明久
「さやかちゃんの様子がおかしい?」
ある日の放課後。明久と一誠、雄二はまどかから相談を受けていた。
まどか
「何というか、気分が沈んでばかりで……言葉遣いも少し粗暴になったりすることが」
雄二
「いつからそうなった?」
まどか
「一昨日……さやかちゃんが悪夢を見たって言った日です」
一誠
「悪夢? 何だそれ?」
まどか
「わからないですけど、さやかちゃんは最近同じ夢ばかり見るみたいなんです。それも、決まって嫌な夢らしくて」
明久
「ふむ……」
腕を組んで考えると、明久は何かに思い至った。
明久
「多分、その悪夢に原因があると思うな。悪い夢を見た後ってどうしても気持ちが沈んだりするからね。悪夢を見させないようにすればいいよ」
まどか
「どうやってですか?」
一誠
「悪夢ってのは、大抵1日の中で悪かったことが反映される。だから、遊びに誘ったりして楽しい思いをさせるのはどうだ?」
明久
「僕達も手伝うからさ。やってみようよ」
まどか
「はい! ありがとうございます!」
先輩方のアドバイスを受け、まどかは笑顔になったが、傍にいた雄二は今だ首を捻っていた。
雄二
(本当に、ただ単に悪夢の見過ぎなのか? どうも裏がある気がするな……)
その後、結論だけ述べるとさやかを誘い、楽しい思いをさせること事態は大成功だった。が、さやかの気分は日に日に下がっていき、ついには学校に来なくなってしまった。
翔太郞
「で、俺達に依頼に来たってことか」
ほむら
「そうよ」
自販機で買ったコーヒーを飲み干し、翔太郞は視線をほむらに向ける。
翔太郞
「いつも行く場所で、何か心当たりとかないか?」
ほむら
「そうね………………残念だけど、ないわ」
翔太郞
「そっかぁ……」
一瞬病院のことを思い浮かべたが、恭介は00の医療技術で既に完治済みなので今回は関連性はない。
翔太郞
「んじゃ、俺と相棒で探してみるか。あ、映司と刹那にも声掛けとくか」
ほむら
「お願いするわ(美樹さやかに何かあったらまどかが悲しむ……それは何としても避けないと)」
こうして、さやかを見つけるための大々的な捜索活動が行われた。
捜索開始から2日が経過した頃。フィリップ、まどか、杏子、浅倉、マミ、北岡はある工事現場の周囲を歩き回っていた。
浅倉
「本当にこんなところにいるのか?」
北岡
「他はほとんど虱潰しに探したけど、いなかったじゃないか」
「だけど、ここに居なかったら多分行き詰まるな……」と北岡は続ける。
杏子
「アイツ、今どこでどうしてるんだろうな……初めて会った時は、気持ちが揺らいでるようには見えなかったんだが」
まどか
「とにかく、早くさやかちゃんを見つけないと。何だか嫌な予感がするの……」
フィリップ
「…………………」
皆が捜索している中で1人、フィリップは腕を組んで何かを考えていた。
マミ
「フィリップさん、さっきから考え込んでますけど、何かあったんですか?」
フィリップ
「……ん? いや、何でもないよ」
北岡
「何かわかったら、言ってくれよ。アンタの検索能力、当てにしてんだから」
フィリップ
「了解だ」
そう言うフィリップだったが、気になることがあり再び考える。
フィリップ
(やはり妙だ。魔法少女と魔女の関連性は鍵が掛かってて読めないし、ミラーモンスターについても肝心なところが閲覧できない。怪しいことは明らかなんだが……。それと、美樹さやかの状態も気になる。悪夢と言っていたが……ナイトメア? いや、まさか……)
その時、マミが持つソウルジェムが反応した。
マミ
「っ、魔女の結界!?」
杏子
「こんな時に出て来んなよ!」
北岡
「でも、見過ごす訳にもいかないよな。変身!」
浅倉
「さやかって奴も中で戦ってるのかもな。変身!」
北岡と浅倉は素早く変身し、フィリップはスタッグフォンで翔太郞と連絡を取る。
フィリップ
「翔太郞、こちらに魔女が出現した。ドライバーの装着を」
翔太郞
『わかった。行くぜ、相棒』
ダブルドライバーが腰に出現すると、フィリップの掌に恐竜型ガイアメモリ『ファング』が現れ飛び乗るとフィリップの手によって変形していく。
『FANG!』 『JOKER!』
