ほんとうにただだらだらしてる日。
「集約の初動としてはこんな感じでしょう」
テーブルを囲む三人、自由惑星同盟軍宇宙艦隊司令長官アレクサンドル・ビュコック大将、同参謀長ヤン・ウェンリー中将、同副参謀長チュン・ウー・チェン少将が数枚の用紙を覗き込んでいる。
「それにしても、要領を得ん襲来じゃったな」
ビュコックのぼやきに二人が頷く。これが先日、回廊外への撤収を確認した帝国軍による二度目となるイゼルローン襲来に関する率直な共通認識である。
「詳しい解析は正式な報告が来てからですね。それまでの仮の集約は私の方で取り仕切りましょう。ヤン参謀長は確か明日は出来れば休みたいって言ってましたよね。一番若いからって多く詰めてもらってた分(※1)、まずは一休みしてもいいのでは?」
チュンが目線で同意を求め、ビュコックが頷く。
「すいません。ではお言葉に甘えさせていただきます」
ヤンが頭をかきながら会釈する。これで明日、ヤンの休暇が確定した。
「久しぶりだなぁ」
二四時間スーパーで買い出しをし、ユリアン・ミンツが自宅(ヤン家)に向かう。幹部候補生育成所に入って初めての、そして最後の連休である。一日休暇も何度かあったが門限があるので帰宅しても私物や雑貨の補充なりをやったらそれで終わりでありヤン用の夕飯を少し作り置きしてビデオメッセージを入れておしまいだった。
今回の連休は育成所の卒業試験前最後の息抜きである。のだがユリアンのように保護者や推薦者が最寄りの場合には休暇とは言い難いミッションをクリアしないといけない。彼らの元に送付されている中期試験結果(教官の所感付き)の感想を聞き、結果を受領して確認した旨の直筆記名入りの確認書類を受け取らないといけないのだ(尚、遠地である場合は電子記名での受取となる)。
(クブルスリー本部長は今日の午後、ビュコック司令長官は明日の午前、ヤン中将は・・・・・連絡来てないから不安だけどどこかしら顔は合わせらると思うし大丈夫だろう)
アポ取りも戦々恐々だったがお二方からは直に返答を頂けた。だけどヤンからは珍しい事に連絡が取れなかった。如何せん恐ろしい事に軍のNo.1と2と4が対象者である。教官からも
「今は大変な時期だし一回は連絡するべきだろうがそれで予定が取れなければ無理する必要はない。卒業までに回答を頂ければそれでいい」
とは言われている(だから一度連絡入れようとして取れなかったヤンはそのままになっていた)ので行き当たりばったりでもいいだろう、としている。
「ただいまです」
時間的に出勤後の時間なのだが無意識に口に出して家に入る、のだが
「あれ?いる?」
靴が、ある。そして違う人の靴も、ある。しかも女性用である。あれあれあれと思いつつ上がりこむと
「あら、ユリア・・・・ン?」
その女性、フレデリカ・グリーンヒルがキッチンから出てくる。今日手にはお盆、その上には飲み物。朝食後のくつろぎタイムには確かに良い時間なのだが・・・・・一瞬の停止の後、何かを思い出したかのように顔を真っ赤にしてとててててと居間に姿を消す。そしてその居間からは
「あ、うん、あ、おかえり」
と家主が顔を出してもじもじと引っ込む。そして確信する。ひとまず買い出した物を冷蔵庫なりに押し込んで私物・雑貨整理交換の為に自分の部屋に駆け込む、のだがその途中で(居間からは見えない)客間を覗き込んで謎のガッツポーズをする。この客間、実質的にヤンの予備書斎(読み終わって当面再読しない物を格納しておく)であり一応客人が来た時に備え安物のベッド等は用意してある。大抵はヤンの先輩やら後輩が休みの日に遊びに来て飲んで騒いで酔いつぶれた時に放置する為に使われているのだが今も使われたらしき形跡がありその傍らには大きめのバッグ。止めとばかりに一人分の衣類を引っ掛けられるハンガーが新設されている。これはもう大確定である。
「連絡を入れてくれないとなぁ・・・」
居間に戻るとヤンがちょっと愚痴り気味に牽制球を投げてくる。
「先日、連絡は入れさせていただいたはずですが返信を頂けなくて・・・・・お忙しかったのですか?」
「え?」
驚いて携帯端末を取り出して確認し始めて"あ"と呟く。見つけたらしい。
「う、うん、まぁ知ってると思うけど忙しかったからねぇ・・・今日は久しぶりの完全休養日ってくらいだし・・」
「同じタイミングで連絡を入れさせていただいたクブルスリー本部長とビュコック司令長官からはご返答を頂けましたが・・・」
