昨日は忍者登録書に載せる写真を撮って、今日はいよいよ合格者だけの説明会。
アタシは遠足が楽しみすぎて眠れない子供のように、全く眠れなかった。おかげで睡眠不足である。
「……ふぁ~…………眠い」
眠気でうとうとしていると、うずまきくんがやって来た。
……???うずまきくん?何で??
(あれ?この前1人だけ不合格で、ズーン…って感じで落ち込んでなかったっけ??)
それなのに、その額で輝いている額当ては何だ。
不正したのだろうか。アカデミーに大金を貢いで卒業したとか。いいや、うずまきくんにはアタシと同じく両親がいないらしいのでそれはないだろう。それにうずまきくんの性格からして、こんな汚い手を思いつくはずがない。
(ん~……)
アタシは眠気との格闘をそっちのけで、思いつく限りの可能性を上げては消し上げては消しを繰り返した。しかし、アタシが満足する前にとんでもないハプニングが起きた。
うずまきナルトがうちはサスケのファーストキスを奪ったのである。
「てめ…ナルト!殺すぞ!!」
「ぐぉおォオ、口が腐るゥウ~~~~!!!」
2人の反応を見る限り不慮な事故だったらしい。
だが、そんな言い訳が周りの殺気立つ女子に通じるはずもなく……
「…ナルト…あんたね…
うずまきくんは春野さんにボコられた。
そしてアタシは(しめしめ、いいネタが手に入ったぁ!!)と今し方見たこと、アタシが感じたこと、周りの様子等をメモするのだった。
あれから数分後……
イルカ先生の長い話をほどほどに聞きつつ、うずまきくんとうちはくんの様子を盗み見る。
うずまきくんは、春野さんに「うざい」と言われて相当堪えたらしい。いつもの空元気はどこへやら。どんよりとした空気を背負っている。
うちはくんは、さすがエリート一族と言ったところだ。もう切り替えて先生の話を聞いている。いや、うちはくんは強がりだから、気にしないように先生の話に集中しているだけかもしれない。
そっちの方がいい。そうであってくれ。
「えー…これからの君達には里から任務が与えられるわけだが、今後は3人1組スリーマンセルの班を作り……各班ごとに1人ずつ上忍の先生が付き、その先生の指導のもと任務をこなしていくことになる……それと言い忘れていたが、人数の関係上1つの班だけ4人1組フォーマンセルになるからな」
ほほう?アタシが考え事をしている間にそこまで話が進んでいたのか。
スリーマンセルねぇ……誰とでもいいのだが、強いて言えばうずまきくんと一緒の班がいい。
彼は面白いことをたくさんやらかしてくれるので、ネタに困らない。後は、そこにうちはくんを加えてくれれば万々歳だ。
彼もうずまきくん同様、ネタに困らないからである。エリート一族の末裔、クールで子供ながらに端整な顔立ち、そして女子からのモテ具合……最高の観察対象だと思わないか?
「班は力のバランスが均等になるようこっちで決めた」
何と、そうなのか……
ん?となると、うずまきくんとうちはくんは必然的に同じ班になるのでは?「力が均等」とはそういうことではないのだろうか。だとすると、アタシの成績は平均ど真ん中である。ということは同じ班になる可能性が高い!
