遅いのは「動作」だけの話   作:先生たこあし

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朝起きた時からずっとスマホにかじりついていた件。
目のためにもしばらく書くの控えようかなぁ……これ以上近眼が酷くなったらかなわん。


忍になるしか選択肢がなかった

遅い。いくら何でも遅すぎる。

 

アタシ達7班は、上忍の先生が来るのを待っている所だ。

だがしかし、かれこれ30分以上は待っていると言うのに、この教室に来る気配が一向にない。イルカ先生も「教室で待っているように!」と言ってついさっき帰ってしまった。

みんなはちゃんと担当上忍が迎えに来たのに、アタシ達だけ来ないのはおかしくないだろうか。

春野さんは不安がっているし、うちはくんはイラついているし、うずまきくんはソワソワしていて落ち着きがない。

 

 

(早く来てくれないかなぁ……て言うか、忍のくせに時間守らないってどういう腹づもりなんだろう?アタシ達のこと試してるとか?ストレス耐性を見てるとか)

 

 

暇つぶしに担当上忍の行動の意図を考えて見る。

単純に時間にルーズなだけかもしれないが、そんなことで上忍になれるとは思えない。だから、これにはきっと何か理由があるに違いないとアタシは考えている。

 

 

「ちょっと!!何やってんの、ナルト!!」

 

 

突如聞こえてきた春野さんの怒声で、現実に引き戻された。

どうやらうずまきくんがまた何かやらかしたらしい。今度は何をしでかしたのだろう。

 

 

「遅刻してくるヤツがわりーんだってばよ!!」

 

 

なるほど、ドアを開けると黒板消しが落ちる超古典的なブービートラップか。

遅刻してくるヤツが悪いか……確かにその通りだ。よし、みんなを巻き込んで共犯にしよう。

 

 

「それじゃあさ!みんなで協力して、このトラップをもっとハイレベルなヤツにしない?もちろん、使える物は教室にある物だけよ。そうしたらアタシ達の鬱憤も多少は晴れるだろうし、何より担当上忍になるヤツの実力も測れるわ。どう?やってみない?」

 

「これよりもっとすげぇの出来るのか?!」

 

「ん~、それもそうね……やってみようかしら」

 

「ふん、くだらん……だが、暇つぶしには付き合ってやる」

 

 

反応は上々。

うちはくんは乗ってくれるか怪しかったが、承諾を得られてよかった。これで袖にされたら「うちは一族の本気見てみたかったのにな~。あ、そっか!イタズラ小僧と名高いうずまきくんに負けるのが怖いんだね!そっか~残念。あ、別にいいよ?誰にだって怖いものはあるもんね!」と煽り散らかしてやる予定だった。

春野さんはうちはくんが釣れたら、ブツブツ文句を言いつつもホイホイついてくるだろうから、とくに何も考えてなかったけど。

 

トラップは無事完成。

ドアを開けると、黒板消しはもちろん水の入ったバケツが天井から落ちてくる。最終的には、教卓や掃除道具も飛んでくるという具合に仕上がった。

上忍ならこのくらい避けられることだろう。さて、お手並み拝見と行こうではないか。

 

 

 

数分後……

 

 

 

 

「まだかな」とみんなで話していると、突然ガラッと教室の扉が開いた。

その人は黒板消しには引っかかるし、水を被ってずぶ濡れになるし、教卓は避けたが掃除道具がいくつか当たり、すり傷が出来ている。

 

これを見た3人は(この人、本当にスゴい人なの?)と疑っているようだ。

しかし、アタシはこの人のスゴさがよく分かる。この人は、一族にいる上忍よりもはるかに強い。とても同じ上忍だとは思えない。伝説の三忍に並ぶ人だと言われた方がまだ納得出来る。

 

 

(気配が全くしなかった…足音もしなかったし…………何より、こんなに読めない人には初めて会った…自来也様はこの人よりもスゴい人なのよね?火影様とどっちがスゴいのかな?やっぱり火影様?いや、でも自来也様の方が若いのよね?だったら自来也様が勝つのかな?いくら火影様でも寄る年波には勝てないだろうし)

 

 

そんなことを考えていると、担当上忍の人はこう言った。

 

 

「んーーー…何て言うのかな。お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!!」

 

(それはこっちのセリフなんですが??)

