帰るんだったら送るか? さっきみてぇなんに遭ったらイヤだべ?」

 

そんくらいだったら、パッパッと行けると思うしな? まっ唯ン家がどこにあっかは知らんけど。

 

「大丈夫よ、それより私も八百屋さんに用事があるから、一緒に行くわ」

 

ほうほう。

 

「おけ、じゃ行くべ?」

 

NINJAしようかと思ったが、普通に歩っても5分で着くんで、歩って行く。

 

「して、何が入り用だ? 交渉しだいで安くなっぞ?」

 

「えっとタマネギを・・・」

 

「何個だ?」

 

「えっ・・・あっ・・・ひ・・・ひとつ?」

 

タマネギ一つか・・・。

 

「何? 悪い!!」

 

いやさ、急に怒られても・・・悪いとは言ってねぇやん。

 

「うっ・・・そうよ、別にタマネギを買いに行くわけじゃないわよ、ただ、ちょっとマサ君の様子を見に行こうと思っただけよ」

 

いやさ、特に何も言ってないっつうに・・・まっ、様子を見に来てくれようと、してくれたんはありがてぇけど。

 

「ってこたぁ唯、今日ヒマか?」

 

「えっ? ええ、そうね、今日は、予定はないわね?」

 

うむうむ、そっかそっか・・・よしっ!!

 

「何?」

「まっ着いてきんしゃい」

 

と唯を引き連れて、八百屋へGO。

 

八百屋へ着いたら案の定、オッチャンが。

 

「だ~か~ら大丈夫だってんだ・・・イギッ!!」

 

無理して出てくるとこだった・・・。

 

「あっマサちゃん、いいところに帰ってきたね~、ほら父ちゃん! マサちゃんが居るから店は大丈夫だよ、父ちゃんは大人しく寝てな!!」

 

「母ちゃん! だから、こんぐれぇ屁でも・・・ウギッ!!」

 

大丈夫じゃねぇやん、めっさ脂汗だらけやん・・・ったく。

 

「オッチャン、無理したら後に祟んぞ? おら、俺に任せて寝る寝る」

 

「そうそう、そうしな、長引いて困るのは自分達なんだから」

 

「チッ・・・しゃ~ね~な~、店は頼んだぜ、マサ坊・・・ウガッ・・・」

 

ひょっこり、ひょっこり、店の中(奥の方が家になっている)戻っていく、オッチャンです。

 

 

「ったく、父ちゃんも、いい加減・・・って、おや? マサちゃん、この子は誰だい?」

 

ぶちぶちグチりながらも、唯に気付いた、オバチャンが俺に、そう聞いてくる。

 

「よくぞ聞いてくれた!! 本日限定の看板娘だ!!」

 

ニッと笑いながら唯を紹介、そう、さっき思いついたのは唯に手伝って貰おうってことですねん。

 

「えっ? えっ!? ちょマサ君!! どっどういうこと?」

 

まっ、やっぱし唯さん、ビックリしとりますけどね。

 

「まぁまぁ、頼む!! やっぱ看板娘が必要だろ?」

 

「マサちゃん、ココに立派な看板娘がいるじゃないかい、オバチャンじゃ役不足って言いたいのかい?」

 

「残念ながら、年と体重が、つか、看板『娘』だぞ? 娘じゃねぇべさ」

 

「ハッキリ言うね~~~全く・・・コレでも若い頃は彩南のマドンナだったってのに」

 

マドンナ・・・ねぇ・・・。

 

「時代が見えるわ」

 

「うるさいわ!! まっ寄る年波には勝てないね、で、えっと・・・名前は・・・なんていうのかしら?」

 

「あっ? えっと・・・古手川 唯・・・です」

 

「そうかい、唯ちゃんかい、バイト代を出すから、手伝ってくれないかい? こんな目つきの悪い店員だけじゃ、いくらオバチャンでも、花が足りないからね」

 

うむ、まぁ確かに目つき悪いけど。

 

「まっつうワケで頼むわ!! なっ? 俺もなんか奢っから」

 

手を合わせて頼み込む。

 

したら唯。

 

「ハァ~~~仕方ないわね? まっ助けてもらった、お礼あるし・・・えっと、よろしくお願いします」

 

ため息をはきながらも、了承してくれました。

 

まっ、ンなつもりで手を出したワケじゃねぇんだけどな。

 

 

