ホノルルと一緒にサンデーを食べたい。   作:ペニーボイス

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サンデーうめえ


第1話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンデー

 

 それは至高の逸品。

 

 かつてユニオンの幾つかの地域で、安息日たる日曜日(サンデー)に当時贅沢品とされていたソーダを売る事を条例で禁じることが流行った。

 困ったのは飲食店の人間だ。

 当時大人気のスイーツ、クリームソーダを売る事を禁じられたのだから。

 店主達の何人かが、知恵を絞ってその代用品を売ろうと考えた。

 サンデーが生まれたのはそのあたりらしい。

 

 

 

 

 

 サンデーを突きながら、広げたパラソルの下でリクライニングチェアに腰掛けて浜辺を眺める。

 たまには指揮官という立場を忘れて、こうしてゆっくり休むのも良い。

 浜辺ではKANSEN達が各々の楽しみ方でこの休日を過ごしていた。

 

 

 ザラとポーラが始めたビーチボールは、他のサディア艦を集めることとなり、今では中々の規模になっている。

 彼女らには来週任務を割り当てているのだが、その前の息抜きというわけだろうか?

 

 リットリオがサングラスをかけ、私と同じようにリクライニングチェアに腰掛けながらその様子を眺めている。

 そこへどこからかヴィットリオ・ヴェネトがやってきた。

 どこか不機嫌そうな彼女は、他のサディア艦と違って水着に着替えているわけではない。

 リットリオの隣に立ったヴェネトは咎めるように問いかける。

 

 

「………今は来週の任務に備えて訓練すべき時では?」

 

「チームの団結を強めよと命じられた。…だから、団結を強めている。」

 

 

 確かに私は団結を強めるように命じたが、その返答は某エースパイロット映画の丸パクリなのでもう少し創意工夫を加えて欲しい。

 それに私は船団護衛任務を命じたのであって、どこかのならず者国家の核製造プラントを爆撃しろと命じたわけじゃない。

 頼むから、ヴェネト。

 F/A18戦闘機のマニュアル本を持ち歩きながら海岸に来るな。

 One Re●ublicとか流すな、やめろ。

 どうせマニュアル本はゴミ箱に捨てるんだろうし、サディア総旗艦の君がそういうことしてると本当にサディア連中が許可のないまま戦闘機に乗るとか言い出しそうで怖いんだ。

 

 

 結局のところ、ヴェネトはマニュアル本を手近なゴミ箱に投げ入れてから着ている制服を脱いで砂の上に投げ捨てた。

 制服の下からは際どい水着に包まれる柔らかな"ヴィットリオ・ヴェネトのヴィットリオ・ヴェネト"が現れる。

 リットリオが何かを察したかのようにレジャーシートを広げたので、私はサディア連中から目を離す事にした。

 たぶんサンオイルとか塗るんだろうし、「指揮官、オイルを塗ってくれませんか?」とかいうベタな経緯から品位を疑われるような事態に陥りたくない。

 

 

 

 

 サディア連中から目を離すと、今度は鉄血艦連中が視界に入る。

 水着姿のティルピッツとオイゲンが、そのたわわな双丘を揺らしながら砂浜に塹壕線を掘っていた。

 

 あー、うん、聞いたことはある。

 鉄血の人って砂浜に来ると穴を掘って楽しむらしいね。

 でもね、ティルピッツ。

 知らないのかもしれないけどここは海軍の土地じゃないし、保有者は市の行政だから勝手に陣地を構築するのはやめてくれないかな?

 

 砂に穴掘って遊ぶ、とかそういうレベルじゃないじゃん、その陣地。

 何でトーチカまで据えてんの?

 何で鉄条網まで張ってんの?

 何で"ロンメルのアスパラガス"がもう既に突き刺さってんの、ねえ?

 お前らさあ、ここは44年のノルマンディーじゃねえんだぞ?

 おい、やめろグラーフ・ツェッペリン。

 その熟女みたいな水着姿でシュタールヘルムを被りながらMG42を背負ってトーチカへ入っていくな。

 Z23も後から弾薬箱持って続いて入るな。

 ビスマルク、あなた様は鉄血勢のリーダーなんだからトーチカの上に測距儀を持ってきて火点構成のための観測をする暇があったら、市の行政管轄地域に防衛陣地作ってるのを止めてもらえませんかねえ?

