世界に勝った男 作:ジークフリード
「そういやさ、俺だけあだ名ってなんか友達って感じしないな。俺もあだ名で呼んでいいか!?」
「もちろんだぜサマー。んー、と言ってもなあ……俺横文字使ってみたかっただけだし………俺の名前の横文字はなぁ、日本特有の言葉だし…………」
と、一夏の提案に考え込む少年。
「ハバ…………アバ…………うん、バッキーはどうだ!?」
「お、それいいね。採用」
「だろ!」
少年、改めバッキーが笑顔を浮かべたことに一夏も嬉しそうに笑う。本来女子学校ということもあって、男はお互いだけ。やはり同性だからこそ許せる距離感というものがあるのだ。
「じゃあバッキー、今度のクラス代表候補生決め、負けないぜ!」
「おうとも、俺もだよ! 負けたほうがクラス代表、約束は守れよ!」
因みにクラス代表とは文字通りクラスの代表、学級委員長みたいなものだ。今年はバッキーの入学に、多くの生徒が辞めてしまい一年に至っては2組しか存在しないが。
女子の殆どは一夏を指名し、一夏と布仏本音などがバッキーを指名したのだ。一夏はやりたくないから、本音は飴くれたから。
だがバッキーは面倒なのが苦手なので、二人で戦い負けたほうが未だ未熟な証拠として戦う機会の多いクラス代表になるという話に落ち着いたのだ。
「じゃ、お互い特訓は秘密。行こうぜ、箒!」
「……ああ」
「だな。行こうぜ、本音」
「あ〜い♪」
それぞれISについて教えてくれる生徒を引き連れ教室から出ていった。
布仏本音は監視役である。
未だ謎の多い竜木■■を監視するように命を受けたのだ。
彼を捕らえようとした組織に起きた不可解な殺人事件に事故死。犯行時刻や殺人現場からして、彼が手を出していないものが殆か、あるいは本当に手を出していないのか。
だとしても、彼を巡って起きたのは確かだ。
しかし、彼の住む日本ですら何一つ証拠や痕跡を見つけられない。
…………対暗部用暗部「更識」の総力を持ってしても何一つ掴めないというのは異常だ。
異常といえばその死に様も。自然ではありえないからと殺人扱いとなったものの中には外傷一つなく全ての内臓が頭に押し込められていたり、切断面が古傷であるかのように皮膚で閉じた生首だったり、口内や胃から被害者自身の脳細胞が発見されたり、燃え移ったあとや水も、運んだ跡すらなく自宅で水死体、焼死体になっていたりと殺害方法が不明な死体が多い。
「どうした本音、考え事? チョコ食べる?」
そして当の監視対象は気付いているのか居ないのか、考え事で固まっていた本音に心配そうに声をかけてくる。
「う、ううん。大丈夫だよ〜」
「そうか? それで、ISについてだけど」
「ああ、そこはね〜………」
と、普通に勉強を教え、菓子を食いながらお茶を飲み………
「お二人共、お茶がはいりました」
と、直ぐにお茶のおかわりを注いでもらった。
「ありがとうございま〜す」
本当に美味しいお茶だ。茶葉もそうだが、やっぱり入れる人の腕がいいのだろう。バッキーの部屋にいる顔を覆う目玉模様の布のせいで顔が見えないが多分年上のお姉さんにお礼を言う本音。
「とと。そういえば今何時かな〜、お腹空いてきたかも〜」
「ああ、この部屋時間分かりにくいからなあ。外の明るさに合わせるか?」
壁のない部屋で、大きな塊をぶら下げた縄に繋がった枝がギィギィなる紅葉が綺麗な夕焼けに照らされた光景が広がる外を見ながら呟くバッキーに本音は部屋が暗くなっちゃうよ〜、と笑う。
電気を付ければ四六時中部屋の明るさは一定……………あれ?
「あ、まずい」
「じゃ、食堂行こうか。お腹減った」
「お〜! デザート楽しみぃ!」
二人で食堂に向かう本音とバッキー。
今日も報告するようなことは
。
バッキー
実家は山奥の村にひっそりと立つ神社、竜木神社。常に霧がかかり、山奥に掛からわず電気、食料は充実している。村には若い人間は見ないし車も通れないのにどうやって物資が運ばれているのかは不明。