偽書・銀河英雄伝説   作:隠居おっさん

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 原作で明確になっていない年齢設定については勝手に定めています。


No.64 敗軍の将

 

 自由惑星同盟軍七九九年七月の人事が公布された。

 イゼルローン駐留艦隊司令官、宇宙艦隊参謀長などの交代人事が着目されたが同時に発表された現宇宙艦隊司令長官アレクサンドル・ビュコック大将の勇退予定(本年七九九年末日予定)が話題の全てをかっさらってしまった。その後任が確実視されている現イゼルローン要塞総司令官ウランフ大将(駐留艦隊司令官兼任解除)による新体制への移行準備としての人事なのだろう、と今回の異動は語られる事となった。

 

 

 

「リッチモンド・パエッタ、イゼルローン駐留艦隊司令官として着任いたしました」

 

「着任を確認した」

 

 儀式が終了し、ウランフが仕草で近くのテーブルに誘う。

 

「よもやこういう立場になってしまうとはな。辞め損ねた」

 

「簡単に辞められても困ります。これからは経験豊富な艦隊司令官は少なくなるでしょうから」

 

「…………そう言われて言われてここまで来てしまった。過重労働組の艦隊司令官任務も私が最後という事か」

 

 パエッタのボヤキに対するウランフの反応で一つの事を思い出す。

 

 ビュコック、ウランフ、ボロディン、パエッタ。過去に発生していた幾度の迎撃戦。戦歴を確認するとこの四名の出撃率が非常に多い事に驚かされる。国力の劣る同盟軍が少しでもその差を縮める為に、優秀な司令官が率いる艦隊を優先的に活用していった結果である。新兵補充ではなく他艦隊からの編入によって練度を確保してまで彼らは出撃し続けていた。ついたあだ名が艦隊司令官過重労働組。

 

「しかしあの一戦で積み上げていったものが全て消え去った。本来、私はそこで終わりとすべき敗軍の将だ」

 

 アスターテの一戦である。色々な思惑・情報などが重なった結果、非常に優位な兵力展開が可能になった戦いであるがその反動としていつもとは違う艦隊、練度は十分であるが艦隊司令官の評価としてはあまり良いものではなかった二個艦隊を流石に倍の兵力であれば大丈夫だろうと任されて挑んだ一戦。パエッタ本人の失策もあるが艦隊規模の兵力があんなにも短時間で壊滅させられるとは誰も思っていなかった。あの二個艦隊の司令官はもし勝利する事が出来たなら理由を付けて名誉職に飛ばして信頼できる司令官を新たに添えようという魂胆だったらしい。確かに司令官は二人ともその任を解かれた、だが艦隊も消滅した。

 

「…………噂は聞いていましたが。それでもここにいるという事は」

 

 その問いにパエッタが何とも言い難い苦笑いを浮かべながら応える。

 

「突き返された辞表はその場で再提出しないと機会を失ってしまうぞ」

 

 彼は辞め損なった。その結果こんな所にいる。

 

 

 

 七九六年一〇月中旬

 

「どうぞ」

 

 室内からの言葉を聞き、部屋に入る。

 

「こっちでいいかな?」

 

 部屋の主である統合作戦本部長シドニー・シトレ元帥が応接用デスクを指差す。

 

「話はこれの事だと思うが」

 

 シトレが胸元から一つの封書を取り出し、パエッタが頷く。

 

「ひとまず返しておこう。私では判断する事は出来ない」

 

「何故です?」

 

 当然、そう問うしかない。

 

「第四第六に引き続き、第二艦隊の解散手続きも終了しました。今の私は作戦本部付の待命待機です。上司としての本部長の一存で処理できるはずです」

 

「あぁ、そうだ。本来は私の一存で決められる事だ。だがその私が辞表受領待ちとなってしまったのでな……君の事は次の本部長に決めてもらうといい」

 

 シトレ本部長が辞表? ……いや、本部長は辞める事がほぼ内定している。現在実施中の帝国領侵攻作戦。成功すればロボス元帥に席を譲る為に勇退となる、そして失敗した場合は……

