仮面ライダーデモンズ Re:Make   作:SoDate

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第8話, 遭遇記録K-契約者探し-(B)

 気合いを入れ直してからひたすら録画の早送りと巻き戻しを繰り返してみるがやっぱり不審者は愚か見知った人たちも見当たらない

 

「駄目だぁ……ぜんっぜん見当たらない」

 

 もしかしたら見つかるかも知れないと思ったがやはり不特定多数の人物の中から契約者一人を見つけるとなるとキッツイな、スタンプだってそこまで大っぴらに出して歩くようなもんでもないしやっぱり見つけずらいのか? 

 

「ん?」

「先輩、どうかしましたか?」

 

 何かを見つけたらしい先輩に声をかけると手招きをして俺の事を呼ぶ。先輩のデスクに設置されているデスクトップのモニタを除くとそこに映っていたのは俺が見ていたのとは違う個所の監視カメラの映像

 

「先輩、これってどこの映像ですか?」

「アパートから少し離れたところにある監視カメラの映像だ……この部分を見てくれ」

 

 進んだ映像を少しだけ巻き戻して再生を始める、ぱっと見だとそこまで変わった様子はないが映像を見ていると少し違和感を感じる

 

「なんかおかしいような……でもどこが?」

「……この部分だ、拡大するぞ」

 

 フタバ先輩が違和感を感じた部分が具体的に何処なのかを確認するとそこに映っていたのは帽子を深くかぶった一人の少女と、彼女と話しをしている男の姿だった……映像が少し荒く確証は掴めていないが彼女は男から封筒のようなものを受け取ると、男にスタンプのような形状のものを手渡した

 

「……これは」

「思わぬ収穫だ、顔はわからないが彼女がバイスタンプのバイヤーであるのに間違いはないだろう」

「それじゃスタンプを買ってるこの男が今回の犯人?」

「確証はないがその可能性は高いだろうな……門原くん、事件の方は君に任せても大丈夫かい? 私はスタンプのバイヤーの方を当たってみたいんだ」

「わかりました、先輩の家の件は俺に任せてください」

「すまないが、任せた」

 

 バイスタンプを売っている組織が何なのか、そもそも本当に組織であるのか、個人ではないのか……それを特定するのは俺たちにとっても重要な案件であるのには違いない。だから今回の一件は俺が一任してバイヤーについては先輩たちD.D.C.Uに任せよう

 

 

 

 

 とりあえず後ろ姿ではあるが犯人の姿って言う証拠を掴んだ俺が次に向かうのは警察署、可能性を一つ一つ潰していくことを最優先にした場合次にすることは同じような事件が起こっていないかを確認すること

 そもそも今回の事件自体フタバ先輩個人を狙った可能性が高い事件ではあるのだがそれを抜きにしても同様の犯人による事件が起こってないかを調べてみることだって大切だ

 

「お待たせヒロト君。ごめんねバタバタしてて」

「いえ、こっちこそわざわざ時間を取ってもらってありがとうございます」

「あはは……それで、今日は確かストーカー事件についてだったよね?」

「はい、スタンプを使ったストーキング事件とか怪物が部屋の中に居た系の通報って入って来てたりします?」

「ストーカーに関する通報はここ最近かなり来るけど、そう言う通報はなかったかな」

「そうですか」

 

 となるとやっぱり……というか案の定狙いはフタバ先輩個人って考えていいだろう。まぁストーカーだからそれは当然だとは思っていたがもしかしたらがあるかも知れない……ってあれ? 

 

「ストーカーに関する通報がかなり来るってどういうことですか?」

「あぁ、ここ最近だと一番多い通報がストーカー事件なんだと、単純な件数だとバイスタンプ犯罪よりも上だね」

 

 睦葉島の人口はそこそこ多いとは言え、人工的に作られた島である以上限界はある……そもそも単純な犯罪件数だけで見たら本島に比べたらかなり低いはずなんだ、まぁバイスタンプ犯罪の件数が最も多いとか言う世紀末状態ではあるんだが、本当だって街によっては怪人が頻出したりするみたいだし、そこら辺は地域ごとなんだろう