翔太郞・フィリップ
『「変身!」』
先に差し込んだジョーカーメモリが転送され再度差し込むと、ファングメモリを右側にセットしダブルドライバーを展開した。
『FANG! JOKER!』
音声と共に、唯一フィリップの体をベースに変身する姿、仮面ライダーWファングジョーカーに変身した。
WFJ
「さあ、急ごう」
まどか
「はい!」
魔法少女とライダー達は揃って結界の中に入って行った。
結界の中では、何者かが既に『影の魔女』と戦っていた。
まどか
「あれ……さやかちゃん!?」
WFJ
『やっぱ魔女と戦ってたのか。道理で見つからねぇ筈だ』
王蛇
「援護した方が良いか?」
ベノサーベルを肩に担いで言った時、さやかがダメージを負って後退してきた。
ゾルダ
「した方がいいだろうな。ケガしてんだし」
マミ
「待ってて! 今アーシア先輩を―――」
さやか
「必要ない……」
が、何を思ったのか、さやかは負傷したまま突撃すると相手の攻撃による自分へのダメージを顧みず、次々と攻撃を加えていった。
さやか
「フ、フフフ……アハハハ! 本当だぁ……その気になれば痛みなんて完全に消せちゃうんだぁ……!」
杏子
「ど、どうしちまったんだ!?」
WFJ
「わからない……だが、異常事態なのは確かだ」
さやか
「やり方さえわかっちゃえば簡単なもんだね……これなら負ける気がしないわ」
そう言った直後、魔女は消滅した。
ゾルダ
「倒したのか……」
マミ
「美樹さん……どうして……」
杏子
「っ、おい!」
パシッ!
たまりかねた杏子が近づき、思い切りビンタした。
杏子
「何があったのかは知らねぇけど、お前、自分のしたことがわかってんのか!? あんな戦い方してたら、いつか死んじまうぞ!!」
さやか
「ったいなぁ…………え? 杏子? 私、今まで何やってたの……?」
杏子
「え?」
何故か今までの様子から一変、元の性格になると周りを見渡した。
マミ
「……覚えてないの?」
さやか
「あの、何があったんですか? 何か私、悪夢を見てから時々意識を失うことがあるみたいで……まさか、徘徊してたとか?」
ゾルダ
「まあ……そんなところかな……」
WFJ
「……! すまない、少し失礼するよ」
さやか
「え? ちょっ!?」
突然、Wがさやかの後ろに回るとやや強引に服を引っ張り、うなじを見た。
さやか
「な、何するんですか!」
WFJ
「やはりこれがあったか……生体コネクタ」
うなじには、人間がガイアメモリを使ってドーパントという怪人に変身するのに必要な、生体コネクタというものが刻まれていた。
WFJ
『何でこんなものが……』
まどか
「生体コネクタって、確かガイアメモリで変身する怪人が……」
マミ
「美樹さん、貴女ガイアメモリを購入してたの?」
さやか
「いや、する訳ないですって! 第一メモリはどこに!?」
WFJ
「どうも既に刺さっているらしい。インビジブルの時と似た状況だ」
ゾルダ
「なら、さっさとメモリブレイクってのをして―――」
ゾルダが促した―――直後。
さやか
「っ!? く……あぁっ!?」
王蛇
「どうした?」
突然苦しみ出したさやかに王蛇が尋ねた時、杏子はあるものを見て顔面を蒼白させた。
杏子
「おいさやか……お前のソウルジェム、真っ黒じゃねぇか! 何でこんななるまで放っといた!?」
さやか
「し、知らないよ……今気づいたところだし……!」
マミ
「早くグリーフシードを!」
マミがグリーフシードで浄化するが、すぐに濁ってしまう。そして……
さやか
「い、いや……何これ……マミさん、フィリップさん……助け……あ、あぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」
ソウルジェムが完全に濁りきった瞬間、グリーフシードに変化し魔女の結界を作り出していった。
WFJ
『おい……一体何がどうなってるんだ?』
WFJ
「わからない……完全に想定外だ……」
まどか
「さ、さやかちゃん!!」
出現したのは、人魚の魔女『オクタヴィア』。美樹さやかの魔女化した姿だ。
さやかは魔女へと変貌してしまいました。果たして救う手立てはあるのでしょうか。