仮面ライダーデモンズ Re:Make   作:SoDate

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第10話, 配信記録B-無茶と欲望と仮面ライダー-(C)

 俺が目を覚まして一番最初に目に入ったのは真っ白な天井だった

 

「こ……こ……は?」

「先輩? ヒロト先輩……?」

「や……おとめ?」

 

 靄がかっていた意識が少しずつ覚醒していくと、自分がどういう状況なのかを思い出し始める。そうだった……俺突っ込んだ結果片腕爆散して気を失ったんだっけ、顔を少しだけ動かして右腕を見ると包帯でグルグル巻きだけどくっついてた

 

「先輩ッ!」

 

 寝ているこっちに抱き着いてきた八乙女を受け止めようとするが身体が動かねぇ

 

「八乙女……重い」

「お、女の子に重いは酷くないですか!?」

「後、喧しい……それより、事件はどうなった」

 

 俺がそれを聞くと八乙女は少し口ごもる……これは現在進行形で何か起こってるみたいだな

 

「教えてくれ」

「……今、所長が敵の目的を見つけて向かってる所です」

「狩谷が? 無茶が過ぎるだろ──」

「そこは大丈夫です! 所長も仮面ライダーになったんです。だから先輩は無茶しないでください」

 

 狩谷が仮面ライダーにって事は、そうか……もう一基のデモンズドライバーは結局狩谷が使ったのか──だがそれでも、無茶をしないってのは無理だな

 

「そうだな、じゃあ八乙女──肩貸してくれ」

「早速無茶しようとしてるじゃないですかぁ! 重傷なんですからジッとしててくださいよ!」

「それこそ俺にとっちゃ無茶以外の何物でもないな……心配すんな。この程度傷日常茶飯事──ッ!」

「見るからにダメそうじゃないですか!」

「大丈夫だって……いいから行くぞ」

 

 腕についてた針やらなにやらを引き抜いてベットから立ちあがった──ところで身体が倒れそうになるが八乙女が受け止めてくれた

 

「……無茶しすぎです」

「そうでもないだろ」

「そうでしかないです……今回だけですからね」

 

 そうして俺は八乙女の手を借りながら病院を抜け出して二体の化け物に追い詰められている狩谷の元まで辿り着いたというわけだ。着いてすぐ退避してた新見さんから情報を聞いて現在に至る訳だ

 

 

「はぁ、万全の状態でぼろ負けした癖に私に勝てると思ってるの?」

「勝てる勝てないじゃねぇ……勝つんだよ。行くぞ狩谷」

「……うん!」

 

 右腕動かせるにしてもあんまガシガシ動かすとヤバそうだし。今回は左腕を庇いながら──ってちょっと待てよ、良いこと思いついた。そうと決まれば実行に移すだけだ、オウインバスタ―を召喚してガンモードで構える

 それを見た敵二人はまっすぐこっちに向かってくるから銃撃で蝶の化け物を引き受ける。見てみるとデッドマンの方は突っ込んでいった狩谷との交戦を始めたみたいだしこっちはこっちで引き受けるだけだ

 

「どうする? また私にボコボコに―「うるせぇッ!」えぇっ!?」

 

 この前は気になってなかったが、よくよく考えたらあの舐め腐った喋り方に腹が立つから手に持ったオウインバスターをブーメランの要領で思いっきりぶん投げる。回転しながら向かって来たオウインバスターを弾いたがそれに気を取られている間に顔面に目がけて蹴りを入れる

 

「はぁッ!」

「あぶなっ!? キミなんかこの前と性格違くない!?」

「さぁどうか──なぁッ!」

 

 蹴りが外れたなら続けざまに身体を大きく捻って回転を付けながら左腕でラリアットを決める。その一撃はもろに化け物の首を捉え身体を宙に浮かせる

 

「そぉらァッ! そんでもう一撃ィッ!」

 

 左腕を振りかぶって地面に倒れた化け物をこのまま逃がすわけにはいかない。キャッチしたバスターをアックスモードにして地面に思いっきり斬撃を放つが当たる直前で風の障壁に阻まれる

 