「そうかいそうかい、助かるね~それじゃ、エプロンと野菜の値段が書いてるメモを持って来るから、待っててね、唯ちゃん」

 

 

一旦、奥の方へと引っ込む、オバチャン。

「全く・・・マサ君、急過ぎるわよ、一言くらい言って欲しかったわ」

 

「悪い、ついな? まっやってみっと楽しいぜ? オバチャンも良い人だしな?」

 

「まぁそれは何となく雰囲気でわかるけど」

 

と軽く唯と喋ってる間に、オバチャンが戻ってきて。

 

「それじゃ、唯ちゃんはコレを付けて、マサちゃんは・・・」

 

「むろん、あるぞ」

 

例によってスプーキーズ仕様のエプロン。

「用意が良いね~~~、それじゃ唯ちゃん頑張って、マサちゃんは慣れてるから、わからないことがあったら、オバチャンかマサちゃんに聞くんだよ」

 

「は・・・はい」

 

と、こんな感じで、八百屋の手伝い、再開。

 

まっ唯は再開じゃなくてスタートだけど。

 

っと、その前に・・・。

 

「オバチャン、コレ通帳」

 

「あら、忘れてたよ」

 

大事なモンを忘れんなっつうに。

 

「えっ? 通帳って何で?」

 

「ン? 仕入先に入金して来たんだわ、で、な~んか、感が疼いて、ソッチの方行ってみたら、唯とカッチンコってワケ」

 

いや、ホント、感に従って良かったッスわ、と頷いてたら。

 

「そう・・・なんだ・・・そっか・・・フフ」

 

微妙に笑っとります。

 

はて?

 

「ン? オバチャンだけのけ者かい?」

 

「いっいえ、少し、コッチに来る前にあったものですから」

 

「そうかい? って唯ちゃん、カタイね~もっと普通に話していいんだよ、マサちゃんだって、そうしてるだろ?」

 

確かに唯、カタイわな、まっ唯だしな。

 

「えっ? でも・・・」

 

「う~ん、礼儀正しい子だね~、マサちゃんも、ココまでとは言わないけど、ちょっとは見習いな」

 

「いまさらですがな」

 

 

と、そうこうしてる間にも。

 

「スイマセ~ン」

 

お客さん、がやってきた。

 

「じゃ先ずは俺が対応すっから」

 

「ええ、それを見て流れを掴めばいいのね」

 

話しが早くて助かるわい。

 

っとイカンイカン、待たせっぱなやがな。

 

「あいあい!」

 

「おっ? マサちゃん、久しぶりだね」

 

「おやま、三鷹のオバチャン、何を探してんだ?」

 

「お姉さんといいな、お姉さんと・・・えっと、ダイコンにレンコン、ニンジンに後は・・・ゴボウだね」

 

ふむ・・・。

 

「おでん、にキンピラか?」

 

「当たりだよ」

 

そっか、そっか・・・そだ。

 

「だったら春菊もいいぜ~、ザクッと切って、あんまし煮込まねぇようにすんだわ、美ン味いぜ~」

 

「そうなのかい? じゃ春菊も!!」

 

 

「あいよ!!」

 

ヒョイヒョイと野菜を詰めて、手渡し。

 

「じゃ、コレ、お金」

 

「あいよ・・・えっと・・・釣りはっと」

 

ぶら下がってるお釣り入りのザルから釣りを出し。

 

「はい、三百万!!」

 

チャリンと手渡す。

 

「古いね~マサちゃん、ホントに高校生かい?」

 

「現役でな」

 

「年ごまかしてるようにか思えないね~~それじゃ、頑張りなよ」

 

「あいよ、毎度あり~~~~」

 

と、三鷹のオバチャンが帰るのを見送り、振り返ると。

 

「凄いわね」

 

「だろ? マサちゃん、相変わらず上手いね~~、オバチャン、惚れ惚れしちまうよ」

 

唯は目を丸くしていて、オバチャンには、やたらと褒められた。

 

いやはや。

 

「照れら~~な? まっこんな感じで唯も」

「さっ流石に、それは・・・」

 

「そうだね~流石に最初からアレを目差すのは難しいね、まっ先ずは普通にやってみな? ゆっくりでいいからね? ほら、次のお客さんが来たよ」

 

 

唯、初陣!!

