学園に戻って魔法石を見せたところ、学園長はまさか本当にドワーフ鉱山まで行って魔法石を採ってくるとは思わなくて、勝手に退学手続きを粛々と進めてたそうで…。
それでグリムが怪物のことに言及したら、詳しく聞かせてほしいと四人(厳密には三人+一匹)揃って学園長室に通された。
「ほほう…廃鉱に住み着いた謎のモンスター。それを四人で協力して倒し、魔法石を手に入れたと?」
「いや…協力したっつーか…」
「たまたま目的が一致したというか…」
「それに最後は雷で終わったんだゾ…」
「照れなくていいですよ」
「照れてねーわ!…あれ?…が、学園長?」
出で立ちは相変わらずの学園長は、なにやら長考に入ったと思いきや突然「お~~~~~~ん!!」と泣きわめき出した。
「ど、どうしました急に泣き出して気持ち悪い!?」
「ユウ、本音が出てるんだゾ」
「この私が学園長を務めて早ン十年……NRC生同士が、手を取り合って敵に立ち向かい打ち勝つ日が来るなんて!!」
「そ…そんな、泣くほど…?」
「んなっ!?僕はコイツと手を繋いでなんかいません!」
「オレだってヤだよ気持ちワリーな!」
「二人ともそうじゃないですよ、それで納得できましたけど」
「私は今、猛烈に感動しています!!今回の件で確信しました……ユウ君、貴方には間違いなく猛獣遣い的才能がある!!」
「はあ…」
猛獣遣い……?思わず、同行者のグリム、エース君、デュース君の顔を見やる。
「………なるほど」
「なあそれどういう意味??」
「NRCの生徒はみな、闇の鏡に選ばれた優秀な魔法師の卵です。しかし優秀が故にプライドが高く、我も強く、他者と協力しようという考えを微塵も持たない個人主義且つ自己中心的な生徒が多い」
「ほとんどいいこと言ってねーんだゾ…」
…なーんとなく、学園長が苦労人であることを察した。まあそれでもポンコツ認識は変わらないけど。それとこれとは別問題。
「あなたは魔法が使えない。ですがおそらく魔法が使えないからこそ、魔法を使える者同士をこうして協力させることができた」
「いやあの、だから協力とか…」
「猛獣は黙っててください」
「急に暴言吐くじゃん」
「きっとこの学園には、あなたのような平々凡々な普通の人間が必要だったのです!!」
「…褒められてる気はしませんね」
「全然いいこと言ってなくね?」
「ユウ君、あなたは間違いなくこの学園の未来に必要な人材になるでしょう。私の教育者としての勘がそう言っています」
「それは…光栄です…?」
「トラッポラ君、スペード君の退学を免除するとともに…ユウ君、貴方にNRCの生徒として学園に通う資格を与えます!」
「えっ」
「「「ええっ!?」」」
…ここに来て初めて、四人で声が揃いかけた。対する学園長は…目元は見えないけれど、上機嫌そうにニコニコしているのはわかる。
「……いいんですか?魔法使えませんよ?」
「ええ、何せ私とびきり優しいので!ですがひとつだけ条件があります」
まあそりゃ、タダで置いてはもらえない部分は変わらないだろう。居ずまいを正して耳を傾ける。
「あなたは魔法が使えない。魔法師としては論外です。満足に授業を受けることもできないでしょう。そこで……グリム君。君は今日、魔法師として十分な才能を持っていることを私に証明しました。よって、ユウ君と
「ふな゛っ!?お、オレ様もこの学園に通えるのか?雑用係じゃなく、生徒として?」
「はい。ただし!昨日のような騒ぎは二度と起こさないように!いいですね?」
「…ふなぁ……ユウ…オレ様……」
「ええ。これから頑張りましょう、グリム」
…思い返せば、最初は襲う側と襲われる側の関係だったのに、いつの間にか愛着が生まれていることに気がついた。「皆さんすっかり仲良しですね」と他人事のように言ったけれど、私も他人のことは言えないな。学園長から魔法石(特別仕様のペンダント)を授けられて上機嫌なグリムを見ながらふ、と息をついた。
はいはい、しっかり手綱を握っていきますとも。
こうして、私の「オンボロ寮の監督生」としての新しい生活は幕を開けたのだ。
・ユウ
称号「オンボロ寮の監督生」を獲得。しかしあくまで二人一組ですからねグリム?心に刻んでくださいね。
・グリム
いつの間にか愛着を抱かれている魔獣。これからはオレ様も生徒なんだゾ~!
・エース
ツッコミ担当が確定しつつある。最初に「監督生」呼びを始めた
・デュース
天然ボケ担当が確定しつつある
・学園長
かんげきしました!!!ふむ、肩書きがあるのは都合がい……と、ゴーストカメラを託したりした