仮面ライダーデモンズ Re:Make   作:SoDate

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第4話, 警備記録I-門原ヒロトの流儀-(A)

 D.D.C.Uの所有するワゴン車の内部、ちょっとした電子機器や武器ラックなどが装備されている車内に俺たちは入る

 

「早速で悪いんだけど、門原くんたちの見た悪魔の特徴とかどんな状況で襲われたのか教えて貰える?」

「わかりました……って言っても、俺は悲鳴を聞いてから向かったんで襲われた直後の状況とかは八乙女の方から話して貰えると助かる」

「わかりました、えーっと──」

 

 そう言うと俺が控室から出て行ったあとの話についてを話し始めた

 

「──門原先輩が手紙の事で席を外してから少しして、SI-NAさんも飲み物買いに行くとかで席を外したんです。最初はマネージャーさんが買いに行ってくるって言ったんですけど自分で行くの一点張りで」

「もしかしてお前、それで警護対象一人にしちまったのか?」

「いやいや、まだ新入りですけど一人にするのはマズいと思ったんで何とか同行させて貰いましたよ」

 

 流石に警護の仕事が初って言っても最低限そこら辺は分かってたか……それにしても、今回みたいになった時の為に最低限の対処術くらいは教えといたほうが良いかも知れないな。今回は比較的早く到着出来たけど毎回そうとは限らないわけだし

 

「八乙女さん、話を続けて」

「わかりました。それでSI-NAさんに同行して飲み物買いに向かって、その帰り急にあの怪物が襲ってきたんです」

「それじゃあ、マネージャーさんはどうして一緒に?」

「怪物に襲われた時に悲鳴を上げちゃって、それで駆けつけてきたんだと思います」

「成る程」

 

 悪魔に遭遇した時の悲鳴を聞いて駆け付けた、となるとあのマネージャーが契約者の可能性も浮上してきた。現に一番SI-NAに近くに居て今回の事件の事も知っている、それに加えて俺が離席してSI-NAと八乙女が二人になったタイミングで起こった悪魔の襲撃……正直最有力候補になった気がする

 

「……それで門原くん、戦った悪魔どんな感じだった」

「アイツか、見た感じは鳥、戦った感じはすばしっこい感じだった」

「鳥って、どんな感じの鳥だった?」

「カラスとかじゃなくて、ワシとかの猛禽類って感じだったな」

 

 俊敏だったのもどっちかって言うとカラスとかよりもワシとかタカとかの攻撃の仕方だった。脚部の爪を使った斬撃に加えて羽根を投げナイフのように使った攻撃

 

「正直、こっちも手札を増やすか短期決戦で一気に決着をつける……どっちかで決めに行きたいところではある」

「となると、変に私たちが増援を送らない方がいいみたいだね」

「ですね、相手が猛禽類だとすると変にターゲットを増やすと無駄に犠牲が出る可能性がありますから」

 

 正直、こっちが短期決着で一気に決めるのが良いんだろうけど、悪魔の契約者がわからない以上まずは契約者を見つけるのを最優先事項にせざる得ない

 

「とりあえず、まずは契約者探しをした方がいいかもね……八乙女さん、飲み物を買いに行く間に誰かとすれ違ったりしなかった?」

「スタッフの人とはよくすれ違いましたけど、特に怪しい人は居なかったと思います」

「門原くんは?」

 

 怪しい奴って言っても、俺が控室を出てから八乙女たちの所に戻るまで特に怪しい奴は──

 

「──そう言えば、手紙の事を電話し終わった後、こっちをジッと見てる人が居ましたね」

「ジッと見てる人。その人の特徴とかはわかる?」

「見た感じは普通にこっちを眺めてる男って感じだったんですけど。妙に違和感があるというか、雰囲気が違うというか」

 

 もしかしたらアイツが今回の悪魔の契約者かも知れない……のだが、流石に何処の誰とも知れない人間を特定するのは無理がある、写真の一枚でも撮っておけば何とかなったんだがそれもないから単純作業だけだったら砂場から一粒の砂を探すようなもんだろう

 

「当日は契約者も会場に来る可能性が高いので、やっぱり本格的に探すのは当日になりますかね」

「そうですね、当日は身体検査もしてから入るように連絡をしておきます……もし観客の中にいたら一度その場は素通りさせて複数の部隊で監視、人の少なくなった所で確保という流れで行きましょう」