 

さてさて・・・おっ? 吉田の婆ちゃんか、あの婆ちゃんだったら初陣でも大丈夫だな。

 

「おやおや・・・今日は随分と可愛い店員さんだね~~」

 

「えっ? あっえと・・・」

 

「あっごめんなさいね~~ついね~・・・それじゃ、ダイコンとタケノコを下さいな」

 

「あっはい・・・えっとダイコンはさっきアッチにあったから・・・えとタケノコは・・・」

 

あっ、そだった、まだどこに何が置いてあっかわからないわな・・・。

 

まっでも吉田の婆ちゃんなら。

 

「フフフ・・・慌てなくても良いよ~、ゆっくり落ち着いて」

 

「はい、えっと・・・あっあったわ、それじゃ、えとメモメモ・・・」

 

タケノコ片手にメモを見て、値段を確認する唯。

 

それをニコニコと笑いながら、ゆっくり待つ吉田の婆ちゃん。

 

うむうむ・・・流石は吉田の婆ちゃんだな。

 

「それじゃ、~円になります」

 

「はい、お金・・・」

 

ダイコンとタケノコが入った袋を受け取り、代金を渡し、そのお釣りを唯が慌てながらも、渡すと吉田の婆ちゃんは。

 

「ありがとう、可愛い店員さん、それじゃ~ね」

 

手を振って去っていきました。

 

そして、唯が。

 

「フゥ~~~きっ緊張したわ」

 

と戻って来る。

 

「うむうむ、良いでき良いでき」

 

「そうだね、その調子だよ唯ちゃん」

 

唯を労う、俺とオバチャン、そんな俺達に唯は。

 

 

軽く笑いながら。

 

「あのお婆さんが優しかったからね、優しいお婆さんだったわ」

 

と応える。

 

「まっ吉田の婆ちゃんだからな? たまに遊びに行くと手作りのおはぎを出してくれんだけどな? それがまた、美ン味いのなんのって」

 

あの味は、そうとう頑張っても出ないわな? ホント絶品です。

 

「そっそうなの? マサ君、あのお婆さんのところに遊びに行ってるのね?」

 

「そうなんだよね~ 吉田さん、一人暮らしでね~、マサちゃんが時々、様子を見に行ってるんだよ、吉田さん、孫が出来たみたいだって嬉しそうにしてたよ~」

 

「そう・・・マサ君は・・・優しいわね、今度、私も連れていって欲しいわ」

 

ふむ・・・。

 

「まっ優しいかは知らんが、今度、行ってみっか?」

 

吉田の婆ちゃん家、落ち着くからな~。

 

おはぎ美味えし。

 

「スイマセ~ン」

 

おっとっと客、客!!

 

「あいあい!!」

 

と、こんな感じで、唯と代わる代わるお客さんに対応し。

 

唯も、段々と慣れてきた頃。

 

「う~ん・・・やっぱりマサちゃん、この店、継ぐ気ないかい? ほら、ウチは一人娘が嫁に行っちゃった、だろ? マサちゃんだったら、父ちゃんもオバチャンも任せられるんだけどね~」

 

と、何度目かの勧誘、なんか知らんが手伝うと結構な頻度でされます。

 

「ほら、唯ちゃんも一緒に」

 

「えっ!? えっ? そっそれは・・・あの」

 

おっ? なんか唯も勧誘されてんな? つか赤!!

 

めっさ赤くなっとるし?

 

「おやおや、コレは・・・そうかい、そうかい、やっぱりかい」

 

いやさオバチャン。

 

「やっぱりって何が?」

 

「何がってマサちゃん・・・気付いてないのかい!?」

 

「気付くって何に?」

 

「あれま・・・やっぱり病気だね~マサちゃんは・・・」

 

病気って・・・めっさ元気なんだが・・・。

 

「ハァ~~~唯ちゃん頑張るんだよ、オバチャンは応援してるからね!!」

 

「えっ? あっ、えと・・・うぅ~~~」

 

何故か唯を励ます、オバチャンと、う~う~唸る、唯でした。

 

つか応援って何よ?

 

 

とかありつつも、再びやって来た、お客さんに対応する。

 

な~んか、唯が赤くなりながら、チラチラと俺の方を見てた気がするが・・・はて?