 

 

そう思ったアタシはきっと悪くない。

 

 

 

それから場所を移し、自己紹介の流れとなった。

担当上忍は名前しか分からなかったし、うずまきくんはラーメンのことばかり。うちはくんは何となく予想していたけど、物騒な野望が判明しただけだし、春野さんも相変わらずだった。

 

 

「じゃ最後、黒髪の女の子……」

 

「はい。私は染井アタミ。好きなことは想像することかな。嫌いな人はせっかちな人。将来の夢は自来也様を越える小説家になること。趣味は家の縁側でのんびりお茶をすすりながらする読書と、桜の木の世話です」

 

 

アタシの自己紹介が終わると、カカシ先生は驚いた表情で見ていた。

春野さんの自己紹介の時に(やっぱりなぁ)という目をしていたので、アタシも同じものだと思われていたらしい。

 

カカシ先生は気を取り直したように「よし!自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」と言った。

切り替えの速さはさすが上忍と言ったところだろうか。ものの一瞬で動揺を沈め、仕切り始めた。

 

 

「まずはこの5人だけでやることがある」

 

(やること?……これから何をするかっていう懇切丁寧な説明会を開くとか?アタシ達、まだ右も左も分からない新米忍者だし)

 

「サバイバル演習だ」

 

 

どうやら違ったらしい。

それにしても、サバイバル演習か……春野さんの言うとおり、授業で散々やったがおそらく普通の演習ではないだろう。カカシ先生が「ククク……」と笑っているので絶対に何かある。

例えば今後の進退を決めるとか。この演習で不合格になると、一生下忍のままとかあるかもしれない。

 

 

「卒業生28名中(・・・)下忍と認められる者はわずか9名(・・)。残り19名は再び学校(アカデミー)へ戻される。この演習は脱落率66%(・・・・・・)以上の超難関試験(テスト)だ!」

 

 

何だ、そんなことか。もったいぶるものだから、てっきり一生下忍のままなのかと思った。よし、再び学校に戻されたら忍を止めよう。元々は忍の一族だから体裁を気にして入っただけだし、憧れの作家が伝説の三忍の1人だったのもある。何よりアタシの夢は自来也様を越える小説家になることだ。忍にならなくてもアタシの夢は叶えることが出来る。

忍になれなかったら一族の歴史に汚点を残すことになるが、アタシはアタシなりに頑張った。きっと顔も知らない両親は許してくれることだろう。

 

そしてやはり、あの簡単すぎた卒業試験は下忍になる可能性のある者を選抜するだけだったようだ。まさか自分の想像が合っているとは思わなかった。こういうことがあるから、想像することは止められない。

というか、アタシ達はまだ下忍になったわけではなかったのか。そう言えばイルカ先生も「卒業おめでとう」とは言っていたが、「下忍になっておめでとう」とは言っていなかったな。

 

下忍になれるかは明日の演習で分かるようだ。

「くわしくはプリントに書いてあるから」とプリントを手渡された。

 

 

「明日遅れてこないよーに!」

 

「吐くって!?そんなにキツいの!?」

 

 

何が「明日遅れてこないよーに!」だ。一体どの口が言っている。寝言は寝て言えと言ってやりたい。1時間近くも遅刻してきたのはどこのどいつだったか。この先生に言われたくない言葉ランキング堂々の1位になると思う。

春野さんとはまた違った所で噛みつきそうになったアタシは悪くない。

 

 

(……まさか、明日も今日みたいに遅刻してくるんじゃないでしょうね?…………念のために『ド根性忍伝』持って行くか)

 

 

 

翌日……

 

 

 

「あれ?みんな早いね。おはよう」

 

「アタミ、アンタ時間ギリギリよ?」

 

「それもそうだけださ。あの人が時間守ると思う?」

 

「う、それは……」

 

「でしょ?というわけで、アタシはあの人が来るまで読書して暇を潰すことにするわ」

 

「はぁ?!ズルいわよ!」

 

「この状況を予測できなかったアナタ達が悪いの。悪く思わないでね、春野さん」

 

