変なウマソウルと共に歩む架空ウマ娘の日々   作:ウヅキ

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 今日は特別に二回投稿します



第24話 いざ北海道へ

 

 

 トレセン学園の生徒も一応学生である以上、終業式には通信簿を渡される。数か月の自分の頑張りを客観的に数字にされて、一喜一憂するクラスメイトも多かった。

 俺は通信簿を見ても、まあこんなもんだろう程度にしか思ってない。中間と期末試験の出来から大体これぐらいと予想して、そこから大して外れてなかった。

 隣の席の子が通信簿をチラッと覗き込む。

 

「アパオシャさんはどうだった?」

 

「予想通りかな。平均より上だから親もどうこう言わないよ」

 

 さっさとスマホで通信簿をカメラで撮って、親宛てに送った。どうせ今年の夏も実家には帰らないから、今はこれで十分だ。

 正直言うとトレセン学生で学業の成績を真面目に気にするのは一割ぐらいしかいない。大抵は俺みたいに平均ぐらい取れれば十分と考えてる奴ばかりだ。特に今はメイクデビューの方が気になって、みんなそれどころじゃない。

 うちのクラスにも既にデビュー戦を走ってる生徒は何人かいる。その上で初戦を勝てたのは一人しかいない。他は入賞したり、内容が良くない子もいる。勝った子は次のレースも頑張って勝ちたい、負けた子だって次こそはと奮起する。そんな感じだから夏休みは勉強を頑張ろうとか、遊ぼうなんて思ってる生徒は一人もいない。それでもしっかり休み中の宿題が出てるんだから、俺達生徒には非常に不評だった。

 こうして終業式後のホームルームはあっさりと終わった。その後、俺とビジンは学園内のカフェテリアで待ち合わせをしていた。相手はすぐに来た。

 

「うぇーい!おまたー」

 

「ごめんね二人とも。ちょっと遅れちゃったー」

 

「大丈夫べ。ちょっと待ってらっただげだがらぁ」

 

 遅れて来た二人はテーブルに座る。一人はゴルシーで、もう一人はウェーブのかかった髪をツインテールにしたウマ娘。名前はトーセンジョーダン。ゴルシーのクラスメイトで仲の良い友達だ。

 俺やビジンとはゴルシーを通じて知り合い、こうやってたまにテーブルを囲んだり勉強会をする仲だ。俺はセンジと呼んでる。

 

「いやーホームルーム後に、休み中の補習と追試をガッツリ組まれちゃってさー。マジやばー、秒で死ねるわぁ」

 

「センジ、その顔だとガチか?」

 

「うんガチ。今月ずっと」

 

 セリフだけだと軽い口調でも、顔と声のトーンは瀕死で、悲壮感が伝わってくる。

 俺達が割と頑張って勉強手伝ったけど、本当にどうにもならなかったぐらい、センジは勉強が大の苦手だった。よって毎度テストは赤点追試のオンパレード。まだ中等部は義務教育期間だから自動的に進級出来るけど、高等部になったらどうするんだと担任の教師すら頭を抱えるほどの成績だ。

 ちなみに四人の中で一番成績優秀なのはゴルシーだ。これでモデルもやってるんだから、元から頭が良いんだろう。

 

「じゃじゃじゃあ、けっどもジョーダンさんは頑張り屋べ!今度はきっと追試しねーで良ぐなります」

 

「ユキノ、マジ優しいわぁ。うけるー」

 

 とりあえず腹を満たして元気を出せと言って、俺達は早めの昼食を食べた。

 

「―――――にしても、この中で最初の一勝はゴルシーだったか」

 

「て言っても二回目で勝ったっしょ。デビューはあんまり良い走りじゃなかったし」

 

「でも勝ったシチーさんはカッコいいべ」

 

 ゴルシーは早々と六月にメイクデビューを果たしたが、そのレースでは五着に終わった。それから先週の未勝利戦を走り、今度はしっかりと勝ちを掴み取った。最初こそ躓いても、次はしっかりと勝てたんだから上々だ。

 そして俺が十日後に札幌で、ビジンは八月に新潟でデビューを果たす。センジの奴は追試と補習が終わってさらに調整があるから、夏休みが終わってからデビューを日時を決めると言ってる。

 

「あーあーみんな羨ましーわ。シチーはチームで海行ってぇ、アパオシャはこれから北海道で休みマルっと過ごすんでしょ。マジヤッベぇ」

 

「合宿よ合宿。遊びに行くんじゃないから、ひがまないの」

 