 

「……あの作戦は"そういう状況"になった、という事ですか?」

 

 事が事だけにこの侵攻作戦の状況については最低限の情報公開しか行っておらず、漏洩防止の為に軍内部でも必要外の所には秘められている。

 

「部外秘だが……いや、一応は本部付だから私が許せば見ても問題は無いか」

 

 シトレがデスクに戻り、いくつかの用紙を持ってくる。

 

「繰り返すが部外秘なので口外はしない様に」

 

「拝見します」

 

 渡された用紙を読み始め…………思考が止まるがなんとかして言葉を捻り出す。

 

「敗走中。それももう一押し次第では潰走になりかねない状況」

 

「そうだ」

 

 侵攻軍総司令部からイゼルローン要塞を経由して届けられた戦況報告。

 

 "戦況に好転の見込み無く、総軍撤退指示を発令"

 

 なんとかして意識を集中して最後まで読み切り、大きく息を吐く。そしてとある一点だけを見つけ続ける。その視点を見てシトレがとある事を思い出す。

 

「その、君の、ご子息は……」

 

「……第三艦隊、でした」

 

 第三艦隊の判定は出征艦隊唯一の"全滅"。

 

「気持ちはわかる。だが、次の形が定まるまでの間、籍は置き続けてもらいたい。……圧倒的に幹部人員が足らんのだ」

 

 用紙の中に大きな付箋が貼り付けられている。

 

 ×:本部長、長官、3、4、6、9、12

 △:参謀長、2、7

 ○:1、11、5、8、10、13

 

 この結果だけでぞっとする。今年の年初に在籍していた統合作戦本部長、宇宙艦隊司令長官、参謀長、第一~第一二艦隊司令官。合計一五人中、戦死・辞任が七名、△は恐らく左遷や負傷などでカウントできず。残ったのは新設の第一三艦隊司令官を含めて六名。中将以上の第一線人材が一年で一〇名減ったのだ。さらに多数の中堅人材や幹部候補達の損失もおびただしいものとなるだろう。復旧に必要な年月はいか程か。いや、そもそも復旧出来るだけの余力をこの国は残しているのか? 

 

「残された時間で出来る限り形を作らねばならん。その過程で君の経験を借りるかもしれない。もう暫くの間、力を貸してもらいたい」

 

 シトレが深々と頭を下げる。この人はこんなにも小さかったのだろうか? そう思えるくらいの姿だった。

 

 

 

「私の後任として第一艦隊を受け持って頂きたい」

 

「…………第一艦隊、ですか?」

 

 次の統合作戦本部長に内定しているクブルスリーからその話を聞いて、パエッタが一瞬言葉に詰まった反応を示す。

 あれからパエッタは待命待機継続、とはいかず後始末を開始したシトレの補佐をそれこそ次官が行うような仕事を回され没頭する事になった。お門違いもいい所だが何もしない方が苦痛なので仕事をしていた方が精神的に落ち着く。侵攻作戦は敗北に終わり、各艦隊はイゼルローン要塞を越え内地に入り帰還中である。収集された各情報は即座に届けられ、政府も事実を淡々と公表するに至り、国内の混乱は暫く収まりそうもない。そのような最中にシトレはこれからの艦隊編成案を構築し始め、それに伴って言われたのが前記の言葉である。

 

「第一艦隊は知っての通り首都星防衛艦隊と言えるものだがこれからはイゼルローンに駐留予定となる艦隊の支援が主任務となる。イゼルローン艦隊のコンディションを保つ為に定期交代要員や訓練済みの兵を用意するのが仕事だ。イゼルローンに何かあった場合の増援は第二以降の艦隊が受け持つ事になる」

 

「補充・交代用の部隊を独立して置いておく余裕は無い、と」

 

 パエッタの言葉にクブルスリーが深く頷く。

 