 そんなことはどうだっていいんだ。問題はスト―カー事件の件数がバイスタンプ犯罪よりも多くなっているという事──

 

「新見さん、ストーカー事件の犯人について何か分かってることってあるんですか?」

「確か、一回だけ接近禁止令を破って捕まったことがあった気がする」

「犯人の写真とか見せてもらうことは出来ますか!?」

「流石にそれは無理だけど……名前くらいならまぁ──」

「それなら、教えてくださいッ!」

「わ、わかったから落ち着いて」

 

 そう言うと新見さんはペンを取り出して名前を書いてこちらに渡してきた

 

山内 慎(やまうち しん)、それが名前だよ」

「山内……慎」

 

 

 

 

 

 

 警察署からの帰り道、俺はフタバ先輩に連絡をする

 

「もしもし、フタバ先輩ですか?」

『門原くん……どうかした?』

「ストーカー事件について少し訊きたいことがあって」

『訊きたいこと?』

「はい、山内慎って名前に聞き覚えありますか?」

『山内……どこかで聞いた事ある気もするんだが……すまない、思い出したら連絡する』

「分かりました、お願いします」

 

 フタバ先輩も山内慎の名前を何処かで聞いた事あるって言ってた、と言うことは少なからずフタバ先輩とどこかで知り合っているという事、新見さんの言ってたことを考えると接触禁止令が出されている人物が一人いる……かなり恐ろしい想像になるがもしかしたら頻発してるストーカー事件は──

 そこまで思考を巡らせた所で、ふと変な気配を感じる

 

「ベイル、この気配は──ベイル?」

 

 おかしい、ドライバーの中にいるベイルの気配を感じない……それだけじゃない、心の底が騒めくような奇妙な感覚は

 

「……なんなんだ、一体」

『それは君の心が感じてるからだよ、私の存在を』

「誰だッ!?」

 

 気が付けばベイルとの繋がりだけじゃない、周りにいた筈の人も気が付いたら消えている──何がどうなってる

 

『そっか、まだ見えないんだね……あーあ、残念だなぁ』

「見えない? お前はさっきから何を言って──」

『見えないなら仕方ないや、バイバイ……時が来たら、また会おうね』

 

 それだけ言い残すと、俺に語りかけてきた何かの声が聞こえなくなり、気が付けば周りの音も、ベイルとの繋がりもしっかり感じ取ることが出来る

 

「ベイル」

『……なんだ』

「お前、さっきの聞こえてたか?」

『さっきの? 一体何のことだ。お前が突然立ち止まっただけだろう』

 

 ベイルも気付いてなかったって事は、さっき俺の耳に聞こえた声は悪魔じゃないのか? そもそも……さっき聞こえてきた声は本当に俺が聞いたものだったのか? 暑さにやられた幻聴って方がまだ説得力がある

 

「……いや、それよりも今はもっかいフタバ先輩のアパートだ。外に何かしらの情報が転がってるかも知れない」

 

 

 

 

 そうして先輩のアパートまでやってきたわけだが、とりあえず昨日戦った場所から見に行ってみるか。アパートの裏手に回って昨日戦った場所を見てみるのだが戦闘の痕跡以外にはそこまで目立った証拠はなさそうだな

 

「確か昨日の悪魔はアパートの部屋からすり抜けて降りてきたんだよな」

 

 契約者がこの下にいたって可能性もあるがそもそもここに契約者は来てなかったのか……って、アレは──

 

「これって、もしかしてカメラか?」

 

 悪魔が降りてきた場所の近く、昨日は暗くて見えなかった場所にあったのはデジタルカメラ……もしかしたらこのカメラは犯人の持ち物ってこと──

 

「君、そこで何をしてるんだい?」

「えっ?」

 

 声をかけられた俺が振り返るとそこに立っていたのはD.D.C.Uの制服を着ている一人の男だった……どうしてこんな所に

 

「D.D.C.Uの人ですか?」

「そうだが……君は一体」

「あぁ、俺は門原ヒロトです。今は──烏野先輩に頼まれたことを調べてる最中で。そう言う貴方は?」

「俺は進藤だ、それにしても隊長に頼まれた要件とは一体なんなん──」

「あっ、すいません電話が」

 