「土産ぐらいは買ってくるよ。帰ってきたら、俺とビジンのデビュー戦の勝ち祝いをよろしくな」

 

「トーゼンだし!ユキノもビビッてひくぐらいに祝ってやるから、お土産よろー」

 

「はいでがんす!あたしも勝ってぇ、立派なシチーガールにまた一歩近づくべ!」

 

 俺達は互いのデビュー勝利と追試突破を願ってニンジンジュースで乾杯した。

 

 

 昼食を終えてから、寮に戻って部屋の簡単な掃除をしておく。一応休み中はウンスカ先輩が残るがベッドや机周りは整えておきたい。

 荷造りは昨日のうちに済ませておいたから、いつでも行ける。

 

「いやーアパオシャちゃんも、いよいよデビューかぁ。一年は結構早く経つねぇ」

 

「俺からしたら一年は長かったです。これからは同じ競争者ですね」

 

「ふっふっふー。一緒にレースに出る事もあるけど、手は抜かないからねー」

 

 そりゃそうだ。ウンスカ先輩は雰囲気はゆるいけど、レースには真摯に打ち込む人だ。そうでなかったらクラシックG1の栄冠を獲れるはずがない。

 

「それにしても夏休み中に札幌で会えるなんて偶然ですよね」

 

「私は手強い相手がいるから、あんまり嬉しくないかなー」

 

 先輩はヤレヤレと首を振る。ウンスカ先輩は八月に札幌記念のレースに出走する。実はうちのチームでも、どうせ北海道に居るならと、フクキタさんが同じ札幌記念に出走予定だった。

 向こうで会えると言っても、チームの先輩と競う仲だから馴れ合いは無いが、トレセンから離れた場所で顔見知りと会えるのは結構いいものだと思う。

 

「あっ、そろそろ時間だよ。北海道はここより過ごしやすいから、チームのみんなで楽しく合宿しなよ」

 

「はい。先輩も来月まで元気で」

 

 何度もチェックして万全に整えた荷物を抱えて寮を出た。

 部室に行き、全員集まるのを待ってから、校門の前で待ってたバスに乗って空港に向かう。

 普通なら学園はバスまで用意はしてくれないが、今回は俺のデビュー戦と、バクシさん、フクキタさんの重賞レースが含まれていて、さらにカフェさんが八月の途中からフランス入りするのもあって、気を利かせてマイクロバスを出してくれた。

 一時間後に空港に着いた。手続きを済ませて飛行機に乗るまで一時間ぐらい間があったから、適当にメンバーで話してると、北海道に行った事が無いのは俺とバクシさんだけだった。フクキタさんに至っては、そもそも実家が北海道だ。

 

「夏は涼しいから過ごしやすいですよ。東京に来た時は何でこんなに暑いのか不思議に思いましたけど」

 

「よく考えたらレースしてる先輩達は結構あちこち行ってるし、メジロの二人も家の保養地なんだから行った事あるか」

 

 日本は縦長の国だから南北で気候が結構違うから分からんでもない。

 そんな話をしつつ、ふと飛行機のチケットを見ると、席がビジネスクラスだった。先輩達のも見せてもらうと全員同じだ。

 

「学生の移動って普通エコノミーじゃないの?」

 

 トレーナーに聞くと、理由を教えてくれた。

 

「下手にエコノミー乗って体調崩したら笑えんから、重賞勝利したウマ娘は最低でもビジネスなんだよ。応援に行く時やOPクラス未満のウマ娘はエコノミーだがな。お前やメジロの二人は、学園が支給した分の差額を足してビジネスにしておいた」

 

 そりゃ納得だ。流石に在来線の短時間の電車移動はカバーしきれないが、重賞クラスになると優勝賞金は数千万円。それだけ稼ぐウマ娘をエコノミーに長時間座らせて、体調不良にしたらアホすぎる。

 それと今回の合宿はメジロ家の施設を好意で使わせてもらうから、スポンサーの二人を雑に扱えるわけがない。

 となると本来俺だけエコノミーなんだろうが、一人だけ仲間はずれなんてしたらメイクデビュー前のメンタルにどれだけ影響あるか分からない。全員一緒の扱いにした方が賢明だろう。

 

「遠慮するな。今回のデビュー戦できっちり勝てば、席の差額分なんて余裕で取り戻せる」

 

「ああ。必ず勝つよ」

 

 トレーナーだけでなく、チームのみんなの期待に応えて勝つ。何よりカフェさんに俺の初勝利を見届けてもらってから、フランスに行ってもらいたい。

 気合を入れて、俺達は新千歳行きの飛行機に乗った。

 

 

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