「わかりました」

「……あのー、私はどうすれば?」

「八乙女さんは今までと同様にSI-NAさんの警護に当たってください」

 

 とりあえず聴取をまとめたフタバ先輩は俺たちを解放する……そう言えば、さっきから所長の姿が見えない

 

「フタバ先輩、所長ってどこに行ったんですか?」

「狩谷さんですか? 彼女なら少しやる事があると言って事務所に戻りました」

 

 フタバ先輩がそう言ってくるが、今回の依頼でわざわざ事務所に帰ってまでやる事があるとは思えないのだが……何をやってるんだか

 

 

 

 

 

 

 そこからは、特に目立ったことも問題も発生することなくリハーサルは終了、当日に備えて解散という流れになり俺も帰る

 

「ねぇ」

「……どうかしました?」

 

 振り向いた先にいたのは今回の警護対象ことSI-NA、控室の反応を見る限りあまり自分から話しかけてくるタイプには見えなかったのだが、伝え忘れでもあったか

 

「少し話せる?」

 

 時間を見ると時刻は18時少し前、まだ日も高いし問題はなさそうだがマネージャーやらなにやらは大丈夫なのか

 

「俺は問題ないですけど、送りの車とか待たせてるんじゃないですか?」

「それなら大丈夫、許可は取ってる」

「……なら問題ないか、良いですよ」

「そう、それじゃあ付いてきて」

 

 SI-NAの後に続いて向かったのは会場の近くにあるファミリーレストラン。人気アーティストと言えど変装をしているから問題ないのかどうかは分からないが、まぁ騒ぎにならないに越したことはないか

 

「それで、わざわざ呼び止めてまで一体──」

「丁寧に喋る必要はない、堅苦しいのは苦手」

「……あぁそう、それじゃお言葉に甘えて。呼び止めてまでの話ってのは何なんだ?」

「別に大したことじゃない、ただ話がしたかっただけ」

「えっ?」

 

 本当に話をするためだけに呼び出したのか、今回の仕事に関わる重要な云々ではなくて? 普通に話がしたかっただけ? 

 

「マジでどういうこった、そこまで弾む話もないでしょ。音楽の事とかよくわからんし」

「話したいのはそれの事じゃない……少し荷物を借りる」

「は? ちょ、それは──」

 

 猫とかおもちゃを必死に守る時の犬みたいなスピードで俺のカバンをひったくったSI-NAさんはごそごそと俺のカバンを漁り始める

 

「あった」

 

 そう言って彼女が取り出したのはデモンズドライバーとスパイダーのスタンプ、仕事の時は基本的に懐とかに携帯しているがそれ以外の時はカバンに突っ込んでいる。だからか漁られた時は流石に焦らざる得なかったのだが……案の上バレた──

 

「ってちょっと待て、何で俺がカバンの中にそれをしまってることを知ってる?」

「昔助けられた時、カバンの中にこのベルトをしまってるの見た」

「昔……助けられた時?」

 

 どういう事だ、何かの事件で昔助けたことあったか? というか有名人からウチの事務所に直接来る依頼なんてのはないから有名人が来れば少なからず覚えてる筈なんだが……

 

「すまん、思い出せん。俺が君を助けたってのはいつ頃の話だ?」

「4年前」

「4年前、って言うと……俺が大体高校生の頃か、それのいつ頃とか覚えてるか?」

「春頃」

 

 4年前の春頃って言うと、確か俺が所長──狩谷と知り合ってすぐだったよな。丁度そのころに狩谷が持ってたこのベルトとスタンプについて聞いてる所で悪魔に襲われて俺が変身したんだっけか。懐かしいな……って事はそのころに解決した問題の中にこの子がいたのか

 

「駄目だ、全然覚えてねぇや」

「あの時は色々と酷かったら仕方ない」

「……それで、もしかして俺がそのベルト持ってるか確かめる為に声かけたのか?」

「そう」

「あのなぁ、正解だからよかったものをこれで外れてたら一体どうするつもりだったんだ」

「その時は普通に謝ってそこでさよなら」

 