みんなは「えーーー!!」と不満を露わにしているが、アタシは逆に喜んだ。
ネタの宝庫達と一緒になれる可能性が高いのだ。喜ばないわけがないだろう。
「……じゃ次7班。春野サクラ…うずまきナルト!それと…うちはサスケ…最後に染井アタミ!」
この班の反応は面白かった。
春野さんはうずまきくんと同じ班だと分かるとあからさまにガクッと落ち込み、うちはくんが同じ班だと分かった時は「しゃーんなろー!!」と毎度のことがなら意味の分からない勝ち鬨を上げていた。
うずまきくんはこの真逆。うちはくんは無反応だった。何かしらの反応が欲しかったが、致し方あるまい。
しかし、まさか自分の班がフォーマンセルになるとは思っていなかった。だが、これはこれで楽しそうなので良しとしよう。
アタシはこの問題児達を相手に、ネタ集めに奔走するのみ。
任務?それもネタ集めの一環に決っているだろう。アタシからしたら忍者は副業である。
「イルカ先生!!よりによって優秀なこのオレが!何でコイツと同じ班なんだってばよ!!」
うずまきくんは、うちはくんと同じ班なのがよほど気に入らないらしい。
イルカ先生に直訴している。しかし、うずまきくんの訴えは届くことはないだろう。なぜなら……
「…………サスケは卒業生28名中1番の成績で卒業。ナルト…お前は
「フン…せいぜいオレの足を引っ張ってくれるなよ。ドベ!」
「何だとォ、コラァ!!!」
「いいかげんにしなさいよ、ナルト!!」
……確かに見ている分には面白いが、チームメイトとして3人を見ると前途多難だと思う。協調性に欠けると言うか、何と言うか……
アタシは動作が遅いから、周りとの連携が必要不可欠だ。しかし、この3人に協力を申請したところで無駄骨に終わる未来しか見えない。
「はぁ…ほんの少し前までは喜んだけど、これはとんだ班に入れられたかもしれないなぁ」
その事実に思い至ったアタシは、ガクッと肩を落としてため息をついた。
「じゃ、みんな午後から上忍の先生達を紹介するから、それまで解散!」
午後までは暇なのか……よし、のんびりご飯を食べてからネタ集めに行くとしよう。
集合時間の5分前に行けば、上忍の先生を待たせることもないだろう。
数十分後……
昼ご飯を食べ終わり、ネタ集めに歩いていると、イラついた様子のうちはくんを見つけた。
どうやらうずまきくんが見つからず、苛立っているようだ。これはまた面白そうな気配がする。こうなったらついて行くしかあるまい。
うちはくんを完璧に尾行していると、春野さんがうちはくんに声をかけていた。
しかし、いつも以上に勢いがスゴいことになっている。語尾に♡がついていそうだ。
アタシのいないところで一体何があったし。
「そろそろ集合だ。ナルトのヤローはどこ……」
「まーたまたぁ、話そらしちゃってーーーナルトなんてほっときゃいいじゃない!
春野さんはそう言って「いつもサスケくんにからむばかり」「まともに育ってない」等、うずまきくんへの不満を言っている。
春野さんは言いたい放題言っているなぁ。まぁ、これは普段から思っていることなんだろうけど、本人が聞いたらさぞかし落ち込むことだろう。
何となく想像しながら話を聞いていた。
しかし、次の瞬間アタシとうちはくんの空気は凍り付くことになった。
「…ホラ!アイツ両親いないじゃない?!いつも1人でワガママしほーだい!私なんかそんなことしたら、親に怒られちゃうけどさ!」
……春野さん、それはうちはくんには逆効果だよ。
あー、ほら。いつもよりも纏っている空気が鋭くなっている。心なしか、目にはいつもよりも複雑な感情が見え隠れしているように思う。
数年前のある日、とある噂が流れた。
それは「うちは一族がたった1人を残して全滅した」というものだった。
当時のアタシは血継限界を持つ一族は最強だと思い込んでいたため、頑なにその噂を信じなかった。しばらくしてその真相を確かめるべく、一族の者にわがままを言ってうちは地区の手前まで連れて行ってもらった。
そこで見たのは、「立ち入り禁止」と書かれた黄色い規制線と、おびただしい量の血が付着した建物だった。
死体は既になかったが、それでも血の量から起こった悲劇は想像に難くない。
目の前の光景はあの噂を信じるには、十分すぎるものだった。
アタシはそれ以来、「両親がいなくて寂しい」とは言わなくなった。
アタシ以上に孤独な人がいると知ってしまったのだ。両親がいない程度のことで、弱音を吐くことは許されないと思った。
アタシは一族の人間がいる。だけど、うちはくんは本当に独りになってしまったのだ。
初めから知らなければ、孤独に苛まれることもなかっただろう。家族という存在を知ってしまっている以上、うちはくんは孤独から逃れられない。
それはうちはくんの心を覆い尽くして、いつかきっと彼を暗闇へ誘うことだろう。その時、彼を引き留めてくれる人がいてくれればいい。
そう願いながら、春野さんに「お前、
どうも、先生たこ足です。
今さらながら『NARUTO』にハマりまして。原作をコツコツ買い集めている所です。
何だかとんでもない方向へ話が進んだ感じがありますが、アタミちゃんに恋愛感情はありません。ただ孤独の辛さを知っているから、(せめて心だけでも救われますように)と祈っただけです。
それはそうと、これから不定期更新になるかもです。
リアルが忙しすぎて書く時間がないのです。楽しみに待っている方がいるとしたら申し訳ない。
時間が欲しい。
神様、私に睡眠時間と小説を書く時間をください。私、もっと寝たいし書きたいです。