夕方。さやかはまどかと一誠とアーシアとドモンと共に魔女の探索に出かけていた。
ドモン
「中々見つからないな……」
まどか
「今日はいないのかも」
さやか
「…残念だけど、そうはいかなくなったみたい」
視線の先には使い魔が張った結界があり、そこに飛び込む。
一誠
「さっさと倒させてもらうか!」
籠手を出現させた一誠が勢いよく殴りかかるが、
杏子
「おいおい、何やってんだよアンタ等」
何者かに割り込まれた為止まらざるを得なかった。
一誠
「うおっ!? いきなり射線上に出てくるな! 危ないだろ!」
アーシア
「だ、大丈夫ですか?」
さやか
「ていうか、魔法少女? 何で邪魔したの!?」
杏子
「だってコイツ等使い魔だよ? 本体倒さなきゃいくらでも復活しちまう上にグリーフシードは落とさないから、あんまメリットないんだぜ?」
その直後、使い魔達が逃げ出した。
ドモン
「まずい、逃げるぞ!」
杏子
「そりゃ都合がいい。すぐ後を追うぞ。ただし、倒すんじゃねぇぞ」
さやか
「え、何で?」
杏子
「ああいう本体と別行動を取ってるタイプは、状況が不利になると本体の元に逃げ帰ろうとする習性があるんだ。だから、奴らを追えば魔女に辿り着くって訳」
一誠
「なるほどね。んじゃ、とっとと追いますか!」
まどか
「はい!」
さやか
「アンタ……いきなり邪魔してきたからてっきり悪い方かと思ったけど、案外いい奴なんだね」
杏子
「失敬な言い方するな。ま、ちょっと前なら普通に見逃してたけどさ……」
ポリポリと頭を掻きながら、杏子は走った。
一方その頃、マミは北岡と明久と雄二を連れ魔女を捜索しており、気がついたら魔女の結界に入っていた。
明久
「敵の罠に嵌まった気がするのは何故?」
雄二
「言ってる場合か。てか、使い魔がいないのはどういうことだ?」
ゾルダ
「俺に聞かれても知るわけないでしょ」
マミ
「とにかく、魔女を見つけましょう」
先に進んでいくマミ達だが、そこへ先ほど逃げていた使い魔が戻って来た。
明久
「遅れて来るとかあり!?
ゾルダ
「だから俺に聞くなって!」
文句を言いつつ使い魔を迎撃していくが、そこへさやか達が現れた。
雄二
「イッセー、ドモンさん!」
一誠
「何だ、本体の方は雄二達が見つけていたのか」
ドモン
「なら加勢するまでだ!」
マミ
「これはありがたいわね……って佐倉さん?」
マミの視線が杏子を捉え、驚きを秘めた声を出した。
杏子
「よう、マミ……久しぶりだな」
さやか
「知り合いなの?」
杏子
「まあ、ちょっとな」
苦い表情をしていると、別方向から王蛇が現れた。
王蛇
「ん? モンスターを追ってたらお前に会うとはな……おまけに嫌な奴までいやがる」
杏子
「ホントいい時に来るよなアンタって」
ゾルダ
「人のことを嫌な奴呼ばわりするのはやめろよ。そっちから俺ん家を出た癖に」
王蛇
「ふん。俺は1人の方が性に合ってるんでな」
ゾルダ
「とか言う割にはそっちの子と仲良さげじゃんか」
王蛇
「……黙ってろ」
痛いところを突かれたのか、王蛇は一心不乱に敵を倒していく。
全滅させると、本体である落書きの魔女と、蜘蛛に人型の上半身が生えたディスパイダー・リボーンが出現した。
まどか
「何でミラーモンスターも!?」
マミ
「詮索するより倒すのが先よ。佐倉さん、久しぶりだけど……手伝ってくれる?」
杏子
「いいぜ。久々にコンビ組んでやるか!」
さやか
「なら、私はサポートに徹する!」
ドモン
「俺とイッセーはモンスターを殺るから、お前等はあっちを頼む」
明久
「了解です!」
アーシア
「負傷したら、遠慮なく言ってください!」
人数を分け、それぞれ2体の敵と対峙した。
ドモン
「いきなりで悪いが、貰っておけ!」
一誠
「でりゃあああああああああああ!」
ドモンと
ディスパイダーD
「グゲッ!?」
王蛇
「はぁっ!」
ゾルダ
「!」
攻撃に耐えられずディスパイダーがバランスを崩したところに、ゾルダの射撃と王蛇のキックが炸裂する。
『SHOOT VENT』
『FINAL VENT』
王蛇
「はっ!」
一時的に無抵抗となった隙にゾルダはギガランチャーで、王蛇はメタルゲラスのアシストによるヘビープレッシャーでディスパイダーにとどめを刺した。
