世界に勝った男 作:ジークフリード
何の後ろ盾もない男を攫ってくる。簡単な仕事だった。
山奥の村に住んでいて、たまたま降りて審査を受けたらしい。だからその村に向かった。濃い霧に覆われた山を抜け、辿り着いた村。時代から取り残されたかのように前時代的な村。
「いらっしゃい」
「いらっしゃい」
村人達笑顔で出迎える。作戦を実行に移すのは夜のつもりだ。だが、ここまでの道中を思えば今直ぐ村人ごと消して攫っても問題ないだろう。
まあ、別に快楽殺人者というわけではないが。
「あれ、お客さん?」
と、不意に聞こえてきた幼さの残る声。店の菓子を勝手に食べている少年が居た。
「■■様」
「■■様だ」
「おお、■■様」
と、少年に気付いた村人達がその場で跪く。
まだ中学上がりたての少年しか見えないのに、老若男女問わず頭を下げ中には涙を流すものまで。
「外国からのお客さんなんて珍しいね。ここ、日本人だって滅多にこないのに………俺の宣伝効果かな?」
ふふん、と胸を張る少年。ニュースで流れて世界中の誰もが知る男。実際彼の影響で自分達は来たわけだが…………。
「でもお前等みたいのが来るのは困るんだよね」
「え………」
ペキンッと、音が聞こえた。同時に指に走る激痛。見れば全員の爪が剥がされていた。
「いらね〜、あげる〜」
チャラチャラと全く血のついていない爪を村人達にばら撒く少年。なにかされた、なにをされた!?
混乱しながらも銃を構えた瞬間、指が落ちる。混乱し叫ぶ部下達。リーダーである女は即座にISを纏う。何をされているのかは理解出来ないが、ISの絶対防御なら!
「これがISかぁ〜………星の外に出るための玩具だっけ? あんな場所に行きたいとか意味がわからないよね」
「…………は?」
ISのアーマーに包まれた女の腕を観察する少年。右腕が、消えていた。なのに痛みがない。
「!!?」
「きっとこれ作ったやつは馬鹿なんだな。自分を天才と勘違いして、外に居場所があると思い違いをしてる………星の中でしか過ごしたことがないくせに星の外に何かあると思い込んだ馬鹿………身の程知らずにも俺を誘拐できるなんて思い込んだお前等そっくり」
ケラケラと笑う少年。ISの尾のような第三の腕で叩き潰そうとするリーダー。
ゴボッと何時のまにか水の中に移動していた。
ISの生命維持機能が機能していない。水が肺に入り込む。上に飛んでも飛んでも、水面が近付かない。
「じゃあこれ、彼等の雇い主に送ってやってね〜」
黒い影達に箱詰めした肉を渡す少年。
本当に、
とはいえ、この村の連中は身の程をわきまえすぎている。
「はぁ〜、俺も久しぶりに友達欲しいなぁ。出来ねぇかなぁ、えっと………アイ、愛………? そう、IS学園で!」
名前のない村
その昔天から落ちて来た竜により作られた沼が存在し、その沼に通路が備えられ中央に神社がある。
専門家によると隕石の落下跡と思われ、竜の正体は隕石だと推測できる。