門原くんたちと別れた私がやってきたのは高梨警備保障、そこの警備部門の受付まで向かうと見慣れた受付さんが話しかけてきた
「あら、狩谷相談所の……今日はどういったご用件ですか?」
「今日は少し聞きたいことがあって」
「聞きたいこと……ですか?」
「はい──」
そこまで言った私は少しまえうちまで持ってきた依頼の事を警備部門の受付さんに聞いてみる
「少し受付履歴を調べてみますので、少々お待ちください」
「わかりました」
わざわざ受付履歴を遡って調べてくれるらしいので、少し離れたベンチに座って呼ばれるのを待つ……高梨警備保障は一日ででも膨大な数の依頼がやって来るらしい、少し時間がかかるのを覚悟しながら待つことにする
「隣、良いか」
「えっ、あぁフタバ先輩、どうぞ」
「ありがとう……大変そうだな」
「はい、そう言う先輩も随分疲れてますね」
「……記念式典で住民が浮かれているのかいつもよりバイスタンプ犯罪が多くなっていてな」
「えっ? そうなんですか?」
「あぁ、まぁ大抵がS型だから君たちに頼らなくても何とかなっているが……こうも多いと流石に疲れる」
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「……問題ない、本当につらくなった時は定期的にクロハに変わってもらっている」
確かに心なしかいつもよりフタバ先輩も疲弊している気がする……というか流石につらくなったらクロハさんに変わってもらってるは本当に休んだ方がいいと思うんだけど……
「狩谷さん、調べ終わりましたよ」
フタバ先輩と話しているとそんなに待つことなく調べものが終わったみたいだ。調べてもらった受付さんに話を聞いてみたけどやっぱりあの川瀬って人が高梨警備保障に依頼に来た記録はない……となるといくつかの会社に行ったのは本当だろうけどこの会社には依頼していない
「やっぱり……」
「狩谷さん、大丈夫か?」
「あっ、はい、大丈夫です」
「そうか?」
「はい、それじゃあ私はこれで。フタバ先輩もお仕事頑張ってください」
それだけ言うと高梨警備保障を後に私はガンデフォンを使って門原くんたちに連絡をする
「もしもし、門原くん? そっちはどんな感じ?」
『こっちは収穫なしだな、特にこれと言った情報は手に入ってない』
「そっか、どうするようか、一度合流する?」
『その方がいいかもな、とりあえず合流する所は────』
そこまで言ったタイミングで通話の向こう側から爆発音が聞こえてくる
「門原くん!? 大丈夫!?」
『──あ、あぁ……大丈夫……とは言いがたいかも』
「何があったの!?」
『奴さん向こう側からお出ましみたいだ……悪魔が出た』
「場所は!? セントラルタワー!?」
『セントラルタワー、近づけばわかると思う』
「わかった、急いで向かうから門原くんはそこで────」
『悪魔の足止めね、了解! それじゃ!』
「あっ、ちょっと!」
私の言葉を聞く前に門畑くんは通話をきる……このままだと、また門原くんが無茶をするのは間違いない。それがわかった私は急いでセントラルタワーまで向かった
時は少しだけ遡り、俺と八乙女の二人がやってきたのはセントラルタワー。一部の区間は民間人の立ち入り禁止ではあるのだがそれ以外の区間は民間人の立ち入りが許可されている睦葉島の観光名所になっている
「それで先輩、今日は何処に向かうんでしたっけ?」
「とりあえず管理区画……には入れないから、管理区画の入口までだな」
「せっかく観光名所に来ても、私たちは結局お仕事ですかぁ……」
「観光名所って言っても普段から来る機会もあるんだから物珍しいもんでもないだろ」
「そーですけどー、やっぱり少しは遊んでいきたいっていうか……」
横でうだうだ言っている八乙女と共に歩いていると管理区画の入口までやってきた、とりあえず今日は話を聞くために来たわけだから……と言ってもアポを取ってるわけじゃないから入れて貰えるとは思えてないけど
「すいません」
「……どうかしましたか?」
「私たち狩谷相談所の者なんですけど、管理区間の人にお話を伺うことできますか?」
「……失礼ですが、どういったご用件で?」
「川瀬さん、という人からご依頼を頂いたので、その件で……アポイントは取ってないんですけど」
「少々お待ちください」
受付の人は内線を使って連絡しているようだった。少し待っていると連絡を終えた受付さんがこっちまで戻ってきた
「すみません、本日は要件が立て込んでいるとのことで、また後日お越しいただければ」
「わかりました、こちらこそわざわざ確認して頂いてありがとうございます」
そこまで言うと受付を後にして管理区画の外に出る、やっぱりまた後日って感じになったか。正直すぐに話を聞けるとは思ってなかったから仕方ない気もするけれど
「追い返されちゃいましたね」
「今回ばっかりは仕方ないだろ、アポも取ってない訳だし……というかお前、受付と話してる時一切口を開かないよな」
「だって私そう言うの得意じゃないですし」
「……けどお前、ウチに就職すんならこういうのもやってかないと駄目だからな」