 この場所に唐突に現れた隊員を信用する程俺もお人好しじゃない、それに丁度いいタイミングでフタバ先輩から電話が来た……とりあえず電話を口実に進藤と名乗った隊員から離れてフタバ先輩の電話に出る

 

『もしもし、門原くんか』

「はい、お疲れ様です先輩……それで、どうかしましたか?」

『あぁ、実は山内慎という名前を思い出してな』

「ホントですか?」

『ホントだ、一応ウチの部署で事務員をしている男だな。私も何度か話をしたことがある』

「……事務員をしている人、写真とか送って貰うことって出来ますか?」

『あぁ、別に構わないが──』

 

『──坊主! 後ろだ!』

 

 急に聞こえてきたベイルの声で後ろを振り向くとさっきの隊員が鉄パイプをこちらに向かって振り上げていた。声で気付いたからなんとか避けることが出来たが声をかけてくれなかったら確実にぶん殴られてた自身がある

 

『門原くん、何があった!?』

「先輩、写真を送ってもらう必要はないかもです……っ! それより、進藤って隊員に―あぶねっ! 聞き覚えあります?」

『進藤? それなら隊員の一人だが今日は普通にこちらに来てるぞ』

「──ありがとうございます、それを聞けて良かった。それじゃあ」

 

 そう言ってフタバ先輩との電話を切ると、改めて俺に殴りかかってきた進藤大尉(偽)に対して向き合う……さて、おおよその予想はつくというかストーカー被害で一回捕まってる男がフタバ先輩の勤める会社で事務員をしてた男ってなったら──これはもう確定でいいよな、多分

 

「いきなり何すんですか!?」

 

 少し白々しい気もするがとりあえず驚いてみるか

 

「いやぁごめん、もしかしたらやっぱり君が不審者かも知れないと思ってね」

「勘弁してくださいよ……ねぇ、山内さん」

 

 元々張り付けたようだった笑顔から無表情に戻る、そっちが本性ってことで良いんだろうな

 

「気が付いてたのか」

「そりゃあね、今D.D.C.Uはバイヤー探しの初動でてんてこ舞いでしょうし。あの先輩が頼むって言ったのにこっちに増員寄越すとは思えませんからね」

 

 元々フタバ先輩は信頼をした人物にはとことん信頼を置くし、信頼していない人物にはある程度の距離を保つタイプの人間だ……それに俺が仮面ライダーって事をあの人も知ってるからな

 

「それで、どうして襲ったんですか? 山内慎さん」

「……君が隊長に付きまとっているからだよ」

「付き纏っているのはアンタの方でしょう」

「違う! 俺はただ彼女の護衛をしているだけだ!」

 

 あー、この人アレだ、話が通じないタイプの人だ

 

「バイヤーからスタンプ買って、悪魔を部屋の中に侵入させて……もう護衛じゃなくて犯罪者だよ」

「うるさい! 大体お前こそ隊長の何なんだよ!?」

「高校時代の後輩だよ……それにフタバ先輩はウチの事務所の依頼人」

「なっ、名前で──お前もう許さないからな!」

 

『クロサイ』

 

 自分にスタンプを押すと、契約書のようなものがパラパラと現れ際のような悪魔が姿を出現した

 

「やれっ!」

 

 山内がそう指示をすると俺に向かって角を突き出して突撃してきた

 

「いくぞベイル」

『スパイダー』

 

『いいだろう──Deal』

 

 ベルトのスタンプ台に一度目の押印をした後、突っ込んでくる悪魔を回し蹴りで飛ばし構えを取る

 

「変身!」

【Decide up】

【Deep】〘深く〙

【Drop】〘落ちる〙

【Danger】〘危機〙

『仮面ライダーデモンズ』

 

「スタンプ渡して、さっさとお縄につきやがれッ!」

 

 こっちに向かって攻撃をしてきた悪魔──クロサイデッドマンの攻撃を受け止めてがら空きの腹に蹴りを入れる。コイツの攻撃は基本的に突進攻撃が主だから対応しやすい。さっさと倒してフィニッシュって──

 

「なんだコイツ!? 前より力が……強えぇッ!?」

 

 想像以上の力に押された俺に向かって突っ込んできたクロサイデッドマンの一撃を喰らって胸のアーマーに火花が散る

 

「ぐッ!」

 

 そのまま押し倒されクロサイデッドマンの追撃をもろに受け続ける、一撃を受けるたびにアーマーが火花を散らし破片が飛び散る……かなり固い素材で出来てるデモンズのアーマーを砕くって、この前とは比にならないレベルで力上がってんじゃねぇかッ! 