「私が第一艦隊を預かってから、艦隊の実戦は大規模な海賊討伐作戦の一回のみ。その作戦で壊滅させた海賊などは向こう一〇年は地方警備隊で対応可能な程度になっている。今はただのお飾りなのだよ、第一艦隊は。委員会の方も"とにかくイゼルローンで守れるようにしろ"の一点張りだからそれならば落ち着くまでは訓練用と割り切ってしまっても文句は出ないだろう」

 

 そう聞いて深く考え始める。訓練艦隊だから司令官は適当でも、とはいかない。むしろ十分な経験を積んだベテランがやるべき仕事である。そうでないと実戦を想定した訓練も訓示も出来ない。そして残された艦隊司令官の中でそれに相当する実戦経験があるのはビュコック、ウランフ、アップルトンと自分である。ルグランジュは分艦隊司令官としての歴は長いが艦隊司令官としては出撃した事がなく、ヤンに至っては艦隊司令官ではあるが正式な司令官経験はイゼルローン攻略を含めても二回という有様だ。ビュコックの宇宙艦隊司令長官、ウランフのイゼルローン要塞総司令官が内定しているらしいので外れるから二択。アップルトンはウランフの次、といえる立場なので裏方になるのはまだ早い。ならば残るは一人。しかし、今これを受けてしまうという事は……

 

「シトレ本部長から話は聞いている。申し訳ないけど、私も君を手放すつもりはない。君の様な立場の者が今、辞めてしまうと非常に困るんだ」

 

「…………よってたかって好き勝手に」

 

 思わず口に出てしまい、非常に気まずい雰囲気になる。

 

「すまない」

 

 クブルスリーも頭を下げる。たまったものではない。だが理由もうすうすながら判ってきている。自身の経験とかそういうものではい。軍全体が今、非常に揺れているのだ。軍幹部の責任として統合作戦本部長と宇宙艦隊司令長官が辞任する。しかしそれだけなのか? と。多数ある部などにも何かしらの責任はあるのではないか? と突き上げが発生している。なんてことはない、背広と制服の責任の押し付け合い、国民からの不満・八つ当たり。そういうものが吹き荒れており、今後も苦労するならと何かしらの理由を付けて身を引こう(面倒事から逃げよう)とする幹部や幹部候補が後を絶たない状況なのだ。少し自惚れていいのなら、あの敗戦さえなければ自分は一応何代か先の統合作戦本部長なり宇宙艦隊司令長官なりの候補と周囲から言われていた。今はもうその目は無いのだがそれでもこの時期に辞めてしまうと"あの人ですら"という話になる。実際に現在の仕事をしている過程で各部とのやり取りを行わなくてはいけないのだが"君はどうなのだ? "とそれなりの地位にいる人達から牽制されている。何かきっかけが欲しいのだろう。

 

(あの敗戦の責任として辞任するなり解雇されるのであれば当然の事だ。しかし、それとは関係のない泥船から逃げ出したと言われるような形での辞任というものは……)

 

 受け入れられない。今まで積み上げてきた物がある。責任ではなく逃亡などもってのほかだ。あの敗戦の後、メディア、反戦団体、戦死者遺族、好戦家集団などあらゆる組織からターゲットにされた。妻と娘は実家に帰し、今は一人暮らし。ここで辞めたら色々とまぁ、良い餌になるだろう。進むも棘、引くも棘ならば己の能力を生かせるところの方がマシというものだ。ならば……

 

「引き受けましょう」

 

 だが

 

「けれど、ここまでです。再編成、再構築。そいうのが終了して今後に目途が立ったのなら、辞めさせていただきます」

 

「あぁ、今はそれでいい。それだけでも助かる」

 

 

 

「なんなんですか? この内示は!!!!」

 

 明らかに怒気を含んだ言葉に統合作戦本部長クブルスリー大将と宇宙艦隊司令長官ビュコック大将が まぁまぁまぁまぁ とジェスチャーで鎮めようとするがどうしても治まり切らない。近年、かなり丸くなったとか人の話を聞くようになったとかいう評価が落ち着くようになったパエッタであるが久しぶりの癇癪大爆発である。

 