「ぐぬぬ」
ヤンが妙なうめきを上げて肩をがっくしと落とす。実際には慣れぬ(ほぼ)昼夜逆転生活で色々な事に手が回らなかった事は事実だが自分だけ駄目だったとなると流石にショックなのだろう。
「という事で書類が送付されていると思うのですがご感想などを頂けないでしょうか?」
本当はそれより興味があって話題にしたい事があるしその対象は同じテーブルでまだもじもじしながら下を向いているのだが午後から別のアポで出かけないといけないので仕方なく本題の方を進める事にする。
「あ~、書類。書類ねぇ・・・」
と言いつつヤンが居間の片隅に積まれている各種郵便物等の束をがさごそと引っ掻き回し"あった"と見つける。つまりは未読である。
「御覧になられてない・・・・と」
それに続いてこれとなると正直ちょっとイラっとし始めて棘のある言い方になってきている。
「ごめん」
ものすごくばつが悪そうにヤンが丁寧に封を開け、中身を確認する。そしてその中の一つ、恐らくは中期試験結果の成績表と思われる物を見始めると"へぇ"とか"ふんふん"とか色々と呟き始め、ごく自然に椅子をフレデリカの横に移動させてそれを見せる。そしてお互いに"あれは""これは"と囁き合う、いつの間にか二人とも顔や姿勢が軍人モードというべき状態に変化しており何とも言えない緊張感を醸し出す。
(これは完全に両親に成績表見せてる息子みたいな状態だ)
そう思いつつユリアンが待つとヤンがそれをテーブルに置き、やっと顔をこちらに向ける。そして破顔一笑。
「お見事。少なくとも私より断然いい」
ユリアンの方も緊張感が溶け、ほっとする。
「それにしても、高所安定というべき優等生ぶりだね」
そう言いつつも成績表を指でつ~~~っとなぞる。全分野で上位と言える成績。一桁のような飛びぬけた教科は無いが逆に低くなっている強化も無い。
「総合成績もそうですけどほぼ全科目で公知になる順位ですね」
フレデリカの言葉がそれに続く。正規の士官学校や幹部候補生育成所などにおける定期試験において総合と各教科毎に成績上位者は公知の対象となる。一教科でもそれを長期維持出来れば専門部署からマーク(勧誘)の対象となるし総合最上位となるとそれこそ軍生活が続く限り箔を付けられる有名人クラスになれる。
「確か所感も聞かせないといけないんだよね。う~~~ん」
ヤンが首をひねる。彼個人の見解としてはそもそもユリアンが軍人になる事自体が正直が・・・である。だが所感となるとそれ相当のアドバイスとならなくてはいけない。
「ユリアンは・・・」
ゆっくりと言葉を選ぶ。
「軍に関係なく大抵の事はやろうと思えばかなり良い筋で出来る。出来るようになれる。だけどいつかきっと"やろうと思えばやれてしまう"という事が足枷になる時が来ると思う。君も"軍の事ならなんでも凄くやれてしまう"から苦労しちゃった人を知ってるはずだ。ちょっと性格は違うけどね」
比較対象としては能力的に違いすぎるのだが確かに知ってはいる。
「オールマイティと器用貧乏は紙一重だ。軍は組織だし組織というものは役割分担があってそれぞれの分野にそれぞれの専門家が座るようになる。だから早いうちに自身のやりたい分野、方向性を決めておかないと全方向への"優等生"はその時不足している役をやらされる"便利屋"として埋もれてしまう場合がある。一度上から便利屋として認識されるとやりたい分野があってもなかなかそこに合わせてくれない。その人の長所に合わせて席を探す事をしないでその人を除いて組織を組み立てて、そこから一番弱い所に当てはめる、といった使われ方をされてしまう。そういう役目に潤滑油としてやりがいを得る人もいるだろうけどもしそうじゃないとしたら。希望は早めに伝えておいた方がいい」
そこまで言って、ふ~~っと息を吐く。そして
「これはちょっと反則だけど・・・」
と少し付け足す。
「本部長と長官にそれとなく吹き込んでおけば一応希望の道には入りやすいと思う。でも、本来使うべきではない手段だからね。推薦者に希望を語るのなら最初で最後のギリギリ許されるラインかな」
権力者へのコネを使った云々。確かにヤンの性格からしてみたら露骨に何度も使ったら本気で怒る事になる代物だろう。最初の最初で方向性を決める為にというのがヤンが目をつむれるギリギリのラインだ。
「はい。私の分はおしまい。なにか・・ある?」
話を横のフレデリカに振って"えっ?"と驚かせる。
(お父さんの次は、お母さん?)