「わかってますよー、それより先輩! 時間まだありますよね!?」
「多少はな、所長から連絡も来てないわけだし」
「よっし! それじゃあ遊んでいきま──」
そこまで言ったタイミングでガンデフォンが鳴る、画面を見るとそこに表示されていたのは所長の名前
「残念、時間切れだ」
「そんなぁ……」
ガンデフォンの画面を軽く八乙女に見せた後に通話ボタンを押す
『もしもし、門畑くん? そっちどんな感じ?』
「こっちは収穫なしだな、特にこれと言った情報は手に入ってない」
所長の口ぶり的にあっちはあっちであまり情報を手に入れてないみたいだな、その後こっちと合流しようと話をしていると、セントラルタワーの市街地付近から爆発音が起こる
所長との通話を続けながら爆発があった場所までやって来るとそこにいたのは悪魔……なんだがそれはそれとしてあの見た目は、ジャッカルか? まぁそれはそれとして通話越しにすぐ向かうって言ってる所長が多分無茶をするなとか言う前に通話をきる
「八乙女、民間人の避難頼む」
「わ、わかりまし──って先輩はどうするんですか!?」
「所長が来るまで足止め」
右腕は動かせないが右手に持たせるくらいなら出来る。だからガンデフォンをガンモードして悪魔の方に向かっていく、ベルトは取り上げられてるがそれはそれとしてスタンプは持ってるわけだし足止めするくらいなら十分
「よしっ、こっちだ悪魔!」
ガンデフォンを悪魔に向かって一発撃つと相手の意識がこっちに向いた……ある程度近づいてわかったがアイツI型の悪魔か
『お前、俺の邪魔をするのか? 』
「あぁ、邪魔をする……だからスタンプを捨ててくれると助かるんだが──」
『邪魔をするなら消えろッ! 』
「知ってたよッ!」
こっちに向かってくる悪魔にガンデフォンで銃撃をするがやっぱり威力が足りてないか──飛び上がってきた悪魔の攻撃を避けると一旦右手でガンデフォンを持って空いた左手でスタンプを取り出す
「時間稼ぎをするなら、相手の動きを止めるのが一番だよな」
『スパイダー』
『CHARGE』
ガンデフォンにスタンプを認識させると、銃口に紫色のエネルギーが集まり始める……このまま撃ったら普通のエネルギー弾だが──画面を少し操作して、引き金を引けば
『スパイダー CHARGE BLAST! 』
放たれる一撃はエネルギー弾じゃなく……粘着弾へと早変わり、これの原理は純粋なエネルギーとして撃ちだすんじゃなくてエネルギーを固有の能力に変換させて云々みたいなのを言ってたが、今はそんなこと置いておく
ガンデフォンで狙っているが相手が縦横無尽に動き回る所為で中々とらえることが出来ない
『無駄だッ! 』
少しずつ距離を詰めてきた悪魔が俺に向かって爪を振り下ろそうとする……この距離じゃあ僅かに間に合わない。でも────
『ぐぁぁッ! 』
「お待たせ、門原くん」
──俺は一人で戦ってるわけじゃないからな、こちらに向かって差し出された手を掴んで立ち上がると、差し出してきた仮面ライダーの手を軽く叩く
「タッチ交代、後は任せた」
「うん、任せて」
選手交代した仮面ライダーは悪魔と向き合い互いに戦闘姿勢を取る……先に動いたのは悪魔、さっき俺に見せたような動きで移動しながら仮面ライダーの方に向かっていくが、早々やられるほど我らが所長も甘くない、一体多ならともかく今回は一対一、相手に集中出来ているからかとびかかってきた悪魔の腹に蹴りを入れてそのまま後退させる
『ぐぅッ』
「追撃、行くよ!」
今度は逆にこっち側から悪魔に向かって攻撃を仕掛ける、怯んでいる隙にまずは膝裏に蹴りを入れて相手の体勢を崩してそのままもう一撃を相手に加える……ひぇー、見ててなんだがひっどい戦い方だな
流石にあんな風に相手の動きを制限した上でボコボコにするやり方は俺ですらやらんが……まぁ敵を倒すんなら一番手っ取り早くはあるのか?
『さっきから好き勝手にやりやがってッ! 』
「くっ──」
だが流石にやられっぱなしって訳でもなかった悪魔は救い上げるように一撃を仮面ライダーに向かって放つと距離を取った
『お前は今ここで俺が──』
「はーいそこまで、少し冷静になりなよ、ジャッカルくん?」
尚も攻撃を続けようとした悪魔だったが仮面ライダーと悪魔の間に挟まるように現れたクリスパーの女、國本キミがそれを制した
「クリスパー……ッ!」
「やっほー仮面ライダー、それに門原ヒロトも……その様子だとホントに戦線離脱状態みたいだね」
「お前、わざわざ出てきて何が目的だ?」
「目的も何も、アタシはこのジャッカルくんを回収しに来ただけだよ。それじゃあね」
そう言うと俺たちと話す事などないと言った風にスタンプを地面に押印し、後ろにいた悪魔ともども現れた大量の蝶と共に姿を消した。完全に姿が消し、彼女がいた場所に残っていたのは一枚の紙きれ
「これって……」
「どうした所長?」
「これ見て」
見せて貰った紙切れに目を通すとそこに書いてあったのは
──記念式典当日、ジャッカル君が式典を滅茶苦茶にする……止められるのなら、止めて見せて?
そう書かれていた
「これって間違いないよね」
「あぁ、間違いなくこれは──」
──俺たち対する挑戦状だ