 

まっ今はお客さんに集中っと。

 

で、暫くそんな感じで進み、そろそろ日が傾いてきて、晩メシの食材を買いに来た、お客さんも下火になってきた、そんな時。

 

「いらっしゃいませ・・・ってお母さん!!」

 

どうやら唯の母ちゃんが買い物に来たらしい。

 

「あら? 唯、何してるの?」

 

「えっ、えっと」

 

なんか、めっさテンパってるな、どれ。

 

「どうも~、唯ン母ちゃんッスか? 娘さんお借りしとりま~す」

 

軽くアイサツ。

 

「ちょっマサ君!? マサ君はアッチ行ってて!!」

 

あれま・・・照れくさいんかねぇ~。

 

まっあんまし、邪魔しても、コラッてされるし、ボチボチ店も閉める時間ってことで。

 

「じゃ俺ァ、明日ン準備に回りますわ」

 

「はいよ」

 

と裏に回る。

 

なんか唯と唯の母ちゃんがキャイキャイ言ってるのが、気にならんこともねぇが。

 

スルーしつつ作業を続ける。

 

で、唯の母ちゃんでラストってことらしく、店じまい。

 

唯がまた、赤くなりながら、うぅ~うぅ~唸ってたが・・・オバチャンから給料を受け取り。

 

唸ってる唯を送って本日は帰宅したのでした。

 

 

唯 視点

 

マサ君に家まで送ってもらって。

 

「あ・・・ありがとう・・・」

 

とお礼を言いマサ君を見送った後、家の中へと入る・・・。

 

うぅ~~絶対、お母さんにからかわれるわ・・・。

 

まさか、お母さんがあの八百屋さんに来るなんて・・・。

 

まっまぁ、私も八百屋さんのお手伝いをするなんて思いもしなかったけど。

 

家の中に入ると、案の定、ニヤニヤとしてる、お母さんに・・・お兄ちゃん・・・。

 

うっ・・・お母さん・・・お兄ちゃんにも話したのかしら?

 

この様子だったら話してるわよね・・・。

ハァ~~~~。

 

どうしよう。

 

うん、とりあえずはお風呂に入って時間をかせごう。

 

少しは落ち着くはずよね?

 

 

 

そして、お風呂に入って、気分を落ち着かせ。

 

晩ご飯の時間になった。

 

やっぱり時間を置いたのがよかったのかしら?

 

お風呂から上がった後は、マサ君のことは聞いてこなかった。

 

あっ? 今日はお鍋なのね? そう言えば八百屋さんで、シイタケとかの、野菜も買ってたし。

 

食卓について、お鍋をつつく。

 

うん、美味しい、温まるわね・・・。

 

「で、唯、あの男の子は彼氏?」

 

「ウグッ!! ケホッケホッ・・・お、お母さん!?」

 

いきなり何を言い出すのよ、思いっきりむせちゃったじゃない。

 

「あらあら、遊ちゃん、お水」

 

「ああ、ほら、唯」

 

お兄ちゃんか、水を受け取り、喉をならして飲む・・・。

 

フゥ~~~~なんとか少しは落ち着いたかしら・・・よし、普通に普通に・・・。

 

「ちち違うわ、クラスの友達よ」

 

少し吃ったけど、なんとか上手く返せたかしら?

 

「へぇ~~~『今』は友達か」

 

「ええ、今は・・・ってお兄ちゃん!! 今はって何よ、今はって!!」

 

「いや~~、なるほどね~~~ってな? そっか、そっか、どうりで最近は丸くなったワケだ」

 

むぅ・・・丸くなったって何よ、丸くなったって。

 

「唯も春が来たのね~~~母さん、嬉しいわ~~~、今度、あの男の子を紹介してね?」

 

「だからマサ君は、そんなんじゃ!!」

 

「あらあら、マサ君って言うのね~~」

 

ああ~~~もう、ドンドン墓穴を掘ってる気が・・・。

 

「で、どんなヤツだ?」

 

「う~ん、母さんは少ししか見てないけど、見た目だけだったら、ちょ~っと目つき悪くて、怖そうだったかしら? でも、雰囲気は良い子そうだったわよ?」

 

「へ~~~~、そうなのか唯?」

 

うっ・・・私に振らないでよ・・・コレ以上、喋ったら、また余計なことを言っちゃうじゃない。

 

 

「あらあら、照れちゃって可愛いわね~」

 

「クク・・・まさか、唯のそんな反応が見られるとはな~」

 

黙ってたら黙ってたで、勝手に想像してるし・・・。

 

どうしろって言うのよ~~~~~~。

 

 

結局その日は、二人に散々からかわれた・・・。

 

もう、怨むわよ、マサ君!!

 

 

 

 

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