口に出してはいけない。
「私から言える事としたら・・・・・」
と和やかな顔で言い始めるがそれがちょっと厳しくなって
「親がそれなりの立場だとそれを妬んだり、理由を見つけてねちねちと"マウント"を取ろうとしてくる人が絶対に出てくるの。そういう人に妥協しちゃ駄目。完全に無視するか、黙らせるか、どっちかにしないと駄目。こういうのもなんだけど女の私ですらそうだったの。男の子となれば必ず出て来るわ。陰湿なのよ、そういう人は」
男性陣二人が目を丸くする。
「そんなに酷かったんだ・・。あのグリーンヒル大将がそういう事の対象になるとも思えないんだけど」
「あの父だからです。そういう性根の崩れた人たちから見たら父は妬みの対象としては十分ですので」
言われてみるとあぁ確かに、とヤンも頷く。性根の腐った輩とグリーンヒル大将は確かに合わない。
「万が一にでも無視できないレベルでのそれが発生してしまったらまずは上官なり内部告発窓口に。私に相談するのはそれからだ。・・・困った事に推薦していただいたお二方といい私といい持っている権力が大きすぎてね。軽く確認するだけでも大事になっちゃうしそれがまた妬みの原因にもなってしまう。そうならない事が一番だけどね。はい、確認書類ね」
会話を交わしつつヤンがサインを入れた確認書類を手渡す。これで一人目の確認は完了だ。
「そろそろ私は・・」
「あ、付き合わせちゃったね。ごめん」
帰り準備をするのだろう。フレデリカがいそいそと奥に、あの客間の方に向かい姿を消す。そしてヤンが目線に気づく。口元もちょっと緩んでるそれは"目は口ほどにものを言う"という言葉そのとおりに何かを訴えており、ヤンがばつが悪そうに頭をかき、あらぬ方向に目を向けてハァっとため息をつき"息子"の頭をげんこつで軽くつつく。そのげんこつの位置はいつの間にか目線より高くなっている。大きくなったものだ。だからこんな心配(期待?)もされてしまう。
「これは両者の気持ちを確認して順々に進めていった結果であり過程です。決して」
そういうとずいっと顔を近づけえる。
「あの陰湿な先輩が仕込んだお膳立てに乗っかったものではありません。先輩の事だからユリアンにも根回しはしていたんだと思うけど決して"功を奏した"なんて報告はしない様に!」
実は「この一年を使って二人をいい加減にくっつけたいので何かあれば協力しろ」とは言われてた。直接何か手伝ったわけではないがきっとあの人は二人の雰囲気が判ってる周囲の人達に根回しして何かある度に二人になれるタイミングを造ったりしてたのだろう。だから家に入って"もしや"と思った時から心のわくわくやガッツポーズが途切れなかったのだ。そしてそういう気持ちになっていたから返答は。
「は~い」
の一言で済ませた。養父は大きなため息を一つつくと養子のおでこをもう一度ぐりぐりした。ちょっと強く。
「さて、お昼まで少し時間あるけどやっておきたい事はあるかな?」
フレデリカを見送って一段落(?)
「・・・・・・・成績を見てみたいです」
「・・・・・私の??」
「駄目ですか?」
「・・見ても何も面白くないと思うけどなぁ」
ヤンが"本当に見るのぉ?"と呟きながら部屋に歩を進め、ユリアンが後に続く。こんな他愛のない親子の時間を過ごせるのももうあと何日あるのかわからない。
「じゃあ自分はこっちなので」
「作戦本部だっけ。粗相のないようにね」
少し早めの昼食を久しぶりのユリアンの手料理で済ませ、二人はそれぞれの目的地に出発する。ユリアンは正式な軍服で統合作戦本部のクブルスリーの元にヤンと同じで推薦者からの確認書類を受け取りに。ヤンは私服で買い物に。どうしても今日、買い物に行きたい所があるらしい。
「ひさしぶりだなぁ、作戦本部」
対策室時代に付き添いや荷物持ちとして、時には単独で小間使いとして作戦本部には何度も足を運んでいる。
「お、ユリアンじゃないか。あれ?確か対策室を外れて、今どこだっけ?」
受付に話しかけようと思ったら先に話しかけられてしまった。何度か受け付けてもらっていた人なのでこっちも覚えている。
「お久しぶりです。今、幹部候補生育成所に通ってまして」
クブルスリー本部長へのアポの確認をしてもらう。受付さんが電話で二言三言確認を取る。
「第二休憩ルームで待っていてくれ、という事だけど判るかな?」
「はい。大丈夫です」
指定されたルームに向かい、待っているとその人が何人か引き連れてやって来るがルームに入ると解散して一人でこっちにくる。
「待たせてしまったかな?」
「いえ、全然」
二人で一つのテーブルに座り、その人、推薦人の一人クブルスリー本部長がその書類を取り出す。
