捻れた世界の静電気   作:諸喰梟夜

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他作品にモチベを吸い上げられる立場にあるけど細々と続けてるよ
今回短め



12.名門校と称されるだけある[君臨beast]

 

 

「おわ~!本当にたくさん栗が落ちてるんだゾ!これだけあればマロンタルト食べ放題…!」

「凄まじい食い意地…あ、待ってください素手は」

 手近な栗に手を伸ばすグリムに声をかけたけど時既に遅し。トゲが刺さってふぎゃー!!と悲鳴を上げていた。見ればわかるでしょうに…と思ったけど、柔らかいトゲも世の中にはあるものね…それこそ箒とか。

 

「素手で拾うのは無理そうだな…」

「出来なくはないですが痛いですね。それに、集めるカゴかバケツも欲しいところです」

「植物園の中にどっちもありそうじゃね?」

「行ってみるか…」

 振り向いて、さっき横を通り過ぎたガラスのドームを見上げた。…本当に大きいな。ひとつの研究所レベルなのでは?さすが名門校と称されるだけあるな…。

 

 

「フルーツがたくさんなってる!いい匂いなんだゾ~!」

「主目的は忘れないでくださいね?」

「わかってんだゾ、マロンタルト食べ放題!」

「やれやれです…おっ、と??」

 興奮した様子で飛び上がる*1グリムに気を取られて、うっかり足元を見ていなかった。何かを踏んだ感覚…がするのが早いか、横合いから「いって!!」という叫び声が響いた。

 

「失礼しまし…あ」

「…おい」

 声の主は、入学式で見覚えのある顔。寮長メンツの中にいたと思う。けどその頭には一対のケモミミがあって、尻尾が私の足元まで伸びていた。…気配には気づいてたけどそうか、尻尾は完全に盲点だった。いや、だって普通思わないじゃん。

「こちとら気持ちよく昼寝してたとこだってのに、思いっきり尻尾踏んでいきやがって…最悪だ」

「通路に尻尾が出てるのもどうかと思いましたが、すみませんでした」

「お前…入学式で鏡に魔法が使えねぇとか言われてた草食動物か」

 認知されてた…。一応肉も食べます。…あ、どちらかと言えば()()動物ですね。はは。

 ケモミミ寮長(仮)は私をしげしげと眺めると、ずいっと顔を近づけてきたりした。…嗅がれている?…なんかあれっぽい。猫の仕草としてあるやつ。隣を見るとグリムは固まっていた。…何とかしてくれない?無理?あ、そう。

 

「…このレオナ様の尻尾を踏んでおいて、何もナシってのはねえよなぁ?」

 名前が判明したレオナ様はそう言って眼光鋭く睨んでくる。態度でっか。そして自称"名前+様"仲間が見つかったよグリム…いやそれどころじゃないな今。

「え…何かと言われましても、…雷ぐらいしか」

「なんで出せんだよ…はぁ。気持ちよく寝てたところを起こされて機嫌が(わり)ぃんだ。歯の一本でも置いていけよ」

「何に使うんです?…あ、そういう」

 思考停止しかけたけど、ユラリと立ち上がる様子から察した。あ、折りに来るんですねなるほど。自力で抜歯とかムズいぞって思った。そこへ「レオナさ~ん!」という第三者の声が飛び込んできた。見ればケモミミがもう一人。

「もー!やっぱりここにいた!レオナさん今日は補修の日ッスよ!」

「はぁ…うるせぇのが来た」

「レオナさんただでさえダブってるんスから。これ以上留年したら来年はオレと同級生ッスよ!」

「うるせえな…キャンキャン言うんじゃねぇよラギー」

 

 …なんか始まったけど聞いてていいのだろうか。いやダメだと思うけどこっそり立ち去っていいのだろうか。悩んでたら話は進んでいて、「今度俺の縄張りに入るときは気を付けろ」と言い残し、レオナ先輩はラギーさんに連れられていった。

「………ぷはぁー!緊張したんだゾ…!なんなんだあの凄みのある管理人さんは!?」

「…管理人さんではなさそうでしたよ」

 立ち尽くしていると、トングとバケツを見つけたらしいエース君とデュース君に話しかけられた。成果がなくてゴメン。

「はっ、そうだ栗拾い!いっぱい集めないとタルトの食い扶持が減るんだった!」

「この子ご褒美作戦が覿面(テキメン)すぎません?」

「本当にすごい食い意地だな…」

 

 

 

*1
(物理)





・ユウ
脅しが絶妙に通じなかった少食動物。凄絶な前世の影響で反応が薄い。"様"つき一人称をグリム以外に初めて聞いた。

・グリム
結局ずっとワイルドな管理人だと思ってた。ご褒美作戦が効果覿面すぎて今後の参考にされる。

・エース・デュース
端役状態の二人

・レオナ
顔を覚えられていた寮長。怯えることもなく、かといって強がる様子もなく無表情なのが少し気味悪く感じた。匂いも妙に薄かったな…。

・ラギー
ニアミス。まだあんまり気にしてない。
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