 

まだ春野さんが何か言っているが、知らないし聞こえない。そんなことよりも早く続きを読みたい。これは何度読んでも飽きない名作だ。

アタシはそう思いながらカカシ先生が来るまでの間、何度も読み込んだ『ド根性忍伝』を開くのだった。

 

 

 

1時間後……

 

 

 

「やーー諸君、おはよう!」

 

「「おっそーい!!!」」

 

 

うずまきくんと春野さんの声が揃って響いた。

うずまきくんと春野さんは意外と仲がいいと思う。本人に言ったら「ウゲ―!!気持ち悪いこと言わないで!」と言われるだろうから言わないが。

 

 

 

「よし!12時セットOK!!」

 

(何で目覚まし時計?……制限時間があるってこと?12時までに目標を達成出来なかったら、ペナルティがあるとか?)

 

「ここにスズが3つある…これをオレから昼までに奪い取ることが課題だ。もし昼までにオレからスズを奪えなかった奴は、昼メシぬき!あの丸太に縛りつけた上に目の前でオレが弁当を食うから」

 

 

なるほど、この人の性格が非常に悪いのはよく分かった。だから朝ご飯抜いてこいと言ったのか。おかげさまで空腹で倒れそうだ。これでお昼抜きにされたら、アタシはマジで倒れてしまう。これは死ぬ気で取りに行くしかあるまい。

 

スズを取るのは1人1つでいいらしい。しかしスズは3つしかないから、1人は丸太行き。そしてその人は任務失敗ということで、学校へ再び戻されるようだ。

 

 

(え?本当に……?それじゃあ、手抜きで挑もうかな…そうしたら合法的に忍を止められれる……!!それなら空腹で倒れても問題ない。むしろその後食べるご飯のおいしさが倍増するから、アタシにとっていいことばっかりじゃない!)

 

 

3人は凍りついているが、アタシは1人だけ内心小躍りしていたのだった。

しかし、どうやって手を抜こうか。手加減をしたら即バレしそうなのだが。

 

 

(?……あれ、手を抜くってこんなに難しかったっけ?)

 

 

アタシはどうすれば自然に(・・・)失格になれるのか、必死に頭を回すのだった。

 

そしてアタシが考え事をしている間に、うずまきくんの背後にカカシ先生がいるのだが。

周りの空気を読む限り、一悶着あったらしい。まぁ、どうせカカシ先生がうずまきくんを煽ったのだろう。

 

 

「でもま…オレを殺るつもりで来る気になったようだな…やっとオレを認めてくれたかな?ククク…なんだかな。やっとお前らを好きになれそうだ……じゃ、始めるぞ!!…よーい…スタート!!!」

 

 

待って待って、とりあえず隠れたけど展開についていけない。

つまり、先生を殺す気で行っても問題ないということよね?確かにカカシ先生レベルの人間からしたら、アタシ達は赤ん坊のようなものだろうから本気を出しても問題ないだろう。

だが、今のアタシにとってそんなことはどうでもいい。問題はカカシ先生にバレないように手を抜けるかどうかだ。

 

 

(……ダメだ。どれだけ考えても不自然さが残る。こんなことじゃ絶対にバレるよな……考えないようにしてたけど、これ詰んでない?はぁ……これはもう流れに任せて忍になった方が楽なのか?)

 

 

何度も脳内シミュレーションした結果、手を抜くことは不可能という結論に至ったアタシは、この試験でどうやって生き残るのかを考え始めるのだった。




先生たこあしです。
小説が書ける喜びよ。それもいつまで続くか分からないがな!

アタミちゃんの感性がおばあちゃんになったのは、仕方がなかったんだ……!!アタミちゃんを思いついたのが(縁側で茶をすすりながらのんびりする。うん、こういう老後も悪くないのでは?)と考えていた時だったんだ!!

茶番もほどほどにいたしまして、次の話ですが、これもいつ頃の投稿になるか分からないです。少なくとも1週間以上は見ておいてもらえればいいかと思います。

ではまた次話でお会いいたしましょう。

10/8追記
ヒラタ様誤字報告ありがとうございます。
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