「私もそれなりの役職を勤め始めてから毎年のように推薦を求めてくる人が後を絶たなくてね。大体は血縁関係や恩のあった元上官だったりで出来が良いからというよりも出来の悪いのを何とかしてくれって魂胆が見え見えだったよ。でも今年はそれを断って君の推薦状一枚しか書かなかった。随分と親族一同から愚痴をこぼされてしまったが」
そう言いながら成績表をテーブルの上に置きながらこの人には珍しい笑いをこらえきれないような顔を見せる。
「順位の所だけ見える形で見せてやったのさ。"この子以上にお勧めできる人はいるんですか?"ってね」
こらえきれなくなってくっくっくと含み笑いを漏らす。
「君を推薦して良かった。覚悟のいる、大変な道だと思うがその第一歩に手を貸せたことはとても光栄だ」
「あ、ありがとうございます」
ここまでベタ褒めされてしまうと恥ずかしさが湧きおこってしまう。
「成績については何も言う事はない。自分の進みたい道をはっきりさせて進むのみだ。だけど・・・」
そこで間を置き、顔色が数千万人を統率し百数十億の命を守る男のそれに代わる。
「君はいい子だ、そして優しい。これは君と何度か仕事として同じ時間を過ごした者なら感覚的に判る。だから周囲も君を何とかしてあげたいという気持ちになるのだが・・・・・優しい良い人というのは時にしてそれが足枷となり重大な失敗を呼び起す原因にもなる。軍人というのは全てを守りたいからこそ全てを守れないという事を肝に銘じなくてはいけない。その境目において優しさは決断を遅らせてしまう時がある」
「・・・・同じことを言われた時があります。知っている人を見捨てなくてはいけない時もある、と」
「ヤン参謀長にか?」
無言で頷く。
「ヤン参謀長も参謀として司令官としてその決断を多くしてきたと思う。だけど彼が非情な人だと、優しくない人だとは思わないだろう」
もう一度頷く。
「その決断を出来る心と優しさというべき心は両立できるものだと私は思っている。そしてその気持ちを共有できる知古を増やしていくんだ。そういう縁は一生の支えになる。才能は有ってもそういう縁を持てないと次第と孤立していって心のどこかが歪んて行くからね。最悪その歪んだ一人が国を揺るがす原因にもなる」
そう言ってクブルスリーが脇腹をさする。記憶が正しければその歪んだ一人によって撃たれた場所のはずだ。
「それでここからは内緒の話だが」
クブルスリーが小声で言い始めるのでユリアンは思わず息をのんで前のめりになりかける。
「成績優秀者は配属先の希望が通りやすいので育成所から聞かれたら素直に伝えるように。更に推薦人が"是非自分の所で"と希望すればそれも通りやすい。のだが軍の要職となるとそれを口に出してはいけないという不文律があるんだ。権力の乱用と見なされる可能性があるからね。人事部も既に頭を抱えているかもしれない。下手な場所に配属して私達(クブルスリー&ビュコック&ヤン)に睨まれるのも嫌だ、だからと言って忖度が行き過ぎても君自身も含め色々と"ぎくしゃく"させてしまう。それらを踏まえて少なくとも私は配属に関してはとことん不干渉、ノータッチで行こうと思っている。すまないがそれが結果として一番周囲に影響を出さない結果になるはずだ」
すまんね、と言うクブルスリーに対してユリアンは首を大きく横に振る。そんな事でこの人に面倒をかけてしまってはいけない。
「よし。後は最終試験だけだ。ここで大きく成績を落とすと"こいつは中期試験で安心して油断したな"と見られてしまう。君に限ってそんな事はないと思うが最後まで気は抜かないように」
「はい。色々とありがとうございます」
最後に必要書類を受け取るとクブルスリーは席を立ち、休憩ルームを後にする。長居は無用とユリアンも場を去ろうとするが・・・・
「ユリアン君?何故、今日??・・・・!!」
とすれ違いざまに誰かが彼の存在に気づき、いきなり腕を掴んでルームの隅まで誘導する。
「す、すまん。思わず引っ張り込んでしまった」
ユリアンが顔を確認すると、本部長が休憩する所なんだから次長だって休憩する時はある。
「お、お久しぶりです。グリーンヒル次長」
ドワイト・グリーンヒル次長である。そしてユリアンを見て驚くという事は・・・・
「その、何だな、今日はどこからここに?」
頭の回る人だけに一瞬で"その可能性"に辿り着いてしまった、と言えるしそれを聞いてこっちも悟ってしまう。
「あ、朝一に"自宅"に戻りまして・・・そこから来ました」
背も随分伸びていたはずなのだが妙に上目遣いで覗き込む。
「そうか。なら居たんだな」
「・・・・はい」
「知ってはいたのかな?」
「いいえ、その、"そこまで"とは」
それを聞くと"そうか"と一言呟いてグリーンヒルがすーはーと軽く息を整える。
「と、いう事でな、その、なんだな、うん。そういう事になっているからこれからもよろしく見守って欲しい。もう本人達に任せるべき事なのではあるのだがな・・・」