「勢いで誤魔化してるけど……キミ、やっぱり万全な時ほど力を出せてないんだねッ!」

「ぐッ──」

 

 やっぱり見破られるか……さてと、そうなってくるとここから先が正念場。改めて気合いを入れ直しながら俺は狩谷の方に目を向けた

 

 

 

 

 

 

 門原くんが蝶の化け物を引き受けてくれている間に、私はフェーズ2デッドマンの事を掴んで動きを止める

 

「日暮くん! 聞こえる!?」

『────』

 

 私の声が全く届いていないように、デッドマンは掴みかかった私の事を振りほどくと腕に着いた角で私の事を貫こうとしてくる、先に突き出して来た右腕の角を腕で弾いて左腕に掴みかかる

 

「お願い! 聞こえてるなら返事をしてッ!」

『────ッ』

 

 その言葉を聞いた瞬間、僅かに悪魔の動きが鈍くなる……この悪魔の中にまだ日暮くんは残ってる──それなら

 

「そう言えば、まだ君がどうして有名になりたかったのか、最初の教えてもらってなかったよね?」

 

 私が彼から聞いたのはあくまでもスタンプを買った理由でどうして有名になりたかったのかを聞いていない

 

『──ォ、オレ……は……俺は──ッ!』

 

 彼の意識が少しだけ表に出てきたからか、目の前にいる悪魔は少しずつ苦しみ始める

 

『俺は、有名になって────ッ! ァ、アァァァァァァァッ!!』

 

 もがいているデッドマンの両腕は急に発光しだして私の方に向かって電撃が放たれる……十分避けられる一撃だったけど、私はその攻撃を避けない

 

「ぐっ、う、うぅぅぅぅぅぅッ」

 

 痛いし身体中がしびれてる、正直意識を失いそうになるけど私はまっすぐ近づいて彼の腕を掴む

 

『ッ──俺は、俺は有名になって……見て欲しかった、父さんや母さんに』

「お父さんやお母さんに?」

『……父さんも母さんも、弟ばっかり気にかけてて──寂しかった』

 

 そうか、彼の心の底に会ったのは孤独……ご両親に自分を見て欲しいっていう、純粋な想いだったんだ

 

「大丈夫だよ……君はまだ若いんだから、真っすぐ向き合えば。きっとその寂しさを乗り越えられる……なんて、口で言うだけだと簡単だけどね、でも──そこから一歩踏み出す勇気を君は持ってる」

『踏み出す……勇気』

 

 彼だけじゃない、みんな色んな感情とおんなじくらい勇気を持ってる筈なんだ──ただそれに、今はまだ気づいてないだけ

 

「だから、約束……私があなたを助ける、だから貴方も踏み出して……勇気を出して!」

『──うんッ!』

 

 その言葉を聞いた瞬間、フェーズ2デッドマンの身体にノイズのようなものが走り動きがどんどん鈍くなっていく

 

「マズい──」

「行かせるわけねぇだろっ!」

「──この、邪魔ッ!」

「こいつの反応を見て確信した、狩谷! 今なら悪魔とその少年を分離できるッ!」

 

「うん、私は絶対に……約束を守って見せるッ!」

 

【Charge】

『デモンズフィニッシュ 』

 

 スタンプを押印してベルトの両サイドを押し込むと右腕に金色のエネルギーが集まっていく。私は動きを止めた悪魔に向けてその拳を思い切り撃ち込んだ、その瞬間──拳を開き、悪魔の中に存在した日暮君の腕を掴み引っ張り出す

 そして、分離した悪魔はそのまま数歩後退し爆風と共に消え去った。そこに残ったのはスタンプだけだったけれど、そのスタンプも地面に落ちると同時に粉々に砕け散った

 

 

 

 

 

 

 

 

 狩谷が悪魔と少年を分離し、倒したのを確認すると俺は改めて蝶の化け物と向き合う

 

「どうする? まだ続けるか?」

「……やめておこうかな、結局邪魔されちゃったし。それにキミもだいぶ辛そうだしね?」

「あぁそうかい……それならさっさと投降しろ」

「勘違いしないでね? 今回はあくまでも退却だから」

 

