「あははっ!もうすぐだよっ!見てあれっ、富士山!」
「たっ、高っ…こっ、怖いよっ……乗らなきゃ良かったかもっ…
「助けるったって……もう戻れないから助けるもなにもっ……ほら覚悟決めてっ。大丈夫、ただ落ちるだけだよ、死にはしないから」
「うはぁぁっ、無理無理やめときゃ良かったっ!男としての見栄でジェットコースター乗っちゃったけどっ、やめときゃ良かったっ……」
「だから言ったのに一っ……何度も何度も、怖いなら列外れようよ、って 」
「あそこまで並んじゃったら、せっかく待った時間がもったいないっていうか……」
――お前がすげえ楽しみにしてたからだよっ
「ふーん。あっ、ほら、落ちるよっ。だいじょーぶ!私が傍にいるからっ、安心して、
「え?あ…あ……やだっ…来るなっ……!」
「まあ折角なので、私は楽しませてもらうよっ!」
俺達は最高点に達して………一気に最下点へと落下する。
「やっふうぅぅぅぅぅっ!!」
「っ………!!」
右隣で、歓喜の叫びが響く……俺は、悪魔に心臓を掴まれたような感覚に声も出せなかった……
――俺の名前は
「も…もうジェットコースターやだっ……」
「うん、もう乗らないよっ……私は凄い楽しかったよっ、ありがとっ。」
「あの心臓が浮かび上がる感覚怖すぎる……死んだかと思ったよ、
「あー。ふふっ。
「その度に、
「あははっ!、なんだよその例えっ!」
――今日は、同級生の親友、
「次どこ行きたい??向こうのお化け屋敷とかどうだ?」
「えっ?、まーた強がってー。ここのお化け屋敷はめっちゃ怖いらしいよ、また泣くんじゃないの~?。今度は助けてやらないよー。
「お化け屋敷で笑ってくれるならすっげぇ頼もしいわ」
――すげえ楽しいっ、やっぱり
――千束とは中学校で同級生で、高校になってから仲良くなった。勉強も運動も友人関係も物凄い彼女とこんな関係になれるとは、中学生の頃は想像出来なかったな。
――まあ、そんな彼女も実際に仲良くしてみると、多彩な完璧超人ではなくて、所々、おっちょこちょいで抜けていることも知った。
――でも時々、人生を達観したような凄い事を言うんだよな。
そんなこんなでアトラクションを楽しんでいくと、あっというまに時が過ぎて、日が落ちてしまう…
「うーんっ!、楽しかったー遊園地!最高の週末だーっ。今日は誘ってくれてありがとう!」
「ああ………あのっ…最後にっ……ちょっとあそこに行ってみないか?」
「おおっ!イルミネーション!!むっちゃ綺麗だ一っ!行こ行こっ!
――自然に…誘導できたと思う…
――バレても問題ないのだけど…やっぱりこういうのはロマンチックでないと…
「わーお、すっごいロマンチック!!…ここでいい感じのBGMが流れてー。真剣な目で、「好きです!付き合って下さい」って、それで二人は付き合ってー。うーんもうめっちゃキュンキュンするーっ!!
そうだ
「
「え…」
――声が震える…身体が強張る……
――いつもは感情が分かりやすいやつなのに、こういうときには読めなくなる…思わず目を逸らしたくなってしまう……でも……
――こういう時こそ男らしく、カッコよくだ。ただでさえ今日は、みっともない所を沢山見せてしまったからなっ…
「
――いっ…言えたっ……!!
――頭の中で何百回も考えた、君への言葉…それでもちゃんと言えるか不安で……でもちゃんと言えた…伝えきったっ…言いたいことは全部……
まだ返事は分からない……千束の驚き具合から唯一分かるのは、俺の告白は
でも俺の中は…告白した達成感で一杯だった……このまま綺麗に振られてもかっこいいな……とさえ思う…
俺の言葉が途切れ、静寂に包まれる……
ぽろっ……
そしてすぐに目を逸らして…表情を隠しながら…口を開いた……
「ゆっ……
………でも……私は君の想いには答えられないっ………私は君と付き合えない…ですっ……ごめんっ……………」
――あ…
――俺……振られたんだ……
ズキン…
と、心臓が締め付けられる…
――苦しいっ…痛いっ…辛いっ…
「そっ…そっかっ………うん…分かったよ
必死に涙を堪えて明るく振舞う……今まで通り…友達として…これからも楽しく幸せな時間を続けるだけだっ……それにっ…
俺達二人は、また静寂に包まれる…
「ちょっ……ちょっとトイレっ…………待っててっ……」
誰かの告白を振るって言うのはそりゃあ辛いだろう……それも親友の俺を……
俺達は仲が良い…気も合う…それは間違いない……告白も…9割以上成功すると思ってたんだけどな……
でも、振ったことをちゃんと辛く思ってくれるくらいは、俺を大切に思ってくれてたんだな………
「うっ………っ……!」
視界がぼやける……
「うっ!、うわああああっ!!ああああああっ!!」
俺は大声を上げて泣いてしまう……
告白を考えてっ……何度も何度も言いそびれてっ……でもやっと覚悟決めてっ…プレゼントを選んで……今日告白してっ……
あまりに長く、濃くて、幸せな時間………それが、終わってしまったのだ……もちろん、これからも俺達は同じように仲良くするだろう…でもそれは今までとは違う……ずっと変わらない…進むことのない関係……
泣いても泣いても…楽にならない……辛い…辛い…辛い……
泣いて…泣いて…泣いて…
一息ついてベンチに腰掛ける……
空には星空が浮かんでいた…………宇宙って広いな………綺麗……
「
「…おぉ…
「…長くなっちゃった…待たせちゃったねっ……」
「ん…」
――俺に心を整理する時間をくれたのかな……優しいなっ……
そんなことを考えていたその時の俺は、
「うわっ!?、熱っ」
「ほれっ、
ほっぺたに缶コーヒーを当ててきた
「ねぇっ…
――「とりあえず付き合ってみないか?」…そんな言葉を言いかけてから飲み込む…付き合えないと言われたのだから、それ以上は俺からは言えない…
「ああ…もちろんっ!」
「うん…」
コーヒーは、俺の身体を中から温めてくれた…
これからも…変わらない………これまで通り…幸せな日々…
俺達は、出口へと向かい、遊園地を出てバス停へと向かう…
告白が成功してたら、一緒に腕を組みながら歩いていたはずの道…
二人の手は触れ合わない……
バスが出発してから、
俺は後悔や未練で感情がぐちゃぐちゃで、寝る気にはとてもなれず……動かない
そして家に帰って…二人の思い出が詰まったアルバムを見返しながら…また泣くのだった……
一一明日から学校か……行きたくねぇよ……
第一話 失恋