ではな、と言うだけ言うとグリーンヒルが立ち去る。
(お父さんも大変なんだなぁ)
どうやら親公認という奴らしいが口に出したくても出せないもどかしさがにじみ出ていた。積極的にアピールしてるような二人でもないし。ユリアンがどう認知しているのかを確認して一安心と言った所だろう。
(流石にこれは、言えないなぁ)
今日の夜、(本部長に)会いに行ってどうだった?とは聞かれるだろうが。これは言わないでおこう、と思った。
翌日のAM
「お~、来おったか。時間も丁度いい、こっちで話そう」
司令長官室に通されて部屋の主からの第一声がこれであった。司令長官室にある雑用テーブル、朝一の打合せが終わったそこには宇宙艦隊司令長官アレクサンドル・ビュコック大将、副参謀長チュン・ウー・チェン少将、そして参謀長ヤン・ウェンリー中将が座っている。
「あの、流石に私は・・」
ヤンが居心地悪そうに立ち上がり、ユリアンに席を譲る。
「流石にお養父さんとしては恥ずかしいか?ま、その方が話しやすい話もあるかもしれいからのぅ」
文字通り"がはは"といった感じで笑い、ヤンの顔が複雑怪奇なものになる。この御仁にかかればヤンなんぞ可愛い息子といったものだ。
「縁としてはすれ違いだから初めましてだね。副参謀長をやっているチュン・ウー・チェンだ。・・・で、私も席立った方がいいですかね?」
「元士官学校教授としては見たいんじゃないかな?」
「見たいですね」
「見ても減るものじゃあないし、一緒に見るとしよう」
あれあれあれ?と思っているうちに三者面談となってしまった。遠くのデスクからニヤニヤしている養父の顔が見える。
「実力としては言う事なし、じゃな。君の事だからここから伸び悩むなどという事もないだろうな」
うんうん、と頷きながらビュコックが言葉を発し、成績表を覗き込んでるチュンに目線を向ける。
「成績は高所安定、だからこそ見えないものもある。君は・・・何になりたいのかな? 役職と言うか立場と言うか」
やや眉間に皺を造り首傾げにチュンが尋ねるがユリアンは困ったような顔色になる。さり気なく吹き込む事を反則ぎみだけどギリギリの許容範囲とした人もいるしはっきりとノータッチにすると言った人もいた。そして困った事にその三人ではない第四者から聞かれてしまった。だけど希望を聞かれて答える事に問題はないだろうと考えて素直に答える事にする。
「できれば・・・参謀などに」
ほぅ、という二つの顔に見つめられて思わず視線を下げてしまう。
「参謀としての考え方というのであれば(ヤンの方に目を向けながら)彼に習えばそれでいい。でもね」
そこまで言ってチュンが声を潜める。
「彼の対人コミュニケーション能力については見習わないように。彼が前役職(対策室室長)にせよ今の役職にせよ、本部長や長官といった方々の"信頼"があるからこなせているんだ。参謀には本来"相手に理解してもらうスキル"が必要なのだが彼にはそれが不足している。心の中のどこかに"理解してもらえないのならそれでいい"という気持ちを持っている。親しい相手にしか理解してもらう為の努力をしようとしない」
厳しい、のだが何も言い返せない。ヤンがプライベートの時にどれだけ"愚痴"をこぼしているかを知っているからだ。
「それについてはわしも同じだがな。そういう意味ではわしもヤン君も運がいい」
ビュコックが言葉を引き継ぐ。
「運も実力のうち。というがそれは事実だ。エル・ファシルの一件でヤン君があの(民間人退避)役目を与えられずリンチの司令部にそのままいたらどうだったか?アスターテの時に配属が第二艦隊ではなかったら?参謀職というのは影響力は強いが決定権はないからの。その時の上司の相性や実力次第でどうにもならない死を迎える事になる。艦隊勤務の職業軍人と言うものは大なり小なりそういう運に恵まれんと一〇年も生きられんのだよ。一二個艦隊時代、第一艦隊を除いた一一個が前線で戦ってきた。そして毎年一個艦隊に等しい艦艇とその乗組員が帰らぬ者となっていた」
その戦場に五〇年身を置いていた人が言うのだからそれは間違いない。
「だからの」
ビュコックがぐるっと部屋を見渡す。司令長官室ではあるがスタッフ達が何人も働いている。
「縁を持った者達がわしの葬儀に顔を出すのは良い。だが、わしを葬儀に行かせるな。君に対するわしの望みは突き詰めればそれだけだ」
元々静かだったと言える場が更に静かになる。
「すまんな、湿った話になってしまった。だが、長生きしたいのであればそういう苦労も考える必要がある。何処に配属になるかはわからんがまずは話を通しやすくしてくれそうな人を探す事だ。そういう人を味方に付ければある程度はうまくいく。わしのような偏屈者には出来ん事だが君なら出来るはずだ。それは君を知る皆が保証するだろう」
「お疲れ様。育成所への戻りは今日中?」