 

【Charge】

【デモンズフィニッシュ】

 

 ベルトを操作して左腕にエネルギーをチャージして右わき腹に思い切り拳を叩き込むと、クロサイデッドマンは悲鳴を上げながら吹き飛び壁に叩きつけられるがすぐに立ち上がった

 

「マジか、アレ喰らってもまだ無事とか、前回とは攻撃力も防御力も段違いじゃねぇか……」

『敵の力が上がってるのもそうだろうが……我々自体の出力も下がっている』

「出力が下がってるって、どういう事だ──あっぶねッ!」

『そのままの意味だ、俺と貴様の間にある契約が不安定になっている』

「どうしてそんな──」

 

 もしかして、あの時の声が原因か……って今はそんな事よりも目の前の悪魔だ。攻撃をもろに受けまくった所為で左のアーマーは砕けちまってるし右も胸のアーマーにもヒビが入ってあと一撃でも喰らったらヤバいのは目に見えてる

 

「ベイル! どうすればこの状況打開できそうだ!?」

『契約者を叩け』

「それ以外で頼む!?」

『それなら、あの女が作ったスタンプを使え』

「そっか! コングスタンプ!」

 

 正直存在を忘れていたが、確かにアレなパワーで押せるかもしれない……そうと決まれば、早速使う! 

 

『コング』

【Add】

【Decide up】

【コングゲノミクス】

 

 エネルギーが両腕を巡り形成したのは籠手のような剛腕、何となくロケットパンチできそうな剛腕を軽くぶつけると向かってきているクロサイデッドマンを思い切りぶん殴る、拳は突進してきたクロサイデッドマンの角に辺りへし折り眉間にぶち当たった

 

「このまま──吹き、飛ばすッ!!」

 

 思いっきり力を込めて振り切るとクロサイデッドマンは俺たちの戦いを見ていた山内の真横を通り過ぎてアパートの塀に叩きつけられた。何が起こったのか理解するのを拒絶しているであろう山内を無視してベルトを二度押し込む

 

「正直身体がだいぶきついから一撃で決める!」

 

【More】

【コングデモンズレクイエム!】

 

 胸の前で拳を突き合わせてから全力で拳を突き出すと噴煙と共に拳が撃ちだされる……まんまロケットパンチになったその一撃は塀に叩きつけられていたクロサイデッドマンの身体にめり込んで爆発を起こす

 

「ふぅ……」

 

 完全に悪魔が爆散したことを確認した直後、デモンズの変身への変身が解除された────

 

 

 

 

 

 

 

 今回の顛末、悪魔を倒したあと慌てた様子で逃げようとした山内を取り押さえ警察に連絡、少し時間が経ってからやってきた新見さんにスタンプと山内の身柄を引き渡して今回の依頼は無事完了したのだが……

 

「はい? 山内がフタバ先輩のストーキングを始めたのはスタンプを手に入れた一週間前?」

「そうみたいなんだよね、今回に関してはストーキングじゃなくてバイスタンプ犯罪での立件だからそこら辺の話を聞いたんだけど烏野フタバさんのストーキングを始めたのは一週間前で悪魔を使って侵入したのは君たちが依頼された日が初日らしい」

 

 と言うことは二、三週間前からフタバ先輩が遭遇している幽霊騒動と山内は実質的に無関係と言うことになるのではないだろうか

 

「この件烏野さんには──」

「とりあえず伝えないでおきます……本人すっきりしてるみたいだし」

 

 触らぬ神に祟りなし、今回に関してはこれ以上の深追いは止めておこう……何はともあれ、今回の幽霊騒動は一件落着したのでしたとさ

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