 何というか、こうして話している間もずっと表情が変わらない辺りマジで何を考えているのかよくわからん

 

「……まぁアレだ、ファミレス来て何も頼まないのも店に迷惑だしなんか適当に食うか」

「うん、そうしよう」

 

 SI-NAにはベルトとスタンプをしまった上で丁重に荷物を返してもらい、適当に注文。料理が運ばれてくるまでの間に改めて二人で話を続ける

 

「そう言えば、わざわざ探して何するつもりだったんだよ」

「……別に何をするつもりもなかった。助けてくれてありがとうって、伝えたかった」

「ただ感謝を伝えるために、探してたのか?」

「うん、でも闇雲に探してたわけじゃない。仕事の片手間に探すくらいだった……けど、脅迫状が送られてきて会社とマネージャーが警備を頼んで……申し訳ないけどチャンスだとも思ってた」

 

 動かない表情筋のわりに随分と義理堅い性格だったらしい目の前の少女に対して内心敬意を表しつつ、運ばれてきた食事を食べ始める

 

 

 

 

 

 そこからは、あまり会話のなくなった食事を終えファミレスを出た俺たちは、会場に続く道を歩き始める

 

「流石に一人で帰らせる訳にはいかないし、送る」

「大丈夫、今日は会場に近いビジネスホテルを取ってるから」

 

 そう言って彼女が指さしたのは確かに会場からかなり近いところにある……というより、ここから徒歩10分前後と言った場所にあるホテルだった。確かにこれなら送らなくても問題はなさそうだが

 

「そう言うわけにはいかないな、いくら近くてもそこで襲われちゃこっちの信用が下がる」

「……そう」

 

 それだけ言うとホテルに向けて歩き出した彼女の横に並ぶよう歩きながら、暇つぶしの雑談にでも興じる

 

「そう言えば、SI-NAさんはどうして歌手として活動を?」

「これと言った理由があったわけじゃない、ただやってみたいと思ったことがコレだっただけ」

「それで何とかなっちまうんだから、凄いもんなんだろうな、SI-NAさんの歌は」

 

 俺がそう言うと彼女は足を止めた、何かマズいことでも言ったか? 

 

「しいな」

「えっ? 急にどうした?」

「私の名前、SI-NAじゃなくてシイナ、風待(かざまち)シイナ」

「あぁ、そう……そんじゃ風待さん、とりあえず歩いたほうが良いんじゃ──」

「しいな」

 

 何だろうなこの感じ、とりあえず埒があかなくなる気がする……仕方なし

 

「そんじゃシイナ、風邪ひくと大変だからホテルに急いだほうが良いんじゃないか?」

「ん」

 

 どうやら当たりの選択をしたらしい。再び足を動かし始めたシイナと他愛の無い話をしながらホテルの前に到着すると、とりあえずここで俺の仕事は終了だ

 

「それじゃ、俺はこれで」

「待って」

「……まだ何か?」

「あの怪物……何とかなるよね?」

「確約は出来ないが、こっちも最善を尽くす」

「最善を尽くすなら、確約して欲しい……さっきはこれと言った理由がないって言ったけど。私の歌を聴きに来てくれた人たちの思い出を壊す事だけは、したくないから」

 

 ……成る程

 

「それじゃあシイナ。契約だ」

「契約?」

「あぁ、契約内容は俺があの悪魔を絶対に倒す。対価は、観客に最高の歌を届けること……どうだ?」

「わかった、貴方と契約する」

「それじゃ契約成立だ……明日、頑張れよ」

「うん」

 

 ホテルの中に入っていく彼女の事を見送ると、俺は星の輝く空を見上げて気合いを入れ直した




Aパートはここまでになります

本作では一応の共通としてキャラクターの表記は苗字【漢字】+名前【カタカナorひらがな】で統一しておりますが

・門原 博人  《作中表記:門原 ヒロト》
・狩谷 美咲  《作中表記:狩谷 ミサキ》
・八乙女 理沙 《作中表記:八乙女 リサ》
・烏野 双葉  《作中表記;烏野 フタバ》

このような感じで、メインキャラをはじめとしたすべてのキャラに漢字の名前が存在しております


PS.ヒロトの過去編やらのリクエストがある場合は活動報告のリクエスト掲示板に書いておいてください
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