「はい。夕飯前くらいには戻る予定なので」
本来は不要だがフレデリカが見送りに来てくれた。
「伝言はあるかしら?」
ヤンへの、という事である。
「細かい事はメモに残しておこうと思います。それと今日の夕飯は作っておきますので"お二人で"お食べください」
あら。という顔をした後にやさしく微笑む。
「ありがとう。卒業後の予定とかは私にも教えてね。皆で集まれる機会は段々と減るのだから皆で送り出させて頂戴ね」
「はい。そうさせてもらいます」
フレデリカと別れ、司令部ビルを出て帰路につく。適当な所で昼飯にして買い出しをして帰宅して夕飯を仕込んだら戻るにはいい時間だろう。
(皆で集まれる機会は段々と減る)
「そうなんだよなぁ」
自分で決めた事とは言え任地次第では年単位で顔を合わせる事は出来なくなる。
(いっその事、個人宿舎申請しようかな。お二人の事もあるし・・・・)
あの養父の元で暮らし始めてから自分はかなり恵まれた環境で過ごす事が出来た。と言うのは確実だ。だからこそ何らかの形で巣立たないといけない。いつまでも一緒にいたいからいつまでも一緒にいる訳にはいかないのだ。
がばっと彼は起きる。横目で時計を確認すると起床予定時間の一〇分前である。彼はタイマーで目を覚ます事はない。寝る時に寝る、起きる時に起きるというコントロールが出来ないとやってられない所で過ごしていたからだ。今は違う職場になったが体は忘れていないし忘れるつもりもない。
着替えずにそのまま洗面所で顔を洗い、歯を磨く。その後に着替えて外に出て軽いジョギング。士官用居住区では同じような目的で朝のジョギングをする人が多々おり、挨拶をかわしつつとなる。違うと言えば明らかにペースが一段階や二段階速いという事だ。
そのジョギングが終わり、帰宅してシャワーを浴びて室内着に着替えると居間からいい匂いがしてくるので足を向かわせるとテーブルに二人分の朝食が用意されている。
「おはよう。姉さん」
「おはよう。ラインハルト」
姉弟の一日はこうして始める。
「それじゃあ私はお仕事にいってくるから」
「いってらっしゃい」
朝食が終わり、片づけをすますと姉、アンネローゼはお仕事に向かう。菓子職人としての生活も板についており今やチーフ不在の代理などもこなしているらしい。昔は彼女目当ての下心あっての男性客も多くいたが今、彼女が職場にいる事を確認して来る男性客の多くは下心ならぬ舌心を持つ者が大半になってしまったという。
「さて、と」
肩をぐるんぐるん回し、ソファーにどすっと座り込む。
「何をしようか?」
自由惑星軍所属ラインハルト・フォン・ミューゼル大佐の今日。それは平たく言えば"特に目的も無いが取る事になった有給消化"。そういう日であった。
「休め、馬鹿もん」
独立第三分艦隊司令官フェルテン・フォン・アイゼンフート少将のその一言で有給が決定した。
「・・・・・・つまりは、ご自身が休みたい、と?」
「それもあるがな。休める時に休むってのも大事な事だ、特に今の様な時はな。少なくとも下の者が普通の休暇数を確保できる程度に上も休むものだ」
そう言いつつその部屋をアイゼンフートが見渡す。ぽつぽつと空いている(休んでいる)席もあるがまだ(出勤が)多いと思っているらしい。それもそのはず、独立第三分艦隊はいわゆる三交代(実戦・訓練・整備)で言う所の"整備"の時期となっている。揃わないので分艦隊全体で動く事はない。大きくても分艦隊の一つ下である分隊規模で新兵達の基礎訓練を行う程度である。カリキュラムは決まっているし統括さえしてればいいだけなので分艦隊司令部はあまり仕事が無い。あったとしてもその手の事務仕事はシュトライト大佐が手早く済ませてしまう。ラインハルトも実際の所はかなりの時間を自習に割いている。意外かもしれないが高級士官レベルでもこの時期はこの手の自習時間に費やされる時は多い。そうしないと日々の情報のアップデートが行えないからだ。でもだからといって年がら年中休まずに出勤されてしまっては部下も息がつまる。
「そうおっしゃられるのでしたら・・・」
薔薇の騎士時代の反動で姉との時間を増やす為に意識して休んでいた時期もあったが基本仕事中毒者であるという自覚はあるし今でもそれは抜けていない。でも結構あっさりとこのような特に目的も無い消化の為の休みを取れるようになったのも近年の上司の影響のたまものなのか?と心で首を傾げるが、とにもかくにも適当な日に休暇を入れた。
「よし、動くか」
その休暇。ソファーでその日のニュース等を一通り確認してから彼は活動を開始する。地味な服に手早く着替え、伊達メガネを着用し、外に出る。
「さて、今日はどっちにいくか?」
そう考えながら駅に向かう。それが彼の休暇のルーチンである。