 リーダーシップの発揮をする方向性に重大な問題が生じてるように感じるのは私だけではないと思うんだ。

 

 

 

 

 それからね、ニュージャージー。

 なんだろう、鉄血連中のすぐ隣でユニオン艦達を整列させてLVT-4に載せようとするのやめてもらってもいいですか?

 なんかね、「こういうの、好きなんでしょ?」とか言ってたからつい見ちゃったけどさ。

 いやまあ確かに好きっちゃ好きなんだけど、陣地構築してるすぐそばで陣地突破のための準備してるのを見る側の気持ちになってみてよ。

 

 それにアンタら艦砲射撃する気でしょ?

 分かるよ、そりゃあ。

 私は許可した覚えもないのに勝手に艤装を持ち出してきてそれを装着し、準備体操やってんだからよお。

 ニュージャージーと一緒に体操してるワシントンがあんなにウッキウキの笑顔浮かべてる時ほど怖いものはないんだよ。

 君らね、何回も言うけどここは市の行政管轄地域だからね?

 44年ノルマンディーみたいな火力発揮されたらどうなるか分かるよね?

 吹っ飛ぶのは鉄血連中の陣地だけじゃないからね、私の首も飛ぶからね?

 

 

 

 心配事を頭から追い出してリラックスするために砂浜に来たはずなのに、寧ろ心配事が増えたので辟易してくる。

 私の指揮下にいるKANSENと来たら、どうしてここまでフリーダムなんだろうか。

 なんというかね、フリーダムの方向性がまだ考えられる範囲なら対応できるのよ。

 でもね、見てもらったら分かる通り…彼女らのフリーダムってちょっとズレたような方向性から来るフリーダムでしょ?

 船団護衛命じたのに戦闘機乗るようなムーヴメント作り出したりとかさ、砂浜にベトンのトーチカ拵えたりさ、着上陸作戦の予行演習しようとしたりしないでしょ普通は?

 

 毎回このムーヴメントと向き合ってごらん、滅茶苦茶疲れるから。

 この前なんかシリアスに、寝室の枕元に水差し置いといてくれって頼んだらあのポンコツメイド中身を全部モンス●ーにしやがったからな?

 朝1番からエナジードリンク飲まされる身にもなってみてよ。

 いやいやいや、朝起きて、ベッドから起きて着替えて顔洗って飯食って「さあ1日頑張るぞ!」ってタイミングなら朝のエナジードリンクってアリだと思うのよ。

 けどね、朝起きて「んんー!よく寝た!」ってタイミングで飲むエナジードリンクってどんなのだと思う?

 頭の中ロックンロールだからね?

 

 

 まあ、とにかく、この基地にいるKANSENはそういうロックンロールな方向にフリーダムな娘達があまりにも多過ぎる。

 類は友を呼ぶって言うが、私にその気があったりするのだろうか?

 そんな事を考えながら手元のサンデーを突いていると、背後から悩ましいスタイルのKANSENがやってきた。

 

 

「あら?指揮官くんも来てたのね?」

 

 

 セントルイスと、その妹ヘレナの姉妹だった。

 クロステディタイプのビキニなんかセントルイスが着てしまうと間違いなく品位を疑われそうになるはずなんだが、ヘレナがその隣にいるし、セントルイスはリトル・ヘレナをその腕に抱えてるのでソッチの気が不思議と起きない。

 家族旅行でリゾートに来ました、的な感じに見える。

 

 セントルイスはこのフリーダムな基地においてフリーダム路線控えめな数少ないKANSENの1人だった。

 故についこの前まで秘書官をお願いしていた。

 無事に好感度MAXになり、指輪も渡したし、そろそろ秘書官の多忙極まりない任務から解放して差し上げたかったのでこの前交代したばかりだった。

 

 

 そしてその代わりの秘書官というのが………

 

 

「ああああっ!私のサンデーがっ!」

 

 

 

 サンデーを突く私の頭に、何処からか飛んできたサンデーがぶちゃっと嫌な音を立てて着地する。

 頭皮から糖分特有のの不愉快なベタつきが感じられるし、まだ少し冷たいアイスクリームが溶け出して首筋を地面に向かって伝い落ちる感覚は鳥肌ものだったが………何が起きたかは、声の主が思い当たるので察することができる。

 

 

『ホノルル』

 

 

 私の新しい秘書官にして、このセントルイスとヘレナの準姉妹艦。

 どうやら彼女はサンデーを食べようとするとホースに襲われる呪いにかかっているらしい。

 

 ………なんでこう、地味な呪いにかかるかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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