一誠
「すっげぇ技だな、アレ」
ドモン
「だが突進攻撃なら、俺達の超級覇王電影弾も負けてないぞ」
一誠
「今度やってみますか?」
ドモン
「ふむ、いいだろう」
王蛇・ゾルダ
((なんだろう、物凄く嫌な予感がする))
ドモン達の会話を聞いていた王蛇達は、言いしれぬ悪寒を感じていた。
一方マミ達は落書きの魔女と対峙していたが、相手が全く攻撃しないことに違和感を持っていた。
杏子
「何で攻撃してこない?」
雄二
「攻撃しないんじゃなく、できないんだと思うぞ。おそらく、使い魔が攻撃の代わりなんだろう」
マミ
「その使い魔が全滅しているってことは……」
明久
「再召喚される前の今がチャンスだ! 一斉攻撃を仕掛よう!!」
明久の言葉に全員が頷く。
最初に明久と雄二がアイコンタクトを取り、同時に走り出し魔女に近づいたところでスライディングで背後に回り振り向き様にキックを背中に決め、更に召喚獣がうなじに木刀を叩き込んだ。そこへさやかが剣を背後から突き刺し、地面に固定させた。
杏子
「このチャンス、逃す訳にはいかねぇな!」
マミ
「ターゲット、ロック……!」
マミがマスケット銃で頭部を狙い撃ち、杏子が槍を投擲する。先に弾丸が額に直撃し、それを押し込む形で槍が貫通した。結果、魔女は消滅することとなった。
翔太郞
「あら? こっちは終わっちまったのか」
丁度その時、翔太郞他数名が現れた。
さやか
「遅いですよ皆さん! どこ行ってたんですか?」
フィリップ
「別の場所で魔女と暁美ほむらが戦っていたから、そのサポートにね」
グラハム
「同地点にデスアーミーが出現したので、迎撃にあたっていた」
刹那
「残念ながら、本体は見られなかった」
一誠
「そっちもそっちで大変だったんだな……」
戦闘風景を想像し、一誠は苦笑いをしていた。一方杏子はさやかに話しかけていた。
杏子
「ちょっといいか?」
さやか
「ん?」
杏子
「アンタ、まだ願いが決まってないんだって?」
さやか
「何でそれを……ああ、キュゥべぇから聞いたのか。じゃあアタシの名前も知ってる?」
杏子
「いや、それはまだ知らねぇ。でもアンタに1つ言いたいことがある」
さやか
「……何?」
真剣な顔つきに、何事かと思い聞き耳を立てる。
杏子
「参考になるかはわからないが、あくまで意見として聞いてくれ。……願いってのは、誰かの為じゃなく、自分の為に使うもんだとアタシは思う」
さやか
「自分の?」
杏子
「誰かの為にと思ったことでも、当人からして見ればありがた迷惑だったりするかもしれない。そういうリスクを孕んでいる。だったら始めから自分の為に使えばいい。自分が今を生きていく上で、願いはいずれ何らかの形で必要になってくるからだ」
さやか
「今を生きる……」
杏子
「あ、もう一度言うけど、コイツは私個人の意見だ。あまり参考にしないでくれ」
さやか
「ううん。……お蔭で願いの選択肢が増えたよ。ありがとう」
杏子
「ん…」
礼を言われ、杏子は照れるように顔を背けた。
さやか
「ところでさ、アンタ名前は何て言うの? 私は美樹さやか」
杏子
「……佐倉杏子だ」
さやか
「杏子だね。これからよろしく」
杏子
「ああ……」
やっぱりどこか照れた様子の杏子であった。2人の会話を見ていたほむらは、しばし考え込んでいた。
ほむら
(佐倉杏子との人間関係も怖いくらい円滑に進んでいる……もしかしたら、ワルプルギスの夜以外に私の知識が必要になることはなくなるかもしれない。だったら、早い内に真実を話しておいた方がいいかしら)
さやか
「はぁ、疲れたなぁ~」
その日の夜。さやかは布団にくるまって今日のことを思い出していた。
さやか
「自分の為、か……そういう選択もあるんだね。ありがと、杏子」
やがて睡魔が訪れ、深い眠りに入る。その枕元へ、突然キュゥべぇが現れた。
キュゥべぇ
「このままだと誰も絶望して魔女にならない……エネルギーを回収することができなくなってしまう。悪いけど君には絶望してもらうよ、美樹さやか」
感情の籠もってない口調で誰に聞かれるでもなく述べると、キュゥべぇはソレを取り出した―――
『NIGHTMARE!』
ほっとしたのも束の間、キュゥべぇが何やら暗躍します。そしてさやかは……