 それだけ言い残すと目の前の化け物は地面にスタンプを押印し、そこから現れた無数の蝶と共に姿を消す。それを見届けると同時に俺の変身も解除されその場に倒れる

 

「門原君ッ!」

「せ、先輩!」

 

「あー……すまん、少し……寝る……」

 

 流石に病院抜け出してここに来たのはダメだったのか、それだけ二人に伝えるとそこで俺の意識は完全に途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回の顛末、あの後日暮くんはバイスタンプの使用でしばらくの間保護観察処分という結果になった。今回の一件が彼のご両親にも伝わって、最初は何をしているんだって怒られたみたいだけど……彼の本心を聞いた事、そして彼が最初意外殆どあの化け物に利用される形になった事とか諸々を説明したら一応ご両親も彼に寂しい思いをさせてすまなかったって言葉はかけていた

 それが本心から出た言葉なのか、それともその場の気まずさから逃れる為に行っただけの言葉なのかわからないけれど……私は前者であると信じたい

 

「それではこれより、クリスパー対策会議を始める」

 

 

 そして、あの事件を終えてから数日後……私はD.D.C.Uの本社で行われている会議に出席していた。今回の議題は私たちが遭遇したあの化け物──唯一向こうから接触された門原くんの話によると彼女は自身をクリスパーと呼称していたことから、スタンプを売買している組織と、彼女が変身した化け物はクリスパーと命名された

 

「狩谷、今回の事件におけるクリスパーの目的が何だったのか説明してもらえるか?」

 

 フタバ先輩の言葉を聞いた私は、立ち上がると端末を操作して画面にとある資料を映した。これはお姉ちゃんの推測していたことと私が見て、その上でどうなっているのかを考えそれを図にしたもの

 

「今回の事件におけるクリスパーの目的は悪魔に人間の存在そのものを捕食させることで誕生する悪魔──Irregular TypeⅡ。I2型悪魔の誕生だったと予想されます」

 

 悪魔に人間の存在そのものを捕食させる。その言葉を聞いた瞬間D.D.C.Uの隊員たちの間に波紋が広がるが、フタバ先輩が手を叩くと再び静まる

 

「──話を続けてくれ」

「はい、悪魔は通常バイスタンプを介した人間との契約関係でなければ現実世界に存在することはできません。そしてその状態の悪魔を私たちはS型やC型と呼称し、更に上の契約をして悪魔と一体化した存在をI型と呼称していました……しかし、今回の事件に置いてクリスパーは悪魔側にバイスタンプを押印することで悪魔が人間を吸収し新たな姿に変化しています」

 

 クリスパーが何の目的でI2型の悪魔を作り出そうとしていたのかわからないけれど、今回の一件だけで見れば完全にI2型を作り出そうとしていたのには違いない

 

「……狩谷、今後I2型が出現した場合、人間と悪魔を分離させる明確な手段はあるか?」

「…………いえ、現状最も有効なのは仮面ライダーの使用する技による人と悪魔の分離だけです」

 

 仮面ライダーが私たちだと知っているメンバーはこの中だとフタバ先輩しか知らない、悪魔災害に置いて仮面ライダーの存在は確実に有用であると言えるけど人類にとっても有用であるかと聞かれたらはいと答えることを……私は出来ない。実際にとある企業の作り出したシステムは、その企業解体後に海外へ設計データが流出……テロリストをはじめとしたさまざま組織に悪用されていると聞いたことがある

 それに、仮面ライダーの正体が露見したら絶対に技術を提供するように様々な組織が動き始める……個人的な気持ちになっちゃうけど、お姉ちゃんの研究が悪用されるなんてことに私はなって欲しくない

 

「そうか、それなら我々はこれから研究部門と提携し人間と悪魔を分離できる弾薬の研究を急がせるとしよう」

 

 そこまで言うと私の出番は終わり、これからはフタバ先輩たちD.D.C.Uが今後の対策を練る時間だ……もちろん提携先として今後の対応については協議しないといけない事もあるけど、今日一番の大仕事を終えた私は席に着き、気付かれないように息を吐いた




用語まとめに今回出てきた専門用語の項を追加しておきます
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