彼には趣味がまだない。持った方がいいと言われ、そうだよなと思っていてもこれだというのが見つかっていない。仕方ないので趣味を探す為の散歩をするようになったが何かというともうこの散歩そのものが趣味になりつつある。鉄道で片道一時間くらいを最大行動範囲とし駅周辺を軽く回って昼食を取り、気になった所を詳しく見て夕方くらいに帰宅する。一人の休日は大抵この行動がメインになっている。有料特急も遠慮くなく使う片道一時間となると行動範囲は広く、ある程度の月日が経過すると最初の方の訪問地の内容などすっかり忘れてしまうので候補は尽きない。
この日も適当な街で降り、探索し地元の定食屋で昼飯を取る。その後、今回見つけた気になるスポットとして街のとある一角に向かう。どうやら大規模なバザーがあるらしく駅周辺よりも人が集中しており大繁盛である。ぐるっと大きく見回って最後の方のエリアに辿り着いた時・・・・
「えー、ここに三巻があるって事は他の巻もあるでしょう。まとまってないの? 探せって、この束の中を探すの???」
・・・・・・・・・
「いったい何をなさっているのですか? とはいえ何をしているかはなんとなくわかりますが・・・・」
元上司がそこにいた。
「これが三巻、全九巻だからあと八冊。全部あるという確証はないけどある分は買うから、君はそっちから探して」
言うだけ言うとその元上司、現自由惑星同盟軍宇宙艦隊総参謀長ヤン・ウェンリー中将はそのお店(バザーに出ていた古本屋)のもう片隅にすたこらさっさと歩を進める。日頃ののんびりとは比べ物にならないシャキシャキとした動きだ。なんでも今では珍しい通信販売無しの古本商なのだが店舗すら持たずこういうバザーへの出品をメインとしておりマニアも唸る掘り出し物がよくあるらしい。確かに見渡すと積み重なれた本を見ている人たちはバザーに来る人とは風体が違う。学者というか研究者というかそういう雰囲気の人が多い。
("地球時代の兵器と用兵" 地球時代についての書物なんてあったのか。電子じゃなくて紙媒体で・・)
中を読みたい衝動を抑え、仕方なく乱雑に並んでいる本束から同じ柄の物を探し始める。少し探した所でふと思いつき、周囲を見渡しカゴがあったので手に取って作業を再開する。
「全部で六冊かぁ。ひとまずある分だけは買おうかね」
合流し、ご希望の本を手渡すがその相手は彼が持つカゴを見つめ"おっ"とした表情になる.。
「うんうん、いいねぇ」
ラインハルトが持つカゴには探索中に見つけた"どうしても気になる本"が無造作に突っ込まれている。そういうヤンのカゴの中身はお察しください状態である。
「銀河連邦の成立期と同じように帝国の成立期においても四散した文化の保持活動は行われたらしい。前者は純粋な文化保護と継承の為に、後者はその独占の為にね。ほとんど電子データだったらしいけど書物もそれの対象となって帝国に都合が悪くないものは順次解放されていって人気のあるものや教本としての価値のある物は紙媒体としても発刊された。これもその中のひとつなんだと思う。ぱっと読む限り兵器種とそれにかかわる用兵についてが淡々と記載されている形だから帝国としても都合が悪くないし軍の歴史教本として使われてたのかな?比較的印刷されてからの歴史が浅い」
ヤンがその本を指先でつんつんしながらヤンが解説を開始する。ここは先程の現場の近くの公園。移動中に屋台で手伝い料として「好きなだけおやつ買っていいよ」と言われたので遠慮なく買ってもらいおやつタイムとなっている。
「やはり書籍貯蔵量は帝国の方が上ですか・・」
「だね。基本、同盟国内に存在する過去の書物と言うものは亡命者が持ってきた物かフェザーン経由で流れてきた物だけだ。その根っこは帝国が押さえている。今はもう積極的な開拓は行ってなくて"持ってるからには無くさないように保持しておく"って状態らしいけど」
「よく知ってますね。そんな事」
「亡命者団体の文化保護事業団とかフェザーンの書物商とかに問い合わせて色々調べた時があってね。過去の歴史を調べるにはそういうルート開拓から必要だから」
夢は退役して歴史研究家になる事だというのは何度も聞いたことがある。仕事を率先してやることはない人だけど趣味に関しては注意しないとどこまでも突っ走ってしまう所があると聞いてはいるがこんなバザーの古本屋まで駆け込んでる所を見ると"本物"なのだろう。
「うん、ここの解説は面白いね・・・・」
それからもお互いに買った書物をちら見してあーだこーだと話が弾む。というか記憶が正しければ軍全体で上から指折り数えでカウントできるくらいには偉い筈の人がただの歴史好きオタクと化して語り尽くしてるのが八割であり残りの二割がその内容に関するこちらの質問だ。そして一の質問に四とか五で返してくるから無限に話が止まらない。
「結構な時間になっちゃいましたけど予定とかは大丈夫なんですか?私は夕飯前に帰宅できればそれでいいのですが?」