「私はここ(首都星防衛艦隊司令官)まで、と最初に申し上げたはずです。今年になって編成も形になり、私の艦隊が訓練艦隊である必要性も薄れてきました。お約束の日が近づいてきたと思っていたのによりによってあの艦隊の後任になれ、とは。つまりはその後はそういう事を予定しているという事でしょう!!」

 

 中将一人がふんぞり返り、大将二人が肩を縮める。おかしな光景である。要するにイゼルローン駐留艦隊の後任とは実質的に艦隊司令官の最上位であり昇進ルートを見るにイゼルローン要塞総司令官経由かそれとも直接かで統合作戦本部長や宇宙艦隊司令長官に向かうという方向性なのだ。本来は喜ぶべきものではあるが少なくとももうそろそろ辞めようかと考えていた人が乗っかる路線ではない。

 

「そこをまぁ、なんとかならんものかねぇ?」

 

 ビュコックが何とかなだめようとするがパエッタは"むすー"っとするだけで何も答えない。困り果てたビュコックがクブルスリーに助けを求めるような視線を送る。

 

「現職についてお願いしたのは私だからね。その後の事は逐次確認させてもらっていたよ。少なくとも君の活動は"後はこれをやって辞めるだけ"というものではなかったと思う。何か、こう、次へのステップの為に動いていたように思える。違うかな?」

 

「いや、まぁですね、それは……」

 

 そう言われると言葉が濁る。実際の所、辞める気でいたのはいたのだがだからといって今までのままでは宜しくない。自分の犯したあの失敗に対する何かしらの回答を出さなければ実質的な訓練艦隊司令官という教育者として示しがつかない。そう考えて色々やって来たのは事実だ、それはもう色々と。生来の生真面目さも祟ってそれこそ徹底的にだ。

 

 

 "私は先の会戦で倍の兵力を有し勝つべくして勝つはずだった友軍を一五〇万人戦死させ敗北させる失敗を犯した司令官である"

 

 この前代未聞の言葉で始まった首都星防衛艦隊司令官としての初訓示は艦隊内外を問わず、大きな話題となった。

 

 "私の経験を元に諸君らは学んでもらいたいし、私もまた再びあのような失敗を犯さぬよう諸君との交流を通じて学んでいきたいと考えている。よろしくお願いする"

 

 そう結び、誰よりも先に(敬礼ではなく)深々と頭を下げた艦隊司令官の姿はそれを見た者達の語り草として今も伝えられている。

 元々は完全なトップダウン型の司令官であり、不適切と判断した進言を最後まで聞く事すら無駄と感じ止めてしまう。かといって何故駄目かは応えない(時間の無駄だと思っていた)。それでもここまでの功績を上げてきたのだから極めて優秀と言えるのだが訓練部隊を預かる教育者としては下の下である。クブルスリーもこの性格を知っていただろうに何故推挙したのか? と今更ながら考えてしまう。しかし、その時実際にどうやっていけばいいのかさっぱりだったのだがそうしなくてはいけない事は判っていたのであのような訓示を述べ、頭を下げ、自身を追い込んだ。そして実務が始まっても実際には上手くいかず、それ故にストレスも溜まり、元々の癇癪も起こしかけていたのだがそれは駄目だでももはやこれまでだと腹をくくり幕僚達に

 

「実はだな……」

 

 とその困った心情を暴露した事でやっと前進を開始した。あれほど部下に笑われたのは生涯で初めてだったが妙に楽しい何かがあった。

 一旦殻を破ってみると色々と景色が変わってくるもので、部下の話も最後まで聞けるようになった(といっても間違いは後で容赦なく完全論破してしまうので厳しさに変わりはない)し、部隊の模擬戦などで失敗(敗北)させて考えさせることなどお手の物だった(当然だが彼が指揮する側が負けるはずがないというだけである)。その中でキラリと光る若手を見つける喜びも判って来た。部隊の強さなど実際に指揮してみれば手に取るように判る。それが鋭く、強くなっていく過程が判る。その楽しみと共に艦隊整備が着々と進み、予定していた編成がほぼ整い、十分やり切った、後はもう任せて大丈夫だろうと古くなったあの辞表を見本にして新しい辞表を書き、いつでも出せるようにした所でこの内示が来た。そりゃあ忘れていた癇癪も甦る。

 

 

「こういうのもなんですが私をそこまで引っ張ってどうするんですか?」

 

 まごう事のないパエッタの本音である。ビュコックが引退し、ウランフが跡を継いだら年代的にもほぼ既定年齢層になったといえるだろう。自分一人抜いた所で大きく困りはしないはずだ。

 

「そうなのだがね、近年の君の評価はね、いわゆる右肩上がりという奴なんだ。辞めます、はいどうぞとは流石にもう言えない」

 

 クブルスリーが困ったような顔で応える。が、実は内心かなりのニコニコである。彼によるパエッタの首都星防衛艦隊司令官への推挙はこの殻破りの可能性を期待してのものだった。本当に駄目なら適度なタイミングで肩を叩く予定だったが彼は殻を破った。強烈なトップダウン型として今まではともかくこれからの宇宙軍としてはこれ以上の役職は与えられないと考えていたがこれだけ丸くなってくれれば得難い次期最高管理職候補者なのだ。現状の専守防衛体制が続くなら多くの戦闘を経験した艦隊司令官はあまり発生しなくなる以上、これだけの経験者にはとことん役に立ってもらうべきだ。

 

「私の? 評価が?」

 

 そう言われてもピンとこない。最後のご奉公と考えていたから艦隊外からの評価など考えていなかった。その後なんやかんやの問答が繰り返され、煽てられてるのか踊らされているのか上手くいなされ続けて辞表を出すタイミングを掴み切れない。そして彼は結局その内示を受ける事になる。それは

 

「少なくとも私達は閣下に辞めて頂きたくありません。これからも艦隊司令官として、いえ、さらに大きな立場から私達を指揮して頂きたい」

 

 これが(本当は言ってはいけないのだが)内示に関する愚痴を幕僚達にぶっちゃけてしまった際に言われた言葉だった。そこまで言われてしまったらもう"でも辞めます"なんて言えない。それだけの情は持ってしまった。だから相変わらず愚痴はこぼしたり癇癪にならない程度の小言をぼやいたりはするけれど"やっぱもういいよ"と言われるまでは続けてみようと思った。そしてやるからには一切に妥協はない。

 

 

 

「お願いしていたものは?」

 

「用意してあります」

 

 そう答えるとウランフが奥にいる分艦隊司令官の一人に声をかける。そのそばかす顔の青年が分厚いファイルをいくつも抱えてやってくる。

 

「これがご指定のイゼルローン艦隊からのレポート、の元になった原書の全てです。紙がいいという事ですので印刷しておきました」

 

「すまんな」

 

 そう答えるとパエッタは自分の手でそのファイルを棚に並べ始める。

 

「しかし、艦隊の記録でしたらレポートそのものを見れば宜しいのでは?」

 

 そばかす顔の、分艦隊司令官アッテンボロー少将が当たり前の質問をする。

 

「結果と教訓だけならばそれでいいし既に読んでいる。私が知りたいのはなぜそういう結果と教訓になったか? という生の現場の声だ。それはこれを読むしかない。これらをまとめるのに君も多く関わっていると聞いている。いい具合に"こき使ってもいい"とも聞いている」

 

 うげぇ、という顔をされた。昔の自分だったらこれだけでも小言が出ただろう。

 

「ここの雰囲気を含め、色々と聞く事があるだろう。よろしく頼む」

 

「……よろしくお願いします」

 

 "結局こういう扱いかー"とぼやくアッテンボローを面白そうに眺めつつ一つ目のファイルを開く。パエッタの次の仕事が始まった。

 

 

 

 

 リッチモンド・パエッタは結局辞める事は出来ず順調に歩を進め、宇宙艦隊司令長官を最後の軍歴としてその職務を完了する。その彼が軍歴で最も濃かった時期を聞かれて答えたのがこのイゼルローンにおけるここからの一年半なのである。

 

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