怪力残念美少女とアホ(天才)美少女発明家に挟まれた男の話   作:不知火勇翔

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10話 ネタバレ

 今日は色々ありすぎた1日だった・・・。

 学校が終わって、学校の敷地外にある寮への帰り道。私こと『音雪 絆』は今日の出来事を振り返りながら歩いていた。

 色々あったと言ったが、その色々は全部今日の編入生が原因だ。まず自己紹介の時のボケ。そして大喜利大会。その後も蓮さんが授業中に気を失ったり優奈ちゃんがロボットアニメを熱く語ったり、一番大人しそうだった灯香ちゃんが机を叩き割ったりと、本当に色々あった。ありすぎたぐらいだ。本当に、私の1ヶ月分ぐらいの密度があったと思う。

 陽の気が凄すぎて授業が終わったら即行で逃げたけど、頑張ったら話せたのかな・・・。

 ちょっと後悔しながら歩いていると、路地裏から白い猫が飛び出してきた。・・・って、えっ!?神獣様!?

「・・・ふむ。驚いた時ぐらい大きな声を出すと思っておったが、不発のようじゃな」

 えっ、し、えっ!?神じゅ、はっ!挨拶!

「し、神獣様におかれましてはご機嫌うるわしゅう・・・」

 え、この挨拶で合ってる?てか挨拶か?これ。

「うむ。して、お主の方は息災か?下を向いて歩いておったが・・・」

 え、見られた?陰キャすぎて落ち込んでたのを・・・。

「いえ!元気もりもり、です!」

「そ、そうか。それは何よりじゃ」

「はい!」

 はい、ありがとうございます、違います、分かりません、おはようございます、こんにちは、が私のデッキだ。デッキ内なら結構明瞭に喋れるので、この6つで私はしのぎきるぞ!

「して、お主は何故ワシが待ち伏せしておったか分かるか?」

「分かりません!」

「・・・見た目より元気じゃな・・・」

 陰キャに声量を調節する技術なんて、ましてや昼ご飯まで口を開けない私に声量を練習するタイミングなんて皆無なので許して欲しい。

「はい!」

「・・・?とにかく、お主と会ったのは他でもない。お主は『闇』に選ばれたのじゃ」

 ・・・闇?や、闇?(二度目)

「良いか?『勇者』と『魔王』によって引き起こされるのが『最終戦争』。それを終わらせるのが『光の子』と『闇の子』と呼ばれる救世主(メシア)の2人、お主はその『闇の子』に選ばれたのじゃ」

 ・・・闇?(三度目)

「・・・『光の子』は恐らくあの白髪じゃろうな。仲良くしておくのだぞ?どちからが死ななければ、共闘することになるのじゃからな」

 ・・・ワァッツ?え、これ理解できる奴おりゅ?え、何?神獣様って中二病じゃ・・・。

「今中二病とか思ったじゃろう・・・?」

「違います!」

「嘘をつけ。バレバレじゃ。可哀想な奴を見る目をしおって。中二病はそっちじゃろうて」

「違います!」

「忘れたとは言わせんぞ。中学のとき・・・」

「私は『闇の子』です!」

 それだけは、その封印だけは開けちゃいけない!

「私は『闇の子』です!」

「うむ。分かったから繰り返すな。うるさいわい」

「はい!」

 クソ・・・。中二病に弱みを握られるなんて・・・。

「・・・まだ納得していないようじゃな。良いじゃろう、説明しよう。まず、『雪街 セスナ』は知っておるな?」

 また喋りだした・・・。

「良いから聞け。発端は、ソイツがルイン王国にいた番外粒子YY『思いの集積』を持っている奴を殺しおったことじゃ」

「YY?」

「そうじゃ。YYじゃ。奴の能力はVQ『命の物質化』。これによってYYの宿主、まぁ先代の『闇の子』なのじゃが、ソイツを剣に変えて手元に置きおったのじゃ。・・・恐らく奴は英雄級になるつもりなのじゃろうな」

 セスナ様・・・。

「じゃからまぁ、先代は死んだ。そして次代はお主に回ってきたワケじゃ」

「・・・はい!?」

 え、それってセスナ様に殺されるってこと?え?帝国と敵対ルート?は?・・・いや、待て。まだ神獣様の厨二設定の線が・・・。

「これは『原典』を持つ白いのと雪街セスナでも知らないことじゃ」

「原典?」

「俗に言えば原作知識じゃな」

「・・・原作?」

 ますますややこしいんだけど・・・。設定盛りすぎ。

「・・・ふん。まだ信じておらんか。『剣よ』、と唱えてみよ」

 恥ずかしいんだけど・・・。

「ちゅーがーくーのー」

「『剣よ』!」

 私の手元に、漆黒の(←ここ重要)大剣が出現した。

 

 

☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆☆☆☆

 

 

 ドロッドロに依存し合う男女って良いですよね。異論は認めません。だって、良くないですか?指をちょっと切ったぐらいでお互いに舐め合ったり、当然のように恋人繋ぎしたり・・・。

 物語の中の蓮さんと灯香さんは私の理想でした。・・・灯香さんが死んで、蓮さんがこの世の破壊者に送られる『魔王』という呼び名を与えられる展開も、破滅的で面白かったです。

 ですが転生して深く関わると、ふざけんじゃねぇよカス、ぐらいの暴言が私の中から飛び出るようになりました。作者に家凸して、黙っててぇてぇ見せろよ、って叫びたいと何度も思いました。それぐらい灯香さんが生き残るのは難しい世界なのですクソッタレ。

 ・・・最初から留学させないのも考えたんですけどね。正直クソッタレな諸々は私がいれば、まぁなんとかなると本気で思ってました。

 でもあの女、雪街セスナが現れました。

 多分アイツは、私と同じ転生者です。なにせ原作に登場していませんでしたし。・・・え?バタフライエフェクト?私の影響力なんて高が知れてますよ。何より、ハッキリ言ってたじゃないですか。私の名前だけが分からないって。あれは多分宣戦布告だったんでしょうね・・・。

「優奈。重いんだけど」

 おっと失礼。好きな人の膝の上で考え事をするとは、私のクセにだいぶ気を張っていますね。

「うるさいですね。対面座居がいいですか?」

「申し訳ありませんでした」

 素直に謝る(特に女の子には)ところは好きですよ。

「まぁ断られてもやるんですけどね」

「おい」

 だいぶエッッッな体勢になると、蓮さんは座ったまま首だけで私から目を背けた。・・・童貞じゃないクセに、ほんと可愛い反応しますよね。

「モテる男はこの辺りで察してグイグイいくと思うんですけど?」

「俺は灯香以外モテなくて良いからセーフだな」

 この・・・。一途なのかなんなのか・・・。

「ってか、灯香がトイレに行ってすぐコレとか・・・」

 そう。私は灯香さんがトイレに行った一瞬の間だけ蓮さんを占領しているのだ。

「ちょっとぐらい良いじゃないですか。ほら、力を抜いてください」

「(叫ぶ準備はしておくか・・・)」

「させませんよー」

 私は右手で蓮さんの口を塞ぐ。そのまま残った手で顔を引き寄せて、私も顔を近づけた。

「ふふふ」

「もがが・・・」

 あー、良いなぁ・・・。ふふふ。ちょっと曇らせたくもあるし、ふふふ。

「ちょっ、優奈ちゃん!」

「ありゃ。時間切れですね」

 私は蓮さんから離れると、再びニッコリを作った。

 

 

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