気づけば夕方。日も下り始める時間帯になっている。
「そうだねぇ。結構なじ・か・・・・ん・・・・・・・・・だ・・・・・・・・・・・・・・・ね」
途中で何か気づいたのか巻いたゼンマイが尽きた人形のように動きがカコンカコンしている。
「はい。時間ですね。プラス三十分です」
第三者の声に二人が振り向くと一人の女性が佇んでいる、のだがコミックだと背景に"ズゴゴゴゴゴゴゴ"とか書き出されそうなオーラを放っている。
「よ、よくここが判ったね」
夏も過ぎたはずだが額に汗が出ている気がする。
「こんな所を何故待ち合わせに?と思いましたから確認しましたらこういうお店が出ている、と。ならば遅刻をするとなると近くの公園で読みふけってしまって、というのが一番あり得る事かな?と判断しました」
長年副官を務めているのだ。これくらいの思考は出来て当たり前である。
「ですが休日とはいえ携帯のマナーモードは解いておくべきだとは思います」
そう言われてヤンがあたふたと携帯を確認して天を仰ぐ。恐らく着信履歴のマークか何かがあったのだろう。とてもアウトだ。
「じゃあ・・・ね」
そう大きい身体ではないが心なしかいつもより小さく見えるヤンが立ち去り、軽く会釈したフレデリカが続く。
「・・・・・尻に敷かれるんだろうなぁ」
食事以外は確実にそうだと色々と疎いラインハルトでも分かる二人の立ち位置を眺めつつ自身も腰を上げる。
「帰るか」
ついつい買ってしまった本が入った袋を眺めつつ帰路につく。趣味の無い青年、ラインハルト・フォン・ミューゼルの休暇は大抵はこんなペースで終わるのだ。
「纏めはこのあたりでいいでしょう」
チュンが書類をテーブルに置き、ビュコックとヤンが頷く。これで宇宙艦隊司令部として各所に提出する資料は完成となった。実際に文面を作り上げるのは下の仕事であるが司令長官と参謀長がこの手の業務を苦手としているのでチュンが大抵の場合仕切っている。この副参謀長がいなければ宇宙艦隊司令部の事務業務は恐ろしい事になっていただろう、と苦手な二人は認めているし事務能力強化の為に将官クラスの司令部付事務担当官の配属を申請しようか?と真剣に考えている。
「今年はもう襲来は無いでしょうから損失についてはほぼ確定です。来年から偶数艦隊の増強を開始するという事で宜しいですか?」
ヤンが尋ねてビュコックが頷く。
「来年一年の艦隊司令人事もウランフ君とやり取りをして概ね決定した。中将への昇進についても推薦すれば特に支障はないと内諾を得ておる」
「アッテンボローが艦隊司令官ですかぁ」
「後輩だったか?」
「はい」
その予定リストを眺めながらヤンが呟く。
「確かに艦隊司令官としては異例の若さだが分艦隊司令官クラスでは近年の経験も実績も飛びぬけておる。ウランフ君が"自分が(中央に)戻るまでには(艦隊司令官として)使えるようにして一緒に連れて帰ります"といっていたがその通りになったわけだ。そもそもそれを言ったら君が色々と前例を突き崩してるんだから他人の事は言えんだろう」
二十代で中将になって艦隊司令官になって幕僚総監になって三二歳で総参謀長になった。なりたくてなった訳ではないがそうなのだから何も言い返せない。
「余計な事が起きなければ来年には一年前倒しで再建計画の当初予定を完了できるし悪くない形でバトンを手渡せる。最初は仕方ないとはいえ何故わしがと思ったがなんとかお役御免までは勤められそうだ。残りも少なくなってきたがよろしく頼むよ」
周囲の者が次々と頷く。老提督の最後のご奉公は恙なく終わろうとしている。七九九年の自由惑星同盟軍は帝国のイゼルローン襲来の開始により一時的な動揺はあったもののどうやらこの調子であればしばらくは悪くない形での推移が可能だろうと思えるだけの感触を得た。帝国がこのままの攻勢を続けるとは思えないがそれは次代の課題であった。
チュン・ウー・チェン
ヤン、ビュコック、フレデリカなどなど姓乃至名で表記する時もあるが彼は困る。チュン・ウーまでが姓なのだがなんかこれだと姓名のようにも見えてしまう。原作者も困ったのだろうか原作見たら基本ずっとフルネーム表記だった。
※1:詰める
帝国軍がイゼルローンに襲来した際は統合作戦本部は本部長・次長の誰か、宇宙艦隊司令部は司令長官・参謀長・副参謀長の誰かが宿直となり二四時間体制となる。宇宙艦隊司令部ではNo.1のビュコックは年齢的な事もあって宿直は基本無しとなって三十代コンビであるヤン&チュン・ウー・チェンがその分を受け持っていたのだが役職的上位で年下であるというヤンがほぼ丸々ビュコックの分も受け持っていた。なのでその期間、半分以上が夜勤生活。尚、"なら私も"と宿直する気満々だったフレデリカは司令長官権限で却下。他のスタッフ(♂)